2008年10月12日

せっかちな大物 - The Futureheads

This Is Not The World.jpg The Futureheads 『This Is Not The World』

先週の記事がやたら長かったので、今日はちょっと簡潔にしてみよう(とか言いながらどうせいつも守れないんだけどね)。フューチャーヘッズの3枚目。UKのこの手のグループが、鳴り物入りでデビューしたはいいものの、やがてどんどん勢いがなくなっていって、2枚目でコケて次を出せずに消滅、なんてパターンが多いのに反して、04年以降きっちり2年毎にアルバムを発表している。

前作『News And Tributes』は、このブログで取り上げようと思いながらも結局構想がまとまらずそのまま流してしまい、06年の僕のベスト20アルバム選出企画であったyascd006にひっそりと入れただけだった。

日本盤のボーナストラックだったあの曲「Help Us Out」は結構好きだったんだけど、ああやってあの流れで他のグループの曲と並べて聴くとどうも印象が薄くなってしまう。やっぱりこの人たちの曲は、アルバム通してダーッと続けて聴くのに向いてるんだということに気づいた。別に、他のグループの曲に負けるという意味じゃなくてね。“流れ”というのが重要。

その記事には、「ソリッドなギターとうねるベースに性急なボーカル」と書いたね。70年代末期以降のUKバンドの伝統。そのボーカルのせいか、かき鳴らされるギターのせいか、スピード感溢れる曲のせいか、どの曲を聴いてもほんとにせかせかしている。なにをそんなに慌ててんの、ちょっと落ち着け、と言いたくなる。いや、落ち着かれてしまうと魅力半減なんだけど。

今回のアルバムでもそのペースは変わらず、いつもに増してつんのめるように前へ前へと進む感じ。しかも、プロデューサーが代わったせいか、音のボトムが太くなって、非常に安定感が増した。こう、どっしりと落ち着いた大物が、なんだかやけにせかせかしているという相反する印象が面白い。

今作のプロデューサーは、ユース(Youth)。そういえば、ファーストアルバムの半分は元ギャング・オブ・フォー(Gang Of Four)のアンディ・ギル(Andy Gill)のプロデュースだったことを思い出すと、これまでずっとギャング・オブ・フォー(+XTC)みたいだったこのバンドの音が、今回ユースのお陰で、彼のキリング・ジョーク(Killing Joke)のエッセンスを足したような感じになっていると思えば納得がいく。ギャング・オブ・フォー+キリング・ジョーク級のバンドだなんて、80年代初頭のニュー・ウェーヴが一番熱かった時代に連れて行っても充分トップクラスだよ。

今回僕が買ったのは日本盤。ライヴ2曲を含む3曲のボートラが入っている。ライナーノーツにいきなり「たかだか1枚のアルバムの商業的失敗からの帰還」なんて書かれていて、僕が06年のベスト20に選出したあのアルバムは世間的には失敗作と受け止められていたのかと初めて知った次第。まあ、別にヒットチャートに上ったから成功というわけではないんだけどね。いずれにせよ、この新作『This Is Not The World』が、その商業的失敗作だったという前作はもちろん、一般的に評価の高いファーストアルバムよりも、音的にも楽曲的にも上だというのが、僕の評価だ。

マイスペースを見ると、05年のライヴを収録したオフィシャル・ブートレグが出ているようだ。とりあえずそれは買うとして(エコ月間?あれは8月の話です)、興味のある人はそこで聴ける5曲をとりあえずダーッと続けて聴いてみて。今日時点では、今作から冒頭の2曲(何故か1曲目と2曲目が逆順で)、ファーストから2曲(ケイト・ブッシュのカヴァー「Hounds Of Love」と、そのアルバムで僕が一番好きな「Decent Days And Nights」)、セカンドから1曲という、プチ・ベストアルバム風の選曲になってるよ。

さて、これぐらいにしとくかな。約束どおり短い記事になったね。え、あまり短くない?まあ、先週のよりは、ということで。


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