2007年03月10日

精神的高校生にお勧め My Chemical Romance 「The Black Parade」

最近はこのブログタイトルに反してメジャーなものばかり取り上げてしまって、自分でもなんだかなあと思ってるんだけど、今日もまたそういうやつ。こないだ近所の安売りスーパーで買って以来、僕のヘビーローテーションになってるこのアルバム。

The Black Parade
マイ・ケミカル・ロマンス 「The Black Parade」

ピンク・フロイドの「In The Flesh?」の伴奏にデイヴィッド・ボウイの「Five Years」を歌っているような「The End」で幕を開けるこのアルバムは、今例に挙げた2曲を1曲目に持つ『The Wall』と『Ziggy Stardust』がそうであるように、コンセプトアルバムという形になっている。かつてはコンセプトアルバムというとプログレ・バンドの常套手段だったけど、グリーン・デイの『American Idiot』といい、最近はこの手のバンドがコンセプトアルバムを出すのが流行ってるのかな。

毎年1月にオークランドで行われている野外フェス「Big Day Out」の、今年のトリがこのバンドだった。僕はそれには行かなかったんだけど、行って来た同年代の友人に「マイ・ケミカル・ロマンスどうだった?」と訊くと、「いや、あれはいいよう」と答えた(「良いよう」でなく、伝染るんですのカエル君が照れて言う例の台詞を思い出してください。って、そんなの知ってる人の方が少ないか)。

まあ、そういうバンドだ。え?わからない?じゃあ、このビデオを観てもらえば話が早いかな。

http://www.youtube.com/watch?v=-QgKGsufg6k

この大仰な雰囲気から、その時どんなライヴをしたのかは容易に想像がつく。20年も30年もロックを聴いてきている僕らの世代から見ると、さっき冒頭の曲を説明したように、これは○○のパクリだな、とか、この曲は△△と××を組み合わせた感じ、とか思えてしまって仕方がない。だからきっと、僕らの世代のリスナーはそこでこのバンドを切り捨ててしまうのが普通なんだろう。

でも例えばこの最初のシングルカット「Welcome To The Black Parade」、曲の構成といい、ブライアン・メイ風の音色を持つドラマチックなギターソロといい、まるでクイーンの「Bohemian Rhapsody」だ。強いて言えば、そこから例のコミカルな「ガリレオ、ガリレオ」の部分を除いて、パンク風のアレンジを加えながら、アッパー系のドラッグをガンガン注入して5分間に凝縮した感じ?そりゃ、格好いいに決まってるよ。

他にも、エアロスミス風の伴奏に乗せてスコーピオンズのクラウス・マイネのように朗々と歌い上げる曲とか、ちょっとグラムロック風に始まったかと思うと、メンバー全員でわーっとユニゾンのコーラスに入る、まるでボン・ジョヴィのような曲(そういえばこいつら同郷だな)とか、元ネタを探せばいくらでも例が挙げられる。

「Mama」という曲はそのタイトルと歌詞からしてピンク・フロイドの「Mother」を元にしているのかなと思っていたら、同じ『The Wall』中の「The Trial」のようなオペラ調だった。うんうん、コンセプトアルバムだね。あ、その曲にゲスト・ボーカルとして参加してるのはライザ・ミネリだ。ここにもちらっとクイーンの影が。

僕が中学や高校の頃は、学生バンドが練習する曲といえば、基本のディープ・パープル「Smoke On The Water」に始まって、マイケル・シェンカー・グループとかホワイトスネイクとかが定番だったんだけど、きっと今の高校生はこれをしゃかりきに練習してるんだろうね。だって、さっきからやたらと引用している70-80年代の有名バンドの格好いいところばかりを合成しているようなもんだから。

コンセプトアルバムとか言いながら大したことを歌ってるわけじゃないのも、大人から見たらご愛嬌。まあ、70年代のハードロックだって、ちゃんと歌詞を読んだらろくなこと歌ってたわけでもないし、だからこそ王様が茶化したディープ・パープル他の和訳がギャグとして成り立った訳で。

前作と聞き比べてみると、格段の進歩だ。まあ、前作までのヘビーさがなくなったことで文句を言っている昔からのファンもいるようだけど。音だけでなく、前作と今作それぞれの裏ジャケに載っているボーカルのジェラルド君の容貌の変化

過去 現在

最初に今作の裏ジャケ見たとき、てっきりメンバーチェンジしたのかと思ったよ。まるで覚醒して41号になった鉄雄、ぐらいに顔つきが違うし。

まあ、音の変化も、髪の毛の色やメイクやユニフォームの変化も、すべて周到に考えられたマーケティングの結果なんだろうし、そんな作られたバンドの音なんて聴きたくないという人の気持ちはよくわかるけれど、僕の中に根強く残っている高校生の部分がこの音に強く惹かれてしまうんだから、しょうがない。

実年齢はともかく、中学の卒業式ってついこないだだったような気がしているような人(ボケ老人かよ)もきっとこれを気に入ってくれると思うな。
posted by . at 11:11| Comment(15) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする