2008年12月24日

シンプル - Joshua Radin

Simple Times.jpg Joshua Radin 『Simple Times』


飛びぬけて特異な声も、音響派みたいな不思議な音作りも、7分にもわたる込み入った曲展開も、要らない。この素敵なメロディーと心に滲みいる歌さえあればいい。初めて聴いた瞬間にそう思わせてくれるシンガーソングライターに、久し振りに出会った気がする。

僕のブログのコメント欄では海外通販で不運な目に遭ってばかりいるエピソードでで有名な(笑)マサさんのブログrootless treeにしばらく前に取り上げられていたのを読んで、マイスペースで試聴するや否や通販でオーダーしてしまった、ジョシュア・ラディンのアルバム『Simple Times』。いつも彼のブログでは、僕がお薦めしたアーティストについて過剰なまでに感謝して頂いているので、今日の記事はそのお返しのつもりで書こう。

とは言うものの、実はこの話には別のルーツもある。昨日の記事に、他人が作ったコンピレーションはあまり好きじゃない僕だけど、中には気に入って何度も繰り返して聴くものだってあると書いたよね。あれは今年の初頭だったか、普段から仲良くさせてもらっている音楽マニアの友達O君に作ってもらった一枚のコンピレーションがあって、それは見事に僕の心の琴線に触れまくる内容だったんだけれど、中でも特に気に入った曲の一つが、名前も聞いたことのないアーティストが歌うスミスの「Girlfriend In A Coma」だった。

そう、そのとき既に僕はジョシュア・ラディンの歌声に出会ってたんだ。その曲が収められた『First Between 3rd & 4th』のモノクロのジャケも、それまでNZで何度も見た覚えがあったんだけど、どんな魔が刺したのか、そのときは手に入れようとまでは思わなかった(お陰で、久し振りにeBayやGemm界隈をうろつくハメになってしまってるんだけど)。

デジパックのCDジャケの内側にずらっと並んだミュージシャンのクレジットの数ほどには多彩な音には聞こえない。そこに書いてあるチェロもブラスもパーカッションもメロトロンも、実に控えめに彼の歌を支えているだけだ。あくまでも、彼の歌声とギター、それに、3曲で彼とデュエットしている3人の女性ヴォーカル。ただそれだけ。

クレジットの中でも、僕でも知っている名前は、マシュー・スウィートのアルバムでお馴染みの名スティール・ギタリスト、グレッグ・リーズ(「You Got Growin' Up To Do」での綺麗なハーモニクスの音は彼だろうね)と、ノラ・ジョーンズの「Don't Know Why」の作者(と紹介されることにきっと本人はうんざりだろうけど)ジェシ・ハリスぐらいかな。他の人たちも、調べてみたら、ベックやトム・マクレーやティンダースティックスやレイチェル・ヤマガタなどのアルバムに参加しているつわもの揃い。

ドラムスのジョーイ・ワロンカーって、名前からもしやと思ったら、やっぱりかの名プロデューサー、レニー・ワロンカーの息子なんだね。ギターも弾いてるプロデューサーのロブ・シュナップは、有名どころではフー・ファイターズからエリオット・スミスまで手掛けているベテランだった。なんだかマイナーなSSWなのかと思っていたら、そんな意外と豪華なプロダクションだったのがちょっとびっくり。



そんなに凄い歌詞を歌っているわけじゃない。あちこちに素敵なフレーズが散りばめられてはいるけれど、基本的には、甘いラブソングとしょっぱい失恋の歌が11曲詰まった、わずか33分にすぎないアルバムだ。このビデオも、なんだか喉の奥がじわっと熱くなってしまうようなノスタルジーがたまらない。

ブックレットに沢山載っているポラロイド写真に写っているのは、きっとジョシュアの娘さんだろう。大きく育つにつれて彼そっくりになってくるのがわかるね。そんな愛くるしい写真も含めて、持っていることが愛おしくなる、こんなアルバムのことを教えてくれたマサさんとO君に感謝。たとえ島流しの刑にあったとしても、このアルバムとCDプレイヤーがあればいいやと思っているぐらいに気に入ってると言えば、今の僕の気持ちが伝わるだろうか。


<1月4日追記>
Joshua's daughter.jpg
posted by . at 23:17| Comment(8) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする