2008年12月16日

Jose Gonzalez live in Tokyo

「ありがとう。こんばんは。スウェーデンから来たホセ・ゴンザレスです」

これは僕が訳したわけじゃない。彼がステージに登場して最初に話した言葉だ。びっくりするほど流暢な日本語。少なくとも、失礼ながら、彼のちょっとたどたどしい英語と同じぐらいのレベルと言ってもいいんじゃないだろうか。

2006年7月のセイント・ジェームス・シアター2007年8月のホープタウン・アルファに続いて、個人的には3年連続となるホセ・ゴンザレスのライヴ。前2回も真冬だったけど、今晩もひどく凍てつく夜だった。場所は、僕にとっては初めての会場、渋谷のデュオ・ミュージック・エクスチェンジ。どこかと思いきや、前にタマス・ウェルズを観たO-Nestの同じ通りの上の兄弟東のOと同じ建物じゃないか。

そのO-Eastでは同じ時間に日本のアーティストが沢山出るイベントがあったようで、開場前から沢山の若人が群れを成している。それに比べてこちらは、開場時間だというのにかなり人もまばら。僕のチケットの整理番号はもともとかなりよかったんだけど、その数字よりもうんと早く入場することができたぐらいだった。

僕が入場してしばらくは本当にぽつんぽつんといった感じで観客が入ってくる様子で、これはちょっとかなり寂しいライヴになるんじゃないかと思った。なにしろ、もう一年以上も新しいアルバムを出してないからね。

開演時刻を15分ほど過ぎた頃にホセが登場。なんと、その頃にはもう観客席はびっしり超満員。これはこれでまたびっくり。この人って、日本でこんなに人気あるんだ。

この会場、ちょっとレトロ・フューチャーぽい内装で、いいね。横に広くてわりとどこからでも観やすそうだし。二階席もあるのか。あそこに何人か座っているのは関係者かな。ステージの後ろには、彼の最近のCDジャケでおなじみの北欧チックな木のイラスト。茶色バージョン。

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前2回のライヴと最新ライヴアルバムから判断して、十中八九あの曲で始めるだろうなと思っていた曲が、やはり今回もオープニングを飾った。「Deadweight On Velveteen」。まあ、なんというか、ほんとに定型というのが好きな人なんだろうね。ただ今回は、調弦をしながら徐々にその曲のイントロに入るという例のパターンでなく、椅子に座っていきなり弾き始めたのが違うといえば違ったな。

さすがに3回目ともなるとちょっと見る目も冷静になる。へえ、この曲のあの低音弦のビーン、ビーンって音、左手の指であんな風に弾いて出してるんだ。やっぱりこの人、ギターすごい上手いよな。

ところで、定型といえば、去年のライヴ記事に貼った写真をさっき見て気づいたんだけど、この人、今日の服装、去年のオークランドでのライヴのときと全く一緒だよ。ギターも同じところにテープが貼ってあるし、髪型も同じ(彼のプロモーション写真はたいてい大きくふくらんだカーリーヘアのが多いけど、僕が見るときはいつも短く刈り込んでるな)。

「Hints」、「Fold」と、これも去年のライヴやライヴアルバムとほぼ同じ流れで曲が進んだあと、また日本語で「次の曲は、Crossesです」だって。え、もう演るの? てっきりもうちょっとクライマックスに持って行ってからか、アンコールで演るもんだと思ってた。一番好きな彼の曲なんだけど、今日はちょっとさらっと流した感じの演奏だったかな。それとも、こっちの聞く耳が慣れてきてしまってるんだろうか。

続いてはインストゥルメンタルの「Suggestions」。と来れば、その次に来る曲はもうわかってるよ。「Suggestions」が終わったときに観客が拍手して次の音を掻き消してしまわないように、メドレーっぽく弾き始めたのは、お待ちかねの「Heartbeats」。その曲だとわかったときに何人かの観客が歓声を上げたら、照れたようにはにかんでたよ。

その三連続が最初のクライマックス。そこで一旦間をおいて、今度はさすがにアンチョコを取り出して、また日本語で「もう一人のメンバーを紹介します。ユキミ・ナガノ」と。ステージに椅子が二脚置いてあったのを見た時から、絶対この人がサポートで一緒に来てるんだろうなって思ってたよ。すらっとした、かっこいい女性。一昨年同様、カツカツとささやかな音を立てる小さな木製の楽器とコーラスで参加したのは、セカンドアルバムのタイトルトラック「In Our Nature」。

「How Low」では別の小さな楽器に持ち替え、更に続く「Sensing Owls」からは、足元に置いてある、中にマイクを忍ばせたギターケースを、大太鼓用みたいな先の丸いスティックでドンドン、と。へえー、ちゃんとバスドラみたいに聞こえるよ。いいね、あれ。

その編成で2曲続けた後、今度はユキミさんピアニカに持ち替える。英語で「古い曲を演るよ」と言って始めたのは、ライヴで聴くのは僕は初めての「Broken Arrows」。これはちょっと嬉しかったな。曲名を言ったときに誰も反応しなかったけど、僕は小さくパチパチと拍手してみた。

「Crosses」も「Heartbeats」もあんな前半に演ってしまって、一体後半どうするんだろうと思ってたんだけど、お馴染みの「あと二曲」と言ってから弾き始めた次の曲を聴いて、考えを改めさせられてしまった。「Cycling Trivialities」。セカンドアルバムの中でもそこそこ好きな曲ではあったんだけれども、この、ホセの執拗なまでのギターのリフレインと、ユキミさんのギターケースドラムとささやかな木の楽器、二人のハーモニー、あとはおそらくサンプリングによるトランペットの音。それらが織り成す崇高と言えるほどの演奏は、CDに収録されている同じ曲が、実はこの曲の魅力の欠片も伝えていなかったことを証明していたようだ。

コンサート本編は次の「Teardrop」で幕。また日本語で礼を言ってステージを降りていった。そうか、ユキミさんに教わったからあんなに日本語の発音が的確なんだね。

割れるようなアンコールで再登場。「マジ?」とか言って笑わせてたな。「短い曲を」と言って「Abram」、続いて「カイリー・ミノーグの曲だよ」と「Hand On Your Heart」。立ち上がって、日本語で「来てくれてありがとう」と手を振って下がっていった。

よし、次のアンコールはここまで取っておいた「Killing For Love」だろう。調子がよければその後「Love Will Tear Us Apart」も演ってくれるかも。と思いながらアンコールの拍手を続ける。ところが、そこで客電が点ってしまった。ええ!?これだけ?さっきのアンコール含めてもまだ一時間しか経ってないよ。こっちが「マジ?」って言いたいよ、まったく。

最後はちょっと期待が大きすぎたせいでがっかりしてしまったけど、やっぱり彼のライヴは何回観ても外さないね。こんなにシンプルな、単なる歌とギター(とささやかな木の楽器とギターケースドラム)だけなのに、CDで聴くのとは全然違う。太文字にしていいぐらい、全然違う。もちろん新しいアルバムは待ち遠しいけど、それよりもまた来日してほしいな。セットリストなんて前と一緒でも構わないから。

そういえば、今日のライヴで、ステージ際に観客席の方を向けてマイクスタンドが左右に二本ずつ立ってたけど、あれはもしかして録音してたのかな。『Live at Park Ave - 01 March 2008』に続いて、『Live at Duo Music Exchange - 15 December 2008』というCDも出るのかな。期待し過ぎるとまた外されるかな。


セットリスト

1. Deadweight On Velveteen
2. Hints
3. Fold
4. Crosses
5. Suggestions
6. Heartbeats
7. In Our Nature
8. How Low
9. Sensing Owls
10. Down The Line
11. Lovestain
12. Broken Arrows
13. Cycling Trivialities
14. Teardrop

Encore
1. Abram
2. Hand On Your Heart
posted by . at 00:27| Comment(9) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする