2007年03月30日

実況 ソドムとゴモラショー Pet Shop Boys live in Auckland

まずびっくりしたのが、『40秒差で危うく大惨事』の記事。昨日のNZの新聞の見出しなんだけど、チリのサンチャゴからオークランドに向かっていた飛行機に、ロシアの人工衛星の破片か隕石だと思われる物体が衝突しそうになったとのこと。落下があと40秒遅かったら空中爆発という間一髪の話。その飛行機に、南米ツアーを終えて昨日のオークランド公演に向かっていたペット・ショップ・ボーイズ(以下PSB)の面々が乗っていたらしい。

おまけに昨日のオークランドは朝から豪雨警報が出るほどの暴風雨。幸い、開場時間前あたりには普通に歩ける程度の雨に変わっていたけれど、今朝の新聞の一面は、窓のところまで水に浸かった自動車の写真。NZを訪れるのは今回が初めてというPSB、なんて国だ!と思っただろうね。僕も思った。


さて、去年のホセ・ゴンザレス、アークティック・モンキーズに続いて僕にとっては三度目となるお馴染みのセイント・ジェームス・シアター。開場・開演まで散々待たされた話は毎度のことなんでもういいね。まあとにかく、開場と同時に場内にダッシュ。いつも彼らのライヴはステージ右側にクリスのキーボードが置いてあって、ニールが動き回ったりいろんなアトラクションがあるのは左側だというのを見越して、中央やや左、ステージ前の柵に貼りついた。よし、ステージまで手を伸ばせば届くほどの距離。こんな近くでPSBを見られるなんて。ちなみに3年前に中止になった東京公演は国際フォーラムの予定だったからね。日本ではこんな距離はありえないよ。

周りを見渡すと、大人ばっかり。いや、自分だって大人なんだけど、最近自分以外は皆ティーンエイジャーか20代とかいうライヴばかりなんで、妙に違和感(と、いつもは自分が他全員の違和感の元になっていることは棚に上げて)。

僕のとなりで柵にもたれてるのは、身長2mはある大男。僕の視界をさえぎるわけじゃないから別にいいんだけど、なんか圧迫感あるなあ。それより、こんな奴が一番前の真ん中にいたら、後ろの人たちさぞかし見えにくいだろうに。

ステージ上には、右手にキーボード、左手に簡素なベンチ、あちこちにマイクスタンド数本、それだけ。キーボードスタンドとベンチと、あとステージ後方にブラックライトっぽい色を出している蛍光灯が光っているが、いかにもシンプルなステージ。なんだか、コンサートというよりは、今から芝居でも始まるような雰囲気。


さあ、始まった。ステージ後方からタキシードにシルクハットとフード付パーカーに野球帽の二人組が。ニールとクリス!と思いきや、よく見ると顔が違う。と思ってる間に後ろからまた同じ服装の二人組が。さらにまた二人。二人のキャラをアイコンとして使ったようなこの辺の演出は、ニセモノPSBが登場する「I'm With Stupid」のPVに通じるところがあるね。

We're the Pet Shop Boys

最初の二人はコーラス、次の二人はダンサー、そして最後の二人が本物のPSB、ニール・テナントとクリス・ロウだ。

オープニングは意外な選曲「We're The Pet Shop Boys」。ロビー・ウィリアムズの最新作『Rudebox』に彼らが提供、プロデュースした曲だ。

曲の途中でお馴染みの女性ボーカル、シルヴィア・メイソン=ジェイムスが登場。なんか変な帽子。

Left to my own devices

曲は「Left To My Own Devices」、「I'm With Stupid」、「Suburbia」、「Can You Forgive Her?」と続く。二人のダンサーが凄い。ブレイクダンスとパントマイムとバレエと新体操を混ぜたような見事なダンス。それを二人で流れるように絡み合いながら、緻密に計算され、おそらく何百回も繰り返しているであろう動きで見せるものだから、片時も目が離せない。助走もなしでその場でジャンプして後方回転、なんてサーカスばりの動きも。

ステージがシンプルなだけに、その二人を中心としたダンスと、ステージ後方一面に張られたスクリーンに映し出される様々な映像だけに集中できる。もちろん、若干ガニマタで脚を踏ん張って熱唱するニールが一番引き立つような演出にはなっているんだけど。CDでは無表情でクールなボーカルというイメージのニールがそんな風に歌っているのが意外で、なんだか微笑ましかった。

6曲目が、「エムアイエヌアイエムエーイエール、ミニーマール、ミニーマール」のサビでお馴染み(?)の「Minimal」。スクリーンには歌に合わせてそれぞれの文字が点いたり消えたりする画期的な(笑)演出。

続いては、綴り読み上げソングの先輩、「Shopping」。もちろんサビの歌詞は「エスエイチオーピピアイエンジー、ショッピン」だ(笑)。この2曲、どっちの曲をバックにしてもそれぞれのサビをぴったり当てはめて歌えることに気づいた。焼き直しするにしてもそこまで徹底すると立派。

Rent

「Rent」ではニールとダンサーの一人がこのポーズで腰掛けて、時々歌詞に合わせてダンサーが手振りで動きをつけるのをこうしてシルエットで見せる。派手なダンスで魅せる曲とこうしたシンプルなビジュアルとの差の付け方も上手い。

作った時にはまさか追悼歌になるとは思わなかったであろう、故ダイアナ妃のことを歌った「Dreaming Of The Queen」では、スクリーンにダイアナ妃の葬儀の映像。曲が終わったときに今回初めてニールがシルクハットを脱いで敬礼。うわー、最近のビデオで髪の毛が薄くなってきてることは知ってたけど、もうほぼ丸坊主だね。

「Heart」、「Opportunities (Let's Make Lots Of Money)」といった初期の代表曲を続け、そこからほぼメドレーのようにして始めた(このつなぎが格好よかった)新作からの「Integral」を終えたところで、クリスを除いて全員退場。ということは、クリスの唯一の持ち歌「Paninaro '95」だ。この人、PVとかコンサートビデオでは常に無表情を貫いてるだけに、こうして歌ってるときにちらっと見せるはにかんだ笑顔が妙に新鮮。

Paninaro '95

今のところの最新シングル「Numb」では、スクリーンにPVを流して、コーラス隊はロシア軍人の服装。曲調そのままの重苦しい雰囲気だ。

Numb

かと思えば、曲が終わるといきなり軍服を脱ぎ捨て、下に着ていたカラフルな運動着で陽気に踊りだす「Se A Vida E (That's The Way Life Is)」に続く。いいね、この緩急の付け方。ここだけでなく、ほとんど1〜2曲毎にダンサーとコーラス隊の衣装換えがあった。ニールも、途中で別のタキシードに着替えてきたりして、あれは何の意味があるんだろう(笑)。で、クリスは最初の黄色のパーカーから着替えたかと思えば、次は青いパーカー。もう、この二人は徹底してそれぞれこのイメージ。

そういえば、二人のダンサーが上下入れ替えた服装(一人はジャージの上にスーツのスラックス、もう一人がスーツのジャケットにジャージのズボン)で出てきて、一人が立てひざで寝そべった上にもう一人が座って、変則二人羽織をしていたのはどの曲だっけな。あれは面白かった。

「Se A Vida E (That's The Way Life Is)」の最後に「Discoteca」の一節を入れ、そのまま曲間なしで「Domino Dancing」へ。更に、「英国人気質を歌った歌。きっとNZ人にも当てはまるよね」との前置きで「Flamboyant」。

ここでお待ちかねのアコースティック・コーナー。1曲だけだったのは残念だけど、僕の好きな「Home And Dry」を演奏してくれたのは嬉しかった。

Home And Dry

演奏後、ニールがこっちにピックを投げてくれて、一旦は僕の手に当たったんだけど、柵の向こうに落ちてしまった。隣の2mが柵から乗り出して拾っちゃったよ。でも、僕の胸ぐらいの高さの柵に腰のところをひっかけて床に落ちたピックを拾えるなんて、あの2m、もしかしたら座高が1.5mぐらいあるぞ。

そしてここからが終盤、代表曲のオンパレード。プレスリーの「Always On My Mind」、U2とボーイズ・タウン・ギャングの曲を合体させた「Where The Streets Have No Name (I Can't Take My Eyes Off You)」(他人のカバー曲ばかりが代表曲なの?と言われそうだけど、このオリジナルを茶化したような痛快な曲調がいいんだよ)、懐かしい「West End Girls」、そして、ニールを含めた6人が派手なキラキラの勲章だのバッヂだのを付けた軍服を着て登場した(クリスは相変わらず青のパーカー)「The Sodom And Gomorrah Show」で終演。やっぱりこの最新作からの名曲を一番いいところに持ってくるね。

The Sodom And Gomorrah Show


アンコールに出てきたのはニール以外の6人。かなりソウル風に変調されていた「So Hard」をシルヴィアが歌い、そのままメドレーで「It's A Sin」へ。ここでニール再登場。場内も本編終盤から続くヒット曲連発に大歓声。

「これが最後の曲」と言って始めたのが、予想通り「Go West」。歌いきったところでニールが退場。後半のアドリブのところでシルヴィアとコーラス隊が、今日演奏した「We're The Pet Shop Boys」、「I'm With Stupid」、「Shopping」、「So Hard」のサビを織り交ぜながら歌う。まさに大団円といった趣。


大満足。絶対に聴きたい代表曲から、いつも違ったところから引っ張り出してくる隠れたアルバム曲(今回でいうと「Shopping」や「Dreaming Of The Queen」)まで、これ以上はないと思える充実した選曲だった。「The Sodom And Gomorrah Show」の歌詞じゃないけど、僕が彼らに求めるエンタテインメントの全てを観ることができた。

この満員の会場が後ろから順に出て行って、僕が出られるまで何十分かかるだろうと思っていたら、あれ?まだ客電点かないよ。

また出てきた!いくらアンコール要求されたからって、あれだけ盛り上がった「Go West」の後に何か演るのは蛇足だろうと思ってたけど…

「Being Boring」。ああ、これを忘れてたよ。こんな素敵な曲を最後に演ってくれるなんて。なんだかキーボードのリフ、ちょっと音が外れてる?でもいいよ、それでこそ生演奏。ただでさえこういうグループのライヴはほとんど全音プログラミングされててCDで聞くのとあまり変わらない音なんだから、たまにはそういうのがないとね。

その曲に合わせて歌いながら気づいたんだけど、なんだか自分がやけに音痴。音が上がるところに声が全然ついていけてないよ。と思ったら、自分ではっきりわかるほど喉が腫れてる。そりゃ、それまでほぼ全曲大声で歌ってたら、喉も嗄れるよ。まあ、全曲って言っても、大抵はサビのところぐらいしか歌詞覚えてないんだけどね。

ああ、でもこうして歌詞まで知ってて一緒に歌える曲ばかりを演ってくれるコンサートなんて、考えてみたらすごく久し振りかも。楽しかったー。おまけに今日は会社で意味もなく低音の魅力で話せたし(笑)
posted by . at 22:52| Comment(13) | TrackBack(0) | コンサート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする