2011年01月15日

Glenn Tilbrook live in Tokyo 2011 (Part 1)

Three Guitars.JPG Drum Kit.JPG

では、気を取り直して本来の白い人格に戻って、待望のグレン・ティルブルック東京公演一日目の模様をお届けするとしよう。会場はいつものスターパインズ。会議やメールを振り切ってなんとか吉祥寺まで辿り着き、既にお客さんが整理番号順に並んでいた列に割り込んだのは開場5分前。無駄にした京都公演のチケットほどではないけど、この日の整理番号もかなりよかったからね、列の前の方に割り込むのはちょっとした快感(笑)

入場すると、ステージ左側にはギターが3本。いつものヤマハの6弦と12弦、それに(おそらく借り物の)黒いフェンダーのストラト。右手にはかなりシンプルな構成のドラムキット。それまでの京都・札幌公演とは違い、この日からフラッファーズ/スクイーズのドラマー、サイモン・ハンソン(Simon Hanson)が参加。ギターとドラムだけという変則構成がどう聴こえるか。YouTubeにアップされている最近のライヴなんかを観るかぎりは、しょぼい音質のせいか、まあリズムキープのためにドラマー入れてるんだね、程度にしか思っていなかったんだけど。

開場から30分ぐらいは客の入りもちょっと少なく、後ろの方はがらんとしていたけど、開演前には一階席はほぼ埋まっていたかな。平日だし、3日間の初日だしね。一時間の待ち時間、京都・札幌皆勤賞の友達にそれまでの様子を聞いたりして過ごしていると、7時半を10分ほどまわったところでグレンが一人で登場。

まず6弦を肩にかけ、オープニングは「Footprints」。わりと珍しい選曲だね。友達によると、今回のツアーではこれが初だとのこと。それが、そのままメドレーで「If I Didn't Love You」へ。へえ、おもしろいね、この流れ。

いつもどおり機嫌のよさそうなグレン。「ギターが3つもある!ドラムキットも!」みたいな感じではしゃいでみせて、サイモンを紹介。自分の譜面台の上に置いてあるiPadでキーボード風の音を出し、「次の曲は」と始めようとするが、なかなかうまくいかない。ようやくうまく操作できてスタートしたのは「Take Me, I'm Yours」。アコギとの音のバランスのためか、サイモンはこの日ほとんどブラシで叩いてたね。

(最初のメドレーを一曲と数えると)5曲目の「Tough Love」から、12弦に持ち替える。何度聴いてもこのアレンジとこの歌メロ、いいよね。アコーディオンが泣かせるオリジナルは僕のお気に入りの一曲なんだけど、その5割増しぐらいで沁みるよ、これは。

その次の曲、僕が今までに自分で観た一番最初の06年東京09年京都のセットリストに「Monkey On You」と書いたのは、その最初の東京公演でグレン自身が「これはクリスと一緒にずっと昔に書いた」との前置き付きでそのタイトルを言ったからだったんだけど、今回の京都公演で友達がアップしたセットリストに「Monkey (Dr. Feelgood)」と書いてあるから、あれ?と思って調べてみた。ドクター・フィールグッドは最初の2枚とボックスセットしか持ってないけど、ボックスに入っていたその曲を聴いてみると、確かにこの曲。でもクレジットを見ると、「Tilbrook/Difford」だ(笑)。ひとつ前の記事のコメント欄に「ドクター・フィールグッドなんて演ったんですね」などと間抜けな感想を書いた自分が恥ずかしいよ。ボックスセットもちゃんと聴け。

前半セットで嬉しかったのは、「This Is Where You Ain't」、「Untouchable」、「Parallel World」など、グレンのソロ曲が多かったこと。最近スクイーズのツアー中だし、この日はサイモンも一緒だから、きっとスクイーズの曲ばかりになるのかなと思っていたからね。後者2曲はともかく、「This Is Where You Ain't」なんて滅多に聴いたことないよ。今ちょっと調べてみたら、僕が観た中では、さっきリンクした06年の東京での一日だけだね。「Untouchable」はいつもグレンのソロでは歌パートが終わったところで終了だけど、ドラム入りの今回はちゃんとオリジナル通りのアウトロ付きだったのがなんだか得した気分。

観ていて凄いなと思ったのは、グレンが次の曲名も言わずにいきなりギターを弾き始めても、寸分の遅れもなくサイモンが何の曲か判断し、きちんとドラムを入れてくること。普段ライヴで演り慣れているスクイーズの曲だけならともかく、「Untouchable」とかのソロ曲でもそうだからね。そう思いながら観ていると、グレンが弾き始めるところを見ているサイモンの目の真剣なこと。それ以外の時間は(演奏中ですら)ちょっとおどけた感じでずっとニコニコしているんだけどね。いいな、サイモン。

前半セットのラストは、ギターソロが凄まじかった「Parallel World」からメドレーで演奏された「Up The Junction」。これが、なんだか今まで聴いたことないような不思議なアレンジ。ドローン風というか、なんだか夢見心地な感じ。僕としては通常のアレンジの方が好きだけど、まあたまにはこういうのもいいか。


30分ほどの休憩を挟み、後半スタート。二人で登場してグレンがまた6弦を持ち、最初に発した言葉が「僕らは次にどの曲を演るか相談していないんだ」。まるで「ついてこれるか?」と挑発するようにサイモンをちらっと見て、いきなり歌いだしたのが(わざわざ選んだイントロなしの)ジェームス・ブラウンの「I Feel Good」。もちろん、グレンがその最初の歌詞を歌った直後、絶妙のタイミングでスネアを叩くサイモン。見事だね。

すると今度はサイモンが、「じゃあ次はこのリズムマシーンでランダムにリズムを選ぶからね」とスイッチを押し、スタタカスタタカと速いリズムが始まった。そのリズムに体を揺らしながら、しばらくの間どの曲にしようかと迷った末にグレンが弾き始めたのは、えらくテンポの速い「Sea Cruise」。そのギターのイントロで何の曲か判断して、またもジャストなタイミングでドラムのフィルイン。他人のカバー曲なのに。「きっと今までで一番ひどいバージョンの“Sea Cruise”だったね」と演奏後にグレンが言ったけど、全然そんなことなかったよ。ほんと、二人ともお見事。

こういう即興性がグレンのソロ(あるいはデュオ)の醍醐味だね。まるでゲームみたいに、二人で演奏だけでなくそのイベント自体を楽しみ尽くしてるのがすごくわかる。そして、こういうことができるぐらいグレンはサイモンのことを信頼してるんだろうな。終演後に友達と飲んでたときに口論(笑)になったんだけど、僕はこれがある限り、スクイーズでなくやっぱりグレンはソロで観たい。

「By The Light Of The Cash Machine」なんてちょっとマニアックな嬉しい選曲も含み、後半開始6曲はそのまま6弦ギターで続けたあと、いよいよストラトに持ち替え。この日は(も)アコギでのギターソロもほぼ完璧だったけど、やっぱりエレキでのソロは物凄いね。昨夏のイベントとか以前のライヴでも彼がエレキを弾くのを何度か観たことあるけど、この日は本当に堪能した。グレン自身もエレキを弾く方が明らかに楽しそうで、そのままアンコール終了までもうずっとそのままだったもんね。

「The Truth」が始まったから、もしかしたらと思ったけど、やっぱりあのギターソロの途中で6弦を咄嗟に緩めてのドローン奏法をやったね。ちょっと遅れて3弦もいじって、ソロ後はなんだか不思議な感じの音色になってたよ。いつも思うけど、よくあんなことを演奏中にできるもんだ。この人、ステージ上でのギターのチューニングも、よくある上の弦の何フレットと次の弦の開放音を合わせて、なんてことせずに、それぞれの弦の開放音を耳で聴いただけで瞬時に合わせていくからね(そういえば、エレキに持ち替えてチューニングしてるときに、サイモンが「アー」ってチューニング音を声に出して言ってあげてたのが可笑しかった)。

最初に書いたギターとドラムだけの変則構成だけど、たとえば今までライヴではアコギのソロでしか聴いたことのなかった「Cash Machine」とかがとても新鮮に聴こえたことだけでなく、それぞれの曲のメリハリをつけることに、サイモンのドラムが大いに貢献している。ベースレスだけど、グレンが(おそらくその編成を意識して)低音弦できっちりベース音をキープしているから全然不自然に聴こえないし。ドラムの直接音ばかり聴こえてしまうかと開演前はちょっと危惧していた僕の観ていた位置ですら、音のバランスはとてもよかったね。

お客さんからのリクエストが「Is That Love」か「If It's Love」か聞きとりにくかったグレンは、「両方演るよ」と、「If It's Love」のイントロを弾き始めた。タイトルは似ているけど曲調もコードも全然違うこの2曲をメドレーで演奏したら凄いなと思ったけどさすがにそれはなく、「If It's Love」をフルコーラス演ってから、「ワン、ツー、スリー、フォー」とカウントして「Is That Love」へ。

本編ラストの「Another Nail In My Heart」のギターソロは圧巻だったね。エリック・クラプトンのブラッキー風の黒いストラトを抱えている姿がふと彼を思い起こさせたけど、お世辞抜きで僕は今のクラプトンよりこの人の方がギター上手いと思う。

アンコール1曲目「Pulling Mussels」は歌詞の順番がちょっとあやふやで本人もちょっと照れ笑い。ギターソロもなかったよ。慌てたのかな。ちょっとスピードアップしたロッキンなアレンジの「Goodbye Girl」がラスト。イントロでサイモンがビールのジョッキとシンバルを交互に叩いてリズムを取っていたのが面白い。その曲で、演奏しながらグレンがステージ上の扇風機を端の方によせていく。何やってんだろと思っていたら、演奏終了後、二人並んでのダンスが始まった。あはは、これかわいいね。ビデオではちらっと見たことあるけど、こうして目の前で真剣な顔してやってるのを見ると微笑ましい。


終演後はいつものサイン会。ちょっと席で友達と歓談してから並んだら、列の進みがこの日はなんだか異様に遅い。皆たっぷり話しこんで、写真撮ったりしてるからね。列に並んでたときにグレンとちょっと目が合い、「お、君のことは知ってるよ」という感じでニコッとしてくれたのが嬉しかったな。延々並んだあと、ようやく自分の番に。京都公演に行けず、前日にサンパウロから24時間かけて帰国したばかりという話をして同情を買う僕(笑)。記念に、未使用の京都公演のチケットにサインしてもらった。

Unused Kyoto Ticket.jpg

なんとなく成り行きでサイモンにもサインしてもらったら、グレンが「あれ?おまえ京都にいなかったくせにサインするの?」みたいなこと言ってからかう。そしたらサイモンは僕に「君、京都に行かなくて正解だったよ。僕抜きじゃちっともよくなかったはずだからね」なんて冗談で返す。

京都で演奏したという新曲のタイトルを訊くと、「Chat Line Larry」だと教えてくれた(合ってるかな?⇒某所でスペルミスの指摘を受け、訂正しました)。今ミックス中のニューアルバムに入る予定だそうだ。「ナイン・ビロウ・ゼロと一緒に演ってるんでしょ」と聞くと、そうだとのこと。サイモンも何曲かに参加しているそうだ。「あと3−4ヶ月で出るよ」と言っていたけど、まあグレンのことだから、年内に出ればラッキーだろうな。

出張中伸び放題だった髪を前日刈ってきた僕はサイモンに「ほら、同じ髪型」と言ったら、サイモンは「真似したな」と自分がかぶっていた帽子を僕にかぶせたり(そのときの写真を撮っておけばよかった)。そういえば終演後、後ろの方で観ていた友達が、「yasさんの後ろ姿、サイモンと同じだったよ」だって。わざわざ帽子を取って一緒に撮った写真がこれ。なんだかグレンが変な顔してるね(笑)。アメリカとブラジルで肉ばかり食って太り気味の僕、のことは誰も気にしてないからいいね(苦笑)

Glenn Simon and me.jpg

さてと、そろそろ準備して吉祥寺に向かうとするか。昨日遅くに帰ってきたら、夕方5時半に振り切って出てきた会社の未読メールが100通以上にもなっていて目まいがしそうになったけど、それもやっと片付けたし(メールを開いただけともいう)。リクエストしようと思ってた曲の歌詞書いてる時間なかったな。まあいいや。多分客の入りはこの3日間で最大になるはずの今日、リクエストの競争率も高いだろうしね。ゆっくり楽しんで観てこよう。


Setlist 14 Jan 2011 @ Star Pine's Cafe

1. Footprints ~ If I Didn't Love You
2. Take Me, I'm Yours
3. They Can't Take That Away From Me
4. Still
5. Tough Love
6. Monkey
7. This Is Where You Ain't
8. Some Fantastic Place
9. Third Rail
10. Untouchable
11. Parallel World ~ Up The Junction

12. I Feel Good
13. Sea Cruise
14. Annie Get Your Gun
15. By The Light Of The Cash Machine
16. Oh Well
17. Through The Net
18. Tempted
19. The Truth
20. Can't Buy Me Love
21. If It's Love
22. Is That Love
23. Another Nail In My Heart

[Encore]
1. Pulling Mussels (From The Shell)
2. Slap & Tickle
3. Goodbye Girl


posted by . at 14:51| Comment(3) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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