2006年07月27日

試行錯誤の人生 〜NZ女性歌手篇〜

先週末から出張に出てたせいですっかり更新が滞ってしまった。falsoさんのブログでNZのケルティック・フォーク歌手ホリー・スミスのことを教えてもらい、すぐに買いに行ったのに。せっかくコラボにしようと思ってたのに、falsoさんところもうカカオの話になっちゃった。

ケルトって、簡単に言うとスコットランドとかアイルランドの音楽のこと(詳しい方、突っ込まないでくださいよ)。あんまり音楽に詳しくない方には、エンヤみたいなやつと言えばなんとなく感じつかめるかな。

僕、NZに住んでいながらこちらの音楽を重点的に聴いてるわけじゃないんで、最初にこの人のCDを店頭で見かけたときも、こちらにありがちなマオリ/アイランダー系のヒップホップかと思って、スルーしてしまってたよ。

Hollie Smith EP.jpg ホリー・スミス「Hollie Smith E.P」

だってこのジャケットでしょ。腕一面のタトゥー、こわいよ。この人がケルティック・フォークを演ってるって聞いてびっくり。

falsoさんとこからの受け売りだけど、彼女が最初のCDを出したのは16歳のとき(2000年)。祖父母がスコットランドからの移民だそうで、ケルト音楽には小さい頃から親しんでたんだろうね。歌の上手さじゃ近所で評判で、どうせなら歌い慣れたケルト音楽でデビューしようか、と。競争相手もいないし。とまあ全然知らないですけど、そういう経緯のデビューだったんじゃないのかなあ。

知らなかった僕が言うのもなんだけど、彼女結構有名だったみたい。アメリカやUKでもそのCDは発売されたし。その翌年には、ファーストアルバムでもほぼ共同名義だったスティーヴ・マクドナルドとの連名で「Winter In Scotland」というCDを出した(またまたfalsoさんからの受け売りだと、この人はホリーの叔父さんか従兄妹だとのこと。単独でも結構CD出てます)。

でも、どうやらその2枚のCDは今やNZでは廃盤の様子。こっちのレコード屋に聞くとアメリカからの取り寄せってことだけど、試みにアマゾンのサイト見てみるとそちらでも廃盤。さすがにケルトの本場アマゾンUKではまだ扱ってるみたいだけど。つまり、一般的にはもう忘れ去られた存在になってしまっていた、と。


そんな彼女が5年ぶりに出したCDがこれ。5曲しか入ってないけど、試しに聴いてみるには丁度いいかと。NZケルティック・フォークってどんなのかな…わくわく。

1曲目。アコースティック・ギターをバックにゴスペルっぽい唄い方。うむ、さすがに歌は上手いねえ。あ、すぐ終わった。これはプレリュードみたいなもんなのかな。

2曲目。ゆったり目のソウル・バラード。途中でレゲエのリズムに変わるところが面白い。

てな感じで5曲目まで聴いてみたのですが…あの、ケルト感ゼロなんですけど。

勝手に成分解析してみると、

   Hollie Smith E.Pの53%はソウルでできています
   Hollie Smith E.Pの24%はジャズでできています
   Hollie Smith E.Pの10%はゴスペルでできています
   Hollie Smith E.Pの8%はファンクでできています
   Hollie Smith E.Pの5%はレゲエでできています

てな感じ。ケルトはゼロでした。最初と最後のアコギも、フォークっぽい感じではないし。しかも、CDをPCに入れてでてくるジャンル表示は「ダブ」ですぜ。

いや、falsoさんに文句言ってるわけじゃないですよ。これはこれで、ジャズ/ソウル・ヴォーカルのアルバムとして聴けばかなりの出来。でも僕としては期待とあまりに違ったんで、なんだか後ろから膝カックンされたような感じでした(座って聴いてるのにね)。

ちょっと調べてみると、今回のCDには、ファット・フレディーズ・ドロップやトリニティー・ルーツなど、NZのレゲエ/ダブ関連のミュージシャンがバックを務めてるねえ。それに、サンダンス映画祭で観客賞を受賞したというNZの「No.2」という映画のサントラに彼女が参加したことでも、人気が再燃した模様(そのサントラは未聴ですが、「スローテンポがたまらない一枚」だそうで)。

要は、方向変換したってことですね。最初の志はよかったし、それなりに評価もされたけど、弱小レーベルからの発売では大々的なプロモーションも打ってもらえなかっただろうし、NZでわざわざケルト音楽聴こうなんて思うのはそれこそスコットランド/アイルランドからの移民の子孫か物好きな日本人ぐらいのもんだろうから(誰?)。

最初の2枚ではほぼ同列に名前が書いてあったスティーヴ氏、今回のCDには影も形もありません。せめて謝辞のところにあったスティーヴが彼のことであればいいけど。叔父さんも、もう一枚ケルト演ろうよって言えなかったんだろうね。かわいそうに。

いやあ、それにしても惜しいよなあ。16歳でこの歌の上手さなら(今は22歳だけど)、うまくプロモートしてあげれば、シャルロット・チャーチとかジョス・ストーンみたいにドカンといったかも知れなかったのに。

あるいは、マレーシアのシティ・ヌルハリザが伝統マレー音楽とマレーポップのCDを交互に出してファン層を広げているように、ケルトものとソウル/ポップものを交互に出してみるという手もあったかも知れないのに(もしかするとこれがその第一歩なのかも)。

でもね、falsoさんも書いておられたけど、ファーストアルバムのジャケットがこれだからね。シティちゃんは歌が上手いうえに可愛いからマレーシアの歌姫になれたけど、この16歳のホリーちゃん、恐いんだもの。メンチ切るなよ(註:「ひき肉を作る」の意味に非ず)。

Light From A Distant Shore.jpg ホリー・スミス「Light From A Distant Shore」



これで記事しめようと思ってたら、なんと今回出張先のクライストチャーチのCD屋で偶然このアルバムを中古で発見。え、出張じゃなかったのかって?いや、あの、どんな仕事にも休憩時間というものは必要ですから…

僕がこれをレジに持っていくなり、店員のお姉さんが「あなたこれ聴いたことあるの?」

なんでそんなこと訊くの? 僕に話しかけるきっかけ作り?(アホ) または、こんな地味なCD買う日本人が珍しいのか? あ、それともあれか。E.Pの方聴いてからソウルだと思ってこれ買った客が何度も返品してきて辟易してるんやな。

「EPは持ってるけどね。これ聴くのは初めて。ケルトらしいね」って言ってあげたら、もう目を輝かせて「そうなの。彼女このときまだ16歳だったのよ。これはいいアルバムだから!」って、絶賛。

さっき出張から戻ってきて聴いてみた。falsoさんと彼女の言う通りでした。
posted by . at 19:03| Comment(4) | TrackBack(1) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする