2018年07月22日

kirim live in Tokyo & Omiya

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月見ル君想フにディラン・モンドグリーンを観に行ったのは、3年前の3月のことだった。彼のライヴももちろん悪くはなかったんだけど、それよりも、前座で歌った、その当時は名前すら知らなかったsugar meのことを気に入ってしまい、それ以来、彼女のライヴがあるたびに、行けるときには毎回通うようになった。

その度にソロだったりバンド形式だったりしたけど、今年の3月に観たときには、キーボードの女性との2人組だった。最初は、それぐらいの方が音が単調にならなくていいのかな、なんて思いながら見始めたのが、終わってみたら、僕はライヴ中きっと半分ぐらいの時間、ステージの奥に座ってピアノを弾いていた彼女の方に注意を引かれていた気がする。いや、僕の位置からは姿はほとんど見えなかったんだけど、それぐらい魅力的な音だった。そんなにすごいテクニックをひけらかすわけじゃなく、出しゃばってこないところは歌伴の見本みたいなんだけど、少しそっちに耳を傾けてみたら、とてもふくよかな音色が丁寧に奏でられていて、ついそっちばかりに集中してしまうような。このキーボード、すごくいい。もっと聴いてみたい。誰なの?

「メンバー紹介です。彼女はしゃおりん。キリムっていうバンドから来てもらいました」



それから4か月、ようやくkirimのライヴを観る機会が巡ってきた。あれからすぐにアマゾンで買ったファーストはやっぱり僕の好きな感じで何度もリピートしていたけど、ライヴはどうもタイミングが合わなかったりして、本当にようやく、という感じで。

うちから直線距離だとそう遠くはない元住吉のPowers2というバーのドアを開けると、しゃおりんこと柏佐緒里さんが「おひさしぶりです」と声をかけてくれる。5月のsugar meのライヴのときにちょっと話して以来かな。覚えていてくれて嬉しい。それから開演まで2時間近くあったので、タコライス(うまかった)と各種アルコールで時間をつぶす。思ったより広かった店内は、満員というわけじゃないけど全てのテーブルが埋まるぐらいの準盛況。

最初にステージに上がった、こちらも初見のikanimoという3人組もよかったな。ほっこりした感じ、失敗したときのゆるーい冗談なんかも含めて。長くなってしまうので詳細は省くけど、僕はホーミーを初めて生で聴いたよ。どこからあんな音が出るんだろう。不思議。

kirimの登場はもう9時ぐらいになってたかな。簡素なドラムセットだったさっきのikanimoと違ってフルキットがステージ左側、赤いノードのキーボードは右側だ(赤くないノードは見たことないけど)。ステージ中央にはアコギが1本だけ置いてある。

ベースレスなので、普通のバンドならきっとこの音はベースギターが担当するだろうというところまでキーボードがカバー。特にアップテンポの曲では左手はずっとそんな感じで忙しく動かしていながら、右手でメロディを奏で、曲によってはとっさにメロディカ(ピアニカ?呼び名を統一してほしい)の吹き口をくわえてそっちも弾く。忙しいね。僕は鍵盤を弾けるわけじゃないので、あれがどれぐらい難易度の高いものなのかわからないんだけど、少なくとも僕が聴いていた限りでは一回のミスもなく、あいかわらず魅力的な演奏を聴かせてくれた。やっぱり、すごいテクニックなんだろうね。そう思わせないところがすごいのか。

キーボードのことばかり書いてるけど、きっとこのバンドを初めて聴く人は真っ先にボーカルに耳が行くんだろうと思う。三橋ハルカさん。声もいいし歌も上手い。ノラ・ジョーンズの、しかも「Sunrise」なんて誰でも知ってる有名曲をストレートにカバーするなんて、よっぽどの実力と勇気(笑)がないとね。別に馬鹿にしてるわけじゃないよ。すごくよかった。もちろんカバーだけじゃなく、結構バラエティに富んだ、英語と日本語が半分ずつぐらいのオリジナル曲(ほぼ全曲ハルカさんの作詞作曲)もよい。いくつかの曲はパイレーツ・カヌーを思い出させるところがあるね。ラストに演った、ファーストアルバムでも最後に収められている「Michi」っていう8分半もある曲が僕は好き。

アンコールも含めて全部で1時間ちょっとだったかな。セトリ覚えてないけど、ファーストから聴きたかった曲はほとんど演ってくれたと思うし、よく知らなかったおそらくセカンドからの曲も同じくクオリティ高かった。カバー曲はさっきのと、「Take Me Home, Country Roads」。うむ、かなりベタな選曲しますね(笑)

終演後、お目当てだったセカンドアルバムを買いに物販のところへ。見たことのなかったファーストEPも置いてあって、曲目を確認してみたらもう持ってるファーストアルバムと3曲ともダブってたから、ハルカさんに「これってアルバムとはアレンジ違い?」と訊いてみたら、「ほぼ同じだけど、より初々しいです」だって。じゃあ、初々しいのも買っとこ。そのうち凄いプレミアムが付くかもしれないし。あと、7インチのアナログにさっきのカバー2曲が入ったのも置いてあったので、それもゲット。7インチはジャケとか含めて所有欲そそるよね。でも、せっかくのピクチャージャケットがセカンドアルバムと同じデザイン(タイトルだけ違う)なのはちょっと残念。

CDとレコードにサインをもらったりしながら、もうしばらくメンバーと話させてもらった。「明日は大宮でインストア、明後日は群馬なんですよ」「そっかー、行けたら行くね」とか言いながら、名残惜しいけどお店を後に。直線距離だとそう遠くはないけど、ここからうちに帰るにはなんだか沢山の電車をジグザグに乗り継がないといけないんだよ。



関西では「行けたら行くわ」は「行く気なんかサラサラないんやけど、はっきり言うたら傷つくしな」とほぼ同義語なんだけど、Powers2からの帰り道、僕はもう大宮までの電車と、駅からお店までの道順を検索していた。初めて行ったライヴがあまりによくて即リピートしたのも、3年前のパイレーツ・カヌーのとき以来かも。

初めて訪れるモア・レコードは、一言で言ってとんでもないCD屋だった。なんでこんなところ(失礼)に、こんなマニアックな店があるの?駅からのアクセスもそんなに悪くない好立地でそれなりに広いスペース。なんでこれで経営続けてられるの?(再度失礼)。大宮ってそんな街なの? 僕はこの方面の音楽にはそこそこ詳しいつもりだけど、店全体見渡しても、持ってるもの・知ってるアーティストが半分もない。トイレに貼ってあった古いチラシを見たら、マーチング・バンド(スウェーデンの)が来日したときにここでインストアあったんだって。何者なの?この店。

さて、kirimのインストア。ドラムは前日のフルセットじゃなくて、スネアとシンバル類だけの簡単なセット。いくら広めのお店とはいえ、さすがにあんなにでっかいドラムキットで音を出せるほどではない。ドラマーの和田佳憲さんによると、こういう簡素なセットで演奏するのは結成以来初めてだとのこと。本人も言ってたけど、全然悪くなかったよ。これだけ身軽にできるなら、もっといろんな場所でライヴできるかもね。

彼の叩く軽快なドラムも心地いいんだけど、「寝んねよ ころりよ」でのグロッケンの音色がすごく素敵。まだ何度も聴けてないけど、今のところ新譜で一番好きな曲かも。

インストアなので、前日よりも短めのセット。それでも、30分ぐらいしか演らないのかなと思っていたら、もう少し長く、確か7〜8曲ぐらいは演奏したと思う。前日演らなかったような珍しい曲は(多分)なかったと思うけど、なんとなくこの日の方がのびのびと演奏できていて、よかったような気がする。和田さんに「おもしろい話して」と突然無茶振りされたハルカさんの歯の治療&スリランカ旅行とかの、曲間のゆるーいおしゃべりもね。

残念ながら、観に来たお客さんはほんの数えるほどだった。お店の常連さんなのか、kirimのファンの方なのか。あんなによかったのに、もったいないね。終演後にみなさんCD買ってサインもらったりしてるのを、前日買ったばかりの僕は関係者風の装いで(笑)横から眺めたりして。あとは、メンバーが機材片付けたりしてる間にこの宝島みたいな店の試聴機を片っ端から聴き倒して、とりあえず3枚ゲット。「とりあえず」と書いたのは、僕は間違いなくまたこの店に来ることになるだろうから。

それにしても、前日の3枚と、この日家に帰ったらTHISTIMEから届いてた4枚と合わせて、2日間で10枚もCDやらレコードやら買ってしまったよ。今ちょうど多すぎるから売るCDを四苦八苦しながら選出してる最中だってのに。でも、ディラン・モンドグリーンからsugar meにつながって、そこからつながったkirim。音楽聴いてて楽しいのってこういうところだよね。わらしべ長者的に次々に自分好みのアーティストを発掘していく楽しみ。この次はどこにつながるかな。
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2017年12月03日

Tamas Wells live in Shenzhen 2017

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開演の1時間半前に着いたのに入口前の長蛇の列に悔しい思いをした去年の反省を活かして、今回は開演の3時間半ほど前にB10に行ってみた。

もちろん、誰もいない。しょうがないので、B10周辺、深圳随一のおしゃれスポット華僑城の中を写真など撮りながらうろうろする。相変わらずマニアックなノイズ系のレコードばかり置いてあるおそらく深圳唯一のレコ屋を覗いたりして。

まだ誰もいないのはわかってるけど、なんだか気が気でなくて1時間ほどでまたB10に戻る。やっぱり誰もいない。入口前でぼーっとしていると、そこに現れたタマス達が僕に気が付いて声を掛けてくれた。去年この場所でライヴは観たけど、こうして会って話すのは3年半ぶりか。去年は不参加だったクリス・リンチもいるよ。

「今から他にすることないなら一緒に楽屋おいでよ。これからサウンドチェックだからあまり相手できないけど」とネイサン。というわけで、思いがけずリハーサルまで見られることになった。

ステージ上には、去年はなかったグランドピアノが置いてある。「これがあるなら、持ってきたキーボードは使わないからセッティングしなくていいよ」とタマスが言っているのが聞こえる。ドラムキットも既に置いてあって、そこに持参のシンバルをセットするクリス・ヘルム。足元は裸足にサンダルだ。

ネイサンは赤いフェンダーのベースでしきりに新曲「I Threw A Shoe At Their Alsatian」を練習している。クリス・リンチの綺麗なサンバーストのテレキャスターに「それいいね」と言うと、新しく買ったんだと嬉しそう。タマスは会場の一番後ろに立って、おそらく、ステージがどんな風に見えるか、音がどう聴こえるか、難しい顔をしていた。

ステージに戻ってきたタマスがピアノで「Melon Street」を弾き出すと、クリス・ヘルムがメロディカを持って来て隣の床に座り、合わせて演奏を始める。これは、今まで聴いた中で一番素敵なバージョンの「Melon Street」かもしれない。期待が高まる。


本番に移ろう。今回はめでたくほぼ最前列(ぎりぎりまでタマス達と楽屋で話してて、開場の瞬間に出遅れた)で、タマスとクリス・リンチの中間ぐらいの場所を確保。ここならステージ左手のピアノもよく見える。予定時刻の20時半ちょうどに暗転。メンバー4人が登場して、1曲目は「Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day」。去年のツアーではこの曲は演ってないから、中国のファンにとっても久々に聴く曲のはずだ。

ステージ中央に、いつものマーティンを抱えたタマス。右側にクリス・リンチ。左側にグランドピアノが置いてあって、その後ろあたりでネイサンがベースを弾き、中央後方のドラムキットにクリス・ヘルムが座る。そういえば、タマスのライヴでベーシストが入るのを見たのは今回が初めてかも。

間髪入れずに「Bandages On The Lawn」、そして、「次の曲は今度新しく作ったアルバムから」と「I Threw A Shoe At Their Alsatian」へ。一旦演奏を始めてから、「曲の説明をするのを忘れてた」と止めて説明を始めるタマス。「抽象画を習い始めたけど、まだ下手なんだ。で、近所に住む人が僕の絵を見てヘタクソだと言うから、彼らが飼ってるジャーマンシェパードに靴を投げてやった」「みんな、犬には靴を投げるよね?投げないの?僕だけ?」とか言って笑わせる。そして、今作屈指のポップなメロディーを持つこの曲へ。

続いてタマスが「Vendredi」のイントロを弾き始めると、ドラムキットのところからクリス・ヘルムが走ってきて、ピアノでイントロの「ポーン」という音を間一髪で間に合わせる。お見事。二音目の「ポーン」は、間違えたのかわざとなのか、最初の音より高い(でも、和音が合ってるから、彼の前任者のように間違っては聴こえない)。そして、三音目に(今度は確信犯で)更に高い「ピーン」って音を出したら、タマスがそこで笑ってしまって歌えない。「ごめん、もうしません」とクリス。

すっかり複雑になった「Friday」の後半のコーラスを聴いて、上手になったものだと思う。僕がタマスのライヴを最初に観た10年前のO-nestでは、もちろん彼一人だったからコーラスなんてなかったんだけど、その後何度も観たいろんなメンバーの組み合わせの中でも、4人全員がハモれることなんてなかったからね。

ハーモニーもそうだけど、楽器演奏についても、マルチプレイヤーがバンドに2人いるというのは大きいね。基本の編成は最初に書いた通りだけど、クリス・ヘルムがピアノを弾くときはネイサンがドラムス。逆にクリスがドラムスに留まったままネイサンがピアノを弾く曲もあり(ネイサンによると、ピアノソロでアルバムを作っている自分よりもクリスの方がピアノが上手なんだそうだ)。ちなみに、クリス・ヘルムはメルボルンのスキッピング・ガール・ヴィネガー(Skipping Girl Vinegar)というバンドのドラマーらしく、そのバンドのことをクリス・リンチの奥さんが在籍していたことで知っていた僕にはちょっとした驚き。

タマスがピアノに座り、聴いたことのないイントロを弾き始める。なんだろうと思っていると、歌いだした歌詞は「Fire Balloons」だった。鳥肌。もうこんな早くに演るのか。そして、去年同様、後半はクリス・ヘルムの何かに取り憑かれたかのようなドラムスに、クリス・リンチのドローン効果満載のギターとネイサンのベースによるフィードバックノイズの嵐。やはり今回の公演の白眉もこの曲だろう。

そのノイズがまだ鳴っている間に、タマスが「Melon Street Book Club」を弾く。動から静へ。途中からクリス・ヘルムがメロディカで合奏。ところが、前曲のとてつもない演奏で息が上がっているのか、ロングブレスが続かない。それで焦ったか、ミストーンも目立つ。ああ、これはもったいない。終演後、こっそりネイサンに「あれはリハーサルの方がよかったね」と言うと「うん、そうだね。クリスも謝ってたよ。完全に消耗してしまったって。曲順考えないとな」って言ってた。

タマス以外の3人が右側のボーカルマイクの前に立ち、一本のマイクに顔を寄せ合ってのコーラスコーナー。まずは「Grace And Seraphim」。クリス・ヘルムは裸足だ。この人裸足でドラムやってるのか。手になんか持ってるから楽器かなと思ったら、水のペットボトル。「Fire Balloons」でそんなに消耗したんだね(笑)。「オールドスクールタイプの合唱隊みたいにしようとしたんだ。次の曲は君達がコーラスを頼むよ。きっとこいつらより上手くできるはず」と言って、「Valder Fields」へ。もちろん大合唱の観客。

もう1曲、「The Opportunity Fair」をそのスタイルで歌った後、各位持ち場に戻って、「The Northern Lights」。またしても鳥肌。「England Had A Queen」を挟み、「A Riddle」では観客の一人をステージに上げて口笛を吹かせ、続く「Writers From Nepean News」では初めてクリス・リンチがベースに移り、ネイサンがピアノ、クリス・ヘルムがドラムスという編成に。そして、「次の曲が最後」と言ってタマスがピアノに座って歌い始めたのは、「那些花儿」という去年とは別の中国語の歌。毎年違う曲を覚えてすごいなあ。「歌詞の意味はわからないんだ」とは言ってたけど。



曲の後半、他の3人がまだ演奏を続けているときに、タマスは歌を続けながらピアノからボーカルマイクに移り、腕を大きく振ったりステージ左右に挨拶をしに行ったりと、すっかりエンターテイナー。10年前の、「タマチャンと呼んでください」と恥ずかしそうにしていたあの人と同一人物とはとても思えない。成長したなあ。もう髪の毛にも結構白いものが混じり始めてるし、タマスも40だもんな。

そういえば、楽屋でタマスと話してたときに「いつか、家族で中国に一か月か二か月住もうと思ってるんだ。この国は気に入ってるし、娘たちも中国語を勉強できるかもしれない。アパートの家賃はいくらぐらいかな?」って聞くから「よくわからないけど、きっと1000ドルぐらい?」って言うとまんざらでもなさそうな顔をしてたから、かなり真剣に考えてるのかも。でも、適当に答えてしまったけど、深圳で月1000ドル(米ドルか豪ドルかも言ってないけど)なんてちょっと厳しいか。ごめん、タマス。

アンコールに応えてすぐ再登場し、「The Crime At Edmond Lake」。そして、最後は新曲「Prone To Losing」。これも後半、「Fire Balloons」に負けないほどの激しい盛り上がりを見せて終了。実は、終演後にクリスに見せてもらった自分用のセトリによると、これまでの数公演ではこの後に「Postcards On The Bathroom Door(「Archibald」という仮題で書いてあった)」があったとのこと。あれも好きな曲なのに、聴けなくて残念。

更に言うと、「Melon Street」の代わりに「Benedict Island」を演奏した日もあったらしいし、「First Time」という仮題も書いてあった。ネイサンと話してたんだけど、中国ではすぐに観客がおしゃべりしたりするから、なんとか楽しませようと違う曲を試したり、観客をステージに上げて口笛を吹いてもらったり、いろいろと趣向を凝らしてるんだそうだ。「日本人はその点、真剣に聴いてくれるからね」って言ってたけど、確かに日本のライヴで誰か一人ステージに上がってきて口笛を吹けと言われても手を挙げる人はいなさそう。

【12/4追記】クリス・リンチから返事が来た。「First Time」は「A Reason Not To Stay」の仮題だって。ちなみに「The Northern Lights」と「England Had A Queen」の間に演奏していたようだ。最初の4公演では新作から5曲も演奏したんだ。なんで深圳では落としたんだろう。それだけがちょっと残念。

終演後、ロビーの物販のところでサイン会。日本盤の『The Plantation』は紙ジャケだけど、中国盤はプラケース(ちなみに前作『On The Volatility Of The Mind』も)。しかも、今回のツアーで販売しているものはこのツアー用に急遽特別プレスしたもので、オフィシャルリリースは来年になるらしい。

殆どが若い女性ファンで、花束を持ってきた人や、メンバーの似顔絵を額縁に入れて持ってきた人など、熱心なファンが多い。サイン会と写真撮影も、ほとんどライヴ本編と同じぐらいの長さがあったんじゃないだろうかと思うほど、延々と続いていた。決してそういうことに嫌な顔をするメンバー達じゃないけど、最後の方はさすがに疲れていたみたいだ。そりゃ、4日間で4つのライヴをこなし、更にこの後2日残ってるからね。少しは体力を温存しておきたいと思ってもおかしくないだろう。


その他、タマス達と話せたことの備忘録。

やっぱり、アルバムにもツアーにも参加していないアンソニーのことが気になったので真っ先に聞いてみたんだけど、お子さん達が中学生になって、ちょっと今は音楽に没頭する気分じゃないだけで、別に喧嘩別れしたとかヘタクソだから外したとかそんなんじゃないらしい。「確か、前作のツアーの一環でメルボルンでライヴをしたときには、彼も参加してくれたよ」とネイサン。「いつかもっと先に、子供たちが手を離れたら、また一緒に演れるんじゃないかな」って。アルバムの参加メンバーに彼の名がなかったのは寂しかったけど、サンクスクレジットの一番最後に、アンソニーへの特別の謝辞を見つけたときはちょっとじわっときたよ。

オーストラリア本国での『The Plantation』のリリースも来年になるとのこと。長年彼のアルバムを出してきたポップブーメランはもうレーベルとして機能していないらしいけど、そこのスコット・サーリングが自分のコネクションを使ってリリースしてくれる会社を探してくれているらしい。ちなみにタマス曰く「スコットは確か2万枚だかなんだかのCDを持っているよ。君とどっちが多いかな」って、そんなレコード会社の社長と比べないでくれ。さすがにうちには2万はないよ。

最初、『The Plantation』は11曲入りのアルバムとタマスが自分のFBでアナウンスしていたけど、結局10曲になった件。実は、メドレーぽくつながった2曲があったんだけど、どうもその前半の曲が少し弱かったために途中でカットし、後半だけを収録したそうで、その後半が今作唯一のインスト曲「A Wife To A Gunfight」なんだって。

僕が観に行った2012年のシンガポールでのライヴで、オープニングで会場が明るくなった時に最前列に座っていた僕を見て笑いそうになったタマス、実はライヴが始まる前に楽屋で、場内を映したモニターを見ていたら僕がいることに気づいていたらしい。なんでいるんだ?って。でも、そこに座ってるのを知っていたのに、いざステージに出て僕の顔を見たら笑い出しそうになってしまったんだって。

去年のツアーからタマス・ウェルズ・バンドに参加し始めたクリス・ヘルムは、実はタマスの学生時代からの友達だそうだ。あんなに上手なのに、なんで今まで一緒にやってなかったのかな。まあ、最初から彼が入ってたら、きっとアンソニーの居場所がなかったかもしれなかったから、僕にとっては結果オーライだけどね。ちなみにネイサンとクリス・リンチも学生時代からの付き合いらしい。その他にも、誰と誰の家がどれぐらい近いとか(タマスとアンソニーの家は2ブロックしか離れてないらしい)、キム・ビールスがタスマニアのホバートに引っ越すとか、ずいぶんいろんなことを教えてもらってとても覚えきれない(笑)


Setlist 02 December 2017 @ B10 Live Shenzhen, China

1. Fine, Don't Follow A Tiny Boat For A Day
2. Bandages On The Lawn
3. I Threw A Shoe At Their Alsatian
4. Vendredi
5. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire
6. Please Emily
7. Thirty People Away
8. Moonlight Shadow
9. Fire Balloons
10. Melon Street Book Club
11. Grace And Seraphim
12. Valder Fields
13. The Opportunity Fair
14. The Northern Lights
15. England Had A Queen
16. A Riddle
17. Writers From Nepean News
18. 那些花儿

[Encore]
1. The Crime At Edmond Lake
2. Prone To Losing
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2017年04月08日

From The Jam + Madness live in Hong Kong

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7人制ラグビーの大会 HK Sevensが香港で開催されるのに合わせて、マッドネスとフロム・ザ・ジャムがダブルヘッドライナーでライヴをやるというので、香港に来てみた。チケットには18時〜23時なんて書いてあるけど、2組でどうやって5時間ももたせるんだ? よくわからないけど、本当に23時までかかったらもう帰れないので、念のためコーズウェイベイに宿を確保。予約した安宿がたまたま(?)HMVの正面だったのでついついライヴ前にお買い物。

ちょっと迷ったけどなんとか18時前にたどり着いたインディアン・リクリエーション・クラブは、隣に巨大なラグビースタジアムが見えるオープンエアの会場。コーズウェイベイから少し歩いただけでこんな静かな場所があるんだ。

18時にようやく開場。別にみなさん走ってステージ前に行くとかじゃないんだね。まあ、これから5時間もあるからね。僕もまずビールを確保して(ハッピーアワーだというので2パイントもらった。トイレは大丈夫かな)、特に他に居場所もないので、ステージ前の柵にもたれかかって時間つぶし。場所は、当然ステージに置いてあるプレシジョンベースの真ん前。

19時前になってようやく前座が出てきた。オーストラリアから来たと言ってたお兄ちゃん。名前は失念。アコギを膝に乗せてボトルネックで弾いたり、インド音階のブルーズっぽい曲を演ったりと、なかなか興味深かった。まあさしあたりCD買ってまで聴こうとは思わなかったけど。名前忘れたからCDも買えないけど。

もうこの頃にはビールを2杯とも飲み干してしまって手持ち無沙汰。たまたますぐ隣が日本人のカップルだったので、しばらく話をしているうちに、ポツポツと雨も落ちてきた。大丈夫かな。最後までもつかな。

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そうこうしているうちに、たぶん20時前ぐらいだったかな? いよいよフロム・ザ・ジャムの出番。昔ながらのモッズスーツを着たブルースが僕の正面。ステージ中央やや左寄りにラッセル・ヘイスティングス。歌い方がポール・ウェラーそっくりと思ってたら、ブロンドに染めた髪も黒いリッケンバッカーも、もう何から何までポールのコピー。喋り方までそっくりだった。自分に何が求められてるのかよくわかってて、いいね。

あとはドラムとキーボード。ドラマーがリック・バックラーの間に一度見たかったな。というか、もはやこの布陣なら、フロム・ザ・ジャムなんて名前じゃなくて、レコードと同じくブルース・フォクストン名義でいいと思うけどな。どうせメンバー同じなんだし。

「A Town Called Malice」のイントロ。しかもそれを弾いてるのがブルース・フォクストン本人。もうそれだけで泣きそうになる。中学生の頃毎年来日していたジャムのライヴに行こうとしていたけどいつも行けなくて、じゃあ来年こそと思ってたら解散してしまった1982年から35年、ずっとこれを観たかったんだよ。

一曲一曲書いてられない。セトリは最後に載せるよ。もう出て来る曲全部イントロの最初の音でわかる(エレキで演奏した「That's Entertainment」だけは最初わからなかったけど)。全曲歌詞わかって歌えるなんてライヴ、いつ以来だろう。全部大声張り上げて、ライヴ中盤になると喉がガラガラで自分の声域が突然狭くなってしまうあの感じ、ずいぶん久しぶりに体験した。

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やっぱりフロム・ザ・ジャム名義だとブルースのソロアルバムの曲なんて演らないのかなと思ってたら、途中で1曲「新譜からの曲を」と言って「Now The Time Has Come」を演奏。ジャムのセカンド前後のブルース作のいくつかの曲を彷彿とさせるいい曲。ブルースのアルバムなんて何枚売れてるのか知らないけど、僕はポールのソロよりはよっぽど好きだけどね。まるっきりあの頃のジャムそのまま。どれだけ懐古趣味と言われようが。

あっという間の1時間弱、アンコールの2曲を入れても1時間なかったんじゃないだろうか。なんで全部で5時間もあるのにこれだけしか演らないんだよ。全13曲、さっきのブルースのソロ曲以外はほんとに基本的なベスト盤的選曲だったけど(そのわりには「In The City」も「Beat Surrender」もなかったけど)、もう少しマニアックな曲も聴いてみたかったな。まあ、自分たちメインのライヴでもなく、しかも香港だからどんな客層かわからなかったのかもしれないけど。

ステージを降りる前にブルースが投げたピックがちょうど僕のすぐ近くに落ちて、それを(さっきの日本人カップルと僕の間に入ってきた)僕の隣あたりにいた女性がゲット。写真だけ撮らせてもらった。欲しかったけど、僕はCDとLP以外の形をしたものの収納が下手でね。

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フロム・ザ・ジャムのセットを片付けて、もともと置いてあったマッドネスのセットだけに変更。実は僕はマッドネスはずっとベスト盤ぐらいでしか聴いてなくて、今回のこのライヴがあったから新譜を買ってみた程度のにわかファン。その新譜が地味ながらかなりよかったので、ちょっと疲れてきてたけどステージ最前列をそのままキープ。というか、後ろを振り返ってみても、もう出て行こうにも身動き取れないぐらいの人数だったし。

21時ぐらいにマッドネス登場。1曲目は新譜のタイトル曲「Can't Touch Us Now」。僕はサグス以外メンバー名もよくわからなくて(さらに言うと、実はマッドネスが何人組なのかすらよくわかっていなかったり)、そんな奴が最前列で観ていいのかという気がしないでもないけど、サックス君がおどけ役で、それをサグスがいじるというのが笑いを取るパターンなんだね。

ステージ上は、一番左にサックス、やや後ろに(マッドネスのロゴがついた)キーボード、中央やや左後ろにドラムス、その右にコンガ、さらに右にブラス隊3名(サックス、トランペット、トロンボーン)、その前にベース、一番右にギター。中央にボーカル。総勢10名か。正式メンバーはブラス隊以外の7名? と思って新譜のブックレット見てみたら、パーカッション君も正式メンバーじゃないね。あと、サグスって本名じゃないのも今知った(汗)

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フロム・ザ・ジャムはイメージ通りのストイックな感じであくまでも恰好よく走り抜けていった感があったけど、こちらのベテランチームはもうとにかく面白いステージを作ろうというのがありありと感じられるね。訛りの強いサグスのMCは時々何言ってるのかわからなくなるけど、サックス君をいじったり、今度はギター君にちょっかいかけたり、余裕の楽しいステージ。そんなやりとりを挟みながら「One Step Beyond」とか「Our House」とか、誰でも知ってるようなヒット曲がどんどん出て来るもんだから、楽しくないわけがない。

降ったり止んだりの雨が、マッドネスのステージが始まってから結構強くなってきた。まあ、ずぶ濡れになるってほどでもなかったけど。でもカメラ持ってたりするとちょっと気が気でない。それは自分のせいなんだけどね。それさえ気にしなければ、小雨の中のライヴってなんか、いいね。

こちらも多分1時間弱のステージで、本編ラストが「It Must Be Love」(いい曲だよね)。ステージ後ろのスクリーンがハートマークでいっぱいになる。そしてアンコールに応えて再登場し、更に2曲。結果的に、ベスト盤と最新盤を押さえていればほぼ全曲わかったという、僕にやさしい(笑)セットだった。

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終演は結局、22時15分ぐらいだったかな。まだ地下鉄も余裕で走ってる時間だけど、歩いて戻れる場所に宿を取っておいたから、春の香港の生暖かい風に吹かれながら、楽しい二つのステージを反芻しながら帰った。雨もいつの間にかすっかりあがってたし。マッドネス、いいね。今からでもちょこちょこ集めてみようかな。


Setlist 6 April 2017 @ HSBC Sevens Village

From The Jam
1. A Town Called Malice
2. The Modern World
3. Strange Town
4. David Watts
5. Butterfly Collector
6. Smithers-Jones
7. That's Entertainment
8. Now The Time Has Come
9. When You're Young
10. Start!
11. Down In The Tube Station At Midnight

[Encore]
1. Going Underground
2. Eton Rifles


Madness
1. Can't Touch Us Now
2. Embarrassment
3. The Prince
4. NW5
5. My Girl
6. Herbert
7. Wings Of A Dove
8. Mumbo Jumbo
9. The Sun And The Rain
10. Mr. Apples
11. One Step Beyond
12. House Of Fun
13. Baggy Trousers
14. Our House
15. It Must Be Love

[Encore]
1. Madness
2. Night Boat To Cairo
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2016年12月04日

Tamas Wells live in Shenzhen

中国に住んでてよかったと思えることなんてそう滅多にあるもんじゃないけど、これだけはひそかに期待していた。そして、思ったより早くその期待は実現した。今のところ最後の来日になる2014年6月から約2年半、ここ中国でタマス・ウェルズのライヴを観る機会がまた巡ってきた。

会場は地下鉄の橋城北駅から徒歩すぐのなんだかおしゃれな地域。A1、A2…とブロックごとに名前のついた一角にあるB10 Liveという名前のライヴ会場は、何故かB10ブロックではなくC2ブロック全部を占める、思ったより大きなハコだった。橋城北はうちから電車一本で行けるものの、万が一迷うといけないと思ってかなり早めに家を出ておいてよかった。改装工事中だったB10ブロックにまずたどり着いたときには、一体何がおこっているのかと焦ってしまった。

そうして迷いながらも開場の1時間も前にB10 Liveに来てみてびっくり。もう既に何十人も並んでるよ。整理番号も何もないから、とにかく並んだ順に入場。慌てて近くのバーで重慶の辛い麺と生ビールを腹に入れ、会場に戻って列の最後尾に並ぶ。これじゃ、ちょっと期待していた最前列なんてとんでもないな。

開場時刻の20時になる結構前(10〜15分ぐらい前かな)に、列がどんどん動き出す。きっと、あまりに列が長すぎて、早めに開場することにしたんだね。綺麗な作りのロビーに入っていくと物販エリアがあって、おなじみのタマスのCDと並んで見たことのない安っぽいジャケの09年北京公演のCD/DVDが売っていたから、迷わず購入。見るからに海賊盤ぽいんだけど、ちゃんとポケットレコーズから出てるオフィシャル盤なんだね。おまけにバッヂももらえてうれしい。

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だだっ広い会場に入っていくと、もうステージ前には人がびっしり集まっていて、左右の壁に沿って置いてある椅子もほとんど埋まっていた。まだ開演まで30分以上あるし、中途半端に真ん中あたりで見るよりはいいかと思い、左側の壁沿い中ほどの椅子に腰かけて待つことにした。会場の広さは、そうだな、東京でいつもタマスが使う会場で言うと、O-nestを縦に三つつなげて、天井を体育館並みに高くしたぐらい?

その大きな会場が、開演時刻の20時半近くになるともうほぼ満員。後ろの方に若干の余裕があったとはいえ、あれはたぶん600〜700人ぐらいは入っていたんじゃないかな。もちろん、座ってる僕の目の前にももうたくさん人が来ていたので、とても座ったままじゃ観られない。

ステージを見ると、マイクスタンドが2本、アコギとエレキ、キーボードが左右2台、後ろにはドラムキットもある。事前にどのサイトを見ても参加メンバーがわからなかったから、きっと今回はタマスのソロかと思っていたんだけど、バンドなんだね。ドラムまであるということはネイサンも来ているだろうし。あとは、前回来日時と同じくアンソニーとクリスかな。それともギターはキムかな。

20時30分ちょうどに中国語と英語でアナウンスがあり、会場が暗転。ものすごい大歓声に迎えられて、タマスと2人のメンバーが登場。ネイサンはドラムキットのところでなくステージ右手に行き、置いてあったフェンダージャガーを肩にかける。ドラムの人は誰だろう。新メンバーかな。アンソニーもクリスもキムもいないや。結構長く伸びた髪の毛をきちんとセットし、グレーのジャケットを着たタマスは、いつものマーティンのアクースティックギターを持ってステージ中央に。

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オープニングは「Vendredi」。歌い始めた途端、僕のすぐそばで「キャーッ」と大声を張り上げる女性ファン。すごいな、日本でのタマスのライヴじゃ想像もできないよ。何人かはタマスに合わせて歌ってるし。まあ、ステージで何が起こってようとずっと友達同士でしゃべり続けてるようなのもあちこちにいるんだけどね。まあいいや、中国のライヴがこんなんだってのは前からYouTubeとか見てわかってるから、こっちは集中してステージを観てよう。

「Writers From Nepean News」の後、タマスが中国語で自己紹介。「こっちは友達のネイサン。友達は“朋友”でよかったよね?」って言うだけで大歓声。そして「こっちのクリスは友達じゃない」と笑わせる。あ、この新キャラもクリスって名前なのか。タマスたちよりちょっと若い感じかな。彼はドラムス、キーボード、メロディカ、ウクレレ担当。あと例のチーンって鐘も。

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「真夏のメルボルンから南京に着いたら雪が降ってたんだ。深圳はなんていい気候なんだ」とか言いながら、セカンド以降の4枚のアルバムから満遍なく選曲されたセットが進む(セトリは最後に)。新譜からの「The Treason At Henderson's Pier」の後、「最近覚えた曲があるんだ。うまく歌えるかどうか自信ないけど」と言って、なんと中国語の歌を披露。もちろん大歓声。そして見渡す限りのスマホ動画撮影者。後で調べたら、「宝貝(Baobei)」って曲だった。これがオリジナル。これがタマスのあの声で歌われるのを想像してみて。



「誰か二人、ステージに来て手伝ってくれないか。口笛の吹ける人がいいんだけど」というのはもちろん「A Riddle」の時。うち一人はどうやら曲を知らなかったようで、例の口笛のフレーズをタマスが主旋律を歌ってる横でずっと吹いてるもんだから、歌ってるタマスも聴いてるこちらもちょっと苦笑い。まあでも、よくできました。

さっきクリスがいろんな楽器を担当してると書いたけど、もちろん彼が動くときはネイサンも別の楽器を担当する。器用な彼のことだから、ギター、キーボード、ドラムスそれぞれそつなくこなし、タマスの声に合わせてハーモニーを入れる。タマスは基本的にギターで、「Melon Street Book Club」をはじめ数曲でキーボードも弾いてたな。

久しぶりに聴く曲はいくつかあったけど(基本的に彼のライヴを観ること自体が2年半ぶりなので何でも久しぶりなんだけど)、新曲はないし、こんなの聴いたことなかったってのはさっきの中国語の曲だけ。曲の紹介にしても、タマスがまたこの話をし始めたなと思った時点でもう次が何の曲かわかってしまうから、「人間には理性に支配されている面ともっと内面から出てくるところがあって」という話をしたときに、あ、次は「Valder Fields」だと先に読めたんだけど、いざタマスがその曲目を口にすると、それはもうものすごい大歓声。そして、大合唱。うわ、こんなタマスのライヴ初めて。

「Valder Fields」の次に「The Northern Lights」と、僕内タマスソングベスト3のうち2曲みたいなのが続く。残る1曲も今回のツアーで演奏していることは知っていたから、もしかしたら本編終盤のここで3曲続けて演るのかなとも思ったけど、本編ラストはまた「何人かステージに来てくれないか。今度はコーラスが要るんだ」と、「I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire」。タマスはもう「次の曲はThe Kitchen Is On Fire」としか言わないね。実話だかどうだか結局よくわからない例の逸話ももう紹介しないし。

男女2人ずつ、それぞれみんな背の高さの違う子たちがステージ左手のマイクのところでスマホに歌詞を映しながらコーラス。違うところから上がってきてたから友達同士じゃなかったんだろうけど、なんだか絵になるね。僕ももっと前にいたら手を挙げてステージに上がりたかったんだけど、残念ながら十数メートル離れたこの壁際から中国人をかき分けて前進する勇気はなかった。いきなり(おそらく)会場内最年長みたいな日本人が出て行ってもみんなびっくりしただろうし。

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それが本編ラスト。3人がステージ脇に消えると、すぐさまアンコールを求める歓声。でもこっちの人は「アンコール!」って言うだけで拍手とかしないんだね。そして、すぐに再登場。タマスはキーボードのところに行き、ネイサンがエレキ、クリスがドラムで始まったのは「Fire Balloons」。僕にとってのタマスソングベスト3の三つ目。これ確か前のツアーじゃ演ってないから、ずいぶん久しぶりに聴くことになる。

そしてこれが、ものすごいバージョンに化けていた。タマスが歌い終えた後、キーボード、ギター、ドラムの三つの楽器がそれぞれ同じフレーズを延々と繰り返しながら、どんどん高揚していく。クリスのドラムなんて、決して上手くはないんだけど、どこのハードロックバンドかというぐらいの激しさ。右腕をぶんぶん振り回して憑りつかれたように叩き続けている。

確か前回のツアーでは、エフェクターを通したクリス・リンチのギターの音と、ネイサンがiPadやらなんやらで出す効果音が不思議な空間を作っていたんだけど、今回はまた違った意味で、聴いているこちらの神経が麻痺してしまうようなドローン効果を生み出していた。まさかタマス・ウェルズのライヴでこんな爆音を聴くことになろうとは。

果てしないと思われた「Fire Balloons」でもう終わりだろうと思っていたら、最後は3人が真ん中のマイクに集まって、タマスのギター、クリスのウクレレ、3人の声だけで「Grace And Seraphim」でエンディング。ああ、これは美しいラストだな。

1時間半があっという間だった。しばらく会場にたむろしていたら、楽器を片付けに来るタマス達に会えるかなと思ってたけど、警備員に追い立てられてしまった。しょうがないので会場の外へ。物販には長蛇の列が。開演前に買っといてよかったよ。

外にもしばらくいたんだけど、たぶんまだ数百名残ってるこの場所でたとえタマス達に会えたとしても、とても話なんてできないだろうから、楽しかった余韻を味わいながら地下鉄の駅に向かった。

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後日談:タマスとネイサンにライヴの感想と撮った写真をメールしたら、2人から「会えると思って終演後に外を探したのに」って言われてしまった。ああ、そうだったんだ、もったいないことをした。新メンバーの名前はクリス・ヘルム(Chris Helm)といって、子供が生まれたばかりのクリス・リンチの代わりの参加だそうだ。でも、クリス・リンチが戻ってきたとしても、もう一人のメンバーよりはキーボードも上手く、ドラムも叩けるクリス・ヘルムが外れることはないんじゃないかな。この先、あの人懐っこいアンソニーに会えることはもうないのかなと、ちょっと淋しくなってしまった。


Setlist 27 November 2016 @ B10 Live Shenzhen, China

1. Vendredi
2. Writers From Nepean News
3. Thirty People Away
4. Lichen And Bees
5. Melon Street Book Club
6. The Crime At Edmond Lake
7. The Treason At Henderson's Pier
8. 宝贝
9. A Riddle
10. Signs I Can't Read
11. England Had A Queen
12. Never Going To Read Your Mind
13. Bandages On The Lawn
14. Moonlight Shadow
15. I Left that Ring On Draper Street
16. The Opportunity Fair
17. For The Aperture
18. Valder Fields
19. The Northern Lights
20. I'm Sorry That The Kitchen Is On Fire

[Encore]
1. Fire Balloons
2. Grace And Seraphim
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Tamas Wells live in Shenzhen

中国に住んでてよかったと思えることなんてそう滅多にあるもんじゃないけど、これだけはひそかに期待していた。そして、思ったより早くその期待は実現した。今のところ最後の来日になる2014年6月から約2年半、ここ中国でタマス・ウェルズのライヴを観る機会がまた巡ってきた。

会場は橋城北駅から徒歩すぐのなんだかおしゃれな地域。A1、A2…とブロックごとに名前のついた一角にあるB10 Liveという名前のライヴ会場は、何故かB10ブロックではなくC2ブロック全部を占める、思ったより大きなハコだった。橋城北はうちから地下鉄一本で行けるものの、万が一迷うといけないと思ってかなり早めに家を出ておいてよかった。改装工事中だったB10ブロックにまずたどり着いたときには、一体何がおこっているのかと焦ってしまった。

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2016年01月11日

Other live performances in 2015

去年は32のライヴに行った。単純平均すると一月あたり2回より多く3回よりは少な目という感じか。これを読んでくれている人から見ると多いのか少ないのか、微妙なところかも。ただ、気に入った人を何度も観に行くということが多いから、実際観たアーティストはそこまで多くないんだけどね。たとえば、マット・ジ・エレクトリシャンは去年二回来日して、僕は東京近郊で観られる5回全部を観たし、グレン・ティルブルックも来日4公演に加えてUKでもスクイーズで観たから合計5回。32回のうち約1/3はその二人ということか。

3月末にグレンのライヴを観てそれまでほぼ休眠状態だったこのブログを立ち上げなおしたので、それ以前、去年初頭のライヴについては何も書いていないし、それ以降に観たものでもいくつかは忙しかったりとかいろんな理由でパスしてしまったものもあったので、完全に闇に葬り去ってしまう前に、それらのライヴについて覚えていることを少しずつ書いておこう(実際は2014年の後半にもブログに書いていないライヴにいくつか行っているんだけど、そこまで網羅するのも大変なので、あくまで去年一年間のレビューということで)。記憶の片隅をこそげ落としながら書くことになるので、大したことは書けないとは思うけれど。


1月12日 Haruka Nakamura @ 永福町 Sonorium
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今からちょうど一年前の三連休の最終日。初めて観るタイプのライヴ。リサイタルっていえばいいのかな。開始前には、寝てしまうんじゃないかなんて不安がっていたのが嘘のような、とても贅沢な時間を過ごした。ピアノと、いくつかの弦楽器と、厳かなコーラスと、蝋燭の炎。美しいものを経験すると、なんだか人間が一回り成長した気分になるね。実際にはそんなことなくてもね。機会があればまた観てみたい。


2月7日 Radical Face @ 光明寺
2月15日 Radical Face @ Nui

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インパートメント関連が続く。ラディカル・フェイスも、来日したら東京でのライヴには全て足を運んでいるアーティストだ。『Family Tree』の二作目お披露目ツアー。前回のジャックとジェレマイアに代わって、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者であるベンのパートナーのジョシュが同行。光明寺と浅草Nui、どちらも甲乙つけがたい素晴らしい夜だった。『Family Tree』最終作がもうすぐ出るから、また近いうちに来日してくれるかな。


3月1日 The Pop Group @ Liquidroom
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まさかポップグループを観られる日が来るなんて。思えば34年前に『For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?』を聴いたのが、僕が音楽にここまでのめり込むことになったきっかけだった。ライヴではそのアルバムから一曲も演奏されなかったのが心残り。と思っていたら年内に再来日。残念ながら出張と重なってしまったんだけど、そこではセカンドアルバムからも演奏したというから、悔しさひとしお。


3月23日 Dylan Mondegreen @ 月見ル君想フ
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いつの間にか来日が決まっていて、慌ててチケットを押さえた記憶がある。別に新譜が出たわけでもなかったのに。作成中だというニューアルバムからも数曲演奏したけれど、ちょっとどれも印象が薄かった気がする。もうそろそろ出るのかな。前座として演奏した、台湾から来日したフォー・ペンズもよかったけど、僕にとってのこの日の一番の収穫は、一番手でステージに上がったシュガー・ミーを知ったこと。


3月26日 The Soft Machine Legacy @ Billboard Live Tokyo
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たまに来るビルボードの無料チケット。なかなかタイミングが合うことがないんだけど、今回は他に予定がなかったので行ってみた。きっと、現メンバーの中では古参のドラマー、ジョン・マーシャルが来られなくなったので、席が埋まらなかったんだろうな。時々知ってる曲はそれなりに楽しめたけど、なんだかやっぱりちょっと敷居が高いよ。ソフト・マシーンのアルバムならもっと楽しいのにな。


6月27日 Seth Walker @ Cafe Goatee
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3月末からは順調にブログも復活してたのに、6〜7月にライヴがかなり立て込んできた時にこれが抜け落ちてしまった。全然知らないアーティストだったけど、ゴーティの松本さんのお勧めで最新アルバムを買い、ライヴにも行ってみた。昨今の僕にとってはちょっとブルーズ風味が強いかなとも思ったけど、まあ、この手のアーティストで松本さんの推薦に外れはないからね。ふらっと行ってみてよかった類のライヴ。


11月8日 Anglagard & Anekdoten @ New Pier Hall
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カケハシ・レコードのおかげで、去年中盤はずいぶんとプログレ趣味に揺り戻したものだった。アネクドテンは昔のCD一枚しか持ってなかったし、アングラガルドはその時点では試聴しかしたことなかったのに、ユニオンのプログレ館でまだ比較的いい席が空いていたのでついチケットを買ってしまった。ダブルヘッドライナーということで、フルセットのライヴが二本。堪能できたけど、疲れたよ。脚を伸ばせる席でよかった。


12月18日 Yo La Tengo @ O-East
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なんだかんだでヨラテンゴを観るのもこれで三度目。相変わらず曲名はほとんど覚えられないんだけどね。今回は初期メンバーのギタリスト(ペダルスティールなども)も参加して、新作からのカバー曲を中心に(ほとんど知らない曲ばかりだったけど)いつものような爆音やアイラのキレッキレのアクションもなく、穏やかに和やかに過ごした二時間。こういうヨラもいいね。ジェームズにはもう少し歌ってほしかったけど。


これらと、ブログに書いた23のライヴが去年一年間に観たもの。今年はもう決まっているのはまだ一つだけだけど、今週あたりからちらほらと行きたいライヴの情報が出始めてきたので、そろそろまた手元に何枚ものチケットが集まってくる気がする。
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2015年12月25日

Jeffrey Foskett live in Tokyo

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来年4月の最後の『Pet Sounds』再現ライヴとかその直前の日程に割り込むように決まったビルボードでのビーチボーイズとか、僕はどちらも今のところ行く予定はないけど、その手のファンの人たちにとっては結構な散財が予定される来日ラッシュなのに、そこに追い打ちをかけるように突如ジェフリー・フォスケットの来日が決まったのは確か先月も末になってからだったはず。

ろくな事前告知もなく、12月23日のライヴに12月4日にヴィヴィッドのサイトで抽選開始という強気な販売方法だったけど、当日スタジオを埋めた多分100名弱のお客さんを見ると、それほど強気というわけでもなかったのかも。

今にも雨が落ちてきそうな冬空の下、目黒駅からどんどん坂を下って行ったところにあったヴィヴィッド・サウンド・スタジオ。ちょっと早く着きすぎたと思ったけど、来た順番に整理番号を配り始めたのでラッキー。場内では整理番号順に椅子が並べてあって(一番早く来た人が一番端になるというのはちょっと解せないだろうけど。それは僕じゃなかったけどね)、終演後のサイン会も同じ整理番号順というのはいいシステムだと思う。少なくともあんな大勢の出入りもままならない会場ではね。

それほど広くない会場にパイプ椅子がびっしりと敷き詰めてあって、後ろを振り返ると壁際には立ち見のお客さんも入っているほどだったから、一旦席に着くとなかなか動き回れる風でもない。トイレも多分数箇所にしかないから、缶ビールとか売っていたけどちょっと遠慮してしまう。なので、開演までの30分ほどを、ずっと流れていたチップマンクスの虫声を聴きながら過ごした。

前座はペンフレンドクラブという男女混成6人組のバンド。ペットサウンズ風のバンドロゴから想像していたほどビーチボーイズ風ではなかったけど、いかにもジェフリーの前座を務めそうないい感じのバンド。僕の座っていた位置のせいか、バンドの音にかき消されてリードボーカルの声がほとんど聞こえなかったのがちょっと残念だった。もしかしたらジェフリーが自分のパートで演るかもと期待していた「New York's A Lonely Town」などのカバー曲が大半に、オリジナルを2曲ほど取り混ぜて、全部で40分ほどのステージ。

長門芳郎さんがマイクを持って出てきて(本人を見たのは初めて)、ジェフリーを呼び出す。白っぽいアロハシャツみたいなのを着ている。ペンフレンドクラブのボーカル君が「すごい大きな人ですよ」と言ってたほどの長身ではないね。最近のアー写や新作のジャケどおり、僕が04年にブライアンのバンドで観たときよりはかなり痩せたと思う(一般的にはとてもスリムとは言えない体形だけど)。

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楽器も持たずに「新譜を出したのでそこからの曲を歌うよ」と言い、ステージ脇のDJさんに合図してボーカルトラック抜きの音源を流させる。なんとカラオケか。登場前からマイク下に置いてあった歌詞カードでネタバレしていた1曲目は「No Matter What」。やっぱりいい声だね。高音がちょっと苦しそうではあるけど。ギターソロのときには両手で後ろに置いてあるギターを指さしたりして。

「クリスマスだからこれを歌わないとね」と言って、これも新譜からの「I Wish It Could Be Christmas Everyday」、さらに「これはボブ・ディランが書いた曲だけど僕の友達のロジャー・マッギンが歌った歌だ」と、新作中では僕の一番のお気に入りである「My Back Pages」がもう登場。この曲からカラオケに合わせてギターも弾きながら歌ったんだけど、ソロとかなんかちょっとたどたどしいぞ。

カラオケはそこまでの3曲で、次が確かバディ・ホリーの「True Love Ways」。むー、パンダチーズの曲だ。思わず笑そうになるのをこらえる。それより、さっきよりはましとはいえ、ギターがどうも平凡だね。この人って、ブライアンのバンドのバンマスだったんじゃないの?もっと安定した演奏するんだと思ってたんだけどな。

「何かリクエストはある?」と訊くジェフリーに、客席から次々に曲名が。ほとんど誰もがビーチボーイズの曲をリクエストするね。「それは後でペンフレンドバンド(よく間違えてた)が再登場したときに一緒に演奏するから」「ごめん、それは歌詞を忘れた」「それも後でペンフレンドバンドが再登場したときに一緒に演奏するから」「それも後でペンフレンド(以下略)」てな感じで、最後には「ごめん、リクエストを募った僕が悪かった」と、結局ロイ・オービソンの「Crying」の弾き語りを。

でも、そのすぐ後で申し訳なさそうに「リクエストしてくれたSurfer Girl、最初のコーラスだけなら歌えるよ」と、短いバージョンを歌ってくれた。魔法のような声だね。あれが聴けただけでも来た甲斐があったと思える約1分。

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ここでペンフレンドクラブを呼び出し、共演を。どうやら最初は全員一列に並んでコーラスをやるような手筈になっていたようで、突然「バンドで演ろう」と言いだしたジェフリーに一同戸惑い、キーボードの子は楽譜を取りに楽屋に戻る始末(ジェフリーは「彼女は辞めたのか?」とか訊いてるし)。

そこからは(実は僕の位置からは床に置いてあるセトリが丸見えだったので最初から全部ネタバレだった)主にビーチボーイズの5曲を一気に。リクエストコーナーでも声が掛かっていた曲ばかりだけあって、ここは盛り上がる。曲順は後述。ジェフリーのギターもこのあたりまで来るとエンジンがかかってきた感じでよかった。

デュッセルドルフから到着したばかりだというジェフリーは、あまり寝られていないのか、しきりに喉を気にしていたし、冒頭からほとんどの曲間でミネラルウォーターを飲んでいたし、トローチぽいタブレットも何枚も補給していたね。でも、あれだけ苦しそうにしていながら、あの声が出るのはやっぱりすごい。

個人的には、かつて友人たちと一緒に作って聴かせ合った人生ベスト20ミックスCDに入れたぐらい好きな「Don't Worry Baby」がやっぱり一番よかった。この曲をカールのオリジナルトーンそのままに歌える人が、今自分のすぐ目の前で歌ってくれてるなんて。感動。

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本日2曲目のクリスマスソング「Little Saint Nick」から最後は「Fun, Fun, Fun」で予定通りの曲数を終了。前座のバンドより短いぐらいのセットだね。一旦引っ込んでアンコールかと思いきや、長門さんが登場して「すみません」と。デュッセルドルフから飛んできたばかりで喉の調子が悪いのはしょうがないけど、28日にコロラドでライヴがあるからというのは言わなくてもよかったんじゃない?

あと、そこまでタイトなスケジュールで肝心のライヴが本調子でないなら、このライヴの翌日とさらに次の日に予定されていたインハウスライヴとサイン会、順番を入れ替えた方がよかったと思うのに(クリスマス当日とかイヴにライヴだとお客さんが入らないと思ったのかな)。

整理番号通り最初の方に列に並び、ジェフリーにサインをもらう。僕より前の方の人の番を見ていると、いろいろファンの方が話しかけてもほとんどジェフリーはにこやかにうなずくだけであまり会話していないね。僕の番になって「貴方のソロの曲を聴きたかったです」と言ったら、かすれそうな声で「サンキュー」と返してくれた。そんなに喉の調子が悪かったのか。ニューアルバムに几帳面なサインをもらい、一緒に写真を撮ってもらって、ライヴ中に降り出してもう止んでいた、雨に濡れた坂道を目黒駅の方に上って行った。

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23 December 2015 @ Vivid Sound Studio

1. No Matter What
2. I Wish It Could Be Christmas Everyday
3. My Back Pages
4. True Love Ways
5. Crying
6. Surfer Girl
7. Darling
8. Guess I'm Dumb
9. Don't Worry Baby
10. Little Saint Nick
11. Fun, Fun, Fun
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2015年12月13日

Matt The Electrician live in Kamakura Autumn 2016 Part 2

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年末進行でバタバタしててこの数週間ブログを書いてる時間が全然なかった。さすがにライヴから三週間も経ってしまうとかなり記憶も薄い。でも、今回観た三公演で最高の出来だったこの最後の夜のことを書かないわけにはいかない。なんとか記憶を辿りつつ書いてみよう。

三連休の最終日だったからなのか、満員だった前日と比べるとちょっとさびしい客の入り。それを反映したかのような若い整理番号のチケットで、前日とは反対側になる最前列の席を確保。友達も一緒だったから、赤ワインのボトルを開けて開演を待つ。

「Accidental Thief」がこの日のオープニング。「毎日同じセットにしないように努めるけど、確約はできないよ」と前の日に言ってたとおり、この日は前日とも、そして初日の新丸子公演ともかなりセットリストを変えてきてくれた。2曲目の「I'm Sorry Hemingway」なんて、たしか僕はライヴでは初めて聴いたはず。

「ジョン・エリオットを知ってる?」とマット。そのタイトルの彼の曲なら知ってるけど。「彼は僕の友達。知らなくても別にかまわないけど」と言いながら、そのジョン・エリオットの曲を歌い始めた。最初のさわりだけ歌って(結構いい曲だったよ)、そのまま自作の「John Elliott」へ。後日、サンフランシスコのソングライターのジョン・エリオットを検索して(検索には相当苦労する名前だ)何曲か聴いてみたけど、悪くない。ちょっと時間ができたらちゃんと腰を落ち着けて聴いてみようかな。

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「僕は煙草を止めたわけじゃない。ただ、数か月の間吸ってないだけ」という説明をしたのはこの日ではなかったかな。「止めるなんて決心するのは大変だからね。でも、たしか最後に吸ったのは4か月ぐらい前かも」と。それが、4月に出るシングル第三弾のB面「I Don't Have Anything To Do With My Hands」の前説。

この日の「It's A Beacon It's A Bell」はいつもとは違ったイントロだった。もう彼のライヴは両手の指でも足りないかもしれないぐらいの回数を観てきているから、よほど普段は演らないような珍しい曲やカバー以外は最初の一音でわかるんだけど、これはいったい何だろうと思っていたところに“Was exactly at the right time”とお馴染みの歌詞が出てきたのはやけに新鮮だった。

友達がリクエストしていた「Water」を挟み、「この曲も先日の結婚式で歌ったんだ」と、ニール・ヤングの「Comes A Time」。これはよかった。こんなのが聴けるとは。

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前半の残りは確か今回恒例の「Crying」や「Got Your Back」などおのろけコーナー。この日は初日の新丸子で着ていた奥さん手製の刺繍入りシャツを着ていて、「これもう見せたっけ?」と何度も背中を見せて笑わせていたね。僕の大好きな「I Wish You Didn't Feel Like My Home」と、去年の来日時にも歌っていたキャンパー・ヴァン・ベートーヴェンの「When I Win The Lottery」で前半終了。

後半1曲目は「Pioneer Bride」。もしかしてライヴでこの曲聴くのは初めてだったかも。と思ってたら、続く「Daydreamer」もたぶん初聴きのはず。前日とセトリを変えようと一所懸命考えてくれてたんだろうな。でも、その次の(これも今回の新丸子/鎌倉では演奏していない)「Muddy Waters」では、途中まで歌ったところで恒例の歌詞忘れ発令。もうこのときは完全に演奏を止めてしまって「今のはテスト」とか言って最初からやり直してたね。

アラスカに行ってきたという話に続けて歌った「Bridge To Nowhere」もおそらく初聴きで、毎回セトリは変えるけどなんだかんだ言って同じような曲ばかり演ってる誰かさんとは違って、この日はかなり懐の深いところを見せつけてくれた。これだから、この人のライヴには何度も足を運んでしまうんだよね。三連休の最後で翌日仕事だからとこの日は敬遠した人たち、残念でした。

「Never Had A Gun」は曲を始める前の試し弾きのときからやけに強いカッティングをしてるな、とは思ってたんだ。そしたら案の定(?)、曲の途中で4弦が切れてしまった。そのまま最後まで演奏したけど、やっぱり4弦なんてメインで使う弦が切れてしまうとさすがに変な音で、最後は苦笑しながらのエンディング。それにしても、1弦とか細いのが切れるのはよく見るけど、あんな真ん中の弦が切れることってあるんだね。

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常連のJさんが弦を張り替えてあげている間、マットはバンジョレレに持ち替えて「Little Hands」を。これもまた珍しい。途中のソロのところまでに弦を張り終えていたJさんに、まだチューニングもきちんとできていないそのギターでソロを弾かせるという無茶振りまでしていた。しかしまあ、ここまでお客さんと一体になるなんて、ゴーティならではの光景だね。

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「次の曲では3弦が切れるよ」と笑わせて(実際にはD StringsとかG Stringsって言ってた)、僕の中では既に名曲認定されている「The Bear」へ。そして、そのまま曲紹介もなしに、たしか前回の来日時にリクエストして歌ってもらった「Lost」が次に出てきたときにはちょっと感動してしまった。

トム・フロインド絡みの逸話を紹介して始めた「Osaka In The Rain」では会場から小さなコーラスが入る。やっぱりこの曲は日本公演では定番で外せないと思ってるんだろうね。こちらもちゃんと応えないと。

この日の昼にマットがインスタグラムに沖縄料理の豚丼の美味しそうな写真をアップしていたのを見たんだけど、ここで前日からリクエストしておいた「Bacon Song」を、「今回の日本ツアーで食べた沢山の豚にささげる」みたいな紹介をして歌ってくれた。途中で歌詞に出て来る「Turducken」の説明もきちんと入れて(七面鳥に鴨を入れて、さらにその中に鶏を詰める料理? 帰って写真を検索してみたけど、ちょっとグロテスク。あんなのがクリスマス料理なんだね、アメリカでは)。

最後は、今回の来日公演で披露してくれた未発売の4曲のうちでは一番の出来なんじゃないかと思う「20/20」で一旦締め、特にどこに行くともなくそのままアンコールへ。最初は、たしかかつてジム・ボジアもこの場所で歌ったことがあったはずの、マイケル・ペンの「No Myth」。子供の頃に好きだった曲って言ってたね。

「一日一回はポール・サイモンの歌を歌わずにはいれない」と、「Papa Hobo」を。彼の歌うポール・サイモンの曲はメドレーに挟み込んだ短いフレーズも含めるとこれまで沢山聴いてきたと思うけど、この曲はたしか初めて。本当に初披露(僕にとっては、ということだけど)の沢山詰まったセットだったな、この日は。

マットがそれで終了しようとしたら、松本さんが「もう一曲」と(超ロングセットだった前日に比べると物足りないと思ったのか)催促。ここで再度バンジョレレに持ち替え、もう最後はこれしかないだろうという「Train」で声を絞り出し、今回の日本公演はすべて終了。

「シリーズのシングル盤を出すたびに来日するの?」と何人ものお客さんが(僕も含めて)マットに質問する場面に遭遇して、そのたびに彼は「いやそれは無理だよ」と答えていたんだけど、今回で確か8回目の来日になるほど頻繁に来てくれている彼のことだから、次もそんなに間を開けずに来てくれることだろう。

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23 November 2015 @ Cafe Goatee

1. Accidental Thief
2. I'm Sorry Hemingway
3. Concerning The Lincoln And Douglas Debates Or Love Found Lost
4. John Elliott
5. I Don't Have Anything To Do With My Hands
6. It's A Beacon It's A Bell
7. Water
8. Comes A Time
9. Crying
10. I Wish You Didn't Feel Like My Home
11. Got Your Back
12. When I Win The Lottery

13. Pioneer Bride
14. Daydreamer
15. Muddy Waters
16. Bridge To Nowhere
17. Never Had A Gun
18. Little Hands
19. The Bear
20. Lost
21. Osaka In The Rain
22. Bacon Song
23. 20/20

[Encore]
1. No Myth
2. Papa Hobo
3. Train
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2015年11月29日

Matt The Electrician live in Kamakura Autumn 2016 Part 1

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新丸子公演に続いて金沢、京都と廻り、前日の土曜日には千葉でどなたかの結婚式で演奏したあと(元々今回の来日はそれが主目的だったそうだ)、日本でのホームグラウンドともいえる鎌倉カフェ・ゴーティに戻ってきたマット。もう一週間も経ってしまったので若干記憶がおぼろげなところもあるけど、まずは鎌倉初日、日曜日の様子について書こう。

この日はカウンターの方までずらりと立ち見の出るほどの満員御礼だった。子どもを連れてきていたお客さんも何名かいたね(ほとんどの子はゴーティのなる君が遊び相手になってあげていたけど、ひとり僕のすぐ近くに座っていた女の子が、最後までじっと座って音楽を聴いていたのが印象的だった)。

比較的いい整理番号だったので、ピアノ側のわりと観やすい席を確保。マットはリハーサルが終わったらどこかに出かけてしまったのであまり話せなかったんだけど(もしかしたら僕にリクエスト責めにされるのが嫌だったのかも)、それでも彼が戻ってきたときに、ここしばらく聴いていない気がする「College」をリクエストしたのと、「あとどうせポール・サイモン演るんだったら、The Boxerはできる?」と訊いてみたけど、残念ながら歌詞が全部わからないとのこと。「じゃあ、ポール・サイモン・メドレーの一部でお願い」と更にしつこく。

第一部。冒頭3曲は新丸子公演と曲順まで含めて同じだった。新丸子にも来ていたお客さんは何人ぐらいいたかな。僕を含めてたぶん4〜5人ってとこかな。別に誰も同じセトリだったとしても気にするような人はいないんだけど、逆に、ソロのときはきちんとセットリストを作らないって言ってたマットがこんなに同じ流れで演奏するのも珍しいのかなとも思った。

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その後に出てきた曲も、基本的には新丸子で聴いたものがほとんど。奥さんと付き合い始めた頃にラブソングは書かないと言った云々は「Crying」のエピソードだったね。1曲、知らない曲だなと思っていたら、デイヴ・アルヴィンの「King Of California」のカバーだった。「日本の作家(歌詞にも出てくる谷崎潤一郎)に影響された」と説明して歌い始めた「Under The Wire」は初めて生で聴いたかな?と思ったけど、帰って調べてみたら2012年に一回鎌倉で聴いてるね。

「次の曲で前半は終わり。リクエストのある人は休憩中に話しかけてきて」と言いながら、「最後の曲はさっきリクエストされたんだ」と、「College」を演ってくれた。「この曲には数字が沢山出てくるから、ちゃんと数字を合わせて歌わないと」と言っていたとおり、最後の「18年前」って歌詞を「23年前」って替えて歌ってたね。

第二部の最初は「The Family Grave」。休憩中にお客さんと話していた、今着ているシャツは新しいのかどうかという話を受けて、「ちゃんと説明しておこう。これは新しいビンテージのシャツ。あと、僕は昨日千葉で演奏したけど、ディズニーランドに行ったわけじゃない」と(これは、前日に僕が彼のインスタグラムを見て「ディズニーランドのところにあるリゾートホテルで演奏したの?と開演前に訊いたのを受けての話)。

そして、結果的には僕のリクエストとなった「Party」が2曲目。これもたしか開始前に、新丸子ではシングル盤シリーズの11月A/B面、1月A/B面、4月B面の曲は演奏したのに、どうして4月に出るA面の曲は演らないの?という話をしていたから。

「この曲はライブで歌うのは初めてなんだ」と、歌詞を書いた紙を前列のお客さんに渡し、それを読むためにメガネをかけて歌いだした。「メガネをかけて歌うのも初めて」って言ってたね。演奏後、「本当はこの曲にはかっこいいギターソロが入ってるんだ、こんなの」と言いながら真似しようとしてたけど、あんまりよくわからなかった。きっと、4月のシングルを一緒に作った人がレコードでは弾いてるんだろう。

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ハーモニカの話もこの曲のときだっけ。それとも「20/20」かな。レコードでハーモニカを吹いてるのは自分だけど、その後ライヴでもハーモニカホルダーを装着して演奏してみたら、髭が挟まって抜けたりして大層難しかったと。「だからもうハーモニカはやらないよ」って。

ポール・サイモンの「Train In The Distance」を歌い、「この曲は昨日の結婚式で歌ったんだけど、よく考えたらこれって離婚する歌詞だった」と笑わせる。「あと、さっきのKing Of Californiaも歌ったけど、あれは離婚こそしないものの、結婚前に死んでしまう人の歌だ」だって。日本人はあまりちゃんと歌詞がわからなくてよかったね。

後半、「The Bear」〜「Loma Prieta」という新丸子パターンの曲順の後、マットがバンジョレレを手にしたときに松本さんがあるお客さんに「リクエストしなよ」と声をかけ、そのお客さんは「All I Know」をリクエスト。マットは「じゃあこの曲を演ってからその次にね」と先に「Animal Boy」を。

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その4曲でラストかと思っていたら、「これもリクエストされた曲。実話に基づいてるんだ」ときた。いや、僕は「For Angela」はもうリクエストしてないよ。でも、たしか開演前に別のお客さんとマットと3人で話していたときに、そのお客さんが「For Angela」はいい曲だという話を切りだし、僕が「いつもマットは歌詞忘れるからもうリクエストしないでおくよ」と言ったら、マットは「いや、あの曲はアメリカではよく演奏してるんだよ」というやりとりがあったんだけど、あれはリクエストしたということになっていたんだろうか。

マットの言葉どおり、手慣れた感じで(いつものように歌詞を忘れる前に急いで歌うような雰囲気でもなく)途中までは歌っていたんだけど、お客さんが二度くしゃみをしたときに「Bless You」なんていちいち言うもんだから、やっぱりそこでポカンと歌詞が抜けてしまった。どんなギャグだ、まったく。でも、ようやく最後まで到達したらもう余裕で、通常の歌詞「彼女の給料を上げてください。組合に入れてあげてください」にアドリブで追加して「セクシャルハラスメントで困っていたら集団訴訟団に入れてあげてください」とか歌ってて可笑しかった。

そして、本編ラストは「Milo」。あ、これも僕がポール・サイモン・メドレーの話をしたもんだから、それを覚えてて演ってくれようとしているのかな。「The Boxer」も歌い込んでくれるんだろうか。

なんて思いながら聴いていたら、これがものすごく長いバージョン。「April Come She Will」とか「Slip Sliding Away」とか普段は挟まないような曲まで歌ったはいいものの、でもどちらも途中で歌詞がわからなくなってふにゃふにゃとごまかしながら歌い、最後もう収拾がつかなくなったところで「Bridge Over Troubled Water」で締め、「Milo」に戻した。「あの曲はすべてを丸く収めるんだ」とか終わってから言ってたね。結局あのメドレー、10分ぐらい歌ってたんじゃないだろうか。そして「The Boxer」は結局忘れていたようだ。

アンコールに入ろうとしたときに松本さんが「マット、後半もう80分も演ってるんだけど、まだ演るの?」と訊いたけど、マットは「長すぎる? 別にいいよね。誰かもう眠いかな」とやる気満々。そして「Only For You」へ。

最後にもう1曲、今の奥さんの前に付き合っていた彼女の名前がレインボーだったからと練習したという「Rainbow Connection」で幕。「僕が歌うと、カーミットというよりはゴンゾみたいだよね」って言ってたけど、残念ながら僕はセサミストリートとかマペットのキャラクターあんまりよく知らない。

終わったときにはもう10時前になってたかな。マットもお疲れの様子だったけど、僕の持っている彼のCDではもう数少なくなってしまったサインなしのこのアルバムにサインしてもらって、「ではまた明日」と言いながら鎌倉を後にした。

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22 November 2015 @ Cafe Goatee

1. I Don't Have Anything To Do With My Hands
2. Mountains
3. It's A Beacon It's A Bell
4. I Will Do The Breathing
5. Ghost Story
6. Crying
7. King Of California
8. Under The Wire
9. College

11. The Family Grave
12. Party
13. Osaka In The Rain
14. Train In The Distance
15. Prison Bones
16. Never Had A Gun
17. 20/20
18. The Bear
19. Loma Prieta
20. Animal Boy
21. All I Know
22. For Angela
23. Milo

[Encore]
1. Only For You
2. Rainbow Connection
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2015年11月21日

Matt The Electrician live in Kawasaki

調べてみると意外に直線距離だとうちから近いことがわかった新丸子のバー、デレク&ザ・ドミノス、ジグザグに走っている東急線のおかげで電車だと妙に時間がかかってしまうので今まで訪れたことはなかったんだけど、今回のマットのツアーで鎌倉以外にもう一回ぐらい観ておきたいなと思い、今にも雨が落ちてきそうな中、足を運んでみた。

メールで予約しておいたら、ちゃんと席のところに名前を書いた紙が置いてあった。カウンターかアーティストの真ん前の丸椅子か選べるというから、じゃあ丸椅子でと言ったつもりだったんだけど、用意されていたのはカウンターの前の方だった。結果的には、飲み物も置けたし開演前に腹ごしらえもできたからカウンターでよかったけどね。

カウンターにはマットのCDが何枚かと、なぜかゴスペルビーチのCDと、あとは前回の来日時にアナウンスされていた、出たばかりのマットの7インチシングルが置いてあった。もちろんそれは買う。松本さんによると、1月に出る予定の次のシングルも特別に1枚だけ持ってきてくれたそうだ(プレイヤーがないから聴けていないらしいけど)。そんなに制作意欲があるんなら小出しにせずに新作アルバム作ればいいのに。楽器のセッティングをしていたマットのところに行って、新曲演ってねとお願いしておいた。

5か月前のティム・イーストンとの来日時、鎌倉でも前座を務めたホテル・コングレス君がこの日もオープニングを務めた。わずか3曲だったけど、あいかわらずの渋い声でまずは場を暖めてくれた(実際、満員の会場はこの時点では汗ばんでしまうほどの室温だった)。

マットはいつものチェックのネルシャツやTシャツではなく、襟のついた黒い半袖シャツにジーンズといういでたち。ギターもバンジョレレもいつものやつだ(どこのメーカーかわからないけど、ギターにはM、バンジョレレにはSという文字っぽいロゴがついている。まさか、MattとSeverの頭文字じゃないだろうな)。

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1曲目、いきなり知らない曲だ。これが噂の新曲なのかな。曲紹介も何もないまま、続く2曲目も知らない曲。どちらも、一回聴いただけですごい名曲と判断できるほどのものじゃなかったけど、6月に初めて聴いた「The Bear」が、今回シングルを繰り返して聴いてみてあんなにいい曲だとすぐには思わなかったのと同じパターンなのかもしれないから、あえて今時点でコメントするのは避けよう。たぶん今回の鎌倉でまた聴けるだろうし。

3曲目でようやく知ってる「It's A Beacon It's A Bell」。さっそく途中でポカンと歌詞を忘れるマット。おいおい、こんな新しい、しかも今や代表曲と言ってもいいほどの曲の歌詞を忘れるかね。

「新しいシングルを出したんだ」と、この日初めてのMC。「そのシングルのB面の曲を」と言って「Never Had A Gun」を演奏。6月は僕の観た日にはこの曲は演らなかったから、松本さんがアップしていたビデオ以外で、生で観るのはこれが初めて。今までにあまりないタイプの曲だよね。かっこいい。

メモを取っていたわけじゃないので特にこの先はちょっと曲順があやふやなんだけど、演奏した曲は全部網羅しているはず(一応最後にセトリは載せておこう)。この日はウォームアップの意味もあったのか、新曲の他はほぼ代表曲と言ってもいいようなスタンダードな選曲。

最初の数曲、なんだかどんどん音が割れてくるなあと思っていたら、どうやらマットのエフェクターの電池が切れかけていたようで、途中で一旦そのエフェクターを外して結線し直すためにしばし中断。その後はギターからアンプに直接つないでいたようで、音もすっきり(正直言って、普段はどんなエフェクターを使ってどんな効果が出ていたのかよくわからないんだけど)。

マットの奥さんが刺繍をやっていて、ネットで販売していることは知っていたけど、この日彼が着ていた黒いシャツも、既製品の背中部分に野球選手の刺繍をしてくれたと、途中でくるっと背中を見せてくれた。「今日は何曜日だっけ?」という話から始まって(火曜日)、「日曜日にオースティンを出発したんだけど、前日の土曜は僕らの17回目の結婚記念日だったんだ」と、いつになく奥さんの話が沢山出る。高校の同級生で、知り合ってからもう25年にもなるんだとか。ラブソングは書かない、と奥さんにはずっと言ってたそうで、「でもこれは彼女のために書いた曲なんだ」と言いながら、「Got Your Back」を演奏。

前半最後にもう一つ知らない曲を演奏して、休憩へ。満員の場内にトイレが一つしかないから全然列が途切れない。マットのところに行って、早速新曲のことを聞く。一番最初に演ったのはなんと来年の4月に出す予定の次の次のシングルからの曲「I Don't Have Anything To Do With My Hands」、2曲目が1月のシングルのA面「Mountains」、そして前半ラストがそのB面「20/20」(一応マットの眼前でメモを取っていたので表記は正しいと思うけど、発音は「トゥエンティ―・トゥエンティ―」だった)。

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後半1曲目は「Accidental Thief」、そして「I Will Do The Breathing」。この曲演ってくれるんだ。これは大好き。さらに、「この曲も奥さんのために書いた」と「Crying」。同じアルバムからの曲が続く。さらに後半には「I Wish You Didn't Feel Like My Home」も演ったな。この日はリクエストはしないでおいたのに(新曲は別)、次々に大好きな曲がでてくる。うれしい。

ただ、やはり初日だからか、歌詞を忘れたのが他にも何曲か(やっぱり途中でアドリブで余計なひと言を挟んで、そのせいで続きの歌詞を忘れるといういつものパターン)、あと演奏ミスもちょっと散見されたね。それに、最後の方でしきりに謝っていたけど、到着してすぐのショーでは弦を張り替えたばかりだから演奏中にすぐチューニングが狂ってしまって、調弦にやたらと時間を取られていた。

でも、決して内容が悪かったというわけじゃない。僕の隣にいたお客さんはマットのライヴに来るのは初めてと言っていたけど、もうほとんどの曲で「いいねーこれ」とつぶやいておられた(笑)。カウンターに置いてあったCDを一枚を残してほとんど購入されていたから、残る一枚(たしか『Made For Working』)も、「これもいいですよ」と、カフェ・ゴーティーの売上に貢献してあげた(笑)

休憩時間中に新曲の話をしていたときに「The Bearの日本語覚えてる?」と思い出させてあげたのを、曲紹介のときにお礼を言ってくれた(別に僕の名前を呼んでくれたわけではないけど)。この日は初めて見たマットのTシャツが二種類売っていて、一つには豹、もう一つには山羊の図柄が書いてあった。マット曰く「ずっと自分のシャツには強い動物の絵を描きたかったんだ」と(山羊が強いのかどうかは僕は知らない)。

「学校のチームはたいてい、強い動物をマスコットにするよね。パンサーズとかクーガーズとか、タイガースとか。でも、僕の中学のマスコットは何だったと思う? チキンだったんだ。そんなチームが勝てるわけないよね」とまたそこはかとなく可笑しい話を。「高校のときは海岸に近かったせいか、ブレイカーズ(波?)というチームだった」。

山羊と豹を日本語で何と呼ぶのか教えてもらって「やぎ、ひょー」とか言ってるのがかわいかった。でも絶対もう忘れてるね。そして、「The Bear」へ。さっきも書いたけど、これってこんなにいい曲だったんだと再認識。帰ってきてからもうシングル盤を何度ひっくり返したことか。

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後半最後の2曲はバンジョレレに持ち替えて、定番の「Animal Boy」とこれは久しぶりに聴いた「All I Know」で一旦終了。とはいえこの狭い店でマットもどこにも行けるわけでもなく(当然楽屋なんてない)、お客さんもまだマットがそこにいるので終わったのかどうかもよくわからず、アンコールの拍手もなんだかパラパラとしたものだった。そこでマットが「なに、もう一曲聴きたいの?」とギターを抱える。

こちらも既に彼のライヴでは定番と言っていい、ポール・サイモンの「Duncan」。そして今度はマットがギターを下ろした瞬間に大きなアンコールの拍手。「何を演ろうか」としばらく悩んだあげく、あまりなじみのない曲を歌いだした。途中の歌詞でわかったけど、あれもポール・サイモンだね。「Under African Skies」だ。こちらはちょっと歌詞が危うかったけど。

機材を片づけているマットのところに行って、シングル盤にサインをもらった。いつもならもう少し長居するんだけど、まだ週の頭だったので、「また日曜日にね」と挨拶して、この時間にはもうすっかり雨模様になった新丸子の商店街を歩いて帰った。

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17 November 2015 @ Bar Derek And The Dominos

1. I Don't Have Anything To Do With My Hands
2. Mountains
3. It's A Beacon It's A Bell
4. Never Had A Gun
5. Osaka In The Rain
6. Ghost Story
7. Got Your Back
8. Valedictorian
9. The Kids
10. 20/20

11. Accidental Thief
12. I Will Do The Breathing
13. Crying
14. John Elliott
15. I Wish You Didn't Feel Like My Home
16. Only For You
17. The Bear
18. Loma Prieta
19. Animal Boy
20. All I Know

[Encore]
1. Duncan
2. Under African Skies
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