2006年10月04日

yascd003 秋の夜長に

一週間の出張から戻ってきたらもう月が替わっていた。しかもNZは先週末から夏時間(Daylight Saving Time)に入っており、これで日本との時差が4時間になってしまった。ますますあちこちのブログやチャットで日本の人達と直接やりとりするのが難しくなってしまうなあ。こちらはどんどん春の陽気になり、あちこちで桜や色とりどりの花が咲き乱れているんだけれど、きっと日本は少しずつ秋が深まっている頃だろう。

日本の秋が恋しいなあ。来週また出張で日本に行くから、秋の空気や食べ物を堪能してくるのが楽しみ。秋は僕の好きな季節の一つで(他にも好きな季節はあと三つぐらいあるんだけど)、特に夕刻から夜にかけてのちょっと物悲しい、もう夏じゃないんだなって思わされる時間帯がいい。今日はちょっと趣向を変えて、そんな時間帯に聴いていたい曲を集めたCDを空想してみる。最初の選曲段階ではもうちょっとバラエティーに富んだ人選だったんだけど、できあがってみると、新旧シンガー・ソングライター(SSW)のショーケースみたいな内容になった。


October Road.jpg JT.jpg

ジェームス・テイラー (James Taylor)
1.September Grass
2.Handy Man

最初はスタンダードにこの人から。70年代アメリカンSSWの代表格。最近はすっかり影が薄くなってしまったようだが(頭がすっかり禿げ上がってしまったことと関係あるのか)、今でもゆっくりとだが充実した内容のアルバムを発表し続けている。この節回しにこの声が乗るだけで、何十年経っても変わらない彼の世界に浸れる。1は今のところの最新作である02年の「October Road」から。もう九月は終わってしまったけど、この歌のように秋の草むらでのんびり過ごすのも楽しいね。多分ヴィンテージのマーティンであろうアコースティックの弦の音が実に芳醇。2は元々オーティス・ブラックウェルのカバーでありながら、もうこの人の代表曲のようになってしまった曲。77年の「JT」からのシングルカット。「貴女の心に傷がついてしまったら、僕が修理してあげる。僕は便利屋なんだよ」って、原曲はちょっとコミカルな感じなんだけど、彼がこうして歌うと本当に優しく頼りになる感じがするね。


Australian Tour EP.jpg Veneer

ホセ・ゴンザレス (Jose Gonzalez)
3.Suggestions
4.Heartbeats

7月のライヴ(7/21の記事参照)でも3曲目と4曲目にこの順序で演奏した組み合わせ。こうして繋げて聴くとしっくりくるってのをその時に覚えた。この流れはこれからもいろんなミックスCDに使えそう。ライヴのときは3の最後の音と4の最初の音が全く同じ高さだったと思ったんだけどな。あと、曲間が0.5秒ほど短くなれば聴いててもっと気持ちいいんだけど、PCで編集するとそういうのが中々難しい。カセットデッキでコンマ何秒の切り貼りをしてたのが懐かしいよ。曲の話に戻ると、さっきのまだ夏の名残があった感じのJTから3に移ったところで、なんだか急に秋風が吹き始めたような気分になる。僕は4を最初に聴いたのが春(NZの。要は去年の今頃)だったんで、3から4に移るところで雪解けをイメージしてしまうんだけど、まあここは無理やりこじつけて、小春日和をイメージした流れということで。


Trouble.jpg

レイ・ラモンターニュ (Ray Lamontagne)
5.Hannah
6.Jolene

最近の僕のお気に入りSSWの一人。これは両方とも04年に出たファーストアルバムから。今年の初頭に出たライヴ・ミニアルバムに続いて、つい最近セカンドが発売された。実は今回のアメリカ出張でこれを早くも中古で(破格値で)手に入れることができたのが一番の収穫かも。今日早速聴いてみたが、素晴らしい出来だった。近いうちにこのブログで単独で採りあげるよ。ファーストアルバムは日本の雑誌やブログで結構取り上げられていたようだが、実際はどれぐらい売れたんだろう。ジェームス・ブラントがあそこまで売れるなら、この人ももう少しメジャーになっても全然おかしくないと思うんだけど。要所要所で奏でられるバイオリンの音がなんだか切ない。


Songbook Vol.1.jpg

ランディ・ニューマン (Randy Newman)
7.When She Loved Me
8.Sail Away

自分の過去の代表曲をピアノの弾き語りで再録した「Songbook Vol.1」から。それだけ書くとなんかやっつけ仕事みたいな感じがするけど、これがまたしっとりとしたいいアルバムに仕上がっている。「Vol.2」も早く作ってくれないかな。7は、小さいお子様をお持ちの方なら聴いたことのあるメロディーかも。某有名映画の挿入曲。この曲だけじゃなくて、この人は沢山の映画のスコアを書いてるから。8はアフリカからアメリカに連れてこられる黒人奴隷のことを(白人のことを皮肉った視点で)書いた名曲。


Yola.jpg

エレノア・マケヴォイ (Eleanor McEvoy) 
9.Did I Hurt You?
10.Seasoned Love

このミックスCDで唯一の女性アーティストになってしまった(最初の選曲段階では他にもいたんだけど)、アイルランドのSSW。僕はあまり彼女のことを知らなかったんだけど、この01年の「Yola」というアルバムを試聴してすっかり気に入ってしまい、それ以来他のアルバムも見つける度に購入している(悲しいことに、どれも捨て値でバーゲン箱に入れられてることが多いんだけど)。ちなみに僕はこのアルバムをSACD(スーパーオーディオCD)で持ってるんだけど、これは意外と隠れた高音質タイトルかも。SACDでもたいしたことのない音質のものもよくあるからね。オーディオマニアの方にはお薦めの盤。


Closing Time.jpg

トム・ウェイツ (Tom Waits) 
11.Ol’ 55
12.I Hope That I Don’t Fall In Love With You

近年はすっかり潰れた声でアクの強い歌い方をするようになってしまった彼の、まだ真っ当なSSWだった73年のデビュー盤から冒頭の2曲。最近のアルバムもそんなに嫌いじゃないんだけど、やっぱりこの頃の方がよかったと思う。このファーストは今でも僕が一人で酒を飲むときに一番よく聴くアルバムかもしれない。うん、イメージ的にはかつてコメント欄で空想上の僕のことを描写してもらった、茶系の背景(なんだそれは)に煙草をくゆらせながら(僕は煙草を吸わないので、かわりにビーフジャーキーでもしがみながら)カウンターでバーボンのショットグラスを傾けてるような感じ?(笑)。丁度このジャケットの写真のような。11は、もしかしたらイーグルスがカバーしたバージョンを知っている人の方が多いのかな。


At Home.jpg

ランバート&ナティカム (Lambert & Nuttycombe)
13.Ode To Drugan
14.Putting Myself Together Again

今回のミックスの中では実は僕が一番よく知らない人達。ユニバーサルから名盤の殿堂シリーズの紙ジャケで再発された時に、同時発売のロン・デイヴィス「UFO」などと一緒に手に入れたアルバム「At Home」から。日本盤のアーティスト名表記は「ナッティカム」。彼らの経歴やなんかを、そのCDのライナーノートを写して書いてもしょうがないんで、興味のある人は自分で探してね(なんといういい加減な音楽紹介ブログ!)。ちょっと内省的なメロディーに二人の味わい深いハーモニーがいい感じ。


O.jpg

ダミアン・ライス (Damien Rice)
15.Cannonball
16.Older Chests

彼も僕の最近のお気に入りSSWの一人。この上に載せたファーストアルバム「O」を始め、他のシングル盤などのジャケットのイラストも好き(ええ、通販でTシャツ買おうとしてますよ)。この15や「The Blower’s Daughter」などはシングルカットされて少しはヒットしたはず。日本ではどうだかわからないけど、実は僕が思ってるよりもメジャー展開されてるような気がする。あちこちで紹介されていたこのデビューアルバムに続く作品を早く出してほしいものだ。個人的には16の雑踏のような音が入ってくるところがなんともいえず郷愁を誘う。どうしてだろう。


Acoustic Live.jpg 1+1.jpg

ニルス・ロフグレン (Nils Lofgren)
17.Some Must Dream
グリン (Grin)
18.Lost A Number

無人島レコは決められない僕がはっきり決めている、世界で二番目に好きなギタリスト(一番の人についてはそのうち書く)。最初に結成した自身のバンド、グリン(以前「そそるジャケ」特集で採りあげたね)を結成した後ニール・ヤングのアルバムに参加、その後長い間ソロで活動していたが、「Born In The U.S.A.」以降のEストリート・バンドのリード・ギタリストとなる。基本はエレキギターを弾く人だが、この17の見事なアコースティックギターを堪能してほしい。このミックスCDの中でこの曲だけ例外的にライヴ録音を収録したのは、この曲がスタジオでは録音されていないから。何故こんなにいい曲が?って思うよ。曲が終わった後に次の曲紹介をしているけど、それはこの18じゃないから、念のため。18が収録されているグリンの71年のセカンドアルバム「1+1」は、僕の無人島レコ候補の一枚。


Runt.jpg Healing.jpg

トッド・ラングレン (Todd Rundgren)
19.Believe In Me
20.Tiny Demons

この人のことはどう紹介しよう。僕がこうしてマニアックにレコード・CDを集め出すきっかけになった人、かな。僕が大学生の頃、廃盤になっていたレコードを散々探し回った挙句、LP一枚に数千円から一万円以上も出して買うほど欲しくなったのは彼が最初。ちなみにこの「Runt」は9500円で買ったはず。最近出すアルバムはぱっとしないものが多くなってしまったのがとても残念なのだが、この19が収録されたファーストアルバムから数年間は、神がかり的に凄いアルバムを何枚も量産していたものだ。単なるSSWでなく、音的にもあれこれ冒険する人で(最近の迷走はそこから始まったのだが)、20のようなひっそりとした雰囲気の曲でも後ろで色んな音が鳴っているのがわかる。


Harvest Moon.jpg After The Gold Rush.jpg

ニール・ヤング (Neil Young)
21.Harvest Moon
22.Birds

JTで始めたからという訳ではないが、最後はもう一人の70年代SSWの代表格でしめよう(とは言え、彼こそ単にSSWというカテゴリーには簡単に入れられないのだが)。21はまさにこのミックスCDのテーマにふさわしい、中秋の名月を歌った曲。92年の同タイトルのアルバムから。22は彼の代表作の一枚、70年の「After The Gold Rush」からの隠れた名曲。このアルバムが、さっきのニルス・ロフグレンが初めて参加したもの。ただしその時はピアノとコーラスだけだったけど。僕の持ってるCDには細かいクレジットが載ってないので、このピアノがニルスなのかニールなのか、あるいはジャック・ニッチェなのかは不明。


おお、やっぱり一人二曲ずつの選曲にすると記事が短い。え、別に短くないって?(笑)。まあとにかく、僕は来週の出張に、このミックスをMP3プレーヤーに入れて持っていこう。おそらく毎晩会議と宴会で、こういう曲を聴きたくなる落ち着いた気分になるのは帰りの機内まで待たないといけない気がするけど。
posted by . at 19:38| Comment(30) | TrackBack(0) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする