2006年09月23日

今更ですがジェームス・ブラント

たった二つ前の記事にメジャーな音楽は採り上げませんって書いた舌の根も乾かぬうちにこの始末(笑)。でも数ヶ月前に買ったDVDをやっと今日観たので、それを記念(?)して記事にしよう。この人のことは、というか「You're Beautiful」という曲のことは、普段洋楽を聴かない人でも知ってるんじゃないだろうか。去年世界中で大ヒットして、確か日本では何かのCMにも使われたとか。

僕のオフィスで近くに座っているスタッフがいつも同じ局のラジオを聞いてるんだけど、どうもその時その時のヘビーローテーションを一日何十回もかけるのがその局の方針らしく、去年のある時期この曲を嫌というほど耳にして、しかも僕の隣に座っているセールスマネージャーが自分の携帯の着メロをこの曲にしてたもんだから、もう心底うんざりして「もうこんな一発屋、早く消えてくれ」と思ってた(そいつセールスマネージャーなもんだからやたらと電話かかってくるんだよ。しかも携帯机に置きっぱなしにして外にタバコ吸いに行きやがるし)。だからつい最近になるまでCDも買わなかったし、今年の初めに彼がオークランドに来たときにも観に行かなかった。

それは判断ミスだったね。何かのきっかけでアルバム通して聴く機会があったんだけど、その後迷わずそのファーストアルバム「Back To Bedlam」と、当時出たばかりだったライヴDVDとCDのセット「Chasing Time」を買いに走った。幸いなことに、もうその当時はブームのピークは過ぎてたから、中古屋に「Back To Badlam」が結構出回ってた。出遅れたことへのせめてもの抵抗として、今流通している鮮やかな青色のジャケットじゃなく、初期盤の地味な灰色のジャケットのやつを探して買った。

ジミー ハデー

何はさておきこの独特の声。一歩間違えたら「変な声」なんだけど、ここではこれがとてもうまく作用している。一回聞いたら忘れられない声、これは何より貴重。そして、曲作りが上手い。高いように聞こえるけど裏声使ってて意外と声域広くないから口ずさみやすいし。これは流石に売れるだけのことはあるね。アイドルノリだと思ってたら大間違い。

今回の記事はどっちかというと「Chasing Time」のことを書こうと思ってるんで、「Bedlam」に関してはひとつだけ。かの大ヒット曲はサビだけ聞いてると単なるラブソングかと思ってたんだけど(「You're beatutiful x 3. It's true」だもん)、でもなんだか歌詞ちゃんと読むと、「地下鉄で見かけた天使みたいな綺麗な女の子。男と一緒にいたけど僕に微笑みかけてくれた。すごく綺麗、だけど僕のものじゃない(意訳)」って、おいおいストーカーかよ、ってな内容にも読めるんだけど。なんでこんな歌詞にみんな感情移入して大ヒットしたの?

Chasing Time「Chasing Time」のことを書こう。これは副題が「The Bedlam Sessions」といい、大ヒットしたファーストアルバムの曲を中心とした、BBCスタジオでのライヴ、4曲のシングルの5つのビデオクリップ、それらのメイキング映像、ドキュメンタリー、インタビュー等が入ったDVDと、アイルランドでのライヴCDのセット。まだあるのかって思うぐらいの盛り沢山。確かにあれだけヒットした完成度の高いファーストアルバムを作ってしまうと、2枚目のプレッシャーは並大抵のものではないと思うから、それがずっこけないうちに便乗商法でこういう商品を出しておこうというレコード会社の気持ちはよくわかる(笑)。

CDもDVDも、ライヴは基本的にはスタジオ盤の演奏を忠実に再現してるって感じ。CDの方にはクラウデッド・ハウス(はい皆さん、覚えてますか?僕のブログに何回も出てきてるフィン兄弟のバンドですね)の「Fall At Your Feet」のカバー、CDとDVDの両方の最後を締めくくるのがピクシーズの「Where Is My Mind?」のカバー。DVDは画像が綺麗!顔のアップになったときなんて、無精髭の一本一本が数えられるぐらい。

そう、顔のアップが多いんですよ。この人のビデオクリップ見たことあるかな。一番有名なのがやっぱり「You're Beautiful」だと思うんだけど、終始正面からの顔のアップ。おまけに寒そうな小雨の降る中、シャツ脱いで上半身裸になるし。えい、説明するの面倒臭いからビデオつけちゃえ。

http://www.youtube.com/watch?v=Bu2QA5FUGRA

なんなんでしょう。基本的にナルシストなのかな。ライヴ映像もやたらと正面からの顔のアップが多い。そこが僕にとってはネックだったね。演奏は(ものすごく上手いわけじゃないけど)メンバー全員きちんとしてるし、さっき書いたとおり映像はものすごく精細だし、ちゃんとサラウンド音声でミックスされてるし、何も問題はないんだけど、延々彼の顔のアップを見てることになんだか気恥ずかしさを覚えてしまった。いや、ハンサムな人だとは思うから、特に女性のファンにとってはすごくいいライヴ映像なんだろうなとは思うんだけどね。ちなみに5.1チャンネルのサラウンドは、スネアの音がやたら派手にリアチャンネルまで回りこんでる以外は、極めてオーソドックスな音作り。ちゃんと歓声だけが全チャンネルから聞こえてくる。

テレビの音楽番組を殆ど見ない僕にとって、意外と掘り出し物だったのがプロモーションビデオ集。基本的にはどの曲もさっきの傾向の顔アップ+運動するジェームス君、というなんだか典型的なアイドルものビデオの作り。「You're Beautiful」では何十メートルもの崖から海に飛び込むし、「High」の後期バージョンでは森の中を走り回るし、って感じで。彼はこの仕事を始める前はイギリス軍隊に所属していてコソボにも配属されたという話だったから、すぐ裸になって締まった体を見せたい気持ちもわからなくはないんだけどね。そういえば、「You're Beautiful」の、CDでは「Fuckin' high」って歌ってる箇所、ビデオでは「Flyin' high」になってるね。やっぱりテレビ放送の方が規制厳しいんだね。

そんなクリップ集の中で異色なのが「High」初期バージョン。これはアルバムからの最初のシングルカットだったから、もちろん「You're Beautiful」で大ブレイクする前に作られたビデオ。さっきみたいな映像が何曲も続いた後でこれを見ると、ちょっと笑い出さずにはいられない。これもリンクつけておこう。最初はまたさっきのみたいなナルシスト映像かなと思うんだけど、まあ見てみて。

http://www.youtube.com/watch?v=vIe4DUjZbK0

これはちょっと、差し替えになるよねえ(笑)。イメージぶち壊し。

彼のこれまでの経歴をまとめたドキュメンタリー「Being Blunt」とインタビュー映像もなかなか興味深い。初期のライヴ映像なんかも出てくるし。僕がファーストアルバムで一番好きな「Goodbye My Lover」のことをアルバムで一番重要な曲だなんて言ってるし。影響を受けたアーティストを訊かれて「ピンク・フロイド、レッド・ゼッペリン、ピクシーズ、最近ではエリオット・スミス」なんて答えてるのを聞いて、ああそういう人なのね、とも思うし。

そうそう、そのインタビューで説明してるけど、さっき書いたストーカーまがいの歌詞、あれはその地下鉄で見かけた女の子が実は自分の元彼女で、今はもう他の男のものになってるから自分は一緒にはなれないと、つらいけど現実を見ろと、そういう解釈だったそうな。

結論。このセットは、ファーストアルバムを気に入ってる人で、彼の顔が嫌いじゃない人なら買って損はないよ。ほんとに盛り沢山。僕はライヴCDの方を中心に楽しもうと思ってるけどね。

posted by . at 19:45| Comment(20) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする