2009年04月05日

354/400 - Glenn Tilbrook

Aussie P.jpg Glenn Tilbrook 『Aussie P』

そういえばあのEPが出たとき、買わなくちゃなんて思ってたのに、どういうわけかスルーしてたんだよね。気でも狂ってたのかな、僕は。

そう書いたのは1月17日の記事。グレン・ティルブルック京都公演レポート。グレンが歌う「Private Number」を初めて聴いたときに、自分が買いそびれていた限定CDにその曲が収められていることを知った。

東京に帰ってすぐにイーベイでアラート設定をしたんだけど、そう簡単に出てくるブツじゃない。なにしろ世界中に400枚しか存在しないCD。それを知ってるファンはまず手放すことはないだろうから。まあ、気長に待ってればいいや。一刻を争って聴かないといけないものでもないし。

通知メールは意外なほど早く届いた。あれは2月の末だったかな。開始価格はUS$9.99。オークション終了はそれから約一週間後。

普段ネットオークションでCDとかを買うときには、大体自分の頭の中で上限価格を設定して臨むよね。たまに熱くなってその上限をオーバーすることもあるけど。あとはその価格で入札するタイミング。最後まで競りそうなものは相手の入札価格を推定しながらぎりぎりまで粘ったりとか。イーベイは欧米からの出品が多いから、終了時刻が日本の深夜とか明け方になることが多くって、最後に競り負けることもよくある。

今回僕が決めた上限価格は、なし。何ドルまで上がっても絶対に買う。これを逃すと次はいつ出るかわからないしね。とはいえ、そうそう早い時期から高い金額を入れると、競合相手に手を読まれるから、入札するタイミングには細心の注意を払って。いくらでも出すつもりとはいえ、安ければそれにこしたことはないし。

運が良かったことに、今回の出品者はオーストラリア在住。向こうの夜の終了時刻が、ちょうどこっちの夕方(しかも週末)。最後は秒刻みで相手の出方を見られる。

終了時刻のかなり直前まで“普通の”CDの値段だった入札価格は、終了前日あたりからいきなり数十倍に跳ね上がり、最後はほんとに数秒差、最後にお互いが出し合った最高額の差が僅か2ドルという接戦の末、落札することができた。

具体的な金額は書かないけど、これは僕がこれまで一枚のCDに払った最高額。記録によると、それより数千円高く払ったこともあるけど、それは9枚組のCDボックスセットだったから。そういうボックスセット類を除けば、これまでの最高額は、これもオークションで手に入れたスクリッティ・ポリッティの『4 A Sides』という12インチシングル。あれも僕はリアルタイムでたまたま買い逃してて、何年も経ってから“上限価格なし”ポリシーで買ったんだった。皆さん、将来希少価値がつきそうなものは、迷わず買っておきましょう。まあ、そうやって買ったものの、中古屋でわんさか叩き売られてるようなのもよくあるんだけどね。

肝心のCDの話に移ろう。届いてみたら、スリップケースの裏側に手書きのシリアルナンバーが。354/400。その具体的な番号が、自分以外にこれを持ってる人が世界中にあと399人しかいないんだと実感させてくれる。CDもスリップケースも、お世辞にもミントといえるようなコンディションじゃないけど、コピーしたCD-R盤とかじゃないのを確認して、一安心。再生に問題のあるほどの汚れでもなかったし。

全7曲入りで、2曲目を除いて全てオーストラリアでのライヴ録音。1曲目が、京都で聴いた「Private Number」。ロックウィズ(Rockwiz)という、地元テレビのクイズ番組が企画した『Rockwiz Duets』というCD向けに録音されたものらしい(一応リンクは貼ってみたものの、どうも廃盤っぽいね)。デュエット相手のリンダ・ブル(Linda Bull)は、その番組のパーソナリティーぽい人なのかな。けっこうソウルフルに歌ってて、グレンとの掛け合いもきまってるよ。

調べてみると、この曲は、ジュディ・クレイ&ウィリアム・ベル(Judy Clay & William Bell)の68年の小ヒット。作者の「Jones/Bell」の片側って、ブッカー・T・ジョーンズだね。ちなみに、一昨年再発された『Greasy Truckers Party』に、オリジナルの5曲に10曲も追加されたブリンズリー・シュウォーツ(Brinsley Schwarz)のライヴ演奏が収録されていて、若き日のニック・ロウ(Nick Lowe)が歌う同曲を聴くことができるよ。もともと貴重盤のわりにブリンズリー比率が少なくて買うのを躊躇していたニック・ロウ・ファンは、この拡大版を是非どうぞ。

Greasy Truckers Party.jpg 『Greasy Truckers Party』

2曲目は、『Transatrantic Ping Pong』からの「One For The Road」。オリジナルとは違って、バックを務めるのはフラッファーズ。オリジナルよりもテンポを上げて、スティーヴンのオルガンソロも軽快でいい感じ。この曲だけがグラスゴーでの録音。05年12月2日。その年のオーストラリア公演はソロだったからね。

3曲目以降は全て、05年9月16日のシドニーでのソロ公演から。「Third Rail」を歌う前の観客とのやりとりが可笑しい。The Basementという会場の名前から察するに、小さなハコなんだろうね。口々にリクエストの曲名を叫ぶ観客。「Tempted!」「Cool For Cats!」(どこにでもこれをリクエストする奴がいるんだね)グレンが「ははは、それはありえないよ」だって。

「Third Rail!」とリクエストがあり、「あぁ、今のはきっと僕のレコード会社に雇われた人だね。さもないとこんな曲、誰も聴きたいはずがないから」と笑わせて、あの(日本公演で何度も演奏されたのを聴いた人には懐かしい)アコギのイントロに入る。

4曲目「Hostage」の12弦ギターのイントロも懐かしいね。この曲とか、この2曲後の「By The Light Of The Cash Machine」とか、隠れた名曲的なのが入っていなければ、僕はこのEPにここまでこだわることはなかったかも。

5曲目の「Elephant Ride」も今回の来日公演で頻繁に演奏してたね。「この曲はブライアン・ウィルソンの影響を受けて書いたんだ。今聴き返してみると、どこにそんな影響があるのかさっぱりわからないけど、とにかくあの当時はそう思っていたんだ」と、相変わらずの自虐的なジョークで紹介。そういえば、07年の来日公演のとき、ブライアン・ウィルソンのSmileシャツを着ていったんだった(そのときの写真)。

6曲目「By The Light Of The Cash Machine」は「ロン・セクスミス(Ron Sexsmith)と」、7曲目「Untouchable」は「クリス・ブレイド(Chris Braide)と」それぞれ一緒に書いた曲だと紹介。特にクリスのことは、「素晴らしいソングライターだ。一緒に曲を書くことができて嬉しい」なんて言ってるね。

「Untouchable」はこの日の本編ラスト前だったようで、演奏終了後に「今日は本当にありがとう。あと一曲でお別れだ。次の曲は…」という台詞にエコーがかけられてこのCDは終わる。このCD、それぞれの曲間もブツ切りだし、録音状態もバラバラで、いかにも速成のプロモーション用といった風情なのに、この部分だけがそんな風に編集されているのがちょっと意外。

という感じで、わずか20分強のCDは終了。物足りないのでまた最初に戻って聴き直す。この感覚、なんだっけ。あ、そうか、つい数ヶ月前に『Pandemonium Ensues』を何度も何度も繰り返して聴いてたのと同じだ。ほんとにクセになるね、この人の歌は。


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