2007年06月08日

水彩画のように Carla Bruni 「No Promises」

No promises.jpg Carla Bruni 『No Promises』

才色兼備を絵に描いたような人。イタリア出身の元(?)スーパーモデルの彼女が02年に出した最初のアルバムは、全世界で200万枚を売り上げたとのこと(彼女が活動しているフランスで120万枚、その他の国で80万枚。ちなみに僕はその両方に1枚ずつ貢献している・笑)。

実に柔らかい、綺麗なメロディーを書く人だ。そしてそのメロディーを奏でるこの少しジャジーでアコースティックな音。わかりやすい例えで言うなら、ノラ・ジョーンズをもっとこざっぱりとさせた感じか。

そのノラ・ジョーンズがあれだけヒットした理由の一つに彼女のスモーキーな声質があるが、このカーラ・ブルーニの音楽を特徴付けるのも、やはり彼女の声。極端なまでのハスキーボイス。音程によってはかなりかすれてしまうんだけど、それがちっとも聴き辛くなく、まるで絵の具がかすれた水彩画のようで実に味がある。

No Promises Inner.jpg上に載せたジャケットや、三つ折デジパックの内側の写真(少女のように眠る彼女、風船を手に佇む彼女、質素な瓶に活けられた薔薇の束、木漏れ日の差し込む室内)、それにブックレット内の数々の写真など、一枚一枚がポストカードにしたくなるような綺麗なものばかり。正統派美人である彼女自身のルックスはそれほど僕の趣味じゃないけど(そしてそんなことは彼女にとってもこの世の中の誰にとっても知ったこっちゃないけれど・笑)、音的にも映像的にも非常に質の高いアルバムだ。

フランス語で歌われた前作では殆どの歌詞を自作していたが、全編英語となった今回のアルバムでは、ウィリアム・B・イエイツ、ウィスタン・H・オーデン、エミリー・ディッキンソン、クリスティナ・ロセッティ、ウォルター・デ・ラ・メア、ドロシー・パーカーという、19世紀から20世紀中盤までのアイルランド/イギリスの詩人(ディッキンソンとパーカーはアメリカ人)の詩を歌っている。恥ずかしながら僕はこの中ではW.B.イエイツしか知らなかったんだけど、きっとイギリスやアイルランドの詩や文学に造詣の深い人には、これらの曲がもっと味わい深く聴こえるんだろうね。うらやましいな。

オープンディスクという仕様のこのCD、パソコンに入れて若干の個人情報を提供すれば、専用サイトにアクセスすることができる。その中の目玉の一つである無料ダウンロード曲「Those Dancing Days Are Gone」(ルー・リードがポエトリー・リーディングで参加したバージョン)が、僕の買った日本盤では既にボーナストラックとして収録済みなのが、得なのか損なのかよくわからないんだけどね。まあ、これもまた優れた美的感覚に溢れたプロモーションビデオが何曲か観られるのは嬉しいかな。

Quelqu'un M'a Dit.jpg Carla Bruni 『Quelqu'un M'a Dit』
ところでこれがデビューアルバム。僕のブログをしばらく前から読んでくださっている読者の方には、このジャケットに見覚えがあるんじゃないかな。そう、10月26日の記事「クッキングタイマー」で1分を計るのに使っていた曲だ。これも40分に満たない短いアルバムだけど(今回のもそう)、どちらもおすすめ。特にこの前作は歌詞対訳がありがたいし、今作はヘタに輸入盤を買うよりも日本盤の方が安かったりもするしね。ライナーも対訳もよかったよ。

今回はこれぐらいの短い記事にしておこうかな。もう既にネット上にはかなりの数のレビューが英語/仏語/日本語で出回っているようだし、これは前作以上に話題になるんじゃないだろうか。
posted by . at 21:28| Comment(25) | TrackBack(1) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする