2008年04月29日

予告編と出張報告書 - Sonny Landreth

ゴールデンウィークだ。今年は祝日が軒並み土日に重なっててなんだかいまいち有難味がないようだけど、僕にとっては1992年以来16年振りのゴールデンウィーク、ゆっくり楽しませてもらうとしよう。

というわけで、まずは、二週間以上も放ったらかしにしてあったブログを久し振りに更新することにした。例によって書きたいネタは山ほどあったんだけど、ちょっとここしばらく忙しくしていたもので。

Jazz Fest Live 2007.jpg Sonny Landreth 『Live At Jazz Fest 2007』

毎年4月最終週から5月第一週にかけて(おお、ゴールデンウィークつながり)、アメリカはニューオーリンズで開催されている、ジャズ&ヘリテージ・フェスティヴァル。2004年以降、その年の主要なステージが録音されて発売されている。最近になって07年分が40種類ほど発売されたようで、そのうちの1枚がこれ。07年4月28日のサニー・ランドレスのライヴだ。

発売されたといっても、ちゃんとしたレコード会社から出た正規盤というわけではない。どうやらこのフェスティヴァルの主催者側が出している、アーティスト公認の所謂オフィシャル・ブートレッグというやつだ。上のジャケ写横に載せたタイトルにリンクを貼ったオフィシャル・サイトに行けば、CD一枚15ドル(送料含まず)、ダウンロードなら12.5ドル(アートワークも無料でダウンロード可)で買える。CDと書いたけど、送られてくるのはCD-Rだから、これはちょっとわざわざパッケージメディアで買う有難味は薄いかもね。

裏ジャケに記載されているのは全14曲だが、曲間のお喋りなんかも数えられているので、曲としては11曲が収められている。同じく11曲が収録された、05年にシュガーヒルから出たオフィシャルのライヴ盤『Grant Street』 との重複は「Native Stepson」、「Z. Rider」、「Wind In Denver」、「Congo Square」の4曲。『Grant Street』が初出だったブルーズ曲「Wind In Denver」以外は全て彼の代表曲ばかりだ。

おそらくメンバー用に手書きで作ったセットリストを基にしたんだろうか、その裏ジャケの曲目表には間違いや省略が散見される。フェスティヴァルのサイトにもそのまま載っているのに、サニーも他のメンバーも見てないのかな。大らかなのかな。それほど大らかでない僕が正誤表を載せておくね。

1.Port ⇒ Z. Rider
3.Stepson ⇒ Native Stepson
5.Denver ⇒ Wind In Denver
7.Milky Way ⇒ The Milky Way Home
8.When I Still Have You ⇒ When I Still Had You
14.Bayou Tech ⇒ Back To Bayou Teche


1はどうしたことだろう。『Grant Street』にも入っている「Port Of Calling」のつもりか?でもこの曲は誰が何と言おうと「Z. Rider」。あと、曲間のお喋りを、6では「Stage Banter(ステージ上での冗談)」と書いているのに、10では単に「Banter」、13では「Band Intros」としている。些細なことだけど、6と10ぐらいは統一してほしかったね(大らかでない人の意見)。

そろそろ内容にも触れなければね。おそらくミキシングボードから直接録音されたせいか、きちんとプロデュースされたオフィシャル盤『Grant Street』と比べると、平板なミックスと歓声の少なさがちょっと興醒めだけど、それもこの熱い演奏を冷ましてしまうほどではない。冒頭の「Z. Rider」をはじめ、「Native Stepson」、新曲「The Milky Way Home」、「Like Nowhere Else」といったインストゥルメンタル曲の凄さは、去年の4月9日の記事「ルイジアナの風」で紹介した「Z. Rider」や「Taylor's Rock」を聴いたことがある人ならきっと想像がつくことだろう。

初期の名曲「South Of I-10」も「Back To Bayou Teche」も、それぞれ6分を越える白熱した演奏。どちらも僕は大好きな曲だから、これだけアドリブを入れて延々とソロを続けられると、この場にいられなかったのが本当に悔やまれてしまう。それに輪をかけて長いのが、10分近くにも及ぶ、定番「Congo Square」。『Grant Street』では最後を飾っていた曲だが、このアルバムではこの10分の後にさっきの「Back To Bayou Teche」が続くんだから、もうたまったもんじゃない。

03年の『The Road We're On』以来5年振りとなる新作スタジオアルバムが、いよいよ来月20日に発売となる。彼のオフィシャルサイトには相当前から情報が載っていたので、ほとんど更新されることのないそのサイトに飽きずに通い詰めていたこちらとしては、ようやく、という感じだ。そのサイトによると、今回のアルバム『From The Reach』には、エリック・クラプトン(Eric Clapton)、マーク・ノフラー(Mark Knopfler)、ドクター・ジョン(Dr. John)などの豪華ゲストが参加していて、サニーもそれぞれのゲストの演奏スタイルを想定して曲を書いたとのこと。1ヵ月後の6月25日には日本盤も発売になるようだし、この豪華ゲストの助けも借りて、これでようやく彼も日本でメジャーになるんだろうか。

自分で持っているCDやレコードのジャケ写しか載せないというローカルルールがあるんだけど、この新作は20日以内に僕が死んだり地球が爆発しない限りは買うことが決まっているので、フライングで載せてしまおう。

From The Reach..jpg Sonny Landreth 『From The Reach』
Grant Street.jpg Sonny Landreth 『Grant Street』
The Road We're On.jpg Sonny Landreth 『The Road We're On』

なんだかどれも雰囲気似てるよね。渋いセピア色のジャケ『The Road We're On』はかなりブルーズ色の強いアルバムだったし、ブレが躍動感を醸し出している『Grant Street』はアツいライヴ盤。ということは、次作のちょっと上品な色のついた、自分の名前のロゴもお洒落にあしらったジャケは、そのままアルバム自体の派手目な内容を表しているんだろうか。

確かに今回のライヴCD-Rに収録された新曲を聴く限りは、性急なリフにちょっと甘めの歌メロが絡む「When I Still Had You」とか、かなりロックマナーなインスト「The Milky Way Home」とか、ブギーっぽい「Blue Angel」とか、前作に入っていた曲よりも結構ロック寄りかもと思える曲が多くて、個人的には嬉しい。さっきも書いたもう1曲のインスト「Like Nowhere Else」は、発表された新作の曲目表には載ってないけど、収録されないんだろうか。これも格好いいのにな。

というわけで、散々待たされたアルバムが更に待ち遠しくなってしまうような、よくできた予告編のようなライヴ盤だ。誰にでもお勧めできるわけじゃないけど(まずオフィシャル盤からどうぞ)、海賊盤までこまめに揃えているような(僕のような)ファンの人ならこれは欠かせないはず。

ちなみにこのライヴ盤、さっき書いたオフィシャルサイトでも買えるけど、海外からの通販はちょっとと思う人には、ディスクユニオンタワーレコードのサイトで売ってるのも見つけたから、興味があればそちらからどうぞ。

あ、ところで、今年のゴールデンウィーク時期にも開催されている08年ジャズ&ヘリテージ・フェスティヴァル、5月4日にサニー・ランドレス出演と書いてあるな。行きたいなあ。でも、いくら会社が休みとはいえ、わずか1時間のステージのためにニューオーリンズまでは飛べないよ。


さて、もう充分一記事分ぐらいは書いたけど、続けて関連アルバムのことを書こう。しばらく前に、発売してすぐに買ったけど、なかなかブログに書く機会のなかったこのアルバム。

Toolin Around Woodstock.jpg Arlen Roth 『Toolin' Around Woodstock』

実は例によってゲスト参加しているサニーの名前に釣られて買ったものの、この本人アーレン・ロスのことを僕は全然知らなかった。アマゾンの紹介文によると、「ピート・シーガーからリック・ウェイクマンまで様々なアーティストのレコーディングに参加し、ミュージシャンズ・ミュージシャンとして尊敬されている名ギタリスト、マスター・オブ・テレキャスターことアーレン・ロスがリヴォン・ヘルムとの共同作業で制作した7年振りとなる最新ソロ・アルバム」だそうだ。

サニー他ゲストが数名参加しているにも関わらず、アルバムの正式クレジットは「Arlen Roth Featuring Levon Helm」ということで、元ザ・バンドのドラマー、レヴォン・ヘルムの参加が世間的にはこのアルバムの目玉ということだろう(ちなみに、これまたこのブログのローカルルールで、バンド名の定冠詞「The」は省略することになっているんだけど、「The Band」と「The The」だけは「The」を省略すると訳がわからなくなるので、例外として「ザ・バンド」「ザ・ザ」と書くことにする)。

レヴォン・ヘルム翁が熱唱するチャック・ベリー作「Sweet Little Sixteen」をはじめ、ジョー・サウスの「Games People Play」、ボブ・ディランの「Ballad Of A Thin Man」、カール・パーキンスの「Matchbox」、ライチャス・ブラザースの「Unchained Melody」など、ほとんどがカバー曲。でも、カバーだろうと自作だろうと、アーレンのねばりつくような濃密なギターソロをたっぷり堪能させてくれる。特に、歌なしで演奏される「Ballad Of A Thin Man」と「Unchained Melody」が強烈。

一時ニック・ロウのバンドに参加して、小気味よいギターを弾いていた、こちらもテレキャスターの名手ビル・カーチェンも2曲にゲスト参加。そのうち1曲ではボーカルもとっている。

数曲にはアーレンとレヴォンそれぞれの娘、レキシー・ロスとエイミー・ヘルムがボーカルで参加。おっさんばかりで危うく渋々のブルース/ロカビリーアルバムになってしまうところに辛うじて色を添えている。

そして、僕にとってはこのアルバムの目玉、自分のアルバムのレコーディングで忙しかったはずなのに、こんなところまで出張してきているサニー・ランドレス参加の2曲「Tumblin'」と「Deep Feeling」。イントロのモワーンとした音だけでサニーのプレイだとわかる「Tumblin'」は、アーレンとサニー2人のスライドギターだけの演奏だ。このアルバム3曲目になるチャック・ベリー作品「Deep Feeling」は、その2人のスライドギターにレヴォンのドラムスとアメリカ南部風ピアノ(クレジットにないけど誰が弾いてるの?)が絡むゆったりとしたインスト・ブルーズ。

なんとこのアルバムも来月に日本盤が出るようだけど、僕が買ったアメリカ盤はボーナスDVD付。ウッドストックのレヴォン・ヘルムのスタジオでの和やかなレコーディング風景と、先述の「Tumblin'」の演奏風景が丸ごと収録されている。当然、この「Tumblin'」が凄い。2人が向かい合ってソファに腰掛け、5分に亘って延々とスライドギターのバトル。僕は海賊盤も含めてサニーの演奏シーンが入ったビデオをいくつか持っているけど、こんなにじっくり観られるのは結構珍しいかも。というわけで、サニー・ランドレスのファンならこのDVD付を買うべし。


さて、そろそろ朝の4時になってしまうな。明日休みだと思うとつい夜更かししてしまうよ。この人の話を書き始めると止まらないしね。最近、ブログの記事数が少ないんだから、こんなに書くんならやっぱり二つに分ければよかったかな。まあいいや、久々の長文記事、縦読みでも斜め読みでもお好きにどうぞ。


posted by . at 03:50| Comment(11) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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