2009年04月26日

yascd012 北欧4カ国80分間の旅

最近の自分の北欧モードを反映して、約半年振りにこの企画を。

と思いついたはいいけれど、数えてみたらいつのまにか100枚以上も集まっていたうちの北欧物のCD・レコードからどうやって選曲してどう並べようかと考えた結果、国別にまとめてみることにした。珍しいけれどまとめるほども数のないエストニアとかラトヴィアとかのCDは残念ながら落選。それでも80分のCD-Rに収めるには激戦区となった、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、アイスランドの4カ国を巡る音楽の旅に出かけてみよう。

まずはスウェーデンから。さすが北欧ポップの聖地だけあって、うちの北欧物ラックの半分ぐらいはスウェーデンものだった。それをわずか数曲に絞り込むのはちょっと大変なので、この国だけは二つのパートに分けよう。


近頃のスウェーデン編

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1.ロンダーリン(Ronderlin) Reflected
『Wave Another Day Goodbye』

去年の2月17日、このブログで最初に北欧特集をしたときに取り上げたこのアルバムから。そこにも書いたけど、いかにも「僕たちベルセバ好きです」ってのがありありとわかるこのギターにこのメロディー。実はセカンドアルバムの「ニセニューオーダー」ぶりも結構捨てがたく、このバンドだけは2曲入れたかったほどだけど、散々迷ったあげくこちらを。ニセニューオーダーの方はまたそのうち別の機会に。


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2.ロニー・ディアー(Loney, Dear) I Am John
『Loney, Noir』

僕が北欧物のネタを仕入れるときの大方の例に漏れず、xiao61さんのブログ「good times gonna come...」で教えてもらったこのアーティスト。エミル・スヴァナンゲンと読むのかな?彼の一人プロジェクト。上品なアルバムの作りにしても、綺麗なジャケ写にしても、ほんとにセンスのいい人なんだなと思う。この曲は、チャイムの音がかわいい、ポップな小品。小人のお祭りを見ているような、地味な盛り上がりがほんのりとした高揚感を誘う。


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3.シャウト・アウト・ラウズ(Shout Out Louds) Normandie
『Our Ill Wills』

こないだのノーザン・ポートレイトに始まって、やたらと「ニセ誰々」を連発しているけど、決してオリジナリティがないとか、そういうネガティブな意味で書いているわけではないよ。このあたりの人たちは当然僕よりもひとまわり以上も若いけれど、きっとみんな僕と同じく80年代のイギリス音楽ばかり聴いてきたんだろうなと、愛しく思えてしまう。この子たちは、しいて言うならニセキュアー。しかも、「Close To Me」あたりのポップサイドのキュアー。あ、僕の持ってるこの日本盤の解説、アップルクランブルの松本さんだ。


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4.ロウ・シーズン・コンボ(Low Season Combo) City Without A Skyline
『Low Season Combo』

「近頃のスウェーデン編」最後は、去年11月1日の記事で宇治金時の金時役を務めていたこのアルバムから。その記事によると、「平均点60〜70点ぐらいの生徒の中にたまに飛びぬけて95点とか100点の凄い奴もいるといった感じ」ということで、僕曰く100点の曲がこれ。6分半もあるのに、そんなに凝った作りというわけでもないのに、何度聴いても全然飽きない。なになに?「絶好調時のティーンエイジ・ファンクラブに匹敵する」?いや、まったくそのとおりだと思うよ。


デンマーク編

海を渡ってデンマーク。デンマークって、ドイツの隣なのにどうして北欧扱いされるんだろうと不思議に思ってたんだけど、改めて地図を見ると、コペンハーゲンのある島って、もうほとんどスウェーデンのすぐ対岸って感じだね。しかも、その対岸のスウェーデン側にあるのが、タンバリン・スタジオで有名なマルメ。きっと文化的にも、地続きのドイツなんかよりスカンジナビア寄りなんだろうね。

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5.タイガー・ベイビー(Tiger Baby) Sweetheart
『Lost In You』

カナダの北欧音楽専門サイト、ポプシクルでこの次のアルバムを試聴してわりと気に入っていたところ、中古屋で偶然見つけたのがこのファーストアルバム。打ち込みのリズムにウィスパリング・ヴォイスのダブルトラックというちょっとお洒落系な作りで、この日本盤CDの帯やら解説やらにやたらとセイント・エティエンヌの名前が踊っていたのがよくわかる音。普段の僕の趣味からは微妙に外れるんだけど、たまにはこういうのを聴いてお洒落な気分に浸るのもよいかと。


Once Upon A Time In The North.jpg Artboy Meets Artgirl.jpg
6.モア・カプリス(Moi Caprice) Artboy Meets Artgirl
『Once Upon A Time In The North』

これも去年の2月17日の記事で取り上げたグループ。3つのグループについて書いたその記事では一番淡々とした書き方をしていたけれど、結局あの後一番病みつきになって、全アルバムとシングルを入手済み(しかもセカンドとサードはアナログで)。この曲は彼らのファーストアルバムから。なんだけど、実は先の記事に載せた、誰も分からない程度にミックスの違うシングル盤のヴァージョンの方が僕は好きなので、ここにはそっちを入れることにしよう。アマゾンでは扱ってないね。さっきのポプシクルでも、アップル・クランブル・レコードでも、簡単に入手できるので、こういう良質のアルバムはそういう良質のお店でどうぞ。


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7.ノーザン・ポートレイト(Northern Portrait) 
I Give You Two Seconds To Entertain Me
『Napoleon Sweetheart EP』

これはつい先々週の記事で取り上げたばかり。ニセスミス。特にこの曲はそんな感じだね。この声の裏返り方なんて、目をつむって聴けば(別に目を開けてても目の前にいるわけじゃないけど)ほんとにモリッシーかと思ってしまう。こないだ書いたばかりだからとりたてて追記することはなし。しいて言えば、こういう作りのEPがいつまで流通しているのか知らないけど、気になる人は入手しておいた方がいいかも、ということぐらいかな。


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8.グレイト・デプレッション(The Great Depression) Ill Prepared
『Forever Altered』

僕のブログにこのグループの名前がかつて登場したことを覚えている人はまずいないだろう(だからどうってことはないんだけど)。一昨年の11月24日、僕がリアル・グルーヴィーで最後の買い物をしたときに当時のレートで350円でこれの前のアルバムを買った(今のレートなら半額なのに…)。あ、その記事をよく見ると、そのとき買ったのは友達用だね。自分のはそのちょっと前に買ったんだった。このクラゲのジャケの新作は、女声コーラスがどっさり入っていて、あの時のアルバムよりもずいぶん豪華な音の作りになっている。このちょっと不安げなメロディーは相変わらずだけど。


ノルウェー編

スカンジナビア半島に戻って、フィヨルドの国、ノルウェイへ。あの入り組んだフィヨルドの海岸線、まっすぐ伸ばすと21000キロもあるんだって。地球一周が40000キロだから、半周分もあるってことだよね。人間の腸の長さが9メートルとかいうのと同じ種類の驚き。

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9.ディラン・モンドグリーン(Dylan Mondegreen) That Mortal Kiss
『While I Walk You Home』

さっきから引用している去年2月17日の記事の中で一番最初に登場したのがこの人。相変わらずアマゾンでは取り扱いがないね。どうしてこんなによく出来たアルバムがちゃんとメジャーで流通しないんだろう。きっと一般的にはこのアルバムからは「Girl In Grass」が定番ということになるんだろうけど、僕はその記事にスミスの「Still Ill」風と書いたこの曲がお気に入り。マイスペースによると、この2月から新作アルバムのためのレコーディングを開始したとのこと。発売は来年とかになるのかな。気長に待っていよう。


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10.トゥインクルヘッド(Twinklehead) Get It On
『Twinklehead』

去年の3月20日、北欧三部作の完結編で取り上げたグループ。これも相変わらずアマゾンでの取り扱いはないけど、マーケットプレイスにファーストアルバムが出てるから、一応リンクしておこう。ファーストもこれに負けず劣らずいいアルバムだからね。上からここまで80年代UKインディーに影響を受けた音が大半だったけど、この人たちは先の記事に書いたとおり、60年代ポップス丸出しの音。マイスペースには、サードアルバム作成中みたいな最新記事が載っているけど、その記事がアップされたのは07年の10月だよ… どうしちゃったんだろう。このまま消えてしまわなければいいんだけどな。


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11.エギル・オルセン(Egil Olsen) California
『I Am A Singer / Songwriter』

一方こちらは去年4月5日の記事で取り上げたSSW。こうして見ると、別に意識していたわけではないのに、僕結構ノルウェー人のアルバムについて書いてるんだね。今まであまり意識したことなかったけど、なんだか急にフィヨルド巡りがしたくなってきた。さて、ここでは彼の代表曲「Singer/Songwriter」でなく、おとぼけPVも楽しかったこの曲を。一聴なんてことないフォークソングのようだけど、ボソボソと歌い始めた彼の声がファルセットになる頃には、これが地味ながらどんなにメロディアスな曲かというのがよくわかる。いいアルバムだったよね。次のはまだ出ないのかな。


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12.モーターサイコ(Motorpsycho) Neverland
『It's A Love Cult』

一転、日本のグループサウンズみたいなギターとコーラスで始まるこの曲。この人たちについては一度も書いたことはないね。と言うほど僕も詳しいわけじゃないんだけど、これまでかなりの数のアルバムを発表してきているベテラングループの、これは03年作。お隣スウェーデンのアトミック・スイングといい、北欧ポップという常道ジャンルではくくれない人たちがいるんだよね。曲も格好いいけど、このロールシャッハ赤ちゃんみたいなジャケも好き。


あの頃のスウェーデン編

二組に分けたスウェーデンの後半は、北欧ポップといえば普通はこれでしょうという、輝かしき90年代中盤スウェーディッシュ・ポップを集めて。僕はあの頃このへんの人たちをそんなに熱心に聴いていたわけじゃないんだけど、やっぱりこういう音は大好き。パワポ特集のyascd002には、ちょっとスウェーディッシュ・ポップとは呼べないアトミック・スイングを入れたけど、ここに入れる人たちの誰が選ばれてもおかしくなかったはず。

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13.グラス・ショウ(Grass Show) Easy
『Vertigo』

グラス・ショウといえば、95年のデビュー作『Something Smells Good In Stinkville』が各中古CD店の投売りワゴン常連として一部では有名だけど(いい内容のアルバムなのにね)、完全にそのアルバム一発屋だと思われていた彼らの、これは03年になって日本で出た編集アルバムから。もうそんな時期、誰もがこんなグループのことは忘れていたから、お約束のように売れなかったんだろうね。アマゾン探してももうないや。マイスペもないし、きっともう解散しちゃったんだろうね。


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14.トランポリンズ(The Trampolines) (Taking The) Easy Way Out
『Splash!』

90年代スウェーディッシュ・ポップの代表格と言っても差し支えないんじゃないだろうか。このブログの06年12月24日の記事にジャケだけ載せたセカンドアルバムや犬のジャケがかわいいサードアルバムと並んで、こちらも中古CD屋にうなるほど置いてあるファーストアルバム。上にリンクしたアマゾンのマーケットプレイス、「105点、1円より」だって。かわいそうに。同じスウェーディッシュ・ポップでも、ちょっと流通量の少なかったワナダイズなんかは結構なプレミアつけて売られてるのに、この人たちはなまじっか売れただけにこんな扱い。もったいないね。いい音楽を聴きたい人は、1円玉握り締めて中古屋へ急げ!(急がなくてもいっぱい売ってるけど)。


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15.クラウドベリー・ジャム(Cloudberry Jam) This And That
『Cloudberry Jam』

同じく中古屋捨て値コーナー常連でも、こちらはなんと今年になっても新譜を出し続けているという長寿バンド(途中で一旦解散してるけど)。まさかあの当時、この人たちが一番続くなんて誰が予想しただろう。なんて否定的な書き方をしてるけど、この疾走感に溢れた貫禄たっぷりの佳曲を聴けば、デビュー時から既にどれだけ実力のあった人たちだったかというのがよくわかる。全然追っかけてきたわけじゃないけど、新譜、買ってみようかな。


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16.ポプシクル(Popsicle) Histrionics
『Abstinence』

さっきのカナダの北欧音楽専門サイトの名前の元になったのが、このバンド。一時はこの人たちのCDも中古屋に溢れかえっていたものだけど、最近あまり見ない気がする。そろそろ飽和状態を脱して、再評価間近か!? 間奏のギターソロが「Born To Run」のフレーズをなぞって弾くのがいいよね。モア・カプリスもシングル盤のカップリングでその曲をカバーしていたけど、みんな80年代UKモノだけじゃなくて、スプリングスティーンも好きなんだよね。


アイスランド編

最後ははるばるアイスランドへ。アイスランドを北欧に含めるのに異論のある人もいるかもしれないけど、いわゆる西欧文化とは異なる北方の文化圏の音楽ということで、ここで一緒に語ってしまおう。「北欧 POP MAP アイスランド、ノルウェイ、デンマーク、フィンランド編」の本でも一緒に扱われてるし。しかも一番前で。

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17.シガー・ロス(Sigur Ros) Staralfur
『Hvarf/Heim』

このブログには何度も登場しているのでもうすっかりお馴染みのこのグループから。この曲は元々99年のセカンドアルバム『Ágætis byrjun』に収録されていたものだけど、この07年発表の2枚組アルバムから、アコースティック・ヴァージョンを入れよう。オリジナルの方が凝った音作りで面白いけど、こっちの方がピアノの音の立ち上がりにインパクトあって好きなんだ。このヴァージョンの演奏風景はDVD『Heima』で確認できるけど、一緒に弦楽器を弾いてるのはもちろんアミーナ。このDVD、シガー・ロスの音楽もアイスランドの風景も素晴らしいので、少しでも興味のある人は是非どうぞ。そんなに安いものじゃないけど、損はさせないよ。

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18.ビョーク(Bjork) Hyperballad
『Post』

シガー・ロスもすっかりメジャーだけど、きっと一般的にはアイスランドといえばこの人が連想されるはず。あまりのリリースのペースに最近ちょっとついていけずにいるけど、これは懐かしい95年のセカンドアルバムから。ほんとはジャケも中身もファーストが一番好きなんだけどね。ところでこのアマゾンのリンク、新品919円って本当?まあ、この人の初期のアルバムも、最近中古屋でかなり目につくようになってきたから、新品でも紙ジャケで出したりこういう値付けにしないと売れないんだろうね。

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19.アパラット・オルガン・カルテット(Apparat Organ Quartet) Cruise Control
『Apparat Organ Quartet』

ソロではクラシックかと思うほどのアルバムを発表しているヨハン・ヨハンセン(Johann Johannsson)率いる「マシーン・ロックンロール・ユニット」。メンバーは、キーボードが4人にドラムが1人。YMOがハードロックを始めたのかと思うようなこの曲は、ここまでの流れにあってかなり異色だけど、これはこれでラスト前に結構しっくりきてるんじゃないかなと自分では思っている。さすがにこの曲の前後にヨハンのソロ曲は並べられなかったけどね。

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20.アミーナ(Amiina) Rugla
『Kurr』

「マシーン・ロックンロール・ユニット」に散々暴れ散らしてもらったあとは、この不思議な妖精が奏でる音楽でしっとり閉めよう。昨年3月14日、北欧三部作の第二部で紹介したこの人たち。その記事には「一日の終わりに聴いていると、心臓の周りに絡まった硬い糸のようなものがゆっくりと少しずつ解きほぐされていくのが実感できる」と書いたけれど、こうして1曲だけ取り出してこの80分の最後にそっと置いても、同じことを感じる。奇跡のような音楽だと思う。


ホセ・ゴンザレスをはじめ、スウェーデンはこれでも苦渋の選択で落とした人たちがいっぱいいるし、僕にしては珍しくノルウェーのジャズのCDも何枚かあったんだけど、そのへんも軒並み落とさざるを得なかった。それでも、自分でこうして並べてみて通して聴いてみたら、それなりの出来にはなったんじゃないかなと自負している。こういう爽やか系も、これからの季節には合うかもね。
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2009年04月12日

ニセスミス - Northern Portrait

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Northern Portrait 『The Fallen Aristocracy EP』

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Northern Portrait 『Napoleon Sweetheart EP』

僕が最初にこのバンドを知ったxiaoさんの記事を超えるものは書けそうにないし、ちょっと調べてみたら巷では随分話題になっていて、どこも軒並み同じようなことが書いてあるので、どうも今日の記事はうまくまとめられなくて、昨日から何度も書いたり消したりしている。なので、いつにも増して支離滅裂なのはご容赦のほど。

先日買ったThe Digのギターバンド特集で、スミスのレコードジャケットが、レアなのも含めて44枚、カラーの1ページにずらりと並んでいるのを惚れ惚れしながら眺めている。改めて自分がこのバンドに惹かれていた大きな理由の一つが、彼らの一貫したヴィジュアル感覚だったんだと再認識。そしてそれは同時に、音楽的にはスミス時代とさほど変わったことをやっているわけでもないのに、どうしても今のモリッシーにのめり込めない理由でもある。

古い映画から抜き出してきたような一連のジャケット写真だけでなく、瑞々しいギターのアルペジオも、端正なドラムとベースも、まわりくどい言い回しのタイトルも、そしてなによりこの若き日のモリッシーが乗り移ったかのようなヴォーカルも、すべてがあの頃のスミスを彷彿とさせるこのデンマークの3人組、ノーザン・ポートレイト。

ニセスミスだなんて揶揄するような呼び方をしているけど、僕が音楽を聴きはじめた80年代初期にどれだけ沢山のニセバーズやニセヴェルヴェッツがいたか、そしてその中のいくつかのバンドがその後どれだけ大きくなっていったかを知っている身としては、この『Strangeways, Here We Come』以降の失われた歴史をあえて紡ぎだそうとしているこのバンドを応援しないわけにはいかない。

EP2枚分、全8曲。それに、マイスペースで公開されている別の2曲。この10曲が、僕らが今聴く事ができる彼らの音源の全て。現在『Criminal Art Lovers』というタイトルのフルアルバムを製作中だというから、この2曲はそこに収められることになるのかな。いつ完成するんだろう。楽しみ。

最初のEPに入っている「A Quiet Night In Copenhagen」って、タイトルだけじゃなくタッタカしたリズムも、同じデンマーク出身のモア・カプリスの「The Only Happy Boy In Copenhagen」に似ている。ああそうか、このあまりにもモリッシー似のヴォーカルに惑わされるけど、根っこのところはあの人たちと同じなんだ。そう思ってムリヤリこじつけると、『Criminal Art Lovers』ってタイトルも、モアの「Artboy Meets Artgirl」に似てなくもない…こともないか(どっちだ)。

このままニセスミスでは終わらないだろう、魅力的な曲を書く魅力的なこのバンドが、約一年振りに僕を北欧モードに引っ張り戻してくれた。先日も久々にCD屋に出かけたら、目につくのは何故か北欧物ばかり。あんなに中古盤掘り起こしたのも、考えてみれば1月の吉祥寺三連戦以来かも。近いうちにまたこの辺の北欧物まとめて記事にしようかな。
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2009年04月05日

354/400 - Glenn Tilbrook

Aussie P.jpg Glenn Tilbrook 『Aussie P』

そういえばあのEPが出たとき、買わなくちゃなんて思ってたのに、どういうわけかスルーしてたんだよね。気でも狂ってたのかな、僕は。

そう書いたのは1月17日の記事。グレン・ティルブルック京都公演レポート。グレンが歌う「Private Number」を初めて聴いたときに、自分が買いそびれていた限定CDにその曲が収められていることを知った。

東京に帰ってすぐにイーベイでアラート設定をしたんだけど、そう簡単に出てくるブツじゃない。なにしろ世界中に400枚しか存在しないCD。それを知ってるファンはまず手放すことはないだろうから。まあ、気長に待ってればいいや。一刻を争って聴かないといけないものでもないし。

通知メールは意外なほど早く届いた。あれは2月の末だったかな。開始価格はUS$9.99。オークション終了はそれから約一週間後。

普段ネットオークションでCDとかを買うときには、大体自分の頭の中で上限価格を設定して臨むよね。たまに熱くなってその上限をオーバーすることもあるけど。あとはその価格で入札するタイミング。最後まで競りそうなものは相手の入札価格を推定しながらぎりぎりまで粘ったりとか。イーベイは欧米からの出品が多いから、終了時刻が日本の深夜とか明け方になることが多くって、最後に競り負けることもよくある。

今回僕が決めた上限価格は、なし。何ドルまで上がっても絶対に買う。これを逃すと次はいつ出るかわからないしね。とはいえ、そうそう早い時期から高い金額を入れると、競合相手に手を読まれるから、入札するタイミングには細心の注意を払って。いくらでも出すつもりとはいえ、安ければそれにこしたことはないし。

運が良かったことに、今回の出品者はオーストラリア在住。向こうの夜の終了時刻が、ちょうどこっちの夕方(しかも週末)。最後は秒刻みで相手の出方を見られる。

終了時刻のかなり直前まで“普通の”CDの値段だった入札価格は、終了前日あたりからいきなり数十倍に跳ね上がり、最後はほんとに数秒差、最後にお互いが出し合った最高額の差が僅か2ドルという接戦の末、落札することができた。

具体的な金額は書かないけど、これは僕がこれまで一枚のCDに払った最高額。記録によると、それより数千円高く払ったこともあるけど、それは9枚組のCDボックスセットだったから。そういうボックスセット類を除けば、これまでの最高額は、これもオークションで手に入れたスクリッティ・ポリッティの『4 A Sides』という12インチシングル。あれも僕はリアルタイムでたまたま買い逃してて、何年も経ってから“上限価格なし”ポリシーで買ったんだった。皆さん、将来希少価値がつきそうなものは、迷わず買っておきましょう。まあ、そうやって買ったものの、中古屋でわんさか叩き売られてるようなのもよくあるんだけどね。

肝心のCDの話に移ろう。届いてみたら、スリップケースの裏側に手書きのシリアルナンバーが。354/400。その具体的な番号が、自分以外にこれを持ってる人が世界中にあと399人しかいないんだと実感させてくれる。CDもスリップケースも、お世辞にもミントといえるようなコンディションじゃないけど、コピーしたCD-R盤とかじゃないのを確認して、一安心。再生に問題のあるほどの汚れでもなかったし。

全7曲入りで、2曲目を除いて全てオーストラリアでのライヴ録音。1曲目が、京都で聴いた「Private Number」。ロックウィズ(Rockwiz)という、地元テレビのクイズ番組が企画した『Rockwiz Duets』というCD向けに録音されたものらしい(一応リンクは貼ってみたものの、どうも廃盤っぽいね)。デュエット相手のリンダ・ブル(Linda Bull)は、その番組のパーソナリティーぽい人なのかな。けっこうソウルフルに歌ってて、グレンとの掛け合いもきまってるよ。

調べてみると、この曲は、ジュディ・クレイ&ウィリアム・ベル(Judy Clay & William Bell)の68年の小ヒット。作者の「Jones/Bell」の片側って、ブッカー・T・ジョーンズだね。ちなみに、一昨年再発された『Greasy Truckers Party』に、オリジナルの5曲に10曲も追加されたブリンズリー・シュウォーツ(Brinsley Schwarz)のライヴ演奏が収録されていて、若き日のニック・ロウ(Nick Lowe)が歌う同曲を聴くことができるよ。もともと貴重盤のわりにブリンズリー比率が少なくて買うのを躊躇していたニック・ロウ・ファンは、この拡大版を是非どうぞ。

Greasy Truckers Party.jpg 『Greasy Truckers Party』

2曲目は、『Transatrantic Ping Pong』からの「One For The Road」。オリジナルとは違って、バックを務めるのはフラッファーズ。オリジナルよりもテンポを上げて、スティーヴンのオルガンソロも軽快でいい感じ。この曲だけがグラスゴーでの録音。05年12月2日。その年のオーストラリア公演はソロだったからね。

3曲目以降は全て、05年9月16日のシドニーでのソロ公演から。「Third Rail」を歌う前の観客とのやりとりが可笑しい。The Basementという会場の名前から察するに、小さなハコなんだろうね。口々にリクエストの曲名を叫ぶ観客。「Tempted!」「Cool For Cats!」(どこにでもこれをリクエストする奴がいるんだね)グレンが「ははは、それはありえないよ」だって。

「Third Rail!」とリクエストがあり、「あぁ、今のはきっと僕のレコード会社に雇われた人だね。さもないとこんな曲、誰も聴きたいはずがないから」と笑わせて、あの(日本公演で何度も演奏されたのを聴いた人には懐かしい)アコギのイントロに入る。

4曲目「Hostage」の12弦ギターのイントロも懐かしいね。この曲とか、この2曲後の「By The Light Of The Cash Machine」とか、隠れた名曲的なのが入っていなければ、僕はこのEPにここまでこだわることはなかったかも。

5曲目の「Elephant Ride」も今回の来日公演で頻繁に演奏してたね。「この曲はブライアン・ウィルソンの影響を受けて書いたんだ。今聴き返してみると、どこにそんな影響があるのかさっぱりわからないけど、とにかくあの当時はそう思っていたんだ」と、相変わらずの自虐的なジョークで紹介。そういえば、07年の来日公演のとき、ブライアン・ウィルソンのSmileシャツを着ていったんだった(そのときの写真)。

6曲目「By The Light Of The Cash Machine」は「ロン・セクスミス(Ron Sexsmith)と」、7曲目「Untouchable」は「クリス・ブレイド(Chris Braide)と」それぞれ一緒に書いた曲だと紹介。特にクリスのことは、「素晴らしいソングライターだ。一緒に曲を書くことができて嬉しい」なんて言ってるね。

「Untouchable」はこの日の本編ラスト前だったようで、演奏終了後に「今日は本当にありがとう。あと一曲でお別れだ。次の曲は…」という台詞にエコーがかけられてこのCDは終わる。このCD、それぞれの曲間もブツ切りだし、録音状態もバラバラで、いかにも速成のプロモーション用といった風情なのに、この部分だけがそんな風に編集されているのがちょっと意外。

という感じで、わずか20分強のCDは終了。物足りないのでまた最初に戻って聴き直す。この感覚、なんだっけ。あ、そうか、つい数ヶ月前に『Pandemonium Ensues』を何度も何度も繰り返して聴いてたのと同じだ。ほんとにクセになるね、この人の歌は。
posted by . at 16:43| Comment(11) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする