2008年10月26日

Sigur Ros live in Tokyo

今日は(とはいってももう日付が変わってしまったが)、シガー・ロスのコンサートに行って来た。会場は、同じ東京都区内とはいえ、僕の家からは地の果てほど遠い、新木場のスタジオ・コースト。

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東京の本公演だった翌日の国際フォーラムはあっという間にソールドアウト。僕はこの追加公演のチケットを運よく先行発売で買えたんだけど、これがまた気が遠くなるような整理番号。先行発売って別に若い整理番号が割り当てられるってわけじゃないんだね。まあ、この追加公演もすぐに売り切れたようだから、チケットを手に入れられただけでもよかったと思っておこう。

上の写真にあるように、5時開場、6時開演だったんだけど、二千人規模の客を整理番号順に入れていくのに、そんな短時間で間に合うんだろうか。入り口のところで持ち物検査だの500円の飲み物券だの、時間かかることやってるし(僕のすぐ前の客は万札なんか出すからお釣りもらうのにやたら時間かかってたし)。気の遠くなる僕の番号で入場できたのは既に5時半過ぎ。それでも僕の後ろにまだ何百人もいたはずだから、6時15分頃に始まったライヴは、きっと最後の客が入場した直後ぐらいだったんじゃないかな。

飲み物券を買わされたはいいけど、何百人も並んでいるようなバーで飲み物を待ってるような暇はない。アリーナは既にほぼ満員。二階席もびっしり。それでも、左奥の方から回り込んで、なんとかステージから10メートルあたりの場所を確保。前の方に背の高いのが何人かいて、視界良好というわけではないけど、あの番号でこの位置なら満足。スピーカーの真ん前なので、後でまた耳が遠くなるのは覚悟の上で。

かなり雰囲気の変わった今回のアルバム『Med Sud I Eyrum Vid Spilum Endalaust』(長いので以下は当ブログのポリシーに反するけど邦題の『残響』でいくよ)の曲をどう使うのかな、というのが興味の的だった。多分オープニングから数曲は『残響』のアップテンポな曲を並べて、後半で過去の曲を演るのかな、とか。

予想に反して、オープニングはセカンドアルバム『Ágætis Byrjun』からの「Svefn-G-Englar」。定番中の定番曲。確かにスピーカー正面だから音は大きいんだけど、耳が痛くなるほどではない。この位置で音が割れずにこれだけクリアに聴こえるなんて、いいホールだね、ここは。

ステージは、僕のすぐ前にキーボードのキャータン、中央にギターとボーカルのヨンシー、その右にベースのゲオルグ、一番向こう、ステージ右端にドラムスのオリーという順番。メンバー全員が客席からよく見えるようにとの配慮だろうか、ドラムが後ろじゃないのが珍しいね。まあ、斜め前の人の頭が邪魔で、僕の位置からはそっち側はほとんど見えなかったんだけどね。

ヨンシーの声が辛そう。終始咳をしていて、得意のファルセットもかすれがちだったから、日本に来て風邪でもひいたんだろうか。途中、「今日は僕の声がひどいから、次の曲は皆で一緒に歌ってくれる?」とか言うから、客も「イエー」とか言って答えてたけど、そんなアイスランド語とかホープランド語なんて歌えるかよ、と思ってたら、なんだかハミングだけの曲だった。あれ何て曲だっけな。この記事の最後にセットリストを載せるけど、実はそれはコンサートが終わってから会場の外でスタッフがリストを見せてたのを写真に撮ってきたからわかっただけで、正直言うと僕は彼らの曲名をほとんど覚えていない。一応、今日の何曲目で演ったのはどのアルバムの何曲目、とかわかる範囲で記憶してきたけどね。

かなり髪の毛の伸びたヨンシー、飾りの付いた黒い服の袖にはヒラヒラした紐みたいなのがついてた(昔リッチー・ブラックモアがああいうのを着てたよな)。キャータンとゲオルグはスーツみたいな服。ゲオルグはそのうえシルクハット。髭男爵かよ。更に上を行くのがオリー。なんか王様みたいな青いキラキラしたとんがり帽子。なにこの統一感のない衣装。

しかしこのとんがり帽子君、ものすごいドラムを叩くね。さすが、13歳のときに先生にジョン・ボーナムとジンジャー・ベイカーとミッチ・ミッチェルを聴かせたら気に入られなかったので高名な音楽学校をドロップアウトしたという逸話を持つだけはある。帰りの電車で、持っていったウォークマンで今日演奏した曲(のCDバージョン)を聴いてみたんだけど、とにかくドラムの迫力が全然違う。ライヴ録音の『Hvarf』でさえ、今日聴いたあの音の1/10も伝えてくれていないと思う。

バイオリンの弓を使ってヨンシーが弾くギターの轟音、サンプリングの不思議な雑音、ブンブンうなるゲオルグのベースと、集中豪雨みたいなオリーのドラム。そのカオスの中から忽然と立ち現れるピアノの音の美しいことといったら。それを聴いて背筋がぞくっとする瞬間が何度あったことか。

どの曲だか忘れたけど、ヨンシーがキャータンの隣に座って、同じキーボードを連弾するシーンがあった。僕の位置からは二人の背中しか見えなかったんだけど、仲良く肩を並べて弾くその姿が、ちょっとだけ歳を喰い過ぎた二人の天使みたいだったよ。ステージ上で交わすアイスランド語も、なんだか天使が話してるような言葉だったし。

フォースアルバム『Takk...』からの曲が続いた6曲目・7曲目あたりでは、ヨンシーがギターからベースに持ち替え、ゲオルグとのツインベース編成に。これがまたかっこいい。ステージ衣装はメチャクチャだけど、絵になる人たちだね。

ライティングとステージ背景もとても素晴らしかった。背景のスクリーンには、ステージを撮影した映像を加工したものや、幾何学的なイメージ、レトロなモノクロのアイスランドの風景や子供達の映像などが次々に映し出されていた。曲によってはスクリーンの代わりに、透けた幕の向こうに人間が入れるほどの大きなボールがいくつも吊るされていて、それにいろいろなライトを当てて見せていたときもあった。暗いバックに浮かび上がるそれらは、まるで星のようにも見えた。

9曲目で演奏した僕の好きな「Sæglópur」では、ステージに雪のような真っ白な紙吹雪。そして、確か本編最後の「Gobbledigook」のときだったと思うけど、ステージ脇のスモークマシンから客席に向けて、ものすごい量のカラフルな紙吹雪が舞った。夢みたいな風景だったよ。

そう、またしても僕の予想と反して、最後を締めくくったのは『残響』のオープニング曲だった。「また僕達のことを助けてくれないか、今度は手拍子で」とのMCで始まった祝祭感あふれるこの曲で、一時間ちょっとのコンサートに幕が下りた。ヨンシーの声があの調子だったから、もしかしたらアンコールはないかなと思ったけど、すぐに出てきてくれて、最後の一曲、サードアルバム『( )』の8曲目(「Popplagið」という仮題がついている)を延々と演奏。

終演後に見たセットリストには、アンコールの1曲目として「All Alright」が載ってたんだけど、それは演らなかったね(あと本編での「Hafssól 」も)。多分ヨンシーの体調のせいだろうから、残念とは思わないよ。だって、「Popplagið」が終わっても鳴り止まないアンコールの拍手に答えて、もう歌えないのに出てきた四人がステージ上で深々とお辞儀をするのを見たら、もうあれで充分と思えたし。

本当にいいコンサートだった。彼らのアルバムは全部持ってるし、DVDだって見たけど、生で観るのは全然違うね。どんなアーティストでも大抵ライヴで観るほうがいいけれど、これはそんなレベルの話じゃなかった。今晩、国際フォーラムに行けるチケットを持ってる人は、自分がどんなに幸運なのかを確かめてくればいい。

終演後、新木場駅までの道すがら、近くを歩いていたカップルが「国際フォーラムで座って観てたらきっと寝てたねー」とか言ってたけど、頼むからそういう奴らはここに来ないでくれ。その分僕の整理番号が二つほど早まったかもしれないのに。

早くまた次のライヴが観たい、来日したら必ず観に行きたい。シンガーの声があの調子でさえあれだけ良かったんだからね。本調子のときはどんなに凄いんだろう。僕には、そう思えるライヴだった。そして、シガー・ロスは今日から、僕にとってそういう位置付けのアーティストになった。

ところで、今回のコンサートのプロモーターが他のコンサートを案内していた開演前の場内アナウンスで知ったんだけど、“僕にとってそういう位置付けのアーティスト”の一人、オークランドで二年連続でこの記事この記事にした彼が日本に来るんだって! 平日の公演なんだけど、自分の予定も調べないうちに、終演後にその場でチケット買ってしまったよ。だってもう自分のチケットに大きな整理番号なんて見たくないからね。もし12月15日の夕方以降に何か会議が入ったら、僕はその日は腹痛で早退です(笑)


セットリスト

1. Svefn-G-Englar
2. Glósóli
3. Ný Batterí
4. Fljótavík
5. Við Spilum Endalaust
6. Hoppípolla
7. Með Blóðnasir
8. Inní Mér Syngur Vitleysingur
9. Sæglópur
10. Festival
11. Gobbledigook

[Encore]
1. Popplagið

28 October 2008 at Studio Coast


posted by . at 01:40| Comment(8) | TrackBack(1) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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