2010年10月12日

Todd Rundgren live in Tokyo

Todd Rundgren's Johnson.jpg

正直言うと、自分でお金を出してチケットを買ったコンサートでは、ここ数年で一番乗り気じゃなかった。トッド・ラングレンのことは、もう20年以上も前からずっと大好きだったから、今まで僕が日本にいる限りは全ての来日公演に足を運んでいたぐらいだったけど、今回のは、ロバート・ジョンソンの曲だけを演奏するという企画と聞いたから。なんなんだ、それは。この人ってそんなにどっぷりブルーズに浸かっていたっけ。どちらかというと出自はもっとソウル〜R&B系の人だったはずだよね。エリック・クラプトンと間違えて観に来る人がいるとでも思ったのか。

そんな心境だったので、そこそこの整理番号のチケットを持っていたにも関わらず、会場に着いたのは開場時刻をちょっとまわった後。僕が入り口に着いたときにはもう僕のチケットよりもうんと大きな番号を呼んでいた。入場しても、前の方に陣取るわけでなく、さりとて椅子席ももう空いていない。なんだか中途半端な場所で開演までの1時間をぼーっと過ごす。腹減ったな。朝起きてパスタ食ったきりだよ。いつも仲良くしてくれる友達が何人か来ていたので、終わったら一緒に何食べようかな、とかそんなことばかり考えながら。

開演時間を10分ほど過ぎて、メンバーが姿を現す。トッドは一時写真で見かけていたほどは太っていないけど、黒のタンクトップが似合うとはお世辞にもいえない中年体型。ナチュラルのテレキャスターを持っている。珍しいな。どうせなら上に載せたチラシの写真もテレキャスを弾いてるとこにすればよかったのにね。

ステージ左にはレスポールを抱えたジェシ・グレス(Jesse Gress)。あまりよく知らない人だけど、ずっとトッドと一緒に演ってるんだね。ステージ奥にはドラムスのプレイリー・プリンス(Prairie Prince)。終わってから友達に聞いたんだけど、この人チューブスのドラマーなんだって。全員、黒の上下にサングラス。プレイリー君は白縁サングラスだったけど。

そして、ステージ右側には、今日の僕のお目当て気分の半分ぐらいを占めていた、カシム・サルトン(Kasim Sulton)。トッドと並ぶと、背低いな。カシムを観るのは、僕が最後にトッドを観たユートピア(Utopia)のライヴ以来のはずだから、92年のことかな。あの、ライヴCD/DVDになった公演。それにしても、茶色いサングラスをかけたカシム、遠目にはピーコに似てるぞ。

ロバート・ジョンソンのCDは、2枚持っている。あの一番有名なジャケのやつじゃないけど、まあ、入っている曲はほぼそっちと同じだし、そもそもどの曲を聴いても区別つかないからね。普段めったに聴くCDじゃないけど、今回のチケットを押さえたときに予習しようと思って聴いて、今朝また予習のためにもう一回ずつ聴いてみたけど、やっぱり全然曲覚えられない。インストゥルメンタルでもないのに。全然最後まで集中して聴けない。駄目だ、やっぱり僕、ブルーズって性に合わないのかも。

King Of The Delta Blues Singers.jpg King Of The Delta Blues Singers Vol.2.jpg


そんなわけで、トッドがそういう僕にはよくわからないブルーズ曲を1-2時間演奏するのをぼんやり聴いて帰ろう、もしかしたらアンコールで自分の曲を演るかもしれないし、ぐらいの気分でのんびり構えていたら、演奏が始まった。おそらくロバート・ジョンソンの曲だというのはわかるけど、曲名わからない。

何曲も演らないうちに、自分のそんな姿勢が思いっきり間違っていたことに気付く。これ、めちゃくちゃ格好いいよ。4人それぞれ演奏は完璧と言っていいほど上手だし、トッドは年齢を全く感じさせないほど声が出ているし(あんなに叫びまくるとは)、それに、クアトロってもう十何年ぶりかに来たけど、やっぱりここ音いいね。下手にステージ直前とかに行かなかったのが逆によかったのかな。

何曲進んでも相変わらず曲名は殆どわからないけど、トッドが新曲ばかりを披露しているライヴだと思えば全然違和感ない。元々この人、こういうブルーズがかったハードロック(ヘヴィメタに非ず)も沢山演ってるし。聴いてて連想するのは、オールマン・ブラザーズ・バンドとか、ジョニー・ウィンターとか、ロリー・ギャラガーとか。普段このブログにはあまり書かないけど、そういえば僕はその人たちのCD、何十枚も持ってるじゃないか。こういう音、大好きだったよね。

典型的なブルーズ・マナーに則った曲ばかりだから、全部の曲にギターソロが入る。これがまた、いい。この人、あまりギターテクニックについて語られることはないけど、ギター上手いんだよね。それこそ、上に書いた人たちに匹敵すると言っても過言ではないほどに(異論のある人は多いと思うけど)。

どんなブルーズを演っても、カシムがコーラスにまわると、なんだかどれもユートピアの曲みたいに聴こえるんだよね。なんかおかしい。この人の声、そんなにすごく特徴あるってわけでもないのに、こうして聴いてみると、むしろトッドの声よりもユートピアを象徴しているような気がする。

「ブルーズィーというよりは、ちょっとファンキーなのを演ろう」。そう言って始めたのは、なんだか聴き覚えのあるメロディー。“Don't be sad, now”え?これ「Bleeding」? すごいや。僕が一番最初に聴いたトッドのアルバム『Runt: The Ballad Of Todd Rundgren』収録の、同アルバム内ではそれほどバラッドではない曲だけれど、それをこんなアレンジで聴けるとは。

ギターをお馴染みの赤のギブソンSGに持ち替えて、今度は「Black Maria」。トッドの曲の中では一二を争うブルーズ曲とはいえ、まさかこんなに自分の持ち歌バンバン演るとはね。その後も、「Broke Down And Busted」とか「I Went To The Mirror」とか「Born To Synthesize」とか、とにかく初期の曲、それも普段のライヴでは滅多に演奏しないような曲ばかり(「Born To Synthesize」なんて、タイトルを歌うまで何の曲かさっぱりわからなかったよ)。比較的新しめの曲は、89年の『Nearly Human』からの「Unloved Children」ぐらいか。もっと最近のももしかしたら演ったかもしれないけど、あんまり覚えていないもので。

そんな中でいきなり飛び出してきたあの印象的なリフ。「Open My Eyes」! なんと! トッドのプロデビューを飾る、ナッズ(The Nazz)のファーストアルバム冒頭のあの曲。僕に言わせれば、世界で一番かっこいいギターリフを持つナンバー。年甲斐もなくちょっとぴょんぴょん跳ねながら観てしまったよ。足つりそう。涙出そうになった、ほんとに。いや、足つったからじゃなくて。

「今のは全然ブルーズじゃなかったね」とは、その「Open My Eyes」を終えたときのトッド。「じゃあ次は思いっきりブルーズィーなのを演ろう」と言って始めたのは何だったかな。またロバート・ジョンソンの曲だっけ。とにかくそんな風に、「今度はちょっとジャズ風のブルーズ」とか、一応バラエティをもたせて延々と演奏が続く。本編最後の曲が何だったかもう覚えてないや。

アンコールにすぐ応えて再登場。「みんな、本当はブルーズなんて聴きに来たんじゃないんだろ」とニヤリ。そして、自らの代表曲「I Saw The Light」を。さらに、「Boogies (Hunburger Hell)」。どひゃー、超かっこいい。この手のハード・ロック・トッド、普段の自分のライヴやユートピアではあんまり演奏することないからね。ほんとに、来てよかったよ。あんなに乗り気じゃなかったのが嘘みたい。“今年のベストライヴかも”と思う瞬間も何度もあったからね。

また退場してしばらくじらすから、最後にもう一回アンコールあるかな、「Just One Victory」で来るだろう、と思っていたら、残念ながらそこで客電が点いた。初日だからセーブしたのかな。でも、アンコール入れて2時間は演ったよな。満足、満足。ちょっとこれ、金曜の最終公演も行きたくなってきたよ。


ところで、入場したときにもらったチラシを見てびっくり。カシム・サルトンのソロ公演があるって? 全然知らなかった。しかも、明日! 連休明けの火曜日かよ。それはちょっと厳しいよなあ。でも、カシムのソロなんて、これ逃したらもう一生観られないかも。うーん、どうしようか。迷う… <続く>


posted by . at 23:44| Comment(3) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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