2008年07月27日

生涯現役 - Raspberries

Live On Sunset Strip.jpg Raspberries 『Live On Sunset Strip』

懺悔その1:このかっこいいジャケを僕が初めて目にしたのは、確かリアル・グルーヴィーだったから、少なくとも去年の11月以前のことだ。実際にいくらだったかは忘れてしまったけど、DVDを含んだ3枚組のそれは、ちょっと欲しいなと思った気持ちを打ち消すに十分な値段だった。そのアルバムを、先日(結局それほど安くなったわけでもないけど)ようやく入手。早速聴いてみたら、ほんのちょっとのお金をけちって半年以上もこれを聴かずにきた自分を責めたくなるような内容だった。

主に僕のブログだけから音楽の知識を仕入れている一部の方々は、もう2年近く前になるyascd002に取り上げられていたことで、このグループ名を記憶されているかもしれない。その記事のコメント欄で、当時まだLoonyという枕詞が付いていたLunaさんが好きだと仰られていた、ラズベリーズ。これは、彼らが2005年にオリジナル・メンバーで30年ぶりに再結成したときのライヴ録音だ。CDのディスクも綺麗なラズベリー色。

「Go All The Way」や「Overnight Sensation」をはじめ、ヒット曲満載。驚きもないけれど、破綻もない。完璧なショーを完全収録した、極上のパワーポップがCD2枚にわたってぎっしり詰まった、ジャケ同様、最高にかっこいいアルバムだ。フーの「I Can't Explain」とロック・クラシック「Needles And Pins」のカバーも、彼らのオリジナルかと見紛うほどしっくりきている。

あちこちで見かけたレビューでは、エリック・カルメンの声が現役時代と比べて苦しそうだとか書いてあったけど、どこの誰が60近くになって、20歳の頃と同じキーで歌えるというんだ。現役時代の瑞々しい声を聞きたければ、当時のLPでも再発されたCDでも聴けばいい。それよりも、どういう経緯で再結成されたのかは僕は知らないけど、一時は不仲説もあったというエリックとウォーリー・ブライソンを中心に、オリジナル・メンバーが4人揃って、こんなに活き活きとしたライヴ録音を残してくれたことの方が、僕は嬉しいよ。

昨日本屋で見かけた、若き日のジョニー・ロットンが表紙に載ったクロスビートに「再結成の功罪」という特集があった。中身までは読まなかったんだけど、きっと今週〜来週にかけて日本にこぞって来ているセックス・ピストルズやヴァーヴやマイ・ブラディ・ヴァレンタインに絡めた話が載ってるんだろうね。ピストルズの再結成なんて、功罪の「罪」の最たるものだと想像がつくんだけど、きっとクロスビートには取り上げられていないこのラズベリーズの再結成(僕が聞き逃していたせいで、もう3年も前の話になるんだけど)は、うまくいった再結成の好例にあげられるんじゃないだろうか。

音楽的には僕の好みど真ん中だけど、世代的に僕には少し早すぎた彼ら。同傾向のバンドでいうと、僕の世代ジャストミートだとナック。少し後にはポウジーズとかね。極甘のメロディーを場違いなほどハードに演奏する、どういうわけかあんまり売れないところまで共通した、最高のバンドたち。実は、僕がラズベリーズのことを知ったのは、自分が音楽を聴き始めてからも結構後のことになる。

僕の世代だと、ラズベリーズという名前よりも、「All By Myself」という激甘ピアノ・バラッドを歌う甘いマスクのエリック・カルメンの方を先に知るのが普通だったから、ロックを聴き始めた中学生としては、そんなものは真っ先に避けて通るべき対象だった。カルメンという名前がピンク・レディーを即座に連想させたのも(彼のせいではないけれど)、77年以降の日本では彼にとって逆風だったかも。とにかく、あのエリック・カルメンが昔在席したバンドなんて聴く必要もないと、僕はずいぶん長い間思い込んでいた。これが、懺悔その2だ。

僕の買った3枚組の3枚目は、5曲入りDVD。このライヴから5曲を選ぶならこれだろうと誰もが思う、まさにベスト・オブ・ベスト的内容。若いころはあんなにハンサムだったエリックが、まるで白髪のみのもんたみたいに顔中しわくちゃにして、実に楽しそうに歌っているのがいいね。パンパンに太ったウォーリーが、コンサートのオープニングで歌ったはずの「I Wanna Be With You」でも、アンコール最後の「Go All The Way」でもずっとガムを噛みながらコーラスを入れてるのがやけに気になる。2時間ずっと同じガム?とっくに味なくなってるでしょ。あるいは、次から次へと新しいガムを噛んでる?そんなにガム好き?とか。

「Ecstasy」のあのリフは12弦で弾いてたのか、と発見したのも嬉しい。ジミー・ペイジ風のギブソン・ダブルネックを持ったウォーリーが、その曲で6弦の方からさっと12弦に持ち代えるところがかっこいいね。

YouTubeで、その5曲のサワリだけを編集したビデオを見つけたよ。投稿者を見たら、ラズベリーズオンライン。ああ、これは正規のプロモ・ビデオだね。6分半と長いけど、ちょっとこのゴキゲンなベスト・オブ・ベスト(・オブ・ベスト)を観てみて。


さっき驚きも破綻もないなんて書いたけど、そんなに目を引くことをやっているライヴじゃないんで、僕が買った5曲入りぐらいの量がちょうどいいのかも知れない。ライヴDVDはいろんな人のをたくさん持ってるけど、1時間半とか2時間とか、なかなか集中して観てられないことが多いからね。

実はこのアルバムも、初回300枚限定でコンサートを全て収録したDVDの入った特別バージョンの3枚組が存在してたことも知ってたんだけど、それは即座に売り切れていたというので、「欲しかったな」というなんでも完璧に揃えたがる自分の気持ちと、「$125もする、どうせ何回も通して観るわけでもないそんなDVDは、自分が気づく前に売り切れていてよかった」という気持ちが複雑に絡み合っていた。

とか書きながら何気なくラズベリーズのオフィシャルサイトを覗いてみたら、あっ!特別バージョンが再プレスされてる!どうしよう…マサさんにでも相談してみようか(買う気ですね?)。

そのサイトには、去年の11月にこのライヴ盤が収録されたのと同じサンセット・ストリップのハウス・オブ・ブルーズでのライヴ・クリップがアップされているところを見ると、きっと彼らまだ地道に再結成を続けているんだね。バンド、ソロを通じて、鳴かず飛ばずの時期も長かった彼ら、この勢いでずっと生涯現役で続けていってほしいね。日本にも来てくれないかな。懺悔のつもりで、毎回観に行くのにな。


<8月2日追記>
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2008年07月22日

暑中お見舞い - Sigur Ros

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Sigur Ros 『In A Frozen Sea』

暑いね。NZに移住する前はたいがい赤道直下の国に住んでいたんで、湿度の高い暑い夏には慣れっこのつもりでいたんだけど、この日本の夏の湿気はほんとに格別だよ。

いつも徘徊している友達のブログで「冷え冷え選手権」という企画をやってるのを見て、さむーい親父ギャグをそこに書き込むよりも、うちならではの呼応企画が何かできないかなと思い立って書き始めたのがこれ。まあ、おとといの記事があまりにも文字満載で暑苦しいんで、ちょっと軽めのを持ってこようかなと思ったというのもある。なので今日は文字数少なめ(のはず)。ブログのスキンの色だけは涼しげなものに変えられないのは申し訳ないけどね。うちのアイデンティティーなもので。

10月にめでたく再来日の決まったシガー・ロスの、7枚組LP『In A Frozen Sea: A Year With Sigur Ros』。いまやアイスランドを代表するグループに成長した彼らの、セカンド・アルバム『Agaetis Byrjun』から、サード『( )』、フォース『Takk』までの3枚のアルバムに、12インチでは未発表の『Smaskifa』を追加したもの。

音源としては殆どのアルバムを既にCDで持っていたので、ダブりもやむなしかな、でもこんなのすぐに廃盤になるし、記念に買っておくかなと思い、5000枚限定のこのセットがそう易々と手に入るものでもないかと思いながらも、駄目モトで某ネットショップで注文したものが、適度の紆余曲折を経たのちに、無事我が家に到着。

内容?もしあなたがシガー・ロスを聴いたことがないなら、こんな高いものから手を出す必要はない。最近出たばかりで評判のいいニュー・アルバム『残響』を聴いてみてもいいし、中古CD屋で比較的簡単に入手できる、彼らのどのアルバムからでも聴いてみればいい。彼らの音を聴けば、上にでっかく載せた写真がなにを意味するのかを、多少なりとも理解できるかも。

そしてもしあなたがシガー・ロスのいっぱしのファンなら?じゃあ、この先を少し読み進んでみればいい。大丈夫、もうほとんど文字はないから。


上の写真でもわかるように、これは30センチ四方のパッケージに、7枚のLPと30ページにも及ぶブックレットがセットになった豪華な仕様。それぞれのLPが収められた各ページとブックレットはこんな感じ。まさに、これぞ『アルバム』といったつくりになっている。

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もうあちらこちらで廃盤、入手不可という話を聞きながらも、粘りに粘ってなんとか入手できた僕のセットのシリアルナンバーは4725番。

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もしあなたがこのセットを買うことにしたなら、蒸し暑い部屋の窓を、あっちとこっち、ふたつ開けて、まずは風を通して。それから、レコードプレイヤーにこのLPを(7枚、14面のうちどれでもいいから)乗せればいい。確実に、部屋の温度が、下がるよ。ためしてみて。


楽しい企画を届けてくれた鈴木さんと、最近ちょっと凹みがちの(分解写真好きの)マサさんに、この記事を捧げます。まだまだ暑いし、試験とか他にもいろいろ辛いこともあるけど、がんばろうね。



<7月27日追記>
こういうので聴いてみたい。
連続再生装置シャツ
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2008年07月20日

クォンタム・リープ - Sonny Landreth

From The Reach..jpg Sonny Landreth 『From The Reach』

相変わらず、どうやってそんな音を出しているのか見当もつかない、この人にしか出せない特異な音。控えめにミュートされながらも緊迫感みなぎる、そんな金属的なギターのリフでアルバムが幕を開ける。性急なスピード感とは裏腹に、最初の歌詞を二度繰り返す12小節形式の古典的なブルーズ・マナーに則った「Blue Tarp Blues」。95年の傑作アルバム『South Of I-10』での「Shooting For The Moon」同様、今回のアルバム冒頭を飾るこの曲にゲスト参加しているのは、元ダイア・ストレイツのマーク・ノフラー(Mark Knopfler)。

このアルバムに収録された曲は、それぞれに参加しているゲスト・ミュージシャンを頭に思い浮かべて書いたとサニー本人が述べているとおり、この曲でのマークの流暢なギター・ソロは、彼の往年の名曲「Sultans Of Swing」を髣髴とさせるものがある。しかも、いくつもあるダイア・ストレイツのライヴ・アルバムでほぼ必ず演奏されているその曲のうち、彼が最高にノッていた時のものに匹敵すると言っても過言ではないだろう。ひとつ違いがあるとすれば、ここで聴かれる芯の太い安定した音は、「Sultans Of Swing」で使われていたストラトキャスターでなく、後年『Brothers In Arms』などで多用していたレスポールを使ったものだろう。それが、サニーのストラトキャスターのやんちゃな音とうまくブレンドしている。

そう、今回のアルバムは、5人のギタリスト(と、一人のピアニスト)をゲストに迎え、他流試合と言っていいようなギター・ソロ合戦が満喫できる超豪華盤。バックを務めるのは、サニーの参加アルバムには欠かせない彼の片腕デイヴィッド・ランソン(David Ranson)がベース、ドラムスは前作あたりから一緒に演っているマイケル・バーチ(Michael Burch)、キーボードに長年の盟友スティーヴ・コン(Steve Conn)の、いわば拡大ゴウナーズ。

この、僕が近年聴いた中でも最高に格好いい曲の殿堂に入れてもいいと思える1曲目だけでも書きたいことはまだまだあるんだけど(ちなみにその殿堂には、今世紀に入ってまだ5曲もエントリーされていないというほど、一応厳しい脳内審査があるんだけどね)、どこまで聴き進んでも駄曲がないこのアルバムを一曲一曲そこまで詳しく書き連ね始めると本当にきりがないのでこの辺にして、次の曲について書こう。

2曲目「When I Still Had You」で、ファンキーなギターのリフをサニーと一緒に演奏しているのは、エリック・クラプトン(Eric Clapton)。特に最近の傾向では、昔の曲でさえ、落ち着いたクールなトーンで余裕を持って弾くことの多い彼だけど、ここでは、自分が“世界で最も過小評価されている”と評したこのギタリストと真っ向から、本当に楽しそうに張り合っている。そして、サニーもまたそれに応えて、自分のギターの6弦全部から全ての音を搾り出すようなワイルドなプレイを披露。キャッチーなこの曲の歌詞の一節から、アルバム・タイトル『From The Reach』が取られている。確かに、曲の良さといい、ゲストの豪華さといい、アルバムを代表するに相応しい曲だ。4月29日の記事で取り上げたオフィシャル・ブートレグでも既にこの曲を演奏しているが(そのときのギタリストはサニー一人)、それを聴いたときにはこの曲がここまでいいとは気づかなかった。エリック・クラプトン参加というのは伊達じゃないね。

エリックは、自身が主催しているクロスロード・ギター・フェスティヴァルに、サニーを含む自分よりも若いギタリストを多数招待して、活躍の場を与えているし、確か一昨年ニュージーランドに来たときのサイド・ギタリストはデレク・トラックスだった。サニーといい、デレクといい、おそらく今の自分よりもテクニック的には上と言っていいようなギタリストと共演することは、彼にとってもリスクの高いことだと思うけれど、きっと、そういう次の世代の有能なギタリストを(自分のネームバリューを使って)どんどん世に送り出し、自分のギター・プレイの刺激にもしようとしているんだろうね。かつて自分がジョン・メイオール道場で同じ経験をしたように。そういうところが、この人凄いと思う。

三曲目「Way Past Long」のゲスト、ロベン・フォード(Robben Ford)には、実は僕はあまり馴染みがない。この前の2曲では、それぞれ優れたヴォーカリストでもあるマークとエリックがサニーのバックでコーラスを決めているが、ロベンはこの曲でサニーとヴォーカル・パートを分け合っている。ヴォーカルの表現力という意味では、ロベンが若干上をいくか。

せっかくゲストにヴォーカル・パートを与えていても、この曲のハイライトもやはりサニーとロベンのギター・バトル。ギター・ソロを演りたいがために、間にやむなくヴォーカルを入れたと言っても過言でないほど延々と果てしなく、二人のギター・テクニックを堪能できる。

「やむなく」が本当だったのかどうか、続く4曲目「The Milky Way Home」は、ゲストにエリック・ジョンソン(Eric Johnson)を迎えての、インストゥルメンタル曲。これが、凄い。このエリック・ジョンソンというありがちな名前の人も僕はあまりよく知らなかったんだけど、名前で検索してみたら、見たことのあるジャケが出てきた。ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイという、僕にとってはバリバリのメタルの人たちと3人で、G3というユニットを組んで、ライヴ・アルバムを発表していた人だ。この人自身がメタル畑出身なのかどうかは知らないけど、そのバカテク二人に混じってトリオを組むような人だから、きっと凄いテクニシャンなんだろうね。

この「The Milky Way Home」も前出のライヴ・ブートレグで演奏されていたけど、このスタジオ盤での聴きものは、当然サニーとエリックのギターの掛け合い。左チャネルのサニーの引きずるようなスライド、右チャネルのエリックの滑らかなエレキ、その丁々発止が気持ちいい。曲の途中、2〜20小節ずつ交互にソロを弾き合う場面がずっと続いていて、それを聴いているだけでもかなりスリリングなんだけど、中で一箇所、小節の途中でサニーが弾いているフレーズをそのままエリックが引き継ぐ箇所があって、これは相当ぞくっとくるよ。曲自体も、「天の川を渡る帰り道」という壮大なタイトルに負けないスケールの大きな佳曲。

続く5曲目「Storm Of Worry」は、打って変わってベタベタのブルーズ(とはいえ、プロデュースのせいか、音的には結構からっとした仕上がり)。ゲスト・ギタリストは再びエリック・クラプトン。もう、エリックもサニーもこういうブルーズ大好きだから、二人とも心ゆくまで弾き合っているよ。ところで、サニーのヴォーカルって、ブルーズ向きの塩昆布みたいなのに、ちょっと噛むと甘味が出てくるような、絶妙な味付けのいい声だなと思う。こういうブルーズでも、しっかりコブシをきかせて歌っているんだけど、苦みばしったところがまったくないというか。

ここまで全て、サニーのギターが左チャネル、ゲストのギターが右チャネルで来たのだが、次の「Howlin' Moon」でサニーのギターが右に移る。代わって左チャネルでいぶし銀のようなピアノの音を鳴らしているのが、ドクター・ジョン(Dr. John)。彼も95年の『South Of I-10』に参加して、「Mojo Boogie」という名演を残しているんだけど、どうやらこの「Howlin' Moon」はスタジオ盤としては前作にあたる『The Road We're On』を作っていたときにデモ録音されたのがきっかけだそうだ。「Mojo Boogie」同様、ドクター・ジョンのピアノとヴォーカルがなければ成立しないような曲。この曲にはバック・ヴォーカルでジミー・バフェットも参加しているんだけど、流石にドクターの後ろでは立場がない。

ふう、これでやっとアルバム半分か。ちょっとペース上げようかな。もうすでによっぽど興味のある人以外には誰も読んでいないだろうことはわかってるけど、曲解説以外にも書きたいこともあるから、さすがにこの調子だと今日中に書き終えられるかどうかわからないしね。

7曲目「The Goin' On」のゲスト・ギタリスト兼ヴォーカリストは、ヴィンス・ギル(Vince Gill)。彼のことも、僕は名前しか知らなかった。これはいかにもサニーらしい曲。もろニュー・オーリンズ風味の「Howlin' Moon」の直後だから、やけにさわやかに聴こえる。ヴィンスのヴォーカルがそうさせているのかもしれないけれど。

8曲目「Let It Fly」には、ゲスト奏者はなし。バック・ヴォーカルにナディーラ・シャクール(Nadirah Shakoor)という女性。ブックレットのこの曲の見開き対面ページに載っている、地平線と雲の写真のように、大らかなギターのイントロが心地良い曲。

アルバム終盤、早歩きペースのブルーズ曲「Blue Angel」も、先述のライヴ・ブートレッグで演奏されていた中の一曲。ゲストは、ロベン・フォードがギター、ヴィンス・ギルがバック・ヴォーカル。

その曲に続いて、急に何かに急き立てられたように突入するのが、このアルバム2曲目のインスト「Uberesso」。これもゲストはなし。先述したエリック・クラプトン主催のクロスロード・ギター・フェスティヴァルの07年度DVDでオープニングを飾っている曲だ。ちょっとこの記事も文字ばかりになってきたから、YouTubeにアップされているそのビデオでも貼り付けてみようかな。ここまで僕が延々書いてきた彼のプレイの凄さがどんなものなのか、これを見ればわかるから。



CDの許容範囲いっぱいに70分以上も詰め込むこともなく、かといって最近ありがちなSSWのアルバムのように30分強であっさりと終わってしまうというわけでもない、昔ながらのアルバムらしい46分半という程良いサイズのこのCDの最後を締めくくるのは、これまたゲスト・ギタリストなし(バック・ヴォーカルはヴィンス・ギル)でしっとりと演奏される「Universe」。僕のお気に入りの曲である『South Of I-10』ラストの「Great Gulf Wind」にも勝るとも劣らない名曲だ(あそこまでブラスが入ったりリプライズが付いたりといった仕掛けはないが)。最後のギターの一音、そしてその余韻までが、いつまでも耳に残る。“貫禄”という言葉が脳裏に浮かぶ。


近年の彼のアルバム同様、デジパック仕様のジャケットに、20ページに及ぶ丁寧な作りのブックレットが封入されている。上に載せたアルバム・カバー共々、そのブックレットにふんだんに使われている、実に味わい深い写真を提供しているのは、ジャック・スペンサー(Jack Spencer)という写真家。単純にセピア色という言葉では形容できないその不思議な色世界、彼のHPでも存分に堪能できるよ。興味がある人は是非見てみて。

さっき、アルバム・タイトル『From The Reach』は、「When I Still Had You」の歌詞の一節から取られたと書いたが、実はこのアルバムのキーワードになっているのが、“Reach”という単語。アルバム後半、「Let It Fly」、「Universe」といった曲にも、繰り返し登場する。サニー自身の言葉を借りると、こうだ。

俺が歌詞を書くときはね、流れに任せて、何が頭に浮かんでくるかを待つんよ。今回はその“Reach”っちゅう単語が繰り返し浮かんできた。“到着する”っていうそのままの意味もあるけど、“広がり”っていうことも意味してるよね。見渡す限りの空とか、砂漠とか、水。そう、水の流れとか、水域とかね。海員用語で“風向き”っていう意味もある。そういう言葉全部が、このアルバムのテーマとしてしっくり来ると思ったんや。俺にとってこのタイトルは、曲作りの過程からこのプロジェクト全体に至るまでをつなぐ糸みたいなもんやね。俺がここに参加してる素晴らしいアーティスト達に手を伸ばして(“reached out”)、それでできたのが、今あんたが聴いてるこのアルバムちゅうわけや。

最近のサニーのアルバムは全て日本発売が見送られていたが、なんと今作はバッファロー・レコードという鎌倉を拠点とするインディーズ(?)から日本盤が発売された。快挙じゃないか。申し訳ないが、ボートラが入っているわけでもなく、アメリカでの発売(5月末)から一月遅れの6月25日発売まで待てなかったので、僕はUS盤を買ってしまったんだけど(それから約1.5ヶ月、タマス・ウェルズ症候群に陥っていた時期を除いて、一日2回ずつ、合計で既に50回は聴き倒したと思うから、この長文レビューに免じて許してくれるよね)、もしこの記事を読んで興味を持ってくれた人は、是非日本盤を買って、こういう良心的なレーベルを応援してあげてほしい。


もしあなたが、格好いいロックを聴いてみたいと思ったら、

明けても暮れてもエレキギターの練習をしている人なら、

ブルーズ(・ロック)に興味があるけど、誰のどのアルバムから聴いてみればいいのかよくわからないなら、

最近のエリック・クラプトンはすっかり落ち着いてしまって、『Slowhand』や『Backless』の頃の彼が懐かしいと思っているなら、

メジャーになってしまってからのダイアー・ストレイツやマーク・ノップラーのソロは大仰だったり地味だったりでつまらない。やっぱり「悲しきサルタン」の頃が最高!という意固地な人なら、

そして、このブログを読んで、僕の感性を信じてくれるなら、

このアルバムを聴いてみればいい。掛け値なし、全力でお薦めするよ。


僕は今でも、さっきから何度も引き合いに出している95年の彼のアルバム『South Of I-10』が彼の最高傑作だと思っている。でも、このニュー・アルバムをこれまで50回ほど聴いて、その気持ちが大いに揺らいでいる。『South Of I-10』の素晴らしさに文句をつけるつもりなど微塵もない。でも、過去12年に亘って数十回(もしかしたら数百回)聴いてきて、自分の一部みたいになってしまっているあのアルバムに対する愛着をちょっと横に置いて、冷静に比べてみたらどうだろう。アルバムとしての完成度、ゲストの豪華さ、歌、演奏。サニー・ランドレス初心者にまず聴かせたいアルバムはこっちになってしまうかも。

いみじくも、アルバム最終曲「Universe」の歌詞にこの言葉が出てくる。QUANTUM LEAP − 一大飛躍。まさにこの言葉が、この世界で一番過小評価されたギタリストの渾身のアルバムを最もうまく言い表している。
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2008年07月13日

ホバートからの挨拶状 - The Steadfast Shepherd

The English translation follows the Japanese text.

タマス・ウェルズ症候群とでも言おうか。あの三晩連続ライヴからもう丸一週間も経つというのに、どうも他の音楽が聴けない。いや、聴いてはいるんだけど、なんだかうまく気持ちの中に入ってこなくて、ついタマスばかりを聴いてしまう日々が続いている。昨日・今日とこんなにいい天気なのに、新しい音楽を求めてCD屋に出かける気さえ起こらない。以前コメント欄で、同時にいろんな種類の音楽が聴けるなんてまるで異星人のよう、なんて言われたこともあるのに、これじゃすっかり地球人に戻ってしまったみたいだ。

リハビリのため、というわけでもないけれど、少なくとも今現在そんな状態の僕が無理なく聴けるこのCDのことを書いてみることにしよう。

The Open Sky.JPG The Steadfast Shepherd 『The Open Sky』

前回の記事を読んでくれた人には紹介は不要だろう。タマス・ウェルズ(・バンド)のドラマーであり、タマス・ウェルズの傑作セカンドアルバムやブロークン・フライトのデビューアルバムのプロデューサーでもあり、今回のタマス・ウェルズ(・トリオ)来日公演ではギターとコーラスを担当し、そして、そのほとんどの開催地で前座を務めた、ステッドファスト・シェパードことネイサン・コリンズの初EP。

より具体的には、ステッドファスト・シェパードとは、ネイサンと彼の妻であるフェアリー・コリンズのユニット。ジャケットには楽器クレジットがないので、どちらが何を担当しているのかはわからないが、いずれにせよそんなに沢山の種類の楽器が演奏されているわけではない。アコースティック・ギター、タンバリン、ハーモニカ、キーボード、といったところか。そして、ネイサンとフェアリーのヴォーカル。主にネイサンだけど。

CDのジャケは、ゲイトフォールド(見開き)と呼ぶのがためらわれてしまうような、手作り感満載の厚紙ジャケ。クレジットを見ると、今年の5月に友達の家などで録音されたばかりのようだ。

ところで、僕は数ヶ月前から彼らのマイスペースを訪れていたんだけど、ちょっと彼らのビジュアル的なイメージと音のイメージが掴みづらいところがあった。例えば、漫画っぽい羊のイラストに手書きのロゴというこの牧歌的なイメージが、彼らが2月に行ったコンサートの告知ポスター。

Feb Show Poster.jpg

そして、5月に行われたコンサートの告知ポスターはこうだ。一転して、中世風の装飾文字と馬の骨格というアーティスティックなイメージに変わる。

May Show Poster.jpg

それが、今回のEPは、上に載せたように、冬枯れの大木にシンプルなロゴという、アシッドフォークなのか、あるいはもしやゴス系なのかと思わされるデザイン。しかも、裏ジャケを見ると、一曲目のタイトルが、エクスクラメーションマーク付きの「Disaster!(災害!あるいは、大失敗!)」だ。一体どういう音を想像すればいいのか、知らない人は戸惑ってしまうことだろう。

では、早速聴いてみることにしよう。予想に反して、一曲目「Disaster!」は、ネイサンとフェアリーのリード・ヴォーカルが交互に出てくる、かなり牧歌的というか、レイドバックした曲。結局あの2月のポスターのイメージが彼らの本質だったのかと思ってしまうような。

しかし、二曲目以降へ聴き進むにつれて、次第に趣が変わってくる。あたかも、春の牧場から徐々に木枯らしが吹く枯野へと向かうように。

三曲目がこのEPのタイトルトラック「The Open Sky」。この曲は彼らのマイスペースでも聴いてダウンロードすることができるし、僕が観た両日のライヴでも必ず演奏されていた。

こちらもライヴで演奏された、四曲目「Recurring Dream」は1分ほどの小曲。よく聴くと、これは先に出てくる二曲目「Would You Tremble?」と同じメロディーを、より陰鬱にした感じ。歌詞を全部聴き取ったわけではないけれど、この短い6曲入りEPの中で、この二曲がちょっとしたプチ組曲を成しているようだ。

その短い四曲目をイントロのように使って、五曲目「Painting The Leaves Back On The Trees」が始まる。この曲もマイスペースにアップされていて、ジャケのイメージも含めて、僕はこれが(タイトル曲の「The Open Sky」は別として)このEPの核になる曲だと思っているんだけど、何故かこれはライヴでは演奏されなかった。一曲目のレイドバックした雰囲気と、それ以降の荒涼とした雰囲気がうまくミックスされた曲だと思うんだけどな。

最終曲「Thou Art My Son...」は、わずか3分の曲のうち1分強がイントロ、エンディングはふっと途切れるように終わるという、ちょっと異色な曲。低音のハーモニーが荘厳な雰囲気を醸し出している。二曲目のタイトルを思い出させる“How you tremble”なんて歌詞が出てくるあたり、ここでもまたプチ組曲風の仕掛けが。

マイスペースにずっとアップされていて、今回のライヴでもそれぞれオープニングとエンディングに演奏された「Sticks And Bones」も「Golden Point」も、このEPには収録されなかった。きっとそれらは、現在製作中だというフルアルバムに入ることになるんだろう。

それ以外にも、このEPには収録されていないが、今回のライヴで演奏された曲が(僕が聴いただけでも)通算で4曲あった。中でも、確か両日ともに三曲目で演奏された、ハーモニカを吹き、タンバリンを足で踏みながら歌った曲を僕は結構気に入ったので、おそらくそれが収録されることになるアルバムがとても楽しみだ。

それまでは、このEPを何度も聴いておくことにしよう。言っちゃ悪いが、決して「本年度ナンバーワン!」とかいった出来ではない。だけど、タマス・ウェルズの最初の二枚のEPや、ブロークン・フライトの『Ray Of Youth』も、彼らのその後のアルバムに比べると、少し物足りないあっさりした内容だったことから考えても、このEPはきっと、後にステッドファスト・シェパードのデビューアルバムが出たときにこそ、彼らのルーツとしてよりよく味わえるようになるんだと思う。

今回のタマス・ウェルズのコンサートに行けなくてこのCDが買えなかった人も、彼らのマイスペースを通じて10オーストラリアドル(+送料2ドル)で買えるよ。興味があれば是非どうぞ。

もともとタマスと同じくメルボルン出身の彼らだが、現在はタスマニアのホバートという街に移り住んでいるとのこと。タスマニア、どんなところなんだろうね。きっとこれからとても寒くなるオーストラリア最南端からの、短いけど気の利いた挨拶状を今日は紹介した。



Greetings from Hobart, Tas

Should I call it Tamas Wells syndrome? It's been a whole week since the three nights show, but I still can't listen to the other music. No, actually even if I hear the other music, they just don't reach my heart. And I stop them and play Tamas again. It's been sunny days this weekend, but I don't feel like going out to the CD shops to search for the new music. In the comment column I used to be called as an Alien since I could listen to various kind of music at the same time, but now I am an earthling.

Not exactly for the rehabilitation purpose, but let me try to write about this CD that I am able to listen to in my current mood.

The Open Sky.JPG The Steadfast Shepherd 『The Open Sky』

If you have already read my article last week, this CD doesn't need the introduction. The drummer from Tamas Wells (Band). The producer for the masterpiece second album of Tamas Wells and Broken Flight's debut album. The guitarist / backing vocalist for Tamas Wells (Trio). And the opening act for most of the Tamas Wells' shows in Japan this time. This is the debut EP from Nathan Collins a.k.a. The Steadfast Shepherd.

To be precise, The Steadfast Shepherd is a unit by Nathan and his wife Fairlie Collins. As there's no instrument credit on the CD cover, I only can guess which played what instruments. Anyway, there aren't so many of them - just acoustic guitars, tambourine, harmonica and keyboards. And of course the voices of Nathan and Fairlie. Mainly Nathan's though.

The CD is in the paper-sleeved gatefold cover. It looks like a real hand-made. According to the credit, this CD has only been recorded in May in some of their friends' houses.

By the way, since I started to visit their Myspace some months ago, I've been struggling to grasp their visual & musical images. For example, this is the poster for their concert in February. A pastoral image with the cartoonish sheep illustration and the hand-written logo.

Feb Show Poster.jpg

And this is the poster for their concert in May. Turns into an artistic image with the horse skeleton and the medieval calligraphy.

May Show Poster.jpg

And this time, the cover art of the EP is (as per the above photo) the withered big tree and the simple logo. You may wonder if this artist is an acid folk singer or maybe a goth. Not only that, the title of the first song on the back cover is Disaster with the exclamation mark. If you don't know them, you will wonder what sort of music is in this CD.

Ok, let's have a listen then. Contrary to the estimation from the cover or the exclamation mark, the first track Disaster! is rather pastoral laid-back song featuring both Nathan's & Fairlie's lead vocals. You may want to jump to the conclusion that the February poster image was their real nature.

But if you keep listening after the second tune, the atmosphere gradually changes, as if you're heading from the warm spring sheep farm to the wasteland with a wintry blast.

The third tune is the title track The Open Sky. This can be listened to and downloaded from their Myspace. And this was also played at the two shows that I saw the other day.

The fourth track Recurring Dream is a 1-minute short song. This was also played at the two shows. If you listen carefully, this song has the same melody as the second track Would You Tremble?, with more gloomy touch. I haven't caught all the lyrics, but these two songs seem to form a petit-suite in this 6-song short EP.

Using the fourth track just like its introduction, starts the fifth track Painting The Leaves Back On The Trees. This song is also posted on their Myspace. Considering the CD cover image, I think this song is the core of this EP (beside the title track The Open Sky), but this was not played at the Japan shows. I don't know why... Still I think this is a good song with the nice mixture of the laid-back touch from the first song and the desolate atmosphere from the later songs.

The last track Thou Art My Son... is a little unique song with one-minute-long introduction out of 3-minute, and the ending part suddenly fades out. The low tone harmony gives the solemn atmosphere. There's a line saying How You Tremble which reminds you of the second tune. Another trick for the petit-suite.

Two songs, Sticks And Bones and Golden Point, which have been posted on their Myspace, and were played respectively as the opener & the closer of his show, are not included in this EP. I guess they will be in the forthcoming album that Nathan told me he's making now.

Beside those two, there were 4 more songs (as far as I listened) played during his show this time. I liked the third song of both shows (if my memory's correct) that he blew harmonica and played the tambourine with his foot. I'm looking forward to hear that again in the new album.

Till I hear that, I keep listening to this EP. Sorry to say, this is not a This Year's Best! kind of CD. However, if you recall the first two EPs of Tamas Wells or Broken Flight's Ray Of Youth were very simple and not as good as their later full albums, this EP must sound profoundly as their roots when you eventually listen to the debut album of The Steadfast Shepherd.

If you didn't go to Tamas Wells' concert this time and couldn't get this EP at the venue, you still can purchase it through their Myspace. It's only A$10 (+ A$2 postage worldwide) if you're interested.

Originally they were from Melbourne same as Tamas, but now they reside in Hobart, Tasmania. I wonder how you feel to live in Tasmania. Today, I introduced a short but fancy greetings from the south-end of Australia, where the weather is getting harsher.
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2008年07月08日

Tamas Wells live in Tokyo & Kamakura

The English translation follows the Japanese text.

本当は一昨年のグレン・ティルブルックのときみたいに、三夜連続でライヴレポートをあげようかとも思っていたんだけど、ちょっと今回は無理。毎晩ライヴが終わって家に帰ってきたら日付が変わってたもんだから(鎌倉は遠かった…)、それからブログを書く気力がちょっと出なくて。なので、今回は三日間の出来事を、思い出す順につらつらと書いてみることにしよう。

今回は全6公演のうち、青山のグローリーチャペル、鎌倉のcafe vivement dimanche、自由学園明日館に行ってきた。それぞれちょっとずつ構成が違って、青山は前座+タマス・ウェルズ・トリオ、鎌倉は前座+タマス・ウェルズ・ソロ、明日館は前座なしのタマス・ウェルズ・トリオ。

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教会で観るコンサートって、僕はオークランドでのホセ・ゴンザレス以来だけど、普通のコンサートホール以上に音響が素晴らしいよね。きっとこういう類の音楽でなければ、音が反響しすぎてよくないんだろうけど、こういった、声と楽器を一音ずつつぶさに聴いていたいような音楽には最適。二度目のアンコールは、マイクを通さずに一人で歌ったけど、きっと後ろの方の席まで綺麗に聴き取れたことだろう。

タマス・ウェルズ・トリオの基本フォーマットは、タマスが歌とギター、ときどきミャンマーのシタール。500円で買ったそうな。ちなみにギターは去年の800円ギターじゃなくて、“もうちょっと高い”(タマス談)新しいやつ。ネイサンがギターとタンバリン(だいたい足で踏んで鳴らしていた)、それから、歌詞のアンチョコをギターの上に置いての(笑)とても綺麗なコーラス。アンソニーはギターとマンドリン、最終日にはピアノも。

タマスのギターの弾き語りももちろんいいんだけど、複数の撥弦楽器の音が有機的に絡み合い、それに乗せたタマスのあの声とそっとかぶさるネイサンの高音のハーモニーを聴くのはまた格別。まさに、至福の時だった。

今回も演奏を始める前にいくつかの曲の歌詞について解説していた。実は現在のミャンマーの状況を歌っていたという「Signs I Can't Read」。「The Day That She Drowned, Her Body Was Found」で溺れるデニースの携帯から電話を受けたのは、彼女のことを知らない人だったこと(間違い電話だったなんて)。あの物語の一人称をずっと同じ人物だと思い込んでいたことが、ストーリーをうまく理解できなかった一因だったのか。

「14 Acacia Court, Sanctuary Green 3093」(ちなみにこれは架空の住所だそうだ。どこなのかと思ってあちこち検索したのに)を録音していたときに、階下で子供が叫んだ声がそのまま収録されてしまったエピソードも披露。この子供の声は、CDを聴いていても、フーフー鳥の鳴き声(去年のライヴレポート参照)よりもクリアに聴き取れるよね。そういうエピソードを話す際に、実際に歌の一部を歌ってから、子供の叫び声の真似とかフーフー鳥の声の真似をしたりするんだけど、この人って本当に喋るときの地の声と歌声が別人のように違うよね。喋っていて急にあの声で歌いだされるとびっくりするよ。

去年はお好み焼きを連日食べていたようだけど、今回は岡山で食べたキビダンゴのことも気に入ったようだ。

 タマス:「ナゴヤチキンワー、ドーデシタカ?」
 ネイサン:「オイシ」
 アンソニー:「オイシ」


という掛け合いが最高(笑)。

個人的に嬉しかったことがひとつ(いくつもあった中のひとつだけど)。ライヴ終了後にタマスと話をする機会があり、僕の『Two Years In April』のレビューを読んで、“あのブックレットのアートワークと物語の関連を読み解いたくだり、80〜90%は合ってるよ”と言ってくれたこと。“自分でも意識していなかったようなこともあった”って。おせじ半分だとしても、嬉しいよ。

ライヴ終了後は、去年同様に自発的サイン会。それほど長尺ではなかったライヴ自体の長さに匹敵するんじゃないだろうかと思えるほどのたっぷりとした時間を、タマスや他のメンバーは一人ひとりのファンと費やしていた。僕ももちろん、『Two Years In April』のジャケとTシャツにサインをもらったよ。

Signed Two Years In April.gif

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鎌倉に来るのはもう15年振り以上になるけど、いい街だね。ライヴは8時からだったけど、数時間早めに着いて写真を撮ったり買い物をしたりしながらぶらぶらしていた。同じくお土産を買っていたネイサンとタマスにばったり出会ったりも。この写真、こないだ載せた台湾の夜市の写真にそっくりだね。日本もアジアの一部だと思い出させられるシーン。

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会場のCafe Vivement Dimancheは、こじんまりとしたお洒落なカフェ。上の写真の商店街からちょっと入ったところにある。テーブルを取っ払って、70席近くの椅子をびっしりと詰め込んである。立見席も含めて80人限定だとのこと。一番前の席なんて、タマスのマイクから何十センチも離れてないよ。タマスも、“音が足りないと思ったらそこからギターの弦を弾いてくれていいよ”なんて冗談言ってたけど。

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前日のライヴが終わった後にタマスと話した際に、ニューアルバムから演ってほしかったのに聴けなかった曲のことを訊ねた。「Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day」、「I Want You To Know It's Now Or Never」そして「Writers From Nepean News」の3曲。“「It's Now Or Never」はハーモニーが難しいからできないんだよ。でも他の曲は明日演ってあげるよ”とのことだったのに、この日の5曲目でいきなり「It's Now Or Never」! あ、そうか、ソロだからハーモニーとか関係ないもんね。個人的にはこの曲がこの日のハイライト。ラスト近くで歌の途中にふっとブレークを入れたところが最高にしびれたね。

“どうしてもっとニューアルバムからの曲を演らないの?ニューアルバムのプロモーションツアーなんでしょ?”と訊いたら、“だって日本の人たちは最初によく売れた『A Plea en Vendredi』の曲の方をよく知ってるでしょ”だって。もう、どこまで謙虚な人なんだよ。

この日はネイサンがシャツを着替えてなくて臭いなんて話を何度もしてたなあ。自分がプロモーション写真と同じシャツを着て出てきたことの照れ隠しなんだろうけど(笑)。ネイサンの名誉のためにここに書いておくけど、前日とは違うシャツを着てたし、そんなに臭くはなかったよ(笑)

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ネイサンといえば、前座のステッドファスト・シェパード(The Steadfast Shepherd)は、彼と彼の奥さんのユニット。今回はソロでその名義だったけどね。僕は彼のマイスペースでずっと同じ曲ばかりを聴いていて、いつになったらアルバムが出るんだろうと思っていたんだけど、この度このツアーに合わせて待望のEPをリリース。会場でも売っていたので早速入手。このCDについては、また機会を設けて別記事で取り上げることにしよう。

この日は前日に比べてセットが若干短め。まあ、開始時間自体が遅かったし、メンバーもほとんどのお客さんも、東京まで帰らないといけないからね。でも、お客さんの盛り上がり方は、前日以上だったかも。小さな会場はいいね。ああ、それにしても、鎌倉からほとんど終電近くのたくさんの路線を綱渡りのように乗り継いでの帰路は、ほんとうに遠かったよ。

そして、今回の日本公演の最終日は、明日館講堂という、これもまた素敵な造りのホールで行われた。二部構成+アンコールも含めて、たっぷり1時間半の(タマスにしては)長丁場。

全22曲のほとんどは、前二日に演奏した曲(青山では演奏したが鎌倉ではしなかったもの。またはその逆)の集大成といった感じで、目新しい曲といえば、昨年の東京公演でアンコールで歌われた「Open The Blinds」ぐらいか。

あ、いや、個人的にはこの日の目玉のひとつは、第二部と一回目のアンコール、それぞれのオープニングとしてアンソニー・フランシスがピアノで弾いた「A Dark Horse Will Either Run First Or Last」と「Melon Street Book Club」だったかも。ほんとに、心が洗われるように美しい曲だよね、どちらも。

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この日もまた、日本の食べ物の話題。

 タマス:「キビダンゴワー、ドコー、デシタカ?」
 ネイサン:「オイシ」
 タマス:「違う、違う、ドコは場所だろ」
 ネイサン:「ああ…オカヤマ?」


と、先日よりも若干進歩した(でもネイサンいまいち覚え切れてない)日本語会話のレッスンを披露(笑)

アンコールの最後は、タマスが一人で登場。ステージから降りて、またもノンマイクで歌った「Grace And Seraphim」。『Two Years In April』のエンディングをしみじみと飾るこの曲を、こんなスタイルで眼前で歌われてしまったら、いくらもっと演ってほしくても、もうわがまま言えなくなってしまうよ。タマスたちにとっても、きっとすごく長かったろう10日間をも締めくくる、おだやかなエンディングだった。

ありがとうね、タマス、ネイサン、アンソニー。忘れられない、素晴らしい三日間だったよ。また来年来てよね。

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Setlist 04 July 2008 @ Ivy Hall Glory Chapel Aoyama

1. Lichen And Bees
2. When We Do Fail Abigail
3. Reduced To Clear
4. Vendredi
5. The Day That She Drowned, Her Body Was Found
6. 14 Acacia Court, Sanctuary Green 3093
7. The Opportunity Fair
8. Stitch In Time
9. From Prying Plans Into The Fire
10. Broken By The Rise
11. Three Courses And An Open Canoe
12. The Northern Lights
13. Signs I Can't Read

[Encore 1]
1. Valder Fields
2. For The Aperture

[Encore 2]
1. Nowhere Man
2. Grace And Seraphim


Setlist 05 July 2008 @ Cafe Vivement Dimanche Kamakura

1. For The Aperture
2. When We Do Fail Abigail
3. Reduced To Clear
4. Vendredi
5. I Want You To Know It's Now Or Never
6. 14 Acacia Court, Sanctuary Green 3093
7. The Opportunity Fair
8. Broken By The Rise
9. The Day That She Drowned, Her Body Was Found
10. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
11. The Northern Lights
12. Signs I Can't Read

[Encore]
1. Stitch In Time
2. Valder Fields
3. Lichen And Bees


Setlist 06 July 2008 @ Jiyugakuen Myonichikan Hall

1. For The Aperture
2. When We Do Fail Abigail
3. Reduced To Clear
4. Vendredi
5. I Want You To Know It's Now Or Never
6. 14 Acacia Court, Sanctuary Green 3093
7. The Opportunity Fair
8. From Prying Plans Into The Fire
9. Broken By The Rise
10. Valder Fields
11. Signs I Can't Read

12. A Dark Horse Will Either Run First Or Last
13. Open The Blinds
14. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
15. The Day That She Drowned, Her Body Was Found
16. Nowhere Man
17. Stitch In Time

[Encore 1]
1. Melon Street Book Club
2. The Northern Lights
3. Three Courses And An Open Canoe
4. Lichen And Bees

[Encore 2]
1. Grace And Seraphim

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Tamas Wells live in Tokyo & Kamakura

Originally I was going to write live reports three consecutive days like I did for Glenn Tilbrook two years ago. But I gave up. It was always after midnight when I came home after the show (Kamakura was so far away...), so I couldn’t have energy to carry on writing the blog. Instead I just want to note down some of my three days' memories randomly.

Out of the six shows at many places in Japan, I went to Glory Chapel in Aoyama, Café Vivement Dimanche in Kamakura and Jiyugakuen Myonichikan. They had slightly different formations each night. Opening act + Tamas Wells trio in Aoyama. Opening act + Tamas Wells solo in Kamakura. Tamas Wells trio with no opener at Myonichikan.

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The last time I experienced live music at chapel was Jose Gonzalez in Auckland. It's always the great acoustic production better than the normal concert hall. Maybe it's not so suitable if it's for louder kind of music as the sound repercussion could be too much, but it's perfect when it comes to this kind of music which you’d like to listen to every single note and the voice. Tamas sang without the microphone for the second encore. I guess the audience sitting at the far end of the hall could clearly hear his song.

The basic format of Tamas Wells trio was; Tamas Wells - vocal, guitar and occasionally Burmese sitar which he bought for 500 yen. By the way, the guitar was not the last year’s 800 yen one, but "slightly higher" new one according to him. Nathan Collins - guitar, tambourine that he mainly played with his foot, and the beautiful harmony with the lyrics notebook on his guitar :). Anthony Francis - guitar and mandolin. And piano on the last day.

Tamas' solo guitar and the voice was of course good, but it was exceptional when the multiple plucking string instruments organically entwined, and Nathan's high tone harmony gently covers Tamas' voice. Supreme bliss, if I'd name it.

Tamas explained about some songs' lyrics again before he started to sing them. In fact Signs I Can't Read was about the current situation of Myanmar. In The Day That She Drowned, Her Body Was Found, the person who received drowning Denise's phone call was somebody who didn't know her (she called the wrong number). I thought the first personal pronoun in the story was always the same person. That was one of the reasons I couldn't really understand the whole story.

He explained the episode that a child yelled downstairs when he was recording 14 Acacia Street, Sanctuary Green 3093 (by the way, this is a fictional address. I searched here and there when I wrote the album review though). This child's voice is more clearly heard on the CD than the hoo-hoo bird (refer to the last year's live report). When he talks about those episodes, he actually sings a part of the song then imitates the child's voice or the hoo-hoo bird. It's amazing how his usual voice differs from his singing voice. I'm always surprised when he suddenly starts singing while he was explaining about the song in his normal tone.

Last year he ate Okonomi-yaki every day. This time he came to be fond of Kibidango along with other Japanese foods.

Tamas: Nagoya chicken wa dodeshitaka? (How was Nagoya chicken?)
Nathan: Oishi (Delicious)
Anthony: Oishi (Delicious)


It was funny to hear such Japanese conversation of theirs :)

One of the happiest things personally was something Tamas told me after the show. He had read my Two Years In April album review and told me my interpretation about the connection of lyrics and the booklet artwork was 80-90% correct. He also said there was something he hadn't been aware of. He might be just flattering, but I'm glad.

There was a spontaneous signing event after the show, same as last year. Tamas and the members spent abundant time (almost close to the not-very-long live show itself) for signing and chatting with each and every fan. Me? Of course I've got him sign on my Two Years In April cover and the T shirt.

Signed Two Years In April.gif

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Kamakura is always a nice cozy town, though I went there after more than 15 years. The show would start at 8pm, but I went there a few hours before and strolled around. I met Nathan and Tamas who were buying some souvenirs. This photo resembles with the night market in Taiwan that I posted in my last article. It makes me realise Japan is a part of Asia.

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The venue Café Vivement Dimanche is also a cozy stylish café. A short walk from the (pictured above) shopping street. They took out all the tables and put 70-odd chairs with almost no vacant spaces left. It was limited to 80 people including the standing seat. The front row is only less than a meter from the microphone. During the show Tamas joked that the front row audience was allowed to put some notes on his guitar.

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After the previous day's show I asked for some songs that I liked in the new album which they didn't play. They were Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day, I Want You To Know It's Now Or Never and Writers From Nepean News. Tamas said “It's Now Or Never has too complicated harmony, but I'll play the rest tomorrow”. But in Kamakura he suddenly started to play It's Now Or Never as the 5th song of the show! Ah, of course, he didn't have to worry about the harmony when he sang solo. Personally this song was the highlight of the day. It was really thrilling when he put the break near the ending of the song.

“Why don't you play more songs from the new album? This is the promotional tour of Two Years In April” I asked. Tamas replied “Because Japanese fans should know the songs from A Plea en Vendredi more”. How humble this guy is...

During this show he repeatedly saying Nathan was a smelly man as he hasn't changed the shirt. He must be embarrassed since he was the one who's wearing the same shirt as he wore in the promo photo. For the honour of Nathan here I testify, he was wearing the different shirt from the previous day, and wasn't too smelly :)

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Talking about Nathan, the opening act The Steadfast Shepherd is the unit by Nathan and his wife Fairlie. This time it was Nathan alone. I have been listening to the same songs on their Myspace and wondering when they would release the album. Finally, in line with this Japan tour, they released the long-awaited EP. It was on sale at the venue and I got one. I will write a review about the EP in the separate article.

The show was slightly shorter than the previous day's one. Maybe because the starting time was already late, and both the members and most of the audience had to go back to Tokyo. But I thought the audience was more lively than the previous day, thanks to the small venue. From Kamakura I had to go home changing many last trains just like I was walking tightrope. It took me more than two hours.

And then, the final show of this Japan tour was held at the fancily built hall called Myonichikan. It was two parts show, plus the encores. One hour and half marathon show (for Tamas Wells).

Most of total 22 songs were already played in the previous two shows (some were played in Aoyama but not in Kamakura, or vice versa). Only Open The Blinds was new to me this time, though this one was played at the encore last year.

No, there was another. My personal highlight of this day was A Dark Horse Will Either Run First Or Last and Melon Street Book Club, which were played solo by Anthony with piano as the opener of the second part and the first encore respectively. They both were really soothing, beautiful tunes.

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A topic about Japanese food again.

Tamas: Kibidango wa dokodeshitaka? (Where was kibidango?)
Nathan: Oishi
Tamas: No, no, doko means where.
Nathan: Oh, Okayama?


A little bit of progress (but not much for Nathan) than the previous day :)

The final song of this year's Japan tour was Grace And Seraphim that Tamas sang alone, off the stage, without the microphone again. Even though you wanted more, you couldn't demand anything after listening to this heartily closing song of Two Years In April right in front of your eyes. It was also a calm closing of their 10 days tour (it must've been very long for them).

Thanks Tamas, Nathan and Anthony. It was unforgettable three days. See you next year.

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Setlist 04 July 2008 @ Ivy Hall Glory Chapel Aoyama

1. Lichen And Bees
2. When We Do Fail Abigail
3. Reduced To Clear
4. Vendredi
5. The Day That She Drowned, Her Body Was Found
6. 14 Acacia Court, Sanctuary Green 3093
7. The Opportunity Fair
8. Stitch In Time
9. From Prying Plans Into The Fire
10. Broken By The Rise
11. Three Courses And An Open Canoe
12. The Northern Lights
13. Signs I Can't Read

[Encore 1]
1. Valder Fields
2. For The Aperture

[Encore 2]
1. Nowhere Man
2. Grace And Seraphim


Setlist 05 July 2008 @ Cafe Vivement Dimanche Kamakura

1. For The Aperture
2. When We Do Fail Abigail
3. Reduced To Clear
4. Vendredi
5. I Want You To Know It's Now Or Never
6. 14 Acacia Court, Sanctuary Green 3093
7. The Opportunity Fair
8. Broken By The Rise
9. The Day That She Drowned, Her Body Was Found
10. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
11. The Northern Lights
12. Signs I Can't Read

[Encore]
1. Stitch In Time
2. Valder Fields
3. Lichen And Bees


Setlist 06 July 2008 @ Jiyugakuen Myonichikan Hall

1. For The Aperture
2. When We Do Fail Abigail
3. Reduced To Clear
4. Vendredi
5. I Want You To Know It's Now Or Never
6. 14 Acacia Court, Sanctuary Green 3093
7. The Opportunity Fair
8. From Prying Plans Into The Fire
9. Broken By The Rise
10. Valder Fields
11. Signs I Can't Read

12. A Dark Horse Will Either Run First Or Last
13. Open The Blinds
14. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
15. The Day That She Drowned, Her Body Was Found
16. Nowhere Man
17. Stitch In Time

[Encore 1]
1. Melon Street Book Club
2. The Northern Lights
3. Three Courses And An Open Canoe
4. Lichen And Bees

[Encore 2]
1. Grace And Seraphim

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2008年07月01日

ジミオン二周年記念対談

yas:いやあ、どうも。落ち着くねえ。

やす:やっぱり気持ちええねえ、アジアの街は。

yas:というわけで、ここ台北からお届けする、ジミオン二周年記念特別記事。今回も恒例のやっさんを迎えて、この一年を振り返ってみよう。

やす:やっぱりええねえ、アジアは…

yas:いつまでぼーっとまどろんでるんだよ。もう始まってるよ!

やす:ああ、さよか。まいど。久しぶりやね。

yas:お久し振り。一年振りだよね。

やす:そら一年ぶりやろ。前の対談以来、おまえ俺のこと全っ然呼んでくれてへんねんから。こないだかて、せっかく対訳の機会あったのに、おまえ自分でやってまうんやもんな。

yas:ああ、グランド・アーカイヴのやつね。悪いね。だってあれ、君が訳すと、単なる不眠症のおやじのうわごとみたいになるから。

やす:そらまたえらい言い草やな。

yas:ははは、悪い悪い。で、せっかく台北に来たんだから、ちょっと夜市にでも出かけようよ。

やす:そやね、あのガチャガチャした雰囲気がたまらんよね。あっちの屋台でおこわ食うて90円、こっちの屋台で臭豆腐食うて60円。これがまた臭いけどヤミツキになるんよね。

yas:お腹一杯食べても300円程度で収まるし。あと、このいかにもアジア製の意味不明日本語満載のTシャツとか、どれもこれも欲しくなるよね。

やす:おまえTシャツ好きやしな。なんかあれも値切ったら一着300円ぐらいになるらしいやん。

yas:最高だよね、こういう街って。

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やす:せやなあ。そやけど、今日はこんなゆるーい世間話で済ますつもりかいな。前回みたいにあれやれへんの?あの、おまえの得意な、ほら、数えるやつ。偉そうに台北来てるとか言うてるけど、これって出張やねんし、あんまり時間かけて長い記事書いてられへんのやろ?手短に話進めなあかんで。

yas:ご忠告ありがとう。それじゃ、去年もやった、ジミオンよもやま統計コーナー!

やす:はいはい、ほなまず、あれやね。記事の数?この一年で、いくつ書いたん?まあとりあえず、読んではる人にとってみたら、一番どうでもええ話題やけどね。

yas:うるさいな。えっとね、48か。一年目の92と比べると激減だね。カテゴリ別にみると、こんな感じ。

 アルバム: 一年目40 ⇒ 二年目25
 コンサート: 10 ⇒ 7
 ビデオ: 2 ⇒ 0
 yascd: 10 ⇒ 0
 雑記: 24 ⇒ 11
 非音楽的: 6 ⇒ 2
 創作: 0 ⇒ 1
 日記: 0 ⇒ 2

やす:ふーん、だいたいどれも半減っちゅー感じやけど、やっぱり大きいのはあれやね、10個もあったyascdが全然なくなってしもたことか。楽しみにしてくれてるって書いてくれはった読者さんもいてはんのに、ほんましゃーないやっちゃな。すぐ飽きるねんから。

yas:いや、飽きたっていうか、ちょっとここしばらく忙しくて。またやりたいとは思ってるんだけどね。

やす:ほんまかいな。まあ、そない言うんやったら、気長に待ってるわ。

yas:え、君は待つ立場なの?作る方じゃないの?

やす:まあ、そのへんはちょっと、この会話体も人物設定が曖昧やしね。どうでもええねん、細かいことは。

yas:A型のくせにアバウトだね。じゃあ次は、どのアーティストが多く取り上げられたかってやつね。例によって、記事全部をそのアーティスト(または二組のアーティスト)が占めている「大特集」、一つの記事の中に複数のアーティストが登場する「小特集」とに分けて。

 一位:タマス・ウェルズ(大特集3、小特集0)
 二位:ブルース・スプリングスティーン(大特集2、小特集2)
 三位:マーク・コズレック/サン・キル・ムーン(大特集2、小特集0)
 四位:ジョー・ストラマー/クラッシュ(大特集1、小特集3)
 五位:恒松正敏/E.D.P.S.(大特集1、小特集2)

やす:なるほどなぁ。去年の上位が4回も5回も取り上げられてた人らばっかりやったのに比べたら、さすがに記事数全体が半減してるだけあって、今回は上位でもほとんど接戦やね。

yas:その中でも一位はやっぱりタマスか、って感じだね。しかも、一番最近になる5月15日の記事は、後からどんどん追記を入れて、しかも英訳までしてるもんだから、それらを一つ一つの独立した記事だとして数えると、もうぶっちぎりのトップだよね。

やす:今週末はいよいよ待望の再来日関東公演やしね。楽しみやな。あと、去年から連続して名前が挙がったのは、二位のスプリングスティーンだけやね。去年のアルバムがよかったっていうのもあるけど、今年はEストリート・バンドのダニー・フェデリーシが死にはったっていう悲しい報せもあったんやったな。

yas:そうだね、その記事のコメント欄にひそそかさんが書いてくださったけど、こっちが歳を重ねるにつれて、好きで親しんだ人の訃報を聞くことが多くなってくるんだよね。つらいよ。

やす:そういや、コメンターさんも、最近になってよう書き込んでくれるようになった人らもおれば、いろんな理由で離れていってしまいはった人らもおるしね。しゃあないことやとはいえ、こんな小さいコメント欄で親しくさせてもらった人に会われへんようになるのも、ちょっと寂しいもんやね。

yas:うん、コメンターの方たちもいろんな事情があるだろうから、しょうがないんだけどね。でも、そんな中で、しばらくお休みされていたクロムさんが、ひっそりとブログを再開されたのは(7月1日現在)嬉しい話だったよね。

やす:せやね、まだお忙しそうやけど、ゆっくりでも続けてほしいよな。あの人の記事もコメントも、めっちゃおもろいから好きやねん。

yas:そうだね。あと、個人的にこの一年の大きなできごとといえば、やっぱりニュージーランドを離れて15年ぶりに日本に戻ってきたことだね。

やす:せやなあ、近所にリアル・グルーヴィーっちゅう超安値中古CD屋がなくなったから、これでやっと買うCDの数も減るかと期待しとったら、全然変わってへんし。っちゅうか、同じペースで単価高いCD買うとるから、余計に始末に負えんわな。

yas:中毒だよね。なんとかしないと。さてと、今回はこれぐらいにしておこうか。

やす:なんや、もう終わりかいな。今回は画像もほとんどないし、なんぼ出張中や言うたかて、いくらなんでもこれは手抜きや言われんで。

yas:画像か。うーん、何かいいのない?

やす:あるある。このごろ日本で流行ってるっちゅう、あれ誰や、せんとくんやっけ?

yas:せんとくん?奈良の?その画像でも載せるの?それはまた場違いな。

やす:いやいや、せんとくんやないんやけど、うちにあるもんで一番せんとくんに似てるCDジャケ。ほら。

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yas:………

やす:せんとうさぎくん。どや?

yas:じゃあまた来年ね!

やす:おいおい!一年放置する気か!
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