2007年04月29日

アメリカン・スピッツ Sherwood 「A Different Light」

なんでそれにそんなに惹かれたのか覚えていない。
いつものレコ屋の中古CDコーナーに、知らない名前のバンドの見覚えのないジャケのCDがしばらく前から売れずに残っていたのには気がついていたんだけど(その頃は毎週末そこに通ってたからね)。
「このー木なんの木気になる木♪」みたいなジャケは、嫌いじゃないけど別にジャケ買いするほど好きなわけでもないし、メンバーにも参加ゲストにもプロデューサーにも見知った名前はなかった。ネットで調べてみたけど確かその頃はAMGにもろくに情報も載ってなかったし、アマゾンでも試聴できなかったはず。
ということで、自分でも買った理由はよくわからないんだけど、ちょうど一年前の昨日、僕は他の数枚のCDと一緒にこのシャーウッドというバンドの『Sing, But Keep Going』というアルバムを手に入れた。

Sing, But Keep Going.jpg シャーウッド 「Sing, But Keep Going」

そしたら、これが大当たりだったんだ。
パワーポップという分類に入れようかどうか迷う音。今ではかなり詳細なバイオグラフィが載っているAMGには、ポスト・グリーンデイ系のエモ/メロコアみたいな括りでまとめられているけど、僕はそれはちょっと違うと思う。
青春系(笑)のパワーポップのような甘酸っぱい感じでなく、どちらかというと青臭いと形容したくなる。アルバム冒頭の曲から、演奏が一瞬止んでコーラスと手拍子だけになる部分が入ったりして、ちょっと気恥ずかしいようなところもあるけど、そういうのも含めての、青臭い。
でも、これがデビューアルバムだというのに、見事に完成された曲の数々に、達者な演奏。力いっぱい走ってるけど、緩急をつけて引くところは引く、という感じ。どの曲も短く終わって、もう少し聴きたいって気にさせるところも余裕か。
いたるところにいい曲が入っているが、なかでも僕は、後半の「Gentleman Of Promise」から「You're Like A Ghost」への流れが一番好き。

自分の嗅覚が誇らしくなった一瞬。よくぞこれを直感買いしたと。でもね、僕はこれが一期一会だと思った。この無名バンドが生まれて消えてしまう前に、偶然の神様がこのCDをぽんと僕の前に置いてくれたんだと。ファイヴ・サーティーがそうであったように。(出会うのが遅れたとはいえ)クックーがそうであったように。


二回目の偶然はあった。
先月、出張で東京に行く前に日本のHMV通販サイトでまとめ買いしておこうとしていたら(輸入盤3枚で25%オフやってたからね。僕にとって3枚はまとめ買いではないけど)、なんとシャーウッドの新譜がそこに。
何を検索していたときか覚えてないけど、とにかく何か別のアルバムをカートに入れたときにこれがおすすめとして提示されて、本当にびっくりした。僕の中ではもうすでにいなくなってたはずのバンドだったからね(失礼な決めつけ)。

A Different Light.jpg シャーウッド 「A Different Light」

SNSのマイスペースが設立したマイスペースレコードの、MSR10001という型番を見ると、これが第一弾CDなのだろう。今度もまた、どういう層をターゲットにしているのかいまいちよくわからないジャケ。

穏やかなキーボードとキーンという遠い弦の音で始まるオープニングを聴いて、僕の頭には去年手に入れたいくつかの名盤(レイ・ラモンターニュの『Till The Sun Turns Black』、ジョシュ・リターの『The Animal Years』)がフラッシュバックした。
彼らのサイト(www.myspace.com/sherwood ←音出ます)のトップにこの曲のPVが載っているところをみると、これがアルバムからの最初のシングルなのかも。実に彼ららしい、無闇に派手なところのない、でもじわじわと盛り上がっていく元気な曲だ。

その曲のフェードアウトに被って、タッタッタタタ、タタタタ、タタッというベタなリズム(文字にするとわかりにくいな。カーズの「Let's Go」のあのリフと言ってわかってくれる人は何人いるだろう)で始まる次の「The Best In Me」は、そのベタなリズムとコーラスが下品な歌謡ロックに陥ってしまう直前で踏みとどまっているキャッチーな曲。

3曲目「Middele Of The Night」も、ストレートで魅力的、かつ憂いを秘めたメロディの佳曲。途中でフォール・アウト・ボーイのピート・ウェンツばりの雄叫びを入れてるのは誰だろう。これは、狙ったな。エンディングでジャン!と決めたあとに思わず「Success!」って言ってしまってるのがかわいい。

次の「The Longest Time」では、中盤で一瞬ビーチ・ボーイなコーラスが登場。うわ、かっこいい。そう思って聴くと、9曲目の「Alive」のオープニングなんてモロに初期ビーチ・ボーイズ風だし。
さっき、デビューアルバムなのに見事に完成された曲の数々、なんて書いたけど、このニューアルバムはそれよりも格段上。青臭いと書いたファーストからすくすくと成長して、まだ蒼いけれどしっかりと骨太になった感じがする。すごいよ、こいつら。このままこうして全曲にコメント入れてしまいそう。そんなの、CD聴かずにこれを読んでる人には面白くないのはわかってるからあえてしないけど。

前作からプロデューサーも替わっている。ルー・ジョルダーノって、どこかで聞いた名前だと思ったら、僕の大好きなシュガー(「ウェディング・ベル」の人たちに非ず)のアルバムを、ボブ・モウルドと一緒にずっとプロデュースしてた人じゃないか。
なるほどね、それが故のこのタイトな音。細かな装飾をちりばめながらドラマチックに盛り上げるのに、過剰にベタベタした音にならないのはさすがの職人芸。
今まで特に気にかけなかったけど、このプロデューサー、ちょっと注目してみようかな(=今後、聞いたこともないのにプロデューサー買いするCDがまた増える)。

それにしても、このあまり抑揚をつけずに淡々と歌う、ちょっと高めのボーカル、誰かに似てると思ったら、スピッツの草野マサムネだ。うん、そういえば、ボーカルだけでなく、曲調やアレンジ、上品なギターソロの音の取り方まで、いたるところにスピッツぽさが窺えるなあ。


僕の最近一番のヘビーローテーション。来年1月に書く「2007年個人的ベストアルバム」という記事(そのときまだこのブログが存続していればの話だけど)にこのお日様のジャケが載るのはほぼ確実だ。
マイスペースレコードって、日本で配給する会社あるのかな。調べてみたらユニヴァーサル系列だっていうから、これ日本でも出る可能性あるかもね。メンバーの写真見ても経歴見ても派手なところのないバンドだけど、これはうまく盛り上げれば売れると思うな。

スピッツ好きな人にはお勧めのアルバム。え、洋楽は歌詞わからないから苦手って?でも、草野の書く日本語の歌詞だって半分ぐらいは意味不明でしょ(笑)
とりあえず、上に載せたサイトで4曲試聴できるから、ぜひ聴いてみてほしい(マイスペースって、登録しなくても見られるのかな)。
確かに、ちゃんと読んでみたら、ラブソング、振られ男ソング、「明日へ向かってGO!」ソングと、これきっと日本語の歌詞で聴いたらちょっとこっ恥ずかしいだろうなと思わせるものが多いんだけど、そこは逆に非英語圏で洋楽を聴く側の特権として、意味わからないまま聴いていればいいんだし。

あ、そうだ。歌詞といえば、ここまで褒めちぎったこのCDにひとつだけ文句がある。6つ折りになったブックレットには歌詞の断片しか載っておらず、“詳細な歌詞はウェブサイトを見ろ”との但し書きが。
あのな、こっちはきちんと金出してCD買ってんだから、ちゃんと歌詞もクレジットも写真も全部よこせよ。これだけ巻物みたいに折りたたんだブックレット、いくらでもスペースあるだろうが。いくらSNSが母体だからって、この時代に飽きずにパッケージメディアを買ってる客のことないがしろにするなよ。
と、ぶつぶつ言いながらもウェブサイトに行くと、僕が日本語のマイスペースから入っているからなのか、どこを探しても歌詞なんて載ってないし。しょうがないからサードパーティーの歌詞掲載サイトから拾ってきたけどね。

あちこち調べてみたら、ここに書いた2枚のアルバム以前にも、彼らはEPを発表してるみたい。もう廃盤だけどね。さてと、じゃあ今からそれを探しに行こうかな。


posted by . at 11:17| Comment(51) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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