2009年06月28日

期間限定1ドル - Fanfarlo

Reservoir.jpg Fanfarlo 『Reservoir』

ここのところちょっと忙しくしていて、スクイーズとニック・ロウの記事に沢山頂いている超マニアックな(笑)コメントにもろくに返事ができておらず、申し訳なく思っている。まあ、そちらの方はこの週末になんとかするとして、もう一つ、次の週末になる前に書いておかないといけない記事があるので、手短にやっつけてしまおう。

確かあれは、先月アップル・クランブル・レコードでまとめ買いをしようと、気になったのを片っ端からクリックして試聴していたときだった。この、シャイニングの双子を思い出させるセピア色の写真が目に留まり、試聴してみたらよさそうだったので買おうと思ったら、生憎売り切れていた(今日時点でもまだ売り切れているみたい)。

よく似た雰囲気のジャケのシングル盤もあって、そっちも気になったんだけど、確かその時は全部で8枚ほど、金額にして1万円を余裕で越える枚数が既にショッピングカートに入っていたので、いくら数十秒試聴して気に入ったたとはいえ、知らないバンドの、2曲しか入っていない7インチ盤、しかも1000円越えモノはやむなく選から落としてしまったんだった。

それからしばらくして、ふと何かのきっかけでこのバンド名を思い出し、検索してみたところ、なんと、あの売り切れていたアルバムが、7月4日まで1ドルでダウンロードできるというニュースを見つけた。しかも、アルバム全曲に4曲のボーナストラック付き。

この「1ドルで」ってところが上手いと思うんだよね。誰にでも当てはまる心情かどうかわからないけど、少なくとも僕は、もしこれが「無料ダウンロード」とかだと、逆に興味を失っていたと思う。もちろん、例えば今アイアン&ワインのオフィシャルサイトでやっているみたいな、既に自分が持っているアルバムのアウトテイクだとか、好きなバンドのライヴだとかなら喜んでダウンロードするけど、よく知らない新人バンドのアルバム1枚タダ!って言われても、「いや、他に聴くものいっぱいあるからいいっす」という気持ちになってしまう。

たまにCD屋でオマケに付いてくるサンプラーCDも積極的に聴きたいと思うことは少ないし、例えは変だけど、駅前で配っているティッシュとかをわざわざ受け取りたくないと思う心情に似てるのかも。それが、1ドルと値段をつけられた途端、自分はこのアルバムを意思を持って買うんだという気持ちに切り換えられてしまうんだろう。しかも時期限定のうえ、おまけに安い(笑)

と、なんだかわかったようなわからないような自己分析は置いといて、とにかく1ドル払ってダウンロードしてみたこのアルバム、ジャケ写から受けたイメージとは微妙に違ったんだけど、かなり僕の好みのツボを突いたものだった。

さっきリンクを載せたアップル・クランブルの解説によると、ペイル・ファウンテンズが引き合いに出されているロンドンのバンドだという。そういうイメージを持って聴いてみたんだけど、どうも僕にはアメリカのバンドばかりが頭に浮かんできた。ほんとにこれ、イギリスのバンドなの?

ヴォーカルのよれ具合、アコースティック楽器主体でガチャガチャと(でも決してやかましくはなく)かき鳴らされるちょっとねじれた楽曲、曲によってストリングスやソウ(アミーナのアルバムでお馴染みの、木霊が出てくるときみたいなあの音)の効果的な使われ方。僕には、クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー、オカヴィル・リヴァー、ベイルートあたりの良質なアメリカのグループのエッセンスをぐるぐるとよくかき混ぜたような音に聴こえる。ボートラを含めて数曲の短いインストも、とてもいい雰囲気。

1ドルダウンロードが上手いやり方だと書いたけど、普通の人はそうやってダウンロードしてしまったらそれで満足してしまうのかな。だとすると、期間限定だとはいえ、本当はセールス的には上手いやり方とは言えないのかもね。でも、僕は例えばこの素敵なジャケットのアルバムがLPで出たら、買うと思う。残念ながらLPは出ていないようだけど、彼らのサイトを見ていると、5月25日にロンドンのラフトレードで無料ライヴを演った際に、枚数限定でこのアルバム手作りパッケージ版を出していたみたい。ちょっと間に合わなかったよ。悔しい。

同じくオフィシャルサイトから、アルバム中の一曲「Finish Line」のアコースティック・ヴァージョンのビデオが配られていたので、貼り付けておくね。こういう映像を観ると、ああロンドンのバンドなんだ、って気がするね。誰かの裏庭に集まって演奏しているような風景(三輪車がいいね)。英国風のジャケットを着た女性メンバーがマンドリンを弾いたり膝を叩いてリズムをとったりするのも味があるし、グロッケンを弾いていたメンバーが曲の途中でメロディカからトランペットへと忙しく動き回るところもいいね。それに、曲が終わったときにちょっと聴こえる鳥のさえずりがまたなんともいえない。



ビデオの最後にも出てくるけど、1ドルダウンロードの期限まであと一週間。これ観て聴いて気に入った人はダウンロードしてみて。もし7月4日までにダウンロードできなかった人は、次にアップル・クランブルさんに入荷するのを待ちましょう。


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2009年06月21日

観てみました

The Rachel Papers.jpg 『The Rachel Papers』

5月17日の記事のコメント欄は、さしずめ日本中のスクイーズ・マニアにつどって頂いたのではないかと思えるほどの賑わいだった。その中で、ディフォード&ティルブルック名義の未発表曲がサントラに使われた映画があるらしいとの情報を戴いた。僕もコメンターの方々もその曲の存在を知らず、これは結構なレア曲だということが発覚。

残念ながらその映画はサントラ盤のアルバムが出ておらず、CDやLPを買ってその曲を聴くことはできない。となると、もうその映画を観てみるしか、その曲の存在を確かめる方法はなさそうだ。ちなみに、これがその映画の挿入曲。問題の曲は、5曲目。

"I'VE GOT YOUR PLEASURE CONTROL"
Performed by Simon Harris

"GRAFFITTI LIMBO"
Performed by Michelle Shocked

"TEARS"
Performed by Frankie Knuckles

"YOU MADE ME"
Performed by Shakespear's Sister

"SIMPLE WORDS"
Performed by Difford & Tilbrook


"ANSELMA"
Performed by Los Lobos

"WITHIN THESE WALLS OF WITHOUT YOU"
Performed by Difford & Tilbrook

"TONGUED IN THE WOODS"
Performed by Jools Holland

"THIS GUY'S IN LOVE WITH YOU"
Original recording by Burt Bacharach
Re-recorded by Tom Blades

"ASSASSIN OF LOVE"
Performed by Willy DeVille

"ELECTRIC MOON"
Performed by Shakespear's Sister

"HEAD AND HEART"
Performed by John Martyn

"JE SUIS TOMBE"
Performed by Carmel

"WE'RE THROUGH"
Performed by Jools Holland

というわけで、DVDを買ってみた。もう20年も前の映画で、DVD化されてからも6年も経つ作品なので、そこそこお手頃な値段で入手。まずは、映画自体について少しだけ書いてみよう。これから観てみようというスクイーズ・ファンの方もいらっしゃるだろうから、ストーリーについてはなるべく触れないようにするよ。

主人公を演じるのは、デクスター・フレッチャー(Dexter Fletcher)。イギリスのテレビや舞台を中心に活動していた人らしいね。ヒロイン役は、アイオン・スカイ(Ione Skye)。結構いろんな映画に出ているようだけど、彼女のことも僕は知らなかった。DVDのジャケットに名前が載っているあとの二人は、いくつかの映画で観たことあるよ。主人公の義兄役のジョナサン・プライス(Jonathan Pryce)と、ヒロインの恋人役のジェイムズ・スペイダー(James Spader)。

お話自体は、まあそれほどどうってこともないラブストーリー。89年当時は、主人公が自宅のパソコンを駆使するところが新しかったんだろうけど、さすがに今見るとでっかいCRTのモニターと、プログラムを起動するのにいちいちフロッピーディスクを差し込んだりするところが時代を感じさせる。削除したデータがゆっくり溶けるように画面から消える、とか。

いまいち感情移入しづらいところや、「こんなにうまくいくわけないだろう」という御都合主義的なところも沢山あるけど、イギリス映画らしい皮肉なユーモアもそこかしこに散りばめられていて、そこそこ楽しめる。あとは、きっとこれがあるからこのDVDが長い間廃盤にならないんだろうなと思える、これでもかというほどのベッドシーンと入浴シーン(笑)

ジョー・ジャクソンの『Beat Crazy』やカルトの『Electric』が主人公のレコードコレクションの中に確認できるが、それらが劇中でかかることはない(むしろ、カルトのレコードは主人公のインテリジェントでない面を象徴するように使われたりしている)。

さて、劇中曲だ。実は、最初に通して観たときには、件の「Simple Words」がどこで使われているのか全くわからなかった。更に言うと、自分が知っているはずの「Within These Walls Of Without You」ですら、かかっていることに気づかなかった。ストーリーを追いながらとはいえ、結構集中して出てくる曲は全部聴いていたつもりだったんだけど。

「おかしいな。出てこないな」と思ってるうちに、1時間34分の映画は終了。エンドロールのバックに流れたのが、上の曲目リストで一番最後にあるジュールス・ホランドの「We're Through」だというのはもちろんわかったけど、ジュールスのもう1曲もよくわからなかった。彼のアルバムを全て押さえているわけじゃないけど、そもそもこんなタイトルの曲あったっけ。

そんなはずはないと、今度はリストとペンを手に、もう一度最初から観てみた。まず、主人公が最初にヒロインと出会うパーティーでガンガンかかっているのが「I've Got Your Pleasure Control」だね。タイトルが歌われているんで、それはわかる。

ところが次からが難しい。リストに載っている曲以外にも、この映画用に作られたと思しきインスト曲がいくつか入っているようで、ちっともわからない。ミシェル・ショックトの曲は多分さっきかかったあれなんだろうな、という程度。

シェークスピアズ・シスターズの「You Made Me」がわかったので、さあ次だ、と思いながらじっくり観ていると、ようやくわかった。どのシーンなのかは楽しみに観る人がいるかもしれないから秘密にしておくけど、サビらしき部分がちらっとかかる、わずか9秒ほどのシーン。

BGMとして使われていて、本当によく耳をすまさないと聴こえないぐらいなので、アップテンポの曲だということ、グレンが歌っていること、サビ(?)の部分に「Simple Words」という歌詞があること、しかわからない。

まあそれでも、レコーディングされていながら、まだ公式には世に出てきていないスクイーズ(ディフォード&ティルブルック)の曲が存在することは確認できた。そのうち、あの頃のアルバムが全部デラックス・エディションとして再発されるときに収録されることを期待していよう。

映画に戻って、更に観ていると、ロス・ロボスの「Anselma」がこれも小さなボリュームでちらっとかかる。ドラマ中盤で、ストーリー展開が大事な場面が続くから、会話や口論の後ろで静かにかかっているケースばかりだね。ということは、次の「Within These Walls Of Without You」も…

やっぱりそうだった。主人公が義兄と話し合うシーンのBGMに使われていたよ。今度は9秒とかじゃなくて、わりと長く使われていたのに、一回目に観たときは気づかなかった。曲に気をつけていたつもりでも、どうしてもストーリーを追うために台詞に耳が行ってしまっていたんだろうね。

ジュールスの「Tongue In The Woods」(らしき曲)は、おそらくその後(すぐ後じゃなく、いくつかの映画用のインストにまぎれて)使われていたメロウなピアノ曲だろう。そうだとしたら、その曲はその後も何度か使われていたね。

ちなみに、映画用のインスト曲を書いているのは、チャズ・ジャンケルだった(イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズの、というのと、「愛のコリーダ」の作曲者の、というのと、どちらにひっかかる人が多いだろうか。まあ、どっちにしても30年ぐらい昔の話だけどね)。


World Of His Own.jpg曲の確認をしようと思って、しばらく聴いていなかったCDを引っ張り出してきた。せっかくだから、簡単に紹介しておこうかな。まずは、「We're Through」が入っている、ジュールス・ホランドの90年のアルバム『World Of His Own』。彼のファースト・ソロ・アルバムと書かれることもあるけど、正確には、スクイーズを脱退する81年に『Jools Holland And The Millionaires』を出しているから、それは間違い。僕は聴いたことないけど、84年にももう一枚出しているみたいだし。

90年といえば、『Frank』でジュールスがスクイーズに復活した直後だから、このアルバムにもスクイーズのメンバーが総出演。グレンとクリスはもちろん、ベースにキース・ウィルキンソン、ドラムスはこの後もずっとジュールスと行動を共にするギルソン・レイヴィス。

映画に使われている「We're Through」は、キム・レズリーという女性とのデュエットで、作曲クレジットはHolland/Difford。クリスはギターとコーラスでも参加。まるでこの映画のストーリーを追って書かれたかのような歌詞は、クリスにしては単純な言い回しばかりだけど、それでも各ラインできっちり韻を踏んでいるところはさすが。

きっと一般的にはスティングが一曲に参加していることが話題のこのアルバム、ジュールスのアルバムらしい楽しさ満載の好盤なので、興味がある方は是非どうぞ。

Love's Crashing Waves.jpgもう一つ、ディフォード&ティルブルックの「Within These Walls Of Without You」が最初に発表された、アルバム『Difford & Tilbrook』からのファースト・シングル「Love's Crashing Waves」について。このシングル盤は、1月31日の記事の18番目に載せたね。僕の持っている7インチ盤はその2曲しか入っていないけど、12インチ盤には表題曲のExtended Remixというのが追加収録されているらしい。それって、『Piccadilly Collection』に入っているリミックスバージョンと同じなのかな。でも、『Piccadilly Collection』のは3分ちょっとしかないはずだから、とてもExtendedとは呼べないよね。じゃあやっぱり別のバージョンだ。やれやれ、次に探すのはこの12インチか。
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2009年06月14日

11 All-Time Lowes - Nick Lowe

どうも癖になるこの企画。1月31日5月17日に自分の持っているスクイーズとグレン・ティルブルックのシングル盤の棚卸しをしてみたら、同じシングル箱に入っている他のアーティストのものも気になってきた。ちょうど5月24日の記事に思いのたけを半分程度の分量に絞って書き綴って以来、自分内でにわかに再燃していたニック・ロウ関連のシングル盤を並べてみることにした。大丈夫、スクイーズほど多くないから、安心して読み進んで。


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1. Bay City Rollers We Love You - Tartan Horde
2. Bowi
3. Halfway To Paradise


まずは、ブリンズリー・シュウォーツ解散後の小遣い稼ぎ(?)、タータン・ホードの変名で出したベイ・シティ・ローラーズ賛歌。見てのとおり「憧れのベイ・シティ・ローラーズ」という邦題のついた、かなり適当な作りのジャケの日本盤。この後にもう一枚「愛しのベイ・シティ・ローラーズ・ショー(Rollers Show)」というのも出てるけど、僕はそれを探しているうちに両面とも『The Wilderness Years』という編集盤CDに収められたので、同じく適当なジャケのそれはもういらなくなった。

僕の持っている方のB面は「Rollers Theme (Instrumental)」というタイトルで、CD未収録。とはいえ、単なるA面のインスト版。解説には「又B面はカラオケになっているのであなたの作ったローラーズ賛歌を歌ってみるのもおもしろいでしょう」とか書いてあるけど、これ最近のJポップのマキシシングルのカップリングみたいなカラオケ用のバックトラックじゃなくて、ちゃんと歌メロがシンセでヒョロヒョロと入っているので、いざカラオケに使おうとすると(しないけど)いまいち歌いにくい。

2はこのブログにジャケを載せたこともあったはず。デイヴィッド・ボウイ(David Bowie)が77年に『Low』というタイトルのアルバムを出したことへの(一方的な)返答。ちゃんとロゴの字面も同じにしてあるところが律儀。A面がLive、B面がDeadと名付けられているけれど、特にA面がライヴ録音というわけでもなく、B面が死ぬほど退屈なわけでもない。収録4曲中、「Marie Provost」は翌年のファーストアルバム『Jesus Of Cool』に再録。他3曲は先述の『The Wilderness Years』でCD化。中でも特に「Endless Sleep」はその後のベスト盤に何度も収められるほどの人気曲。確かにこのしっとり感、今のニックの芸風に通じるところがあるかも。CDで聴けるようになったのは嬉しいけど、僕が買ったときから既にバチバチとノイズが入っていたこのEPで聴くのも、どういうわけかやけに気持ちが落ち着いてしまって、また格別。

いかん、このままだと全曲解説(というか、単なる無駄口)になってしまう。とっとと次に移ろう。3のジャケ付きはもしかしたらちょっと珍しいかな。と思って調べてみたら、Nick Lowe Top 30 Rarities!リストの24位に入ってた。そこに書いてあるとおり、クリア・イエロー盤。ほら。

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さらにレアかも、と思うのは、僕の持っているこの盤、「Halfway To Paradise」をかけるとB面の「I Don't Want The Night To End」がかかり、「I Don't〜」をかけると「Halfway〜」がかかる。つまり、レーベルがAB面逆に貼られている。このミスプレス盤って何枚ぐらい出回ってるんだろう。オークションとかで売ると結構な額になるかも。売らないけど。


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4. Little Hitler
5. Sing The Everly Brothers - Nick Lowe & Dave Edmunds
6. My Heart Hurts


『Jesus Of Cool』からのセカンド・シングルだった4は、その曲自体は既に『16 All-Time Lowes』に入っていたけど、僕がこれを買った目的はB面の「Cruel To Be Kind」のオリジナル・ヴァージョン。ブリンズリー時代から演っていたスピーディーなスタイルで、実はラジオでこっちのかっこいいヴァージョンを先に聴いていた僕は、後にヒットする方のヴァージョンがやけにもっさり感じられてしまっていて、ずっとこのシングルを探していたんだ(もう20年以上も前の話だけど)。

表ジャケの「Little Hitler」というタイトル下に小さく書いてある「Actual Size」というのがどういうギャグなのかよくわからないけど、この当時のニックのレコードのジャケはどれもこれもコレクター心をそそるいかしたデザイン。このシングルに関して言うと、曲自体もB面がお気に入りだけど、ジャケットのデザインもB面のこの写真がすごくいいと思う。

Cruel.JPG

5のジャケには見覚えがある人が多いだろう。yascd010の3曲目といえば、このブログを昔から読んでくださっている方ならピンとくるはず。そこに書いたとおり、ロックパイルの『Seconds Of Pleasure』の初回盤に付いていたおまけシングル。同じyascd絡みでいうなら、004の2分担当だったロックパイルの「Now And Always」はモロにエヴァリー・ブラザーズ風(004の記事にもそう書いたね。同じことばかり書くブログ)。きっと、アルバムに入れたその曲の種明かしのつもりで、このシングルをおまけにつけたんだろうね。

僕の持っているこの盤は、残念ながらアルバムのおまけについていたものではなく、85年にドイツのライン・レコード(Line Records)から再発されたもの。ラインからの再発盤といえば、知ってる人は思い当たるはず。そう、カラー・ヴィニール。これは白。

Sing Everly Bros.JPG

今日紹介する中では、6が一番聴き応えがあるかも。82年の『Nick The Knife』からのシングルカットで、ゲイトフォールドのジャケに入った4曲入り2枚組。うち3曲はライヴ。タイトル曲自体は後になっても(マニアックな選曲の)『Nicks Knack』や(66曲詰め込みましたという)『The Doings』あたりのコアなベスト盤にしか収録されないような程度の曲なんで、一応儀式のようにさらっと聴いて、続く3面に1曲づつ収められたライヴが本当のお楽しみ。「Pet You And Hold You」、「Cracking Up」と、ニックのレパートリーでは黒っぽい曲が続き、締めは「What's So Funny About Peace, Love & Understanding」。ギターにマーティン・ベルモント、ドラムにボビー・アーウィン、キーボードにポール・キャラックという強力な布陣のヒズ・ノイズ・トゥ・ゴーの演奏で、このスタイルの「Peace, Love & Understanding」がライヴで聴けるのが嬉しい。

UKツアー前に出た盤らしく、裏ジャケにツアー日程が書いてあるんだけど、4月29・30日、5月1・2・3・5・6・7・8・10・11・12・13・14・15・16・17日って、凄いハードスケジュール。この3週間弱で、5月4日と9日だけしか休みないよ。しかも4/29のリーズから5/17のロンドンまで、全日程それぞれ別の都市。


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7. Ragin' Eyes
8. Baby It's You


12インチ盤の時代に入って、83年の『The Abominable Showman』からのシングルカット、女の子の目からビームが出るPVでお馴染みの曲(笑)。B面は同アルバムから、ニックにしては珍しい(「Heart」に続く)レゲエ曲「Cool Reaction」が2ヴァージョン。最初がインストというかダブ・ヴァージョンで、二つ目がアルバム・ヴァージョン。ややこしいのが、裏ジャケ表記ではこれらがそれぞれ「Commercial Version」「Non Commercial Version」となっているんだけど、それがレコードのレーベル部分には「Irregular Version」「Regular Version」と書かれていること。呼び方ぐらい統一してくれ。さっきのレア盤リストを見てて驚いたのが、これが20位にランクインしていること。UK盤XX31T。うん、間違いない。そんなにレアだったんだね、これ。

8は日本盤。84年の『Nick Lowe And His Cowboy Outfit』からのシングルカットだった「L.A.F.S.」をムリヤリB面にし、そのB面曲だった「(Hey Big Mouth) Stand Up And Say That」と「Baby It's You」をA面に持ってきた上で、その順番も換えて、「Baby It's You」をシングル表題曲にしたというもの。というのも、これがエルヴィス・コステロとのデュエットで、当時そこそこ売れていたコステロ人気にあやかろうとしたんだろう。

ほのぼのとしたそのデュエット自体は悪くはないものの、曲としてはやっぱり僕は本来のA面だった「L.A.F.S.」が大好き。アルバム中この曲のみをプロデュースしたコステロの趣味が炸裂した(彼の多彩な趣味の中でも、ニュー・オーリンズ/アラン・トゥーサン方面)、はじけんばかりのホーンとニックの柔らかなヴォーカルの調和が心地良い佳曲。

ちなみにこの盤、どういうわけか12インチなのに33回転で、せっかくのフォーマットを全然活かしきってない勿体無い作り。もの凄く厳密なことを言うと、同じ33回転でもB面のラストに入っていた「L.A.F.S.」を盤の一番外周の長い溝で聴けるので、多少は音がよくなってるんだろうけど、どうせなら45回転にしてほしかったよね。見た目にもほら、30センチのレコード盤のほとんどが無音部分。

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さて、最後は90年代以降。CDになってからのコレクション。

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9. Solar Sex Panel - Little Village
10. Live! On The Battlefield
11. Poor Side Of Town


こないだから何度か続けざまにこのブログに名前が出ているスーパーグループ、リトル・ヴィレッジのシングル盤9を入れておこう。ジョン・ハイアットの『Bring The Family』を作った勢いでグループを結成したはいいけど、きっとアルバムを作ってツアーに出たところでジョンがわがまま言い出して、ライ・クーダーと合わなくなって、そのまま自然消滅というのが結末だったんだろうね。残念ながら期待していたアルバムはイマイチの出来で、きっとメンバー4人の誰もがそれほどポジティヴに思い出したくない思い出なんだろうけど、まあ事実としてこういうこともあった、と。

アルバムの作曲クレジットが4人一緒になっているので、クレジットを見ているだけじゃどの曲を誰が書いたのかわかりづらいんだけど、ジョンがリード・ヴォーカルを取るこのタイトル曲はあからさまに彼の曲。そして、アルバム未収録の2曲目「Do With Me What You Want To Do」は誰が聴いてもニックの曲。もちろんヴォーカルも彼。ちなみにこれもアルバム未収録の3曲目「Haunted House」ではライがヴォーカルを取っている。喧嘩しないようにバランス考えたのかな。

それにしてもこのリトル・ヴィレッジのアルバム、この未収録の「Do With Me What You Want To Do」だけじゃなく、「Do You Want My Job」、「Don't Go Away Mad」、「Don't Think About Her When You're Trying To Drive」、「Don't Bug Me When I'm Working」と、やたらDoだのDon'tだので始まるタイトルの曲ばかり。そんな自己主張ばかりしてるからすぐ喧嘩するんだよ。

5曲入りの10をシングル盤と捉えていいのかどうかわからないけど、せっかくなので一緒にリストに入れておこう。94年のインポシブル・バーズ・ツアーの後で出たんだよね。『The Impossible Bird』からのタイトル曲に、そのツアーからのライヴ録音が3曲(うち、「36 Inches High」は中野サンプラザでの録音。僕が行ったのはクアトロだったんだよね。悔しい)。そして5曲目が、アーサー・アレキサンダー(Arthur Alexander)のトリビュート盤『Adios Amigo』から。

ちなみにこのトリビュート盤、ニック以外にも、ロジャー・マッギン、エルヴィス・コステロ、ロバート・プラント、グレアム・パーカー、マーク・ノフラー、フランク・ブラック、マーシャル・クレンショウ、ゲイリー・US・ボンズ、ダン・ペン等々、僕的にはかなりツボに入る面々が参加していて、この手のトリビュート盤では同じくグレアム・パーカーやフランク・ブラック、デイヴ・エドモンズからスミザリーンズ、トム・ヴァーレインまで参加したオーティス・ブラックウェルのトリビュート盤『Brace Yourself!』と並んでの愛聴盤。

放っておくとどんどん話が脱線するね。まあ、もう余程物好きな人でもない限りこんなところまでは読んでないだろうからいいんだけどね。あと1枚だから付き合ってね。

01年の『The Convincer』からのシングルカット11が、僕の持っているニックのシングルでは最新盤。あのアルバムからは他にも「Lately I've Let Things Slide」がシングルカットされているのは知ってるんだけど、まあそれはまた機会があれば手に入れよう。

もうすっかり落ち着きモードの『The Convincer』からのシングルカットらしく、カップリングの3曲も同じく大人の雰囲気。3曲目の「Different Kind Of Blue」だけがニックの自作曲。どの曲も、『The Convincer』やその前後のアルバムに入っていてもおかしくないぐらいの出来。


というわけで、全11枚。なんだか、もっと沢山持ってるような気が自分ではしてたんだけどな。きっと、91年という比較的早い時期に、それまでのアルバム未収録曲を網羅した『The Wilderness Years』というCDが出てしまったから、その時点でシングル盤をちまちま集める気持ちが失せてしまったんだろうね。まあ、もともとあんまりシングルのB面に未発表曲やらライヴ録音やら沢山入れるようなコレクター泣かせの人でもなかったし。

とはいえ、さっきのレア盤リストとか見てたら、なんだかあれこれ欲しくなってきてしまった。困ったな、これは。これで本当に来日でも決まってしまったら、その勢いでまたオークションで散財してしまいそうな雰囲気。


<6月21日追記>

シングル箱。
Single Bako.JPG
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2009年06月08日

追悼 ジェフ・ハンソン

あんまり忙しくない日ぐらいは早めに帰ろうとちょっと早い時間に会社を出、帰り道に友達に頼まれていた中古CDを何枚か掘り返して帰宅。久々にのんびりした平日の夜を満喫しようと思っていたら、いつも巡回しているいくつかのブログで見つけた訃報。

R.I.P. Jeff Hanson

彼のことを知ったのは、ほんの半年前のことだった。去年の暮れに見つけたアルバムについて記事を書き、すぐさま未聴だった過去盤を入手。記事にしたアルバムは昨年の個人的ベストアルバムにも入れたほどのお気に入りだった。

02年のデビュー以来彼のことを大事に思っていたファンの人たちに比べたら、僕の悲しみなんて取るに足りないものかもしれない。でも、こんなに素敵な曲を書く人が、こんなに素晴らしい声の持ち主が、こんなに僕の音楽生活を豊かにしてくれる人が、また一人いなくなってしまった。寂しい。

3枚のアルバムを全部ウォークマンに入れて、明日はずっと聴いていよう。仕事中だって構わない。

さようなら。もっと君のことをよく知りたかったよ。

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2009年06月06日

横入り - Tinted Windows

Tinted Windows.jpg 『Tinted Windows』

5月のGWは遠出をせずに、東京でも普段あまり行かない街に行って、ちょっとした小旅行気分を味わっていた。僕がリゾートでなく都会に旅行に行ったらすることは大体決まっていて、今まで雑誌広告でしか名前を見たことがなかったような輸入盤店や、初開拓のブックオフなんかを手当たり次第に攻略していた。

1月のグレン・ティルブルック公演以来あまりCDを買っていなかった反動か、そのGWをきっかけに、5月になってから結構な枚数のCDやレコードを買い続けてしまっている。もう6月なのに「5月になってから」なんて書いてるのは、6月になってからも引き続き、通販で買ったものが届いたり、昨晩もセールをやっていた某店で6枚買い込んできたりしているという、現在進行形のお話だから。

それだけの枚数を買っていればそれなりに当たり盤も多かったから、どれから書こうかと考えていたところ、5月の最終日になって通販で届いた1枚のCDが、順番待ちをしていた数十枚の行列に横入りして、今日の記事の候補になってしまった。聴いたばかりのCDのことをこんなに急いで書きたくなったのなんて、おととしの10月のこの記事以来のことだったと思う。結局そのときのアルバムは2007年の僕の個人的ベストアルバムでトップに立ったことを思えば、今から書くこのアルバムのことを僕がどれだけ気に入っているか、想像はつくかもしれない。

輸入盤を買ったのにシュリンクラップに貼ってあった日本語のステッカーによると、“全米で話題沸騰の「超」スーパーグループ誕生!”だそうだ。

果たしてスーパーグループなのか、しかもそれが「超」なのかどうかは微妙なところだと思う。4人のメンバーそれぞれが属していた(いる)グループと、それらのグループ内での各メンバーの立ち位置を考えると。

まず、このグループの音楽的な核であろう、ファウンテンズ・オヴ・ウェイン(Fountains Of Wayne)のアダム・シュレシンジャー(Adam Schlesinger)。主に僕のブログからのみ音楽的知識を仕入れている数名の奇特な読者の方々は、さっきのコワい犬の翌日に書いたこの記事を覚えておられるかもしれない。そのバンドのソングライターコンビのうちの一人。でも、担当楽器はベースで、歌は歌わない方。

そのFOWのアルバムにもゲスト参加していた(そして僕は彼についてわざわざ「まあ、そっちは僕にとってはわりとどうでもいいんだけどね」なんて書いた)元スマッシング・パンプキンズのジェームス・イハ(James Iha)がギター。“スーパーグループ”が目的なら、スマパンからならビリー・コーガンを連れてくる方がいいんだろうけど、ここはアダムのお友達ということで。

ヴォーカルのテイラー・ハンソン(Taylor Hanson)が、一般的には一番の失笑モノなのかもね。いや、一般的にはもう10年以上も前にヒットした「MmmBop☆」なんて忘れられているから、「ハンソン?誰?」ってな感じか。「一般的には」なんて書き方をしているのは、もちろん僕的にはハンソンは大のお気に入りグループだったから。奇特な読者様はこの記事の6・7曲目のところを参照。その6曲目を声変わり中のハスキーヴォイスで歌っていたお兄ちゃんが、やあしばらく見ない間にすっかり大きくなって、と親戚のおじさん気分。

この3人が意気投合して「バズコックスからナック、チープ・トリックまで」を意識して作ったグループがこのティンテッド・ウィンドウズ(Tinted Windows)。「チープ・トリックのバーニー・カルロス(Bun E. Carlos)みたいに叩けるドラマーはいないものか」と探して、たどり着いたのがバーニー本人、ということらしい。きっとグループ内では彼がほんとにおじさん気分でいることだろう。チープ・トリック全盛期にはテイラーなんてまだ生まれてもいなかったからね。チープ・トリックを知らない奇特な読者様はこちらをどうぞ。10曲目のジャケの右端が彼。

こうして見ると、スマパン以外は少なくとも一度は僕のブログで取り上げてきたバンドばかりだから、この「スーパーグループ」は僕にとってはそれなりに興味の的ではあった。ただ、ニック・ロウやジョン・ハイアットやライ・クーダーという、僕にとってより「スーパー」なメンバーが結成したリトル・ヴィレッジのアルバムがイマイチだったのを始め、こういう所謂スーパーグループってあんまりうまくいったためしがないのも事実。

なので、それほど期待せずに聴いてみた。これを買ったのも、某通販サイトの「○枚買ったら○%引き」の数合わせのためというのが正直なところだったし。おまけに安かったし(上にリンクしたアマゾンでも、輸入盤954円?35分ちょっとしかないとはいえ、11曲も入ったれっきとしたフルアルバムだよ)。

聴いてみた結果が、冒頭三段落目に書いたとおり。これがもう、とにかくかっこいい。ジリジリしたメタリックなギターの音に導かれて始まる、シングル曲「Kind Of A Girl」がオープニング。そこにドカドカドカドカと切り込んでくるバーニーのドラム。ああ、この音が欲しかったんだね、というのがよくわかるよ。

そして、この声!てっきり僕は、ハンソンのアルバムでのテイラーの声は声変わり中だからあんなにハスキーで時折り裏返ったりかすれたりするんだと思ってたけど(そしてそれが理由で、子供なのにあんなにセクシーな歌声になっているんだと)、あの声と歌い方は今もそのまま。全然変わってないよと思って、ハンソンのファーストを聴きかえしてみたら、さすがに声のトーンは随分低くなっていたけれど。

FOW内でのクリスとアダムの作曲分担がどうなっているのかは知らないけど、きっとヴォーカリストでもあるクリスが詞を書いて、アダムが曲を書いているのかもしれない。そして彼がFOWで使わなかったかっこいい曲は全部こっちに持ってきたんじゃないかと思えるぐらい、粒揃いのポップでキャッチーな曲が次から次へと出てくる。11曲中、7曲が彼の作で、2曲がイハ、1曲がテイラー、最後の1曲がテイラーとアダムの共作なんだけど、アダムが作曲した曲のクオリティーがどう聴いてもダントツに高い。

安いと思って輸入盤買ったけど、こうなってくると日本盤に入ってるボートラも気になるな。だれかにこれを売りつけて、そっちに買いなおそうかな。ちょっと誰か、マイスペースで試聴してみて、気に入ったら連絡ちょうだい。

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