2008年07月27日

生涯現役 - Raspberries

Live On Sunset Strip.jpg Raspberries 『Live On Sunset Strip』

懺悔その1:このかっこいいジャケを僕が初めて目にしたのは、確かリアル・グルーヴィーだったから、少なくとも去年の11月以前のことだ。実際にいくらだったかは忘れてしまったけど、DVDを含んだ3枚組のそれは、ちょっと欲しいなと思った気持ちを打ち消すに十分な値段だった。そのアルバムを、先日(結局それほど安くなったわけでもないけど)ようやく入手。早速聴いてみたら、ほんのちょっとのお金をけちって半年以上もこれを聴かずにきた自分を責めたくなるような内容だった。

主に僕のブログだけから音楽の知識を仕入れている一部の方々は、もう2年近く前になるyascd002に取り上げられていたことで、このグループ名を記憶されているかもしれない。その記事のコメント欄で、当時まだLoonyという枕詞が付いていたLunaさんが好きだと仰られていた、ラズベリーズ。これは、彼らが2005年にオリジナル・メンバーで30年ぶりに再結成したときのライヴ録音だ。CDのディスクも綺麗なラズベリー色。

「Go All The Way」や「Overnight Sensation」をはじめ、ヒット曲満載。驚きもないけれど、破綻もない。完璧なショーを完全収録した、極上のパワーポップがCD2枚にわたってぎっしり詰まった、ジャケ同様、最高にかっこいいアルバムだ。フーの「I Can't Explain」とロック・クラシック「Needles And Pins」のカバーも、彼らのオリジナルかと見紛うほどしっくりきている。

あちこちで見かけたレビューでは、エリック・カルメンの声が現役時代と比べて苦しそうだとか書いてあったけど、どこの誰が60近くになって、20歳の頃と同じキーで歌えるというんだ。現役時代の瑞々しい声を聞きたければ、当時のLPでも再発されたCDでも聴けばいい。それよりも、どういう経緯で再結成されたのかは僕は知らないけど、一時は不仲説もあったというエリックとウォーリー・ブライソンを中心に、オリジナル・メンバーが4人揃って、こんなに活き活きとしたライヴ録音を残してくれたことの方が、僕は嬉しいよ。

昨日本屋で見かけた、若き日のジョニー・ロットンが表紙に載ったクロスビートに「再結成の功罪」という特集があった。中身までは読まなかったんだけど、きっと今週〜来週にかけて日本にこぞって来ているセックス・ピストルズやヴァーヴやマイ・ブラディ・ヴァレンタインに絡めた話が載ってるんだろうね。ピストルズの再結成なんて、功罪の「罪」の最たるものだと想像がつくんだけど、きっとクロスビートには取り上げられていないこのラズベリーズの再結成(僕が聞き逃していたせいで、もう3年も前の話になるんだけど)は、うまくいった再結成の好例にあげられるんじゃないだろうか。

音楽的には僕の好みど真ん中だけど、世代的に僕には少し早すぎた彼ら。同傾向のバンドでいうと、僕の世代ジャストミートだとナック。少し後にはポウジーズとかね。極甘のメロディーを場違いなほどハードに演奏する、どういうわけかあんまり売れないところまで共通した、最高のバンドたち。実は、僕がラズベリーズのことを知ったのは、自分が音楽を聴き始めてからも結構後のことになる。

僕の世代だと、ラズベリーズという名前よりも、「All By Myself」という激甘ピアノ・バラッドを歌う甘いマスクのエリック・カルメンの方を先に知るのが普通だったから、ロックを聴き始めた中学生としては、そんなものは真っ先に避けて通るべき対象だった。カルメンという名前がピンク・レディーを即座に連想させたのも(彼のせいではないけれど)、77年以降の日本では彼にとって逆風だったかも。とにかく、あのエリック・カルメンが昔在席したバンドなんて聴く必要もないと、僕はずいぶん長い間思い込んでいた。これが、懺悔その2だ。

僕の買った3枚組の3枚目は、5曲入りDVD。このライヴから5曲を選ぶならこれだろうと誰もが思う、まさにベスト・オブ・ベスト的内容。若いころはあんなにハンサムだったエリックが、まるで白髪のみのもんたみたいに顔中しわくちゃにして、実に楽しそうに歌っているのがいいね。パンパンに太ったウォーリーが、コンサートのオープニングで歌ったはずの「I Wanna Be With You」でも、アンコール最後の「Go All The Way」でもずっとガムを噛みながらコーラスを入れてるのがやけに気になる。2時間ずっと同じガム?とっくに味なくなってるでしょ。あるいは、次から次へと新しいガムを噛んでる?そんなにガム好き?とか。

「Ecstasy」のあのリフは12弦で弾いてたのか、と発見したのも嬉しい。ジミー・ペイジ風のギブソン・ダブルネックを持ったウォーリーが、その曲で6弦の方からさっと12弦に持ち代えるところがかっこいいね。

YouTubeで、その5曲のサワリだけを編集したビデオを見つけたよ。投稿者を見たら、ラズベリーズオンライン。ああ、これは正規のプロモ・ビデオだね。6分半と長いけど、ちょっとこのゴキゲンなベスト・オブ・ベスト(・オブ・ベスト)を観てみて。


さっき驚きも破綻もないなんて書いたけど、そんなに目を引くことをやっているライヴじゃないんで、僕が買った5曲入りぐらいの量がちょうどいいのかも知れない。ライヴDVDはいろんな人のをたくさん持ってるけど、1時間半とか2時間とか、なかなか集中して観てられないことが多いからね。

実はこのアルバムも、初回300枚限定でコンサートを全て収録したDVDの入った特別バージョンの3枚組が存在してたことも知ってたんだけど、それは即座に売り切れていたというので、「欲しかったな」というなんでも完璧に揃えたがる自分の気持ちと、「$125もする、どうせ何回も通して観るわけでもないそんなDVDは、自分が気づく前に売り切れていてよかった」という気持ちが複雑に絡み合っていた。

とか書きながら何気なくラズベリーズのオフィシャルサイトを覗いてみたら、あっ!特別バージョンが再プレスされてる!どうしよう…マサさんにでも相談してみようか(買う気ですね?)。

そのサイトには、去年の11月にこのライヴ盤が収録されたのと同じサンセット・ストリップのハウス・オブ・ブルーズでのライヴ・クリップがアップされているところを見ると、きっと彼らまだ地道に再結成を続けているんだね。バンド、ソロを通じて、鳴かず飛ばずの時期も長かった彼ら、この勢いでずっと生涯現役で続けていってほしいね。日本にも来てくれないかな。懺悔のつもりで、毎回観に行くのにな。


<8月2日追記>
Fresh Raspberries.jpg


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