2006年07月30日

Clap Your Hands Say Yeah アルバム評

しばらく前の記事に載せたトゥイーカーの“虫坊や”とか、ホセゴンの“森林浴ルームランナー”とか、どうも僕がジャケ買いしてしまうタイプのジャケットに惹かれる読者の方が数名おられるようで(笑)、その手のジャケット写真を満載した「そそるジャケット特集」をやろうと思っていたところ、ちょっとそんな特集に混ぜてしまうにはもったいないアルバムのことを思い出したので、先に記事にしてしまおう。

CYHSY クラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤー 「Clap Your Hands Say Yeah」

アメリカでこのアルバムが出たのはもう去年の6月。日本盤が出てからでも早や半年経つので、僕の中では今さら感があるんだけど、なにしろ僕の今のところの今年のアルバム・オブ・ザ・イヤー第一位候補なもんで、採り上げておこう。

最初アメリカで出したアルバムは、レコード会社を一切通さない完全インディペンデント。メンバーが自分達で作ったCDをコンサート会場やインディーズを扱うレコード屋に配送して売ってたのが話題になったらしい。

もちろんアマチュアバンドがその手の活動をするだけで話題になるわけはなく、この特異な音が絶賛されたんだけどね。なんと形容すればいいんだろう。日本盤CDのライナーノーツを始め、あちこちの雑誌でいろいろなバンドの名前とありとあらゆる形容詞を使って表現されてるんだけどね、デイヴィッド・バーンの声とか。僕なら、疾走感のある たま(僕と同世代で「イカ天」見てた人なら覚えてるはず)とでも言うかな。

こんな音は聴いたことなかった。1曲目は特に変。大体その1曲目のタイトルが「Clap Your Hands!」。本来なら自分達のマニフェストにしてもおかしくない、ファーストアルバムの1曲目、しかもバンド名を冠した曲がこんなにもぐにゃぐにゃだなんて。

でも次の曲からちょっと雰囲気が違ってくる。さっきも書いたけど、「疾走感」。1曲目で乗せられたぐにゃぐにゃな形の車で、そのまま猛スピードですっとばされてる感じ。途中でトイピアノを使ったかわいいインスト曲なんて出てきたりして、ほんとに面白い。

僕はどこかでCD評を読んだだけで音は聴いてなかったんだけど、このジャケットを見ただけで買うことにした。で、大正解だった。ジャケット通りの音。同じくこのジャケットにぴんときた人、要注意。決して誰にでも勧められるアルバムじゃないけど、これははまってしまった人は抜けられないはず。

ちなみに裏ジャケのイラストはこれ。スキャンしようと思ってたけど、同じイラスト見つけたからいいや。内ジャケットにはこいつらがうようよしてます。ね、こういうの見ると音楽はダウンロードするんじゃなくってちゃんとCD買おうと思うでしょ?(^^)

裏ジャケ

ちなみにジャケ画の作者はダーシャ・シシュキン(Dasha Shishkin)。このイラストが気に入った人は、この人のサイト見てみればいいかも。僕はこのクラップ・ユア・ハンズのシングル盤も含めた一連のCDジャケットほど気に入ったものは見つけられなかったけどね。

最初にUK盤(アメリカ盤は上記の理由で入手困難だったから)を手に入れたんだけど、今年1月に出た日本盤は去年10月にワシントンDCで録音されたライヴ4曲が入った2枚組。V2レコードはほんとにいい仕事するよね。って感心してる場合じゃないよ。トホホ…買い直し。最初のUK盤は中古屋に売って、と。人気盤なんでそこそこ高く売れたけど。

そしたらなんと、今月になってNZ盤が今年のミネアポリスでのライヴ5曲が入った特別仕様で出た。日本盤と曲目違い。お前らええ加減にせえよ!何枚同じ盤買わせたら気が済むんや!そんなに各コンサート録音してるんなら、ちゃんとしたライヴ盤出せよ。

ああ、家にこの坊や達のジャケットが増えていく。このCDをジャケ買いした人へのたたりかな… 最初のUK盤、売るんじゃなかった。もうこうなったら、次東京行った時にこないだ渋谷のユニオンに壁面ディスプレイしてあったLPも買って帰るか。
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2006年07月29日

NZのメリーさん

「ひそそかの窓」さんのブログに僕が書いたコメント

>こちらの自動車教習所のテキストの挿絵(道路や交差点が書いてある)の道端のところには必ず羊が描いてあります。毎ページに。

に、ほのかに反応してくださった方がおり、是非見てみたいということなので、小ネタを一つ。

まずは「道路は左側通行」という基礎中の基礎のページに登場。ここでは恥ずかしげに木の陰に隠れています。

羊が3匹

ここにもいました。青い車が無謀な追い越しをかけている横でのんびり水など飲んでおります。

暴走族と羊

何匹いるのでしょう。これが一番実際の景色に近いかも。

見渡す限りの羊

おっとここにも。なにやらシロアリのようにも見えます。

シロアリ

とまあ、こんな感じで。「毎ページ」ってのはさすがに誇張だけど、これだけあちこちにまるで風景の一部として当然のように写りこんでると、運転免許の勉強中にも思わず頬が綻んでしまうというもの。羊の数が人口の10倍いるというNZならではのお話。


僕はこれまで仕事の関係であちこちの国を転々としてるけど、こういうちょっとしたところにそれぞれのお国柄が見られるのが楽しみ。でも、転勤・引越しが多いとやっぱりそれなりに問題もある。

いつも引越しのたびに引越し業者の人に言われるのが、うちは物が多いってこと。マレーシアからの出荷のときにはその日系業者さんがそれまでに扱った中でも歴代2位の多さだったとか。理由は簡単、荷物の1/3強はレコード・CD類です。あと本かな。

引越しのときにはそのレコード類に一番時間と手間がかかるのが難点。ケースが破損したりジャケットが折れたりなんてのはよくあること。昔ジャカルタからジェッダに引越しした際に、7インチシングルと10インチEPの入った箱が全部紛失してしまったのが今までで最大の痛手。保険でお金は戻ってきても、子供の頃にコツコツ買った当時のシングルやら大きくなってから大人買いした貴重盤なんかは戻ってこないから。


なくなってしまったシングルの一枚がこれ。そんなに貴重盤ってわけじゃないけど、中学のときになけなしの小遣いで買ったレコードって、買ったときの状況まで全部覚えてるもんだから、そんなのがなくなるとつらいよね。

ポールのメアリー

これは72年当時ポールが娘のメアリのために作った曲(同名の童謡ではありません)。そんなのシングルで発売するなんて、親バカ(笑)。でも自分の父親がポール・マカートニーで、その人が自分のために曲を書いてくれるなんて、一般人には想像もできない幸せだろうね。

このブログに写真を載せるのは自分で持ってるレコード・CDだけって決めてるんで、なくなってしまったこれはちょっと異例。異例のままにしておくのも癪なので、さっきイーベイで買ってしまった。これは僕の知る限りCDにはなってないから、昔のままの7インチ。僕の持ってた日本盤ではないけど、まあそれはよしとしよう。

そんなに高かったわけじゃないけど、また家にレコードが増えてしまった。僕をそそのかせてこの記事をかかせた(どう音楽と結びつけるんです?なんて訊いた)Kさん、あなたのせいです(笑)
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2006年07月28日

人口密度の夜 Arctic Monkeys live in Auckland

どこの国の音楽業界もそうだけど、ちょっと停滞してくると音楽雑誌がぽっと出の新人を強力にプッシュして、あたかも現代のビートルズが現れたように煽ることは日常茶飯事。

アークティック・モンキーズという英国のバンドがいる。今年になって最初のアルバムを出したばかりなのに、もう世界中のメディアでものすごい持ち上げよう。

でもね、こういう音楽を20年以上も聴いてきたおっさんにはもうその手は通じないんですよ。ハイプ(誇大広告)だって判ってるから。僕はストーン・ローゼスのセカンドアルバムにどれだけ落胆させられたかを覚えてるし、オエイシス(オアシスです)のアルバムは「今度こそ」と毎回買うけど必ず中古屋に売ってしまってるし。スエードが、ライドが、ファイヴ・サーティーが、パルプが、みんなどうなったか知ってるんだから。

というわけで、巷で話題の北極猿のCDは買わなかった。買えば好きなタイプだっていうのはわかってるんだけど。オークランドに来るって聞いたときも、積極的にチケット取ろうとも思わなかった。そしたら一週間で売り切れたって。ふーん。

そしたら何週間か前に同僚が「チケット余ってるんだけど」って。まあタダなら行くかと了承したら、ちゃっかり65ドル取られてしまった。コンサート行くんなら聴いとくかとCD買ったのが運の尽き。はまってしまった。こうなるのは判ってたんだけど…


さっき行ってきました。会場は先週と同じセイント・ジェームス。こないだの記事でキャパ1000人なんて書いたけど、今日聞いたら3階席まで全部入れて2500人だって。それが一週間で売り切れたの?ふむふむ、さすがハイプ。

今日は同僚と二人で行った。身長2mの英国人。一応部下なんで「俺の前には立つなよ」と忠告。それでもものすごい混みよう。他にもあちこちに2m級がいて大変。なんとか中央すこし後ろあたりの多少は見やすいところにポジションを取った。日本の3/4の面積に4百万人しか人口のいないNZで、多分今夜一番人口密度高いのはここだろうね。


このバンド、英国はシェフィールド出身で、ロンドン出身のその同僚に言わせると、北部訛りでスラングを多用した歌詞が面白いんだそうな。

例えば、bouncer ってバーやクラブのドアの前にいる黒服なんだって。酔っ払った客やなんかをボールみたいにぽんぽん放り投げるから。そんなの歌詞聴いただけじゃわかんねえよ。英国在住経験のある方、知ってました? おまけにCDに歌詞カードついてないし。


前座のオーストラリアのバンドが終わってからもじらすじらす。さんざん待たされた頃にはもうフロアはびっしり。そこで客電が落ち、1曲目は意外にもアルバムで唯一のスローナンバー「Riot Van」。おおっ、客が皆で歌う歌う。僕歌詞覚えてないよ。適当に叫ぶ。そのまま2曲目「The View From The Afternoon」にほぼメドレーで突入。

もう後はどの曲を何曲目に演ったかなんて覚えてられない。久しぶりのモッシュ(全員で波状になること、かな?日本語がわからん)。満員電車の乗客がそのまま全員で踊っている状態といえばよいでしょうか。僕もどさくさまぎれにどんどん前へ。足さんざん踏まれたけど同じ回数は踏んでやったから。

後半「I Bet You Look Good On The Dancefloor」や「Perhaps Vampires Is A Bit Strong But...」などの代表曲が続く(それにしてもタイトル長いよなあ)。自分の前に2mがいないのはいいけど、後ろの奴、俺の肩を支点にしてジャンプするのはやめろって!

僕の持ってるファーストアルバムからは目ぼしい曲はほぼ全部演ったし、僕の知らない曲も数曲演奏。その中にもいい曲があったからまたEPだのシングルだの集めないといけないよ… あれ、ハイプだとか言って興味なかったくせに。

コンサートは1時間弱で終了。アンコールなし。うん、もういいよ、汗だくだから。なんか耳聞こえないし。あ〜あ、靴が床にこぼれたビールでびちゃびちゃ。でも楽しかった。やっぱりこの手のバンドはライヴに限るよ。

やれやれ、こういう音楽聴き始めた頃はロックミュージシャンって憧れの対象だったのに、このままじゃすぐに自分の子供みたいな人たちのライヴに行くようになるんだろうな。いつになったらこういう若者向けの音楽に飽きるんだろう…


北極猿 アークティック・モンキーズ「Whatever People Say I Am, That's What I'm Not」
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2006年07月27日

試行錯誤の人生 〜NZ女性歌手篇〜

先週末から出張に出てたせいですっかり更新が滞ってしまった。falsoさんのブログでNZのケルティック・フォーク歌手ホリー・スミスのことを教えてもらい、すぐに買いに行ったのに。せっかくコラボにしようと思ってたのに、falsoさんところもうカカオの話になっちゃった。

ケルトって、簡単に言うとスコットランドとかアイルランドの音楽のこと(詳しい方、突っ込まないでくださいよ)。あんまり音楽に詳しくない方には、エンヤみたいなやつと言えばなんとなく感じつかめるかな。

僕、NZに住んでいながらこちらの音楽を重点的に聴いてるわけじゃないんで、最初にこの人のCDを店頭で見かけたときも、こちらにありがちなマオリ/アイランダー系のヒップホップかと思って、スルーしてしまってたよ。

Hollie Smith EP.jpg ホリー・スミス「Hollie Smith E.P」

だってこのジャケットでしょ。腕一面のタトゥー、こわいよ。この人がケルティック・フォークを演ってるって聞いてびっくり。

falsoさんとこからの受け売りだけど、彼女が最初のCDを出したのは16歳のとき(2000年)。祖父母がスコットランドからの移民だそうで、ケルト音楽には小さい頃から親しんでたんだろうね。歌の上手さじゃ近所で評判で、どうせなら歌い慣れたケルト音楽でデビューしようか、と。競争相手もいないし。とまあ全然知らないですけど、そういう経緯のデビューだったんじゃないのかなあ。

知らなかった僕が言うのもなんだけど、彼女結構有名だったみたい。アメリカやUKでもそのCDは発売されたし。その翌年には、ファーストアルバムでもほぼ共同名義だったスティーヴ・マクドナルドとの連名で「Winter In Scotland」というCDを出した(またまたfalsoさんからの受け売りだと、この人はホリーの叔父さんか従兄妹だとのこと。単独でも結構CD出てます)。

でも、どうやらその2枚のCDは今やNZでは廃盤の様子。こっちのレコード屋に聞くとアメリカからの取り寄せってことだけど、試みにアマゾンのサイト見てみるとそちらでも廃盤。さすがにケルトの本場アマゾンUKではまだ扱ってるみたいだけど。つまり、一般的にはもう忘れ去られた存在になってしまっていた、と。


そんな彼女が5年ぶりに出したCDがこれ。5曲しか入ってないけど、試しに聴いてみるには丁度いいかと。NZケルティック・フォークってどんなのかな…わくわく。

1曲目。アコースティック・ギターをバックにゴスペルっぽい唄い方。うむ、さすがに歌は上手いねえ。あ、すぐ終わった。これはプレリュードみたいなもんなのかな。

2曲目。ゆったり目のソウル・バラード。途中でレゲエのリズムに変わるところが面白い。

てな感じで5曲目まで聴いてみたのですが…あの、ケルト感ゼロなんですけど。

勝手に成分解析してみると、

   Hollie Smith E.Pの53%はソウルでできています
   Hollie Smith E.Pの24%はジャズでできています
   Hollie Smith E.Pの10%はゴスペルでできています
   Hollie Smith E.Pの8%はファンクでできています
   Hollie Smith E.Pの5%はレゲエでできています

てな感じ。ケルトはゼロでした。最初と最後のアコギも、フォークっぽい感じではないし。しかも、CDをPCに入れてでてくるジャンル表示は「ダブ」ですぜ。

いや、falsoさんに文句言ってるわけじゃないですよ。これはこれで、ジャズ/ソウル・ヴォーカルのアルバムとして聴けばかなりの出来。でも僕としては期待とあまりに違ったんで、なんだか後ろから膝カックンされたような感じでした(座って聴いてるのにね)。

ちょっと調べてみると、今回のCDには、ファット・フレディーズ・ドロップやトリニティー・ルーツなど、NZのレゲエ/ダブ関連のミュージシャンがバックを務めてるねえ。それに、サンダンス映画祭で観客賞を受賞したというNZの「No.2」という映画のサントラに彼女が参加したことでも、人気が再燃した模様(そのサントラは未聴ですが、「スローテンポがたまらない一枚」だそうで)。

要は、方向変換したってことですね。最初の志はよかったし、それなりに評価もされたけど、弱小レーベルからの発売では大々的なプロモーションも打ってもらえなかっただろうし、NZでわざわざケルト音楽聴こうなんて思うのはそれこそスコットランド/アイルランドからの移民の子孫か物好きな日本人ぐらいのもんだろうから(誰?)。

最初の2枚ではほぼ同列に名前が書いてあったスティーヴ氏、今回のCDには影も形もありません。せめて謝辞のところにあったスティーヴが彼のことであればいいけど。叔父さんも、もう一枚ケルト演ろうよって言えなかったんだろうね。かわいそうに。

いやあ、それにしても惜しいよなあ。16歳でこの歌の上手さなら(今は22歳だけど)、うまくプロモートしてあげれば、シャルロット・チャーチとかジョス・ストーンみたいにドカンといったかも知れなかったのに。

あるいは、マレーシアのシティ・ヌルハリザが伝統マレー音楽とマレーポップのCDを交互に出してファン層を広げているように、ケルトものとソウル/ポップものを交互に出してみるという手もあったかも知れないのに(もしかするとこれがその第一歩なのかも)。

でもね、falsoさんも書いておられたけど、ファーストアルバムのジャケットがこれだからね。シティちゃんは歌が上手いうえに可愛いからマレーシアの歌姫になれたけど、この16歳のホリーちゃん、恐いんだもの。メンチ切るなよ(註:「ひき肉を作る」の意味に非ず)。

Light From A Distant Shore.jpg ホリー・スミス「Light From A Distant Shore」



これで記事しめようと思ってたら、なんと今回出張先のクライストチャーチのCD屋で偶然このアルバムを中古で発見。え、出張じゃなかったのかって?いや、あの、どんな仕事にも休憩時間というものは必要ですから…

僕がこれをレジに持っていくなり、店員のお姉さんが「あなたこれ聴いたことあるの?」

なんでそんなこと訊くの? 僕に話しかけるきっかけ作り?(アホ) または、こんな地味なCD買う日本人が珍しいのか? あ、それともあれか。E.Pの方聴いてからソウルだと思ってこれ買った客が何度も返品してきて辟易してるんやな。

「EPは持ってるけどね。これ聴くのは初めて。ケルトらしいね」って言ってあげたら、もう目を輝かせて「そうなの。彼女このときまだ16歳だったのよ。これはいいアルバムだから!」って、絶賛。

さっき出張から戻ってきて聴いてみた。falsoさんと彼女の言う通りでした。
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2006年07月21日

Jose Gonzalez live in Auckland

昨晩はホセ・ゴンザレスのライヴだった。

Jose in town

スウェーデン人のフォーク系シンガー・ソングライター(SSW)。名前から察せられるように、彼の両親はアルゼンチン人。去年リリースしたデビューアルバム「Veneer」が世界各地で話題になった。日本ではどうなんだろう。一応日本盤は出ているようだけど。地味な存在なんだろうな、きっと。

ここNZでは彼の人気は高いようで、そのブレイクのきっかけとなったのが、去年ソニーのブラビアのテレビCMに使われた「Heartbeats」という曲。僕もそのCMで彼の存在を知った。それで、次の日にはアマゾンにオーダーするほどに気に入ってしまった(当時まだNZ盤は出ていなかった)。左のリンク先の「The Commercial」をクリックすれば見られます。元々2分40秒の曲なので、エクステンデッド・バージョンだとほとんど一曲全部聴けてしまう。そのエクステンデッド・バージョンに出てくるカエルと犬がかわいい。このCMはヨーロッパでも流れたはずなので、ヨーロッパにお住まいの方なら見られたことがあるかもしれませんね。

少しこの手の音楽を聴いている人なら、アルバムを一聴してまず連想するのがニック・ドレイクだろう(僕も最初は彼の未発表曲かと)。

僕はずっと宇宙や星の話が好きなんだけど、彼の音楽を聴くと小さい頃に教わった恒星の色の話を思い浮かべてしまう。夜空に見える冷たそうな青白い星は、赤く燃えているように見える星の何倍もの温度になるって。子供心にそれが不思議でね。

彼の音楽を形容すると、そんな感じ。とても静かなんだけど、触れると火傷しそうなほど熱いっていうか。

Veneer.jpg Jose Gonzalez 「Veneer」

アルバムは基本的には本人のアコースティックギター(とパーカッション)の弾き語りのみ。最後の曲にちょっとトランペットが入ってるか。このジャケットを見てもらえば、フォーク系SSWっていっても、例えばジェームス・テイラーとかの暖かい感じとは違うっていうのがわかってもらえるかな。なんかこう、荒涼とした雰囲気っていうのかな。このアルバムは自己プロデュースだけど、故マーティン・ハネットがプロデュースしたらどんな風になっただろう、なんて想像してしまう。そんな音。

歌われてる歌詞も、俳句っぽいというか、侘び寂びの世界に近いものがある。たとえば、

「Remain」
  僕らは生き残る
  みんな雨で洗い流されてしまったあとも
  僕らは今みたいにまっすぐに立っている

「Lovestain」
  きみは僕の心に愛の傷をつけていった
  きみは地面に血の跡を残していった
  血は洗い流せるけれど

これ歌詞の抜粋じゃないですよ。これでそれぞれ一曲ずつ。まあ、多分英語が母国語じゃないってことで、あんまり難しい詞は書けないんだろうけど。

Australian Tour EP.jpg Jose Gonzalez 「Australian Tour EP」

さっきジャケット画の話をしたけど、僕が買ったもう一枚CDのジャケットはこれ。これには惹かれる人もいるのでは?森林浴ルームランナー(笑)これは最初の3枚のシングル盤の中から、「Veneer」には収められていない曲を網羅したお徳盤。プラス「Heartbeats」の“ロケットボーイ”リミックスなんてのも入ってて笑える。

このCDの1曲目がジョイ・ディヴィジョンの「Love Will Tear Us Apart」のカバー。これも結構この人の音楽性を物語っているかも。もちろん音楽的にはジョイ・ディヴィジョンとは正反対と言っていいほど違うんだけど、この音楽には何か情念のようなものを感じる。もしイアン・カーティスがバーナードのギターだけをバックに録音を残していたとしたらこんな風に聴こえたんじゃないだろうかと思えてしまう。

ただ、5曲目ではカイリー・ミノーグのカバーなんて演ってるんで、僕がさっきから情念云々書いてるのがどこまで本人の自覚と合致してるのかちょっと不安にはなるんですけどね。


そろそろライヴの話を書こう。会場はセイント・ジェームス・シアター。オークランドでは中規模のコンサート会場。多分キャパは1000人ぐらいかな。日本で言うとどこかな(ずっと日本でコンサート行ってないから最近のハコはよくわからん)。ずっと昔に行った川崎クラブチッタ、に2階・3階席を付けたって感じかな。ヨーロッパ風のクラシックな内装。

St. James.JPG

7時半開場、8時半開演と書いてあったけど、前にオークランドで行った別のコンサートでは、開演予定時間から一時間以上も経って始まった経験があるんで、余裕を見たつもりで8時過ぎに到着(ええ、それまでレコード屋で時間を潰してましたとも)。意外にも既に結構な人の入り。そこは一人で行った利点、ムリムリと人の間を掻き分けて一番前まで進出。ステージ前に置いてあるスピーカー前に陣取ることに成功。もたれられるから楽ちん。ただ、一人で行った欠点、一旦トイレに立ってしまうと元の場所に戻って来れなくなるので、待ち時間ビール飲みたいけどぐっと我慢。絶対開始時間とか遅れてこれから下手したら3時間とかこのままじっとしてないといけないからね。

予想に反して、予定時間わずか5分遅れで前座が登場。NZのSSW、クリス・ノックス(Chris Knox)。ぱっと見、スティングをちょっとおっさんぽくした感じ(そりゃ褒めすぎ?まあスティングみたいなおっさんをどうやってあれ以上おっさんぽくするのかという問題点はありますけど)。チェロのレイチェル(苗字失念)がサポート。クリス曰く、この組み合わせでステージに立つのは初めてとのこと。その割りにはしっくりきてたけどね。

NZではベテランのクリス、客を煽るわ笑わせるわ、結構楽しいステージでした。ギターの弦を切って(6弦だけが切れたのなんて初めて見た)それを張り替えてる間もずっとしゃべりっぱなし。楽しかった。音楽的にはちょっと僕の好みじゃなかったんで、CD買うほどではないけれど。CDといえば、ステージでの彼の談:「今度出した新譜は“Chris Knox And The Nothing”て名義なんだけど、そのグループ俺だけなんだ(笑)で、そのCD、真っ白のデジパックジャケットの真ん中にオフホワイトでタイトルが書いてあるんだけど、誰も買わねえ(笑)」

さて、自分で予告したとおりクリスのステージは(弦交換も含めて)きっちり45分で終了。15分ほどの間をおいて、いよいよホセがステージに現れた。オープニングは「Veneer」のLPだと多分B面1曲目にあたる「Deadweight On Velveteen」。ギターが巧い!ガムテープでピックアップを取り付けただけのなんの変哲もないクラシックギターに、この音は多分スチール弦を張ってるんだろうな。ラテン系の名に恥じない、フラメンコっぽいリズム感。ものすごくパーカッシヴなプレイ。スピーカーにもたれかかって聴いてるせいもあって、低音弦の音が体にビンビン響く。格好いい!

Jose1.JPG Jose2.JPG

3曲目のインストゥルメンタル「Suggestions」からほとんどメドレーのように始まった「Heartbeats」。え、もう演るの?って感じ。でもこの繋ぎが絶妙。始まった途端にぞくっときたよ。一番有名な曲を早や4曲目に披露してこの後大丈夫かなとも思ったけど(実際、僕の近くに立っていた奴はこの曲が終わったら帰っちゃいました)でもその後も全然飽きさせない。さっきのクリスとは違って、曲間には恥ずかしそうにボソボソ話すだけなのに。

冒頭にニック・ドレイクを連想って書いたけど、こうして実際に目にすると、エリオット・スミスのライヴってきっとこんな感じだったんじゃないかな、とも思う。繊細だけど力強い音。

アルバムでは大半の曲でボーカルがダブルトラックになっていたので、ライヴではどうするのかなと思っていたら、6曲目からは2人のサポートメンバーが登場。パーカッションとコーラス担当の男性(名前が聞き取れなかった)と、僕には名前がわからないなんだかささやかな音を出す楽器とコーラス担当の女性。

3人.JPG

この女性、なんか日本人っぽい顔してるなって思ってたら、メンバー紹介で「ユキミ・ナガノ」って。僕知らなかったんだけど、帰って調べてみたら、北欧・クラブ・ラウンジ・ジャズ(なんかそれらしい単語並べてるだけですが。僕その辺あんまり詳しくないんで)の世界ではちょっと有名な人みたい。

このあたりでどこからともなくマリファナの匂いが…

ホセの10曲目の紹介:「これは新曲なんだけど、まだタイトルがないんだ。でもいい曲だよ」てのがなんだか可愛かった。後で手に入れたセットリストを見ると「NY」となってたので、もしかしたらユキミさんの曲かも。

本編最後の2曲は他人のカバー。まずは先述のカイリー・ミノーグ「Hand On Your Heart」、続いてマッシヴ・アタックの「Teardrop」で幕。あ〜あ、「Love Will Tear Us Apart」演ってほしかったな。それにしてもこの時点で始まってまだ40分ぐらい。ちょっと、前座より短いってのはあんまりじゃない?

で、まあ予定調和的にすぐアンコールに応えて2曲を弾き語り。最後にまた二人を呼び戻して(これはセットリストには載ってなかったけど)スウェーデンの民話を基にしたという「Sensing Owls」で終了。「また来年」だって。うーん、物足りない。

でも、短かったけど、ライヴの内容自体には大満足。本当にいいライヴだった。帰りの車の中から今に至るまで、ずっと彼の2枚のCDをリピートして聴いてしまってるほど、どっぷりはまってます。


さっき歌詞が俳句っぽいなんて書いたけど、コーラスをユキミさんにやらせていることから考えても、もしかしたら彼は日本びいき、というか日本文化が好きなのかも、と思ってしまう。そんなところに彼のサイトで見つけたこの「Hand On Your Heart」のビデオ、最高です。浮世絵アニメ(笑)YouTubeでも見られますが、残念ながらYouTubeからのビデオの貼り付け方がわかりません。“Jose Gonzalez”で検索して、この曲名を探してみてください。(追記:カブ子さんがコメント欄にリンクを貼り付けてくれました。興味のある方はそちらをご覧ください。カブ子さん、ありがとうございました)

もうひとつ、「Stay In The Shade」のビデオは彼のアルバムジャケットのイラストを描き続けているElias Araya(多分スウェーデン人なので正確な読み方を知りません)の絵が動くこのビデオも好きです。他にも「Crosses」のビデオを観たけど、この人のセンス、好きだなあ。

あ、よく見ると、セットリストの紙に彼の名前のロゴ(?)がついてるけど、それも同じ人のデザインっぽい。見えるかな?

setlist.pdf


よく、ライヴで聴くとレコードの音と違ってがっかりすることもあるけど、今回はまったくその逆。あのひっそりした、でも熱を持ったレコードの音がそのまま再現されててすごいと思った。

正直言って、僕はここまで気に入ってるけど、これを万人にお薦めできるのかどうかわからない。さっきリンクを載せたCMやプロモーション・ビデオを観てくれた人ならもう音は聴いたから自分で判断できるだろうけど。こんな音がオークランドの1000人級の会場(実際には3階は使ってなかったので1000人は入ってないと思うけど)を埋めるほどのファンに受けるとは思えない。CM効果なのかなあ。

でもこの人は大化けすると思う。出たばかりのゼロ7の新譜にもゲスト参加してるらしいし、もっともっと露出が増えてくるだろう。でも、ふと気になったのが、さっき僕がこの人を形容するときに出した3人の名前。ニック・ドレイク、イアン・カーティス、エリオット・スミス。自ら命を絶った人ばかり。ライヴ中、曲間は終始嬉しそうにニコニコしてた彼を見るかぎりは、この人はそんな道を選ぶことはないと思うんだけど。

いいコンサートに行くと本当に生活が充実した気分になるよ。さあ、来週はアークティック・モンキーズ!今度はスピーカーにもたれてなんて聴いてられないぞ。

セットリスト

1. Deadweight On Velveteen
2. Storm
3. Suggestions
4. Heartbeats
5. All You Deliver
6. Stay In The Shade
7. Slow Moves
8. Remain
9. Lovestain
10. 新曲 (NY?)
11. Hand On Your Heart
12. Teardrop

Encore
1. Crosses
2. Hints
3. Sensing Owls
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2006年07月17日

追悼 シド・バレット

なんかブログ始めて二週間でまだ10回も記事書いてないのに、やたら追悼記事ばかりになるな。

先週しばらく外の情報から隔離された生活をしていた間に、シド・バレットの訃報が出回っていたようです。帰って来て開いたall musicのトップページに「The Madcap Gets The Last Laugh」という記事を見つけてびっくりした。

日本語・英語を問わず、もう既にものすごい数の追悼文がネット上に出ているので、今さら僕が駄文を重ねる必要もないんだけれど、でもやっぱりこの人のことは自分で書いておきたい。

PinkFloyd_ANicePair

いろんなブログでいろんな人がこの人にまつわるアルバムの画像をアップしてるけど、僕の場合はこれ。確か最初に買ったピンク・フロイドのLP。

僕がピンク・フロイドを聴き始めたのなんて、もう末期もいいとこ「The Wall」からなんで、当然このファースト&セカンドの音は買う前に期待してたものと全然違ったんだけど、でもこのファーストは、同じ名前の別グループ(間違った言い方だけどある意味正しい)が作った傑作アルバムとして、それからずっと聴き続けてる愛着のあるアルバム。うちにはいろんなバージョンが3種類もあるよ。2006年に入ってもまだ同じアルバム買い続けてるし(発売30周年記念モノラル・バージョン!やっと中古で見つけた)。

90年代の頭ぐらいかな、当時購読してたロッキング・オンって雑誌に禿げて太ったシドの写真が載せられてて(それは確か今で言うパパラッチが撮ったUKのタブロイドからの転載。いまやネット上にそんな写真ばっかり溢れてるけど)、ああこの人はもうこういう形でしか話題に上ることはないのか、って妙に淋しくなったのを憶えています。

そのときから常に頭の片隅にあったのは、この人が死んでしまったとしても、もうちゃんとしたニュースにはなるまい、もしかしたら報道さえされないんじゃないか、という悲しい気持ち。

今あちこちのブログに書いてあるように、彼が音楽の世界に貢献したのなんて1960年代末期からのほんの数年間だけだし、当然僕も含めて同時代から熱心に聴き続けているファンなんて殆どいるはずもないから、そんなにショック受ける方がおかしいし。

もう30年も死んだも同然の生活をしていた彼が実際にこの世からいなくなったとしても、きっと誰ももうそんな大騒ぎはしないよね…

それが、さっきのall musicの心のこもった長文追悼記事を始め、いろんな人たちのしんみりとした文章を読んでいくうちに、なんだかやけに感傷的になってしまって、涙なんて出てきたりしてしまった。あれ?僕だってそんなに思い入れがあったわけでもないのに… でも、嬉しかった。こうして世界中のファンが彼の最期に忘れずにきちんとお別れの文章を残しているのを見て。


さようなら。お疲れ様でした。うちには聴ききれない程のレコードがあるけど、その中でも貴方の作ったやつは40年近く経ってもまだ抜群にピカピカした音を出してますよ。

Syd Barrett 1946-2006
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2006年07月16日

南島の雪山に行った

4泊5日でNZの南島、クイーンズタウン近郊にスキー&スノーボードに行ってきました。全然音楽の話じゃないですが、せっかくブログ作ったのに最近全然書けなかったのでそのこと書きます。

僕は普段北島のオークランドにいるんですが、ここは南半球なので当然南に行くほど寒くなるのです。多分普通に日本に住んでいる方には、南の島でスキー、なんて変な感じでしょうか。

初日は朝7時発クライストチャーチ経由クイーンズタウン行きのフライト。クライストチャーチを出るともう眼下は雪山。遠くにはNZ最高峰、マウントクックも見えます。

雪山.JPG

しばらく飛ぶと機長のアナウンス。「クイーンズタウン近辺ちょっと天候よくないんでうまく降りられないかも。天気よくなるよう祈りましょう(Crossing fingers)」。なんやそれー!?乗客全員でエンガチョしといてやるから、あんたはちゃんと操縦桿握っててくれー!

まあ、うまく降りられないってのはクライストチャーチに引き返しますって意味なんでしょうが、クイーンズタウン空港って結構着陸直前まで山のすぐ際を通過するんで、天気の悪い日は横風びゅんびゅんくらってかなり揺れます。でもまあなんとか無事着陸。やっぱり南島はさぶい…

日本と違ってこの国のスキー場には、ゲレンデ近くに宿泊施設がありません。今回の場合は、クイーンズタウンに宿を取って、すぐ近くの2つの山(とは言っても近い方で30分、もう一方は1時間強)に日替わりで出かけました。レンタカー借りようかとも思ったんですが、不慣れな山道をチェーン巻いて走るのも億劫で、定期便のシャトルバスにしました。実際、目もくらむような崖っぷちの、ガードレールもないデコボコ道を延々上がって行くバスの中で、この判断が正解だったことを思い知らされました。

でも初日には行く予定だったのと違う山行きのバスに乗ってしまい、帰りには最終バスに乗り遅れて従業員用のバスに乗っけてもらって帰ってくるようなヘマもしでかしてます。うーん、ちゃんと何曜日にどっちの山に行けばいいかきちんと考えてたのに。相変わらず<綿密に計画を立て、行き当たりばったりに行動する>旅行をしています。僕ならこんなやつと一緒に旅行には行きたくないですね。

あれっ?と思ったのが、山の上には雪が積もってるのに、ある一定の標高以下には全然雪がないんですよ。1000メートルぐらいが境界線かな。

スキー場からの景色.JPG

なので、滑りながらコースの外を見ると普通の山。変な感じ。昔よく行った日本のスキー場って、確かふもとの街まで全部雪が積もってたような記憶があったんですが。これって普通なのかな。まあ、お陰でアフタースキーは全然雪のことを気にせずにすみました。

場所と時間帯と天候にもよりましたが、雪質は最高。「さらさら」というよりも「ふわふわ」と形容したくなるような新雪は、わざわざこんな遠くまで来た甲斐があると思わせてくれました(でも夕方にもなると下の方はガリガリのアイスバーンになるんですけどね)。

僕は今回は最初の二日間スキー、最終日はスノーボードと細切れな借り方をしたのであんまり恩恵にあずかれなかったのですが、レンタルはクイーンズタウン市内で複数日契約した方がお得です。スキー場で借りると長蛇の列でかなり無駄な時間がかかるし。市内の方が競争が激しいから値段もかなり安く上がるし。僕は一番安くはないけど宿まで前日の夜に無料で配送しておいてくれるところで借りました。

無駄な時間がかかると言えば、多分この2つのスキー場は(というかNZのスキー場はどこも)リフトの本数やコース取りがものすごい大人数に対応するようには設計されていないと思いましたね。今回は運悪くスクールホリデーの最後の週末にあたってしまい、結構リフト待ち時間が長かった気がします(それでも多分20〜30分ぐらいなんでしょうけど)。

NZの鳥といえばキウイが有名ですが、他の大陸から孤立したこの島には他にもNZ固有の鳥や動物が沢山います。これはケア。大きさはオウムぐらいですかね。名前のとおり、飛びながら「ケアー」と鳴きます(と言うか、その鳴き声あっての名前でしょう)。僕も野生のは初めて見ました。これは別にゴミ箱を漁っているわけではなく、ゴミ箱のオレンジ色の取っ手に反応しているところです。スキー場の案内板にも書いてありましたが、この鳥は「Curious Kea」と呼ばれるほど好奇心が強く、旅行客の荷物でも何でも持っていってしまうそうです。

ケア.JPG


クイーンズタウンのことも書きましょうかね。ここはNZでも有数の観光地。ワカティプ湖のほとりの山あいの小さな町で、遊覧船なども出ています。ちょっと箱根に似ているでしょうか(箱根を舞台にしたエピソードの出てくる小説もありましたね)。

動物の顔のついたパンは売ってません.JPG

湖畔に生えている木は白樺でしょうか。近くでよく見ると不思議な目玉模様です。

いくつ目小僧?.JPG

湖畔にはまた、この街に最初に入植したヨーロッパ人、ウィリアム・ギルバート・リース氏の銅像も建てられています。ここはかつては金が採れる地として有名だったんですね。さすがNZ、こういう銅像も羊が一緒です。

Reesさん.JPG

あちこちのレストランで、手書きメニューにMulled Wineというのが目立ちました。見た目は温めた赤ワインなんですけど、実はリンゴとボイゼンベリーのワイン。かなり甘いです。僕普段は甘い酒は全然飲めないんですが、アフタースキーに暖かいレストランに入って飲むこういう甘めのお酒は格別です。実に旅行気分。店によって微妙にレシピが違うようで、最初の店のはシナモンとオレンジピール、別の店のはクローブとレモンスライスが入っているようでした。アルコール度数かなり強めですが、女性に好まれる味ではないでしょうか。早速近くの酒屋でチェック。市販のマルドワインはコーラのようなビンに入って売っていました。これって僕が知らなかっただけで日本にもあるのかな?

Mulled Wine.JPG


旅先での僕の楽しみ。見知らぬCD屋巡りです。早速店頭の投げ売りコーナーへ直行。今回の収穫は6枚。ひとつを除いて全部5ドル(約350円)。

The Edge Of The World.jpg ビリー・ボブ・ソーントン 「The Edge Of The World」
うーん、名前しか知らん。あ、でも4曲目で故ウォーレン・ジヴォンがラップ・ヴォーカル。これは買い。 ⇒大正解。良質のオルタナ・カントリーでした。

Beet, Maize & Corn.jpg ハイ・ラマズ 「Beet, Maize & Corn」
ハイ・ラマズは「Gideon Gaye」しか持ってなかったよな。大好きってわけでもないんやけど… まあ5ドルならいいか。ジャケ画もいいし。 ⇒OK。いつもどおりのドリーミーポップ。

Dim Stars, Bright Sky.jpg ジョン・ドー 「Dim Stars, Bright Sky」
誰やったっけ(調べてみると元Xの人。日本のXにXジャパンと名乗らせる原因となった元祖X)。お、ゲストヴォーカルがジェイコブ・ディラン、ジュリアナ・ハットフィールドにエイミー・マン?んでプロデューサーがジョー・ヘンリー?これは悪いわけないやろう。 ⇒まあゲストヴォーカルの面々はあんまり目立たんけど、ジョー・ヘンリーの作ったシンガーソングライターのアルバムらしい音。でも元Xと知ってたらこれには拍子抜けしてたかも。

Custom Made Hit Parade.jpg シャッタースピード 「Custom Made Hit Parade」
全っ然知らん。でもこれはジャケ買い決定。バンドのサイトが net.auやから多分オーストラリアのバンドかな。 ⇒当たり。予想通りのモッズ系。途中でジャムの「Carnation」そのまま歌ってやんの。

2 a.m. Wakeup Call.jpg トゥイーカー 「2 a.m. Wakeup Call」
これも知らんねえ。でもジャケ買いかな…(裏返して)なに、ゲストにウィル・オールダム、ロバート・スミス(キュア)、デヴィッド・シルヴィアン、ジョニー・マー??なんでこんな豪華ゲストが?誰なのこれ? ⇒ゲストの半分の名前を見て予想がつく暗めのエレクトロニカ。調べてみると元ナイン・インチ・ネイルズの人でした。

Knock Knock Knock.jpg ホット・ホット・ヒート 「Knock Knock Knock」
今回これだけ15ドル。EPのくせに。でもまあ最近お気に入りのバンドの初期のEPなんで、1000円程度なら買って損はないか。 ⇒音はいつもどおり。CD盤が透明な特殊仕様で、こういうのは持ってて嬉しくなる。


さて、そろそろ長くなってきましたね(最後の方は全然旅行と関係ないし)。では最後にお約束のこれ。クイーンズタウンにもちゃんとありましたよ。世界に広がる居酒屋チェーン。

居酒屋河童.JPG
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2006年07月09日

NZ音楽界の宝石   The Finn Brothers 「Everyone Is Here」

前回のCD評(PSB)をアップした後改めて自分で読んでみると、とにかく長い。論文じゃないんだからよっぽど興味なければこんなの誰も読まないよ、って文章でしたね。律儀にあんなの全部読んでくださった方には、厚く御礼申し上げます。まあでもあれは最近お気に入りのCDの感想を自分のために備忘録として書くことが目的だったからまあいいか。でもこのブログの最初の記事に付けていただいたコメントの中に、おすすめの音楽があれば教えて、と言っていただいた方がおられたことも考えて、これからはおすすめCDの紹介記事のときはせめてあの半分ぐらいの長さを目安にしますね(もうこの前置きからしてすでに長すぎですけど)。また、このブログを立ち上げようと考えていたときに、僕がいま海外に住んでいることから、海外についての話を期待していただいた方もいらっしゃいます。そこで、今回はその二つのご期待に少しずつ応えることにします。2004年発表のアルバムなので少し古いですが、ニュージーランドのアーティストです。

Everyone Is Here.jpg  フィン・ブラザーズ 「Everyone Is Here」

その昔、ニュージーランドにスプリット・エンズというグループがいました。NZ国内はもちろん、世界各国でアルバムを発売し、そのひねったポップなサウンドで一部の音楽ファンを惹きつけました。そのひねり具合は、Split Enz(枝毛)なんて変なグループ名からも少しは伺えるでしょうか。

やがてスプリット・エンズは解散し、中心メンバーであったティム・フィンとニール・フィンの兄弟は、クラウデッド・ハウスというグループを結成、これがスプリット・エンズ以上に全世界でヒットを飛ばすほどになります(細かいことを言うと二人が参加した経緯は少しこれとは違うのですが、それを書き出すとまた論文になってしまうので割愛します)。20年ほど前に洋楽を聴いていた方なら、日本でも流行った「Don’t Dream It’s Over」という曲をご存知かもしれませんね。

そしてクラウデッド・ハウスも解散。ティムとニールはそれぞれソロアーティストとしてアルバムを数枚ずつ発表。以前より地味な活動になりましたが、NZ国内では大御所アーティストとして確固たる地位を築いてきました。洋楽を聴かない方に説明するために、日本で言うと誰かなぁとずっと考えていたのですが、思い当たらないですね。強いて言えば、もし桑田圭佑が「稲村ジェーン」の後で映画にのめりこんでしまってサザンを解散してしまっていたとして、15年後に原由子と二人でアルバムを作った、という感じですかね。ちょっと違うか。まあお互い自国内ではそれぐらい大御所ってことで。

先の二つのグループが欧米で数々のヒットを飛ばしていたことから、その当時まだ若い音楽ファンだったであろう色んなアーティストが彼らのことをリスペクトしており、例えばCD・DVDにもなっているニールの数年前のコンサートツアーでは、パール・ジャムのエディー・ベダー、元ザ・スミスのジョニー・マー、レディオヘッドからの二人、などという、とんでもない豪華メンバーがバックを務めています。

また、当然それだけヒットした彼らの曲には誰が歌っても名曲という普遍性があり、これもまた色々なアーティストにカバーされています。nekoさんがブログに書いておられた、ジェームス・ブラントが日本のコンサートで演奏した“新曲”のうちの一曲は、おそらく彼らの「Fall At Your Feet」という曲ではないかと思われます(日本公演の少し前に録音された彼のライヴアルバムでその曲を演ってます)。nekoちゃん、読んでる?ほら、ちょっと興味でてきたでしょ?(^^)

その彼らが本当に久々に二人でスタジオに入り、2004年に完成させたのが、上に写真を載せたこのアルバムです。内容をひとことで言うと、“大人による大人のためのポップ”。息を呑む珠玉のメロディーが、素晴らしく芳醇なハーモニーに乗せて歌われています。2004年というのは僕がNZに来た年でもあるんですが、ちょうど今頃の時期(南半球では真冬)に街のあちこちでこのアルバムからの最初のシングルカット曲「Won’t Give In」が流れていました。いきなり赤道直下から真冬のNZに移り住んで、長年の熱帯暮らしで開ききった全身の毛穴にしみこむ寒さに死にそうな思いをしていた僕は、この曲の心温まるハーモニーとカフェで飲むロングブラック(エスプレッソをお湯で割ったNZのコーヒー)にずいぶん暖めてもらったものです。

もう前回のようにつべこべと曲ごとの解説はしませんが、とにかくアルバム冒頭の二曲「Won’t Give In」「Nothing Wrong With You」をまず聴いてみてもらいたい。もし2004年にブライアン・ウィルソンが「Smile」を完成させてさえいなければ、その年の僕のアルバム・オブ・ザ・イヤーになっていたはずのCDです。大人の方なら大抵の方に気に入ってもらえると思います(年齢的には大人でも、もしあなたの鼻と唇にピアスの穴が開いていたり、あなたのワードローブにドクロの絵が描いてあるシャツが二枚以上あるようでしたら、あとで他のCDをお薦めしますので、もうこの先は読まなくていいです)。じっくり聴いても素晴らしいし、押し付けがましくない音なのでBGMにも最適だと思いますよ。この人たちが今日本でどういう扱いなのかがよくわからないですが、恐らく町のCD屋さんですぐ見つかるような盤でもないと思いますので、上の写真にアフィ貼ってみますね(初挑戦!…でもどうやれば写真をクリックして別ウインドウに飛ばせるのかがわからなかった)。

彼らのことを知るにつけ、僕は誰かにこの二人のことを紹介するときには、“NZの宝石”と呼ぶようになりました。NZの音楽界というのは想像以上に層が厚いんですが、先にも書いたとおり、この二人は別格です。この次また二人でアルバムを作ってくれるのか、それともソロに戻るのか、まだわかりませんが、恐らく彼らの生涯最高傑作と思われるこのアルバムを凌ぐものを作ってくれるでしょうか。願わくは、僕がNZにいる間にまたニューアルバムを発売して、コンサートツアーをやってほしいものです。そのときは、皆さん、観光がてらNZに観にきませんか?
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2006年07月07日

一つ目小僧と三つ目小僧に捧ぐ

今日現在僕のブログを訪れてくださっている殆どの方にはあえて紹介するまでもないでしょうが、「一つ目小僧と三つ目小僧、どちらが好きですか?」という、僕のお気に入りのブログがあります。初めて某所でそのタイトルを見たときの既視感のような感覚は忘れられません。

『これはきっと僕が気に入るサイトに違いない』。

いえ、別に僕はお化け評論家でもなければ手塚治虫の「三つ目がとおる」にとりたてて思い入れがあるわけでもありません(後者は大好きな漫画ではありますが)。

早速訪れてみると、案の定そのブログには(僕の読んだ範囲では)一つ目小僧も三つ目小僧も出てきません。あえて強調するなら、一反木綿もぬりかべもいませんでした。でも、そのブログでのちょっとした言い回し、採りあげられている題材のあれこれが、妙にツボにはまるのです。

ツボにはまるといえば、通常ブログタイトルの下にはなにかごにょごにょと書いてあるものですよね。僕のブログの場合だと「こないだ買ったCDがどうのこうの」ってやつです。「一つ目小僧」のタイトルの下には「水曜日は、燃えないゴミの日、生協の日」。それもまた最初から僕のアンテナにびんびんと来てたのですが、僕がブログを立ち上げたときにそのタイトル下の文章が「ブログ説明」だと気づいたときには(気づけよ、最初から)、もうケイレンするかと思うほどにウケたものでした。

そのブログのコメント欄で、ブログ主がご自宅に点取り占いを大量に保管されているということを知りました。点取り占い!ああ、思い起こせば僕が中学生の頃から大学にあがるに至るまで、なけなしの小遣いをはたいて毎月むさぼるように読んでいた「ビックリハウス」と「宝島」に、ひそかに、でも熱狂的に、毎回採りあげられていたものでした(もしかしたらビックリハウスにはあまり載ってなかったかも)。

当時僕が探し回った限りでは、僕の住んでいた大阪には点取り占いを置いていた駄菓子屋はありませんでした。毎月買ってくるそれらの雑誌が、僕にとって唯一の点取り様(そう呼ばれていました)との邂逅だったのです。もうそれは標語のように暗記したものです(だから咄嗟に「きみは くさいよ」とか出てきたってわけですよ。点数はさすがに忘れてましたけど)。

かの「一つ目」ブログの持ち主が自宅に大量に点取り様を隠し持っている(いや、別に隠してたわけではありませんが)。もう僕にとってはそれでビンゴでした。後にアップされた記事によると、ブログタイトルも実は点取り占いから引用されたとのこと。道理で最初から何か僕を惹きつけるものがあったわけです(僕はその占いの文言は知らなかったのですが)。

でもそのタイトルが点取り占いからの引用だったなんてことは最早どうでもいいです。おそらく決して万人受けするわけではないであろう点取り占いを小学生のころから気に入って、何十年(?)もたってから大人買いする気性。ブログでの言葉の端々ににじみ出るセンス。もし僕が高校生の頃にこんな女性に出会っていたら、村上春樹風に言うなら、僕はきっと宿命的な恋に落ちていたに違いありません。 …ちょっと酔ってるのかな。まだそんなに失礼なこと書いてないですよね。
「飛行機でお酒をのむと 早くよいがまわる 2点」 いや、そんな点取り様はいません。今勝手に作りました。

話は変わりますが、ピンク・フロイドというロックバンドがいます(一応音楽ブログですので)。有名なグループなので、洋楽を聴かない方でも名前ぐらいはご存知でしょう。彼らが1971年に発表した「Relics」というベスト盤は、オリジナルLPの、メンバーの一人によるイラストのジャケットを始め、再発CDも含めて僕の知っている限りでは4種類のジャケットが存在します。

アルバムを印象付ける顔とも言うべきジャケットを、何故そんなにコロコロ変えることになったのか、僕は知りません。でもピンク・フロイドというのはビジュアル面にも相当気をつかっていたグループで(ビジュアル系というわけではありませんよ。殆どのメンバーがむさくるしい親父ばかりですから)、この一連の「Relics」のジャケットも、ヒプノシスのデザインによる彼らの他の数々の名作に引けを取るものではありません。

その4種類の中で、今は廃盤になっているアメリカ盤LPのジャケットを初めて見たときから僕はずっとそれに取り付かれていて、既に同内容のCDを持っているにもかかわらず、先日ようやく中古盤を見つけて買ってしまいました。カブ子さんもこれを気に入ってくれるでしょうか。このジャケットを一つ目小僧と三つ目小僧に捧げます。










オモテ.JPG ウラ.JPG




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2006年07月03日

英語を日本語表記すること

このブログを始めるにあたって、ひとつルールを決めました。音楽の話に限ったことではありませんが、外国人の人名、外国語で作られた作品名をどう表記するかって、けっこう悩ましいんですよ。いちばん簡単なのは、(PCにフォントが入ってる限り)オリジナルの言語でそのまま表記すること。でもこれは僕のみたいなブログだと、下手すると文章の中が英語ばっかりになって、ただでさえダラダラと長くなりがちな文章を誰も読んでくれなくなってしまう恐れがあります。

読む方にとっていちばん易しいのはカタカナ表記ですね。でもこれがけっこう曲者なんですよ。日本人が子供の頃に英語の前にまずローマ字を習うことって、良し悪しだと僕は思います。皆さん、始めて見た英単語をついローマ字読みしてしまいません?昔、登場人物にファンタの種類を「オランゲとグラペ」と読ませてしまうスージー甘金の漫画が宝島に載ってましたが…ってそんな誰も知らない話はしなくていいですね。

音楽関係で有名人だと、ポール・マッカートニーとか。これ多分本人が聞いても自分のこととは思えないでしょう(あと、話がずれますが、日本のコンサートなんかで大声で「ポールー!(ポとルをそれぞれ強調)」って呼ばれてもわかんないでしょうね)。音楽評論家のピーター・バラカンに書かせると“ポール・ムカートニ”、そのままカタカナ読みしてもなんとなく原音に近い発音をしている気になります。でも、ピーター・バラカンでもない僕がここで急にムカートニって書いても、読者の方はきっと何のことだかわからないと思います。で、自分で決めたルールとしては、いくら日本で定着していたとしてもあまりにもローマ字読みな書き方には抵抗がある、でもあまりにも原音に忠実にしても何を書いているのかわからないので、適度にわかる程度に書く、ってなとこでしょうか。例えばこの例でいくと、ポール・マカートニーとか。

他に有名な例を挙げると、元は天使の名前Gabrielはガブリエルでなくゲイブリエルがより原音に忠実ですね(でもゲイブリエルってカタカナでタイプしても一回でちゃんと変換されないですよ。ああ面倒。それにガブリエルの方が愛称ガブちゃんとか呼びやすいという利点もあるんですけどね)。他には英国人に多いGrahamというファーストネームはグラハムでなくグレアム、とか。サッカーのベッカムは有名になる前、日本のメディアではベックハムと呼ばれていたそうですね。

前々回の記事で書いたスクリティ・ポリティも、日本のメディアでは普通はスクリッティー・ポリッティーとなっているはずです。元の表記Scritti Polittiは英語のPolitical Scriptのイタリア語だそうで(僕イタリア語知らないので、これが真っ当なイタリア語なのかなんちゃってイタリーなのかはわかりません)、もしかしたら本当はイタリア語発音ではスクリッティーの方が正しいのかもしれませんが、まあ英国のグループなんで、英語読みされることが圧倒的に多いでしょうから、英語っぽく書くことにしたというわけです。

じゃあアルバム名とか曲名はどうするか。これがまた日本特有のややこしい話があります。邦題というやつ。上のルールでいくと、最初の記事に書いた「London Calling」などは「ロンドン・コーリング」と書けばより読みやすくなったはずなんですけど、日本に洋楽を普及させようとがんばっておられた70〜80年代のレコード会社洋楽担当諸氏のおかげで、たくさんの洋楽には“キャッチーな”邦題がついていることが多く、日本語表記で書くならやはり浸透しているそちらで書くべきなのか、という問題があります。例えばマイケル・ジャクソンの「Beat It」は頭に「今夜は」と付けないといけないですし、ワムの「Wake Me Up Before You Go-Go」に至っては「ウキウキ・ウエイク・ミー・アップ」と書かざるを得なくなってしまいます。それはちょっと屈辱的というかなんというか… で、妥協策として、曲名・アルバム名はそのまま英語(ないし原語)表記すると。

あくまで自己満足の世界なんで、読んでおられる方にとってはどうでもいいことなんでしょうけど、今後僕のブログを読んでて「あれ?」と思われる方がいるといけないんで、一応書いておきました。オチのない話ですみません(今のところどの記事にもオチなんて付いてないですけど)。
posted by . at 23:40| Comment(27) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月02日

Pet Shop Boys are back! アルバム「Fundamental」評

Fundamental.jpgペット・ショップ・ボーイズ「Fundamental」

栄えある「ジミオン」アルバムレビュー第一回は、ペット・ショップ・ボーイズ(以下PSBと略)のニューアルバム「Fundamental」です。え、ちっとも地味じゃない?そうですね、今このブログを読んでくださっている僕とほぼ同年代の方々にとって、PSBのイメージとはどんな感じでしょうか。エレクトロ・ポップの代名詞。80年代バブルの申し子。(クラブでなく)ディスコで「Suburbia」にあわせて踊った方もいらっしゃるでしょう。ブルース・ウエーバーが監督した素晴らしくノスタルジックな「Being Boring」のプロモーション・ヴィデオを覚えておられる方もいるかもしれません。

でも、最近は?バブル崩壊とともに消えてしまったんでしたっけ?僕が彼らのファンだということを公言すると、返ってくる反応は「ペット・ショップ・ボーイズぅ?ぷっ」という含み笑いです。どうも僕が受け狙いで言ってると思われているようです。

この記事のタイトルを「PSBが帰ってきた!」としましたが、別に彼らは引退してたわけでも雲隠れしてたわけでもありません。オリジナル・アルバムはきっちり3年毎にリリースしていますし、2003年の集大成ベストアルバム&DVDの後は、リミックス・アルバム「Disco 3」、テナント&ロウ名義でサイレント映画「戦艦ポチョムキン」のサントラ盤、マドンナのシングル曲のリミックス、と今までにないほどの急ピッチで仕事をこなしていました。

で、今回のニュー・アルバムです。英NME誌の「この10年の彼らの最高傑作」や、ミュージックマガジン誌の「近年では一番の出来」といった評価は素直に信じられる内容に仕上がっています。いや、僕は前のアルバムもよかったと思ってますよ。「Home And Dry」なんて佳曲も入ってたし。でも今回のは本当に気合が入っています。昨日の記事からの続きでプロデューサーの話をすると、今回は初めてトレヴァー・ホーンと組んでいます。これもまた80年代に洋楽に親しんだ人にとっては思い出深い名前。そう、僕に言わせれば今回のPSBのアルバムのテーマは“栄光の80年代”なのです。

先行シングル曲「I'm With Stupid」はブッシュとブレアに対する皮肉たっぷりの曲で、最近低予算・低アイデアのものが散見された彼らのプロモ・ヴィデオに比べると、低予算ながら実にユニークなアイデアで笑わせてくれるヴィデオも◎です(興味のある方は、YouTubeにアップされていますのでどうぞ。ただ彼らのことを知らなければ笑えないかも)。

タイトルからして往年の名曲「It's A Sin」あたりのイメージを彷彿させる「The Sodom And Gomorrah Show」が一番の出来でしょうか。初回限定リミックスアルバムにこの曲が「Sodom」「Gomorrah」として2回も収められていることから察しても、彼らもこの曲が今回のアルバムの核だと認識しているのでしょう。「ロード・オブ・ザ・リング」のサルマンみたいな台詞で幕を開け、キラキラしたイントロに乗って、名盤「Very」に入っていても違和感ないような素晴らしいメロディーが繰り出されます。

4曲目「Minimal」のサビの歌詞は「エムアイエヌアイエムエーイエール、ミニーマール、ミニーマール」ですよ。わざとやってるとしか思えないこのチープさ!これからは僕が受け狙いでPSBファンをやってると思っている奴にはこの曲を聞かせてやることにします。

他にも、イントロで「お、Go West?」と思わせてくれるが実は素敵なバラッドな「Indefinite Leave To Remain」、最後を締めくくるにふさわしい「It's A Sin」似の「Integral」など、聴けば聴くほど馴染んでくる佳曲ぞろいです。彼らのことを知っておられる方がこの文章を読むと、「なんだ昔の曲に似たやつばっかりじゃないの」と思われるかもしれませんが、でも想像してみてくださいよ、そういう過去の名曲が一堂に一枚のアルバムに収められていたとしたら一体どんな出来になるか(そこまで言っちゃうとちょっとほめ過ぎですが…)。

ひとつ面倒な話を書いておかなければ。先述したとおりこのアルバムには通常盤と初回限定2枚組があるのですが、日本盤は東芝EMIから出ているため、2枚組の方はコピーコントロールCD(以下CCCDと略)なのです。僕はポリシーとしてCCCDは買わないことにしているので(この話を始めるとこの記事が短編小説並みに長くなってしまうので、そのうち別記事で話します)、限定盤は欲しいがCCCDは買いたくない、でも日本盤の通常盤にボーナストラックとして入っているヴィデオは欲しい、と大変悩ましいことになっていました。結局CCCDでないUK盤の初回限定盤を買ったのですが、もしこれからちょっと聴いてみようかな、程度に考えられている方には日本盤の通常盤がおすすめです。先述の「I'm With Stupid」のヴィデオ・クリップも入ってるし。なによりPSBの日本盤をなんとか非CCCDで出そうとしてくれた東芝EMIの担当者の方のご苦労をねぎらってあげたいと思いますから(僕は買いませんでしたけど。ごめんなさい)。

CD自体の話をしましょう。PSBの徹底した美学(例えばアルバムのタイトルは常に一単語とか、プロモーション・ヴィデオの監督にデレク・ジャーマンや本来写真家であるブルース・ウエーバーを起用するとか)にはいつも感心させられるのですが、今回のもすごいです。僕の買った限定盤のジャケットは上に載せたデザイン(真っ黒に見えますが、クリックして拡大していただくと右の方にPSBの二人がいるのが見えます)のスリップケース(プラスチックのジュエルケースを包み込む感じの紙ケース)に入っており、中のジュエルケースは全部真っ黒。リーフレットは指紋がついてしまうのがもったいないようなつや出し仕様の、これまた真っ黒の地にネオンサインを模した曲目表。その中に蛍光ショッキングピンクに塗られたCD盤が収められています(ちなみに2枚目は蛍光オレンジ)。僕のこのたどたどしい表現でうまく伝わっているかどうかわかりませんが、とにかく“芸術品”として手元においておきたくなる逸品です。僕がこのCDの封を開けたときの喜びを、少しはわかっていただけたでしょうか。ちょっとCCCDの話に戻ると、レコード会社もアーティストも、客にダウンロードやコピーをして欲しくなければ、こういう方向に頭を使って欲しいものです。

えらく長い話になってきたな。あのう、皆さん、まだ読んでますか?そろそろまとめに入ると、このCDは、80年代に青春を過ごしたあなたに、昔はPSBのレコード持ってたけどもうそんなの捨てちゃったというあなたに、是非聴いてもらいたいです。80年代にまだランドセルを背負っていた方、まだ哺乳瓶を手放せなかった方、このアルバムの前にまず手に入れるものがあります。2003年のベストアルバム「PopArt」を聴いて、このグループがどんなにすごかったかをまず体験してください。DVD版なら上記の有名監督製作のユーモアたっぷりの映像も同時に楽しめます。または、名盤「Behaviour」「Very」を中古CD屋で探してみてください。世間一般的には「PSB?ぷっ」扱いなので、捨て値で売られているのが簡単に見つけられるはずです。

   君はソドムとゴモラショーに行く?
   そこには君が求めるエンタテイメントと知識のすべてがあるよ
   太陽、セックス、罪、神の調停、死と滅亡
   ソドムとゴモラショー、それは一生に一度の劇

実際(?)のソドムとゴモラほど退廃的ではないけれど、この「Fundamental」というアルバムには、僕のような聴き手にとってのエンタテイメントのすべてがあります。
posted by . at 05:16| Comment(11) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月01日

追悼 アリフ・マーディン

去る6月25日、名プロデューサー、アリフ・マーディンが亡くなられました。ジャズ〜ソウルの数々の名盤を生み出された方ですが、僕が彼の名前を意識し始めたのはスクリティ・ポリティの85年の出世作「Cupid & Psyche 85」が最初でした。

最近ではもっぱら、ノラ・ジョーンズの一連のアルバムのプロデューサーとして有名でしょうし、nekoさんお気に入りのラウル・ミドンのアルバムも手掛けられていますね。

昔は全然気にしなかったのですが、自分が中東に駐在してみてふと気になったファーストネーム。調べてみると彼はイスタンブール生まれのトルコ人だったんですね。とすると(ちょこっと異国知識をひけらかすと)彼の名は“アーリフ・マディン”がより正確な発音ですかね。まあどうでもいい話ですが。

昔は全然気にしなかったどころか、件の「Cupid & Psyche 85」に入っていた「Wood Beez (Pray Like Aretha Franklin)」という曲から、(アリサ・フランクリンのことは知っていた)僕、彼のことを女性だと思ってたんですよ(恥)。アリフ。アリサ。似てません?ま、普通カタカナ表記では「アレサ」って書きますけどね。

この後ちょっと調べて彼の業績など書こうかと思っていたのですが、思わぬアクシデントの中たどり着けたsugarmountain氏のサイト(http://ameblo.jp/sugarmountain/)を訪れてみて、そんな無謀なことをするのは諦めました。もしアリフ・マーディンに興味を持たれた方は、氏のサイトを是非ご覧ください。

白旗を揚げたところで話を戻すと、音楽を聴き始めてしばらく経つと、誰がプロデューサーだとか、誰が後ろでベースを弾いてるのか、とかが気になりだしてくるんですよね。最初の記事に頂いたコメントに、おすすめの音楽を、と言っていただいたものがありましたが、この「プロデューサーつながり」ってのは結構外れがないですよ(いや、別に突き放したわけじゃなくて、もちろんこれから僕のブログでおすすめ音楽はどんどんご紹介させてもらいますけど)。例えば、ノラ・ジョーンズのアルバムを気に入って、あ、これはこのアリフ何とかって人がプロデューサーなのね、と記憶しておくと、次に例えばCD屋さんでベット・ミドラーだのラウル・ミドンだのを見かけたときに、CDの裏ジャケットにヒントが書いてあるわけなんですよ。

誰にどういう音楽を勧めるかっていうのは結構難しい話なんですが、根底にソウルが流れている音楽、っていうのに惹かれる方であれば、彼の手掛けた作品にほぼ外れはないです。あとから振り返ってみて、僕が入門した「Cupid & Psyche 85」が彼の仕事としては異端だったと判ってしまったとしても。

お勧めその1:100人中90人ぐらいは文句なく聴ける(僕らの年代で、ってことですが)ノラ・ジョーンズの「Come Away With Me」
Come Away With Me.jpg

お勧めその2:100人中85人ぐらいに減ってしまうかも(僕は好きなんですけどね)。ちょっとカントリー風味の「Feels Like Home」
Feels Like Home.jpg

お勧めその3:実は僕もnekoさんに教えてもらったクチです。ラウル・ミドン「State Of Mind」
State Of Mind.jpg

お勧めその4:上記3つとは全然違う音楽です。でもソウルフルって意味では通じるところがあります。スクリティ・ポリティ「Cupid & Psyche 85」
Cupid & Psyche 85.jpg

アフィリエイトとかすれば便利なのかもしれませんが、別にコミッションもらうためにやってるわけじゃないし、それにやり方知らないので・・・
posted by . at 18:46| Comment(14) | TrackBack(1) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

設立趣意書(笑)

不惑を越えたにもかかわらず、いまだに年間数百枚に及ぶCD・レコードを買い続け、一緒に行ってくれる友達も既にいないのに一人でコンサートに通い続けている毎日です(いや、毎日コンサート行ってるってわけじゃないですよ)。

心に残ったライヴやレコードのことを、これまで音楽友達に宛てて手紙に綴ったりメールを出したりしたことはあるのですが、よく考えてみると自分の手元にそうした記録が残っていない。『博士の愛した数式』の博士ではないですが、ある一定の年齢以前に行ったライヴ、愛聴していたレコードのことは、今でもありありと描写できます。

○忘れもしない1982年1月25日、生まれて初めて足を運んだコンサート会場・大阪フェスティバルホールのステージにクラッシュの4人が登場して「London Calling」のイントロの音が出たときに背中を走った電流。

○1985年(阪神優勝!)春の大阪城ホール、客電まで全て点けた状態での最後のアンコール曲「Twist & Shout」を終えたブルース・スプリングスティーンがステージから去って行くのを見送ったときの虚脱感。

○ガーランド・ジェフリーズの今のところ最初で最後の大阪公演は1987年か。九州から追っかけてきた友達と観に行ったな。あのとき初めて聴いた新曲を4年後のアルバムに見つけたときの喜び。

まだまだありますが(そのうちネタに詰まったらこの辺の話でも書こう)、でも、最近聴いた曲・最近行ったライヴのことは? 接している音楽の絶対量が増えたということもあるんでしょうけど、近頃とみに記憶力が落ちてきているんですよね。じゃあ記憶が薄れてしまう前に備忘録としてどこかに書いておこう、どうせならブログにしてみよう、というのがこのブログを立ち上げた趣旨です。

なので、特に沢山の人に読んでもらおうとか、色んな人を楽しませてあげようとかたくらんでいるわけではありません。ただ、好きな音楽を通じて今まで知らなかった方と知り合えるようなことがあれば、それはとても素敵なことでしょうし、それにもしこういう音楽のことを全然知らなかった方が、僕の文章を読んでみて「ちょっと聴いてみようかな」なんて思われたとしたら、それに勝る喜びはありません。

今の自分の生活パターンを鑑みて、とても毎日ブログの更新ができるとは思えません。気の向いたときにゆっくりと、のつもりです。時には音楽以外のことも書くかもしれません。しばらくの間海外に住んでいるので、その辺の事情もちらっと出てくるかも(でもあまり大層な『異国ブログ』は期待しないでくださいね)。

ブログ自体初めてなので、お見苦しい点・読みづらい点(それは貧弱な文才のせい)多々あるでしょうが、よろしくおつきあいください。

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