2011年01月23日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 3)

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昨年末のタマス/ヨンシー/タマスという至福の週末に続く、グレン/グレン/グレンという怒涛の週末の3日目。僕は今回全部で8公演あった日本ツアーのうち結局東京3日間しか参加できなかったので、この日が僕にとっての今回最終日だった。あれからちょっと日が経ってしまったけれど、おぼろげな記憶とメモを頼りに書いてみよう。

この日もそれまでの定位置(のやや中央より)という最高の席に陣取らせてもらった。ほぼ同時に入場した、僕の分のチケットも一緒に取ってくれた全公演皆勤賞の友達が、この日が最後の僕に気を使って、少しでも前の席を譲ってくれたのが本当にありがたい。

珍しく開演時間ぴったりにステージに登場した二人。手にはなにやらメモを持っている。サイモンの方を指さしてグレンが日本語で「ブルース・ウィリスでーす」。サイモン「わたしは、ブルース・ウィリスでは、ありません」だって。ははは、言われてみれば確かに似てるね。きっと前日までのサイン会のときに散々いろんな人に言われたんだろうね。

二人で出てきたのでこの日は一曲目からドラム入り。6弦を持ったグレンが歌いだしたのは僕の知らない曲だった。終演後のサイン会のときにグレンに訊いてみたら、ランディ・クロフォードの「One Day I'll Fly Away」だそうだ。まったく僕の守備範囲のアーティストだけど、今度機会があったら聴いてみようかな。

例によってサイモンのiPadからシンセのイントロを出してスタートした「Take Me, I'm Yours」に続いて、グレンが自分のiPadをいじり始める。「僕はセールスマンじゃないけど、このソフトは本当にいいからお勧めだよ。メロトロンの音なんて本物よりいいぐらいだ」とか言いながら、パイプオルガンの音を出して、なんだかファウストに出てくる悪魔みたいな顔真似で「ワーッハッハッハ」と笑いながら何か台詞を言っていた。次の「Is That Love」の間奏のところでも、ギターソロの代わりにそのパイプオルガンを弾き、また悪魔の顔(笑)。サイモンがすかさず「ワーッハッハッハ」と悪魔の笑い声。へんな人たち。

「Mumbo Jumbo」、「Melody Motel」と、久しぶりに聴く珍しいけど大好きな曲が続く。最近のスクイーズのツアーのセットリストをいちいちチェックしてるわけじゃないけど、こういうマイナーな曲もちゃんと演奏してるのかな。もしそうでないとすると、なんでサイモンは(相変わらず曲紹介もなしで)あんなに出だしから最後までちゃんと叩けるんだろう。一応スクイーズの曲は全部完璧に叩けるように覚えてるのかな。

次の「This Is Where You Ain't」はきっとグレンの現在のマイブームなんだろうね。今回僕の観た回では必ず演っていたよ。僕はもともとそんなに大好きな曲というわけじゃなかったんだけど、これを聴くとグレンがソロ活動を始めた頃のいろんな感情が懐かしく蘇ってくる。この日は相当乗ってたのか、ギターソロが延々終わらない。かっこよかったな。

12弦に持ち替え、「次の曲はスクイーズの最初のアルバムから」と言うから一体何かと思っていたら、「Model」だった。これも珍しいね。ライヴで聴くのは初めてかも。そのままメドレーのように「No Place Like Home」に繋げる。さらに、スティーラーズ・ウィール(Stealers Wheel)の「Stuck In The Middle With You」の一節を挟み、「NPLH」に戻る。

実はこの「Stuck In The Middle With You」、僕はよく知らない曲だったので、休憩時間中に隣に座っていた友達に聞いて教えてもらった。そしたら、前日のサイン会のときに彼がグレンにリクエストしたけど、「歌詞を全部覚えていないから」と断られたそうだ。なのに、こうしてメドレー風に自分が知っている歌詞の部分をちゃんと歌ってくれるなんて、グレンってほんとにこういうことに関しては記憶力いいし、優しいよね。

ところで「よく知らない曲」なんて書いたものの、帰ってからCDラックを調べてみたら、僕の持っているジェリー・ラファティー(Gerry Rafferty)のベスト盤にちゃんとこの曲入ってるよ。ほんとに普段どんなにいい加減に聴いているのやら。スライドギターの格好いい曲だね。というわけでこの記事は引き続きそのベスト盤を聴きながら書いているところ。

iPadに触れてポーン、ポーンとなんだか宇宙的な音を出し始める。なんていうソフトか僕は知らないけど、スクリーンの違う箇所に触れると違う高さと音色の音が鳴り、それがループされていくという、Tenori-Onみたい使い方。そうしてスペイシーに始まったのが「Footprints」。わあ、これは凄いね。前日までは指でなぞって「ウニューン」とかやってただけなのに、ようやくグレンのiPadが音楽的に使われ始めた(笑)。さては前日の夜にこのソフトに気付いたのか?

そのままほぼメドレーっぽく「Annie Get Your Gun」へ。全然勢いも音圧も違うこの曲の背後でまだ「ポーン、ポーン」って音がこっそり鳴ってるのが変な感じ。グレンも間奏のところでまだ律儀に音を出しているiPadを見ながら笑ってたね。自分はギター弾いてるから止められないし。


あっという間の前半セットはそれで終了。後半は引き続き12弦を持ち、「Black Coffee In Bed」へ。前日のようにグレンがアンプラグドで客席を歩き回ってということはなかったけど、サイモンは後の方の客席に座って演奏してたね(スネアを外して持っていってたんだっけ)。演奏しながらサイモンがどんどん前に進んできて、僕の傍を通ってステージに上がり、サビ前のブレイクのところから通常演奏に。この曲も、12弦だとは思えないほどの速弾きのギターソロが冴えていたよ。

グレンがまたアンチョコの紙を取り出して日本語で「だれか、かみのけを、なんとかしてください」と言って笑わせる。暑がりのグレンはステージ上に自分に向けて3つも置いてあるサーキュレーターからの風で結構最近伸び放題のフワフワの髪の毛が常に逆立ったような状態で歌ってるんだけど、それがよっぽど鬱陶しいらしく、日本語でそう言った後に「もしここにヘアドレッサーがいて僕の髪の毛を短くしてくれたらとても嬉しいんだけど」なんて言ってた。そういえば今回、グレンからなんだかヒョロヒョロした金色の糸みたいなのが飛んでいくのをよく目撃したんだけど、あれは風で飛ばされたグレンの髪の毛なんだね。

実はそのアンチョコは休憩中からステージに置いてあり(というか、最初の「ブルース・ウィリスでーす」の裏側に書いてあった)、僕は始まる前にこっそり見ていたんだけど、そこに書いてあった文章はこういうのだった。

 DA LEYCAR CARMINO KAYO NANTOKA SHITEK COO DA SIGH

なるほど、日本語をちゃんと発音しようとすると、こう書くのか。

友達がリクエストした「Stuck In The Middle With You」を忘れていなかったグレンは前日の僕のリクエストもちゃんと覚えてくれていて、「次の曲は新曲、“Chat Line Larry"」と言って歌ってくれた。ちょっとロカビリーっぽい感じかな。終演後にサイモンに会ったら開口一番「君のリクエスト、演ったよ」と言ってくれた。うん、ありがとう、新作も楽しみだよ。

「The Elephant Ride」を終えた後、グレンがサイモンに「次は何にしようか」とか話しかけている。サイモンは「客席にいる友達に聞いてみればいいんじゃない」と答える。グレンはマイクに戻り、電話をかけるような振りをして「あー、ハロー、次の曲は何がいいかな」と聞く。間髪入れず僕の隣の友達が「Vicky Verky!」。やった、嬉しい。

この3日間、毎日それぞれ何をリクエストしようかずっと考えていた。リクエストタイムのときにアコギを持っていたら何で、エレキだったらどれで、と。初日は「Relentless Pursuit」(アコギでもエレキでも)、二日目序盤にその曲を演ってからはアコギなら「Little Ships」、エレキなら「It's So Dirty」、そしてこの日は、前回のツアーではテーマ曲のように歌われていたのに今回は一度も耳にしていない「Best Of Times」をリクエストしたいと思ってたんだけど、毎回出遅れてしまって、でも実際にリクエストに応えて歌われた曲もいいのばかりだったから、まあいいや。でも、もしアンコールまでずっと演奏されなかったら、リクエスト要求されなくても「Best Of Times」叫んでみようかな。

サイモンのiPadでリズムボックス風の音を出して始まったのが「If I Didn't Love You」。この曲の間奏のところでグレンは12弦からストラトに持ち替え、そのままバリバリのギターソロを弾く。かっこいい! 次の曲のイントロもサイモンがリズムボックスの音で始めたらグレンが「また同じリズムか」と言って、「Still」を演奏。これも途中のギターソロがすごかったね。本当にこの日は前日とはうってかわってギターがよかった。グレンも弾いていて気分いいのか、ついオリジナルよりも何小節も追加して弾き続けていたよ。

グレンは毎日スカーフをネクタイっぽく首に巻いていて、この前日はエレキを弾く時にちょうどそれがギターの手元のところに被ってきて弾きにくそうにしていたんだけど、この日はちょっと頭を使って、首から下がってるスカーフの両端に長短差をつけ、長い方をギターの裏側に挟み込み、短い方は手元まで届かないようにしていた。頭いいね。でも、アンコールで出てきたときには一度スカーフを緩めて締め直したのか、また弾き難そうにしてたよ(笑)

「Oh Well」、「Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Deeby」とカバーが続き、この日も最高だった「Another Nail In My Heart」を挟んでまた僕の知らないブルーズのカバー曲。これはサイモンにもわからなかったらしく、イントロでおそるおそる叩き始め、グレンが歌い始めてもまだ怪訝な顔。定型ブルーズだからそんなに難しくなかっただろうけど、演奏後にグレンがサイモンに向かって「ごめん」とか言ってたね。きっと、今まで一緒に演ったことのない曲なんだろう。

終演後、サイン会の前にサイモンが先に出てきたから話していて、「あの曲何だったの?」と訊いたら「俺の方が聞きたいよ」と(笑)。サインをもらうときにグレンに訊いたら、「フリートウッド・マックの“Oh Well”と一緒のアルバムに入っている“Then Play On”という曲だよ」と教えてくれた。うなずく僕とサイモン。同じくセットリストをチェックしていた友達にそう教えると、早速帰宅後に調べて教えてくれた。『Then Play On』というのはアルバム名で、おそらくグレンがこの日に演奏したのは「One Sunny Day」という曲だろうとのこと。僕は演奏中にタイトルが歌われないだろうかと結構熱心に歌詞を聴いて大体覚えていたんだけど、確かにYouTubeで聴いた「One Sunny Day」は出だしの歌詞が同じ。でも中盤の歌詞は違ったような気がしたんだけど、あれは単にグレンが歌詞を覚えてなくて、適当な他のブルーズを混ぜて歌っただけなんだろうか。

「If It's Love」、「Parallel World」からほぼメドレーで演奏された「I Feel Good」で最高潮に達し、グレンが“We had the best of times!”と叫ぶ。そしてあのイントロ。やった!嬉しい!エンディングでグレンがコーラスを歌わせてくれるので、今回いちばんの大声で歌ったよ。もちろんこれが本編のラスト。ああもう、大満足。この日は選曲も曲順も完璧。


アンコールで再登場したグレンが「今日は弦を張り替えたんだ」と嬉しそうに言いながら再びエレキを持って「Tempted」を。やっぱり前日のはバンド用のアレンジだったよね。この日のはしっかりベース・パートまで自分で弾く、安心して聴けるソロ用のアレンジ。そう考えると凄いよね。バンド用に書いた曲をこうしてソロできちんと聴かせるためにアレンジし直した演奏をするなんて。いつもグレンのソロのときにはわざわざそういうことを意識しないで聴いていたけれど、この二日間の「Tempted」の差を聴いて、改めてそう思ったよ。

もうひとつ気付いたこと。次の曲はスネアの一撃で始まるんだけど、それをサイモンに指示するのにグレンは左腕で力こぶを作って「次、これ」みたいな感じで見せる。サイモンも「ああ、これね」と右腕でぐっと力こぶを作り、スネアをダン!と叩く。曲は「Pulling Mussels」。そっか、もうここからは連日の定型の流れだね。

その曲の途中でステージ上のファンを足で脇によせるグレン。当然、スクイーズ・ダンスの準備だ。その際に、正面に置いてあった一番大きなサーキュレーターのプラグが抜けてしまったみたいで、急に風が止まってしまった。にも関わらず次の曲の演奏を始めるグレン(というか、サイモン。iPadでイントロを奏で始め、自分は空のボトルをドラムスティックで叩き始める)。曲はもちろん、今回ツアーのお決まりのラスト曲「Goodbye Girl」。

曲の前半はボトルをスティックで叩いてリズムを取ってステージをうろうろしていたサイモンが、暑そうにしているグレンを慮って、サーキュレーターの抜けたプラグを探し、その場にしゃがみこんで、床に置いたボトルを叩いてリズムを左手でキープしながら、右手で抜けたプラグをコンセントに差し込む。サーキュレーターが動きだした!歌いながら歌詞の途中で「サンキュー」というグレン。そろそろ出番なので急いでドラムキットに戻るサイモン。サビ前で定位置につき、バスドラとフロアタムでドドドドドドドとフィルインし、そこからは通常演奏。いや、お見事。

最後はお決まりのスクイーズ・ダンス。二人とも汗びっしょりになって、ちょっとニコッとしながら、黙々と(ちょっといい加減に)踊っていたね。それを終えて、またアンチョコを持ちだして、グレンとサイモンがお互いに「お前言えよ」とか言いながら、結局最後はサイモンが「コンサートに、きてくれて、ありがとう!」と日本語で言って終了。

いやー、楽しかった。堪能した。結局僕はこの3日間しか観られなかったけど、多分二人の気力も集中力も、この日が最高潮に達していたと思う(横浜の最終公演に行けなかった負け惜しみ)。前日はいつまでも客電が点かなかったからずっとアンコールの拍手をして、予定外のアンコールをしてもらったけど(「Space Oddity」なんて驚きの選曲もあったけれど)、もうこの日はこれでいいやと思った。もう、何も聴かなくてもいい。それぐらい、この日の演奏は充実していた。


これまでの経験を活かし、サイン会には早目に並んだ。さっきも書いたけど、グレンの前に早々とサイモンが出てきてカウンターでビールを飲んでいたから、列のほとんど先頭にいた僕が話しかけてみた。同じ髪型の僕を覚えていてくれたようで、グレンが出てくる前にいろいろ話ができたのが楽しかった。前日の開演前に話していた僕の職業とかも覚えてくれていたみたいで、グレンが出てきたときにわざわざそんなことを伝えようとするから、「いや、そんなこと言わなくていいから」と言ったら、「なんだ、秘密なの?みなさーん、この人の職業はー」とか大声で言うし。ほんとにおかしな奴。

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この日は無難に、グレンからは『Dreams Are Made Of This』に、サイモンからは(以前グレンからはもうサインをもらっていた)『Pandemonium Ensues』にサインをもらってきた。本当に楽しかったな、この3日間。また近いうちに来てくれればいいのにな。そのときは、どんな仮病を使ってでも全公演追っかけよう。


Setlist 16 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. One Day I'll Fly Away
2. Take Me, I'm Yours
3. Is That Love
4. Mumbo Jumbo
5. Melody Motel
6. This Is Where You Ain't
7. Model
8. No Place Like Home ~ Stuck In The Middle With You
9. Letting Go
10. Footprints ~ Annie Get Your Gun

11. Black Coffee In Bed
12. Chat Line Larry
13. The Elephant Ride
14. Vicky Verky
15. If I Didn't Love You
16. Still
17. Oh Well
18. Drinkin' Wine Spo-Dee-O-Deeby
19. Another Nail In My Heart
20. One Sunny Day
21. If It's Love
22. Parallel World ~ I Feel Good
23. Best Of Times

[Encore]
1. Tempted
2. Pulling Mussels (From The Shell)
3. Goodbye Girl


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