2009年11月14日

Ry Cooder & Nick Lowe live in Tokyo

今週は月曜にちょっとした用事があって会社を早く抜け、それがたたってか、ほとんど毎日終電という状態だったんで、その“ちょっとした用事”のレポートを書くのがこんなに遅れてしまった。もう記憶も感動も若干減退してしまってるけど、思い出せることをあれこれ書き綴ってみよう。

Bunkamura.JPG

もうすっかりクリスマス向けにライトアップされた街路樹の間を早足で駆けつけた渋谷のBunkamura。オーチャードホールって、確か僕は初めての会場のはず。大きくて綺麗で、音の抜けがすごくいいのが印象的なホールだった。

7月には発表されていた今回のライヴ、いくらライ・クーダーとニック・ロウという、日本では特に地道な人気を誇る二人の共演とはいえ、東京でこの規模のホールで4回公演というのはいくらなんでも無茶じゃないのかと思っていた。チケット代も安くはなかったので、僕は一番人気が無いだろうと予想した日(4回のうち2回目で、しかも月曜の夜)に行くことにした。

すぐ売り切れることはないだろうと、席順がランダムに決められてしまう先行予約はあえて避け、せっかく一回しか行かないんだからできれば良い席で観たいと、わざわざ招聘元のオンライン会員になり、通常発売が始まった瞬間にクリックして取ったチケット。それが13列目の端から数えた方が早いというなんとも生煮えみたいな席だったのでかなりがっかり。

しかも、僕より1ヶ月近く遅れて同じ公演のチケットを取った友達が、僕より2列前のほぼ中央の席だったのがどうにも納得いかない。うささこさんのブログによると、東京初日は3列目中央の4席(招待者席か?)が空いてたそうだし、このイベンターの席の割り当ては一体どうなってるんだ。もうちょっと、熱心に観たいと思ってるファンがいい席で観られるようなシステムにしてくれよ。

そういう事情と、あと事前にあちこちのサイトで読んだレビューによると、僕のお目当てのニック・ロウはどうやらこの組み合わせでは単なるべーシスト扱いで、時々歌わせてもらっているというようなことが書いてあったのと合わせて、実はライヴ当日まで自分の気持ちがどんどん醒めていってたのは事実。

まあ、そんな気持ちも、実際にライヴが始まって、前座のバンドの予想外に気持ちいい音を聴きはじめた頃にはまたすっかり暖まっていたんだけどね。いい音楽ってのは、やっぱりいいね。当たり前のことを書いてるようだけど。

その前座は、ライの息子のヨアキム・クーダーのバンド。スケールの大きないいドラムを叩く人だね。長髪に髭、頭にバンダナという見かけが、ジョン・ボーナムみたい。女性ボーカルは上手だとは思うけど、あんまり僕の好みではない感じで、ドラムの上手さとアンサンブルのよさが印象に残ったバンドだった。

そしたら、途中でのメンバー紹介で、ボーカルの女性が「私のバンドを紹介します」だって。あら、あなたのバンドでしたか。それは失礼しました。ジュリエット・コマジアって発音してたかな(綴りはJuliette Commagere)。後で聞いたら、ヨアキムの奥さんなんだって。


30分の前座の後、30分の休憩を挟んで、いよいよ本編。ステージ中央にライ。その後ろにヨアキム。中央やや左寄りにニック(端の方だった僕の席だけど、ニック側だったのがせめてもの救い)。3曲目あたりからは、ジュリエットともう一人(前座バンドでキーボードを弾いていた女性)がニックの隣でコーラス。なんだか僕の観ている位置のせいでそう思えるのか、やけに全体的に左側によった感じのステージ構成だね。

僕がライのことを前に観たのは、88年の来日のとき。あのときはヴァン・ダイク・パークスと一緒に来たんだった。そのときよりも結構太った印象のあるライも頭にバンダナ。バンダナ親子。それから、ニックがヨアキムを紹介するときに「今晩東京で一番忙しいドラマー」って言ってたね。

リトル・ヴィレッジの曲は「Fool Who Knows」だけ演ることは聞いていたが、まさかそれがオープニングだとは予想しなかった。いきなりのニックのリード・ヴォーカルにこちらは大歓喜のスタート。なんだかすっかり痩せてしまった印象があるけど、声は変わってないね。

そこからは、ライとニックがほぼ1〜2曲ずつ交互にリード・ヴォーカルを取る感じで、ニックの出番がもっと少ないと思っていた僕にとっては、思わぬ嬉しい展開。曲間のMCとかメンバー紹介もだいたいニックの役割で、ライが喋るのは自分の曲の解説とかだったし。

4曲目にニックが歌った「Losin' Boy」。どこかで聴いたことあるけどよくわからない。帰って調べてみたら、4枚組『The Doings』に収録されていた94年の未発表曲か。よくそんなマイナーな曲を。さらに調べてみたら、元はエディ・ジャイルズという人の曲なんだね。このメロディー展開、てっきりニックが書いた曲かと思ったのに。『The Doings』聴き返してみたら、今回のライヴと全然アレンジ違ってたけど。

ニックのアコースティック・ギターの弾き方が昔と全然変わってないのが嬉しい。右脇に抱え込むぐらいにボディーを持ち上げ、大きな左手で包み込むようにネックを押さえて、左足で大きくリズムを取りながら歌うところ。

「Crazy 'Bout An Automobile」のライによる曲紹介。トヨタのセンチュリーはいい車だとか、この曲はトヨタの人たちに捧げるだとか言ってたね。まさか普段アメリカでセンチュリーに乗ってるとは思えないから、今回空港からの送迎がセンチュリーだったのかな。

ニックの「Half A Boy And Half A Man」。曲紹介で79年に書いた曲とか言ってたね。てっきり84年のアルバムの曲だと思ってたから、まさかあれがセカンドアルバムの頃から温存されていたというのにびっくり。

この10曲目「Half A Boy And Half A Man」までは、ウドーのサイトに載っていた東京初日のセットリストとまったく同じ。まあ、それ以後もほとんど同じだったんで、あまり沢山のバラエティーの中からいろんな曲を演奏するという感じのツアーではないんだろうね。頑張って連日チケット取らないでよかった。

そのサイトには11曲目は新曲の「A Shrinking Man」と書いてあるけど、あれがそうだったのかな。よくわからない。サビのところでは「Biggest Fool」とか歌ってたけど(調べてみたら、レシーブ二郎さんの凄く詳しい大阪公演レビューで、それがおそらくヨーロッパ公演で演奏していた「You're A Biggest Fool」という曲らしいことがわかった。レシーブ二郎さん、ありがとうございました)。

12曲目は初日とは違って、ライの「Teardrops Will Fall」。この曲のイントロをライが何度も何度も失敗してたのは、わざとなんだろうか。ニックにベースでGの音を出させて、「そうか、その音か」なんてことを言いながら弾き出しては失敗。挙句に「違うチューニングだった!」とか言ってチューニングし直し。ジョークだったのか?そのわりに面白くはなかったけど。アメリカンジョークなのか?

ライはほとんど曲ごとにギターを持ち替えていた。派手な豹柄みたいピックガードのストラトがメインで、テレキャスターとか、ヘンな形のギターとか、マンドリンとか。唯一アコースティック・ギターを弾いたのが「He'll Have To Go」。

本編ラストが、お待ちかねの「(What's So Funny 'Bout) Peace, Love & Understanding?」。残念ながらオリジナルのバージョンではなくて最近のニックが歌うスローなバージョンだったけど、間奏のスライド・ソロが最高だった(「Raining Raining」でのスライドもよかったけど)。

すぐにアンコールで登場し、大好きな「Little Sister」。それから、「Across The Borderline」と、人気曲を立て続けに。本編はライとニックがほぼ交互に歌ってたから、一番最後にまたニックの曲を演ってくれるのかな、「Peace, Love & Understanding」はもう演ったから、まさか「Cruel To Be Kind」とかかも、などと勝手に思っていたら、そこで終演。ちょっと残念。

でも、いいコンサートだった。以前はほとんど毎年のように日本に来てくれていたのが最近はすっかりご無沙汰だったニックを久々に観られたし。もうあまり積極的にはツアーに出ていないようだけど、死ぬ前に(縁起でもない)また観られたらいいな。できたら今度はもっと小さい会場でね。


Setlist 9 Nov 2009 @ Bunkamura Orchard Hall Tokyo

1. Fool Who Knows
2. Fool For A Cigarette / Feelin' Good
3. Vigilante Man
4. Losin' Boy
5. Chinito Chinito
6. Crazy 'Bout An Automobile
7. You're Gonna Pay
8. Cryin' In My Sleep
9. Down In Hollywood
10. Half A Boy And Half A Man
11. You're A Biggest Fool
12. Teardrops Will Fall
13. Raining Raining
14. Jesus On The Mainline
15. He'll Have To Go
16. 13 Question Method
17. (What's So Funny 'Bout) Peace, Love & Understanding?

Encore
1. Little Sister
2. Across The Borderline
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2009年11月04日

開花と貢献 - Montt Mardie

Skaizerkite.jpg Montt Mardie 『Skaizerkite』

4月に北欧特集のyascdを作ったときには、このアルバムは既に発売されていて、僕が行きつけにしているあちこちのブログで結構な話題になっているのは知っていた。でもそのときは、やはり僕が行きつけにしている某ネットCDショップでは、ずっと在庫切れだったんだ。

代わりに、前作にあたる『Clocks/Pretender』から「1969」という曲を入れようとしたんだけど、あいにく激戦区のスウェーデン勢の中では、あのアクの強い曲はどうしても浮いてしまって、やむなく落としてしまった。あの記事でほんの二段落ぐらいの簡単な説明でこの人を紹介して終わりにしたくなかったからという気持ちもあったし。

5月になってようやくこのアルバムを入手し、さあ聴こうと思った矢先に例の09年度第二次グレン・ティルブルック症候群だ。いいアルバムだなと認識はしたものの、それからしばらくの僕がグレン/スクイーズしか聴けなくなってしまったのは、このブログをいつも読んでくださっている方ならご承知のとおり。

タイミングというのは大事だね、まったく。あの5月中旬という特異な時期に手に入れてさえいなければ、僕はもっとこのアルバムをしっかり聴き込み、(つい最近の僕が遅ればせながら気づいたように)これが自分にとって2009年を代表するアルバムの一枚になるともっと早くわかったはずなのに。

というような回り道をしていたお陰で、紹介するのがすっかり遅くなってしまった。モント・マルディエ(という発音でいいのかな。本名はデイヴィッド・パグマー David Pagmarというらしい)のサードアルバム『Skaizerkite』。耳慣れないこのタイトルは別にスウェーデン語というわけではないらしい。三つ折デジパックのジャケット内側にある説明によると、

skaizerkite /sky-zer-kite/ 1. 自信過剰な人 2. 1940年代初期のニューヨークに活動していた組織 3. 凧製造会社

ということだって。自分のことを自信過剰だと自虐的に揶揄してるのかな。まあ、凧製造会社についての歌が入ってるわけじゃないのはわかるけど。

オープニング「Welcome To Stalingrad」を聴けば、彼がこのアルバムで一皮も二皮もむけたというのがすぐにわかる。トランペット、ストリングス、オルガンをフィーチャーしたハイテンションな演奏に乗せて、うきうきするようなメロディーが歌われる。それが典型的なモータウン・ビートに乗っているのに、どこかほんのりと翳りを感じさせるのは、北欧ならではのセンスだろうか。

間髪を入れず、「One Kiss」のイントロの鮮烈なピアノ。もうその時点で、これが凄いアルバムだということがわかる。四半世紀も前なら、スタイル・カウンシルやワム!の最盛期の作品に匹敵していたはず。豪華な女声コーラス、間奏でのふとしたブレイク、どの瞬間を取っても最高。

まだ続くよ。「Click, Click」はその名の通り、カメラのシャッター音がリズム音として効果的に使われたセンチメンタルなポップ・ナンバー。“Click, Click”という歌詞をデュエットする女性が、後半くすっと笑ってしまうところなんて、ぞくっとするほど可愛いよ。

3曲突っ走ってきた後、ここで休憩のようにアコースティック・バラッドが入るんだけど、これがまた全然おまけみたいな出来じゃない。Johan Kronlundという、声質の似た人とのデュエット。いいね、これも。滲みる。

全曲解説する時間も気力もないけど、マジでこのアルバム、こういう感じで最後の12曲目まで捨て曲なし。7曲目のタイトルが「去年マリエンバードで」なんてのを見ると、ちゃんと歌詞読みたくなるね(前作にはちゃんとブックレットが付いてたのに)。8曲目のバラッドでデュエットしているのは、元ポプシクルのアンドレアス・マットソン(Andreas Mattson)。この人、前作にも参加してたね。

Clocks Pretender.jpg Montt Mardie 『Clocks / Pretender』


ちょっとだけその前作の話をしよう。全20曲入り、『Clocks』と『Pretender』の2枚組。どっちも30分ちょっとだから、余裕で一枚のCDに入るのに、コンセプト違うからとちゃんと分けてるのがいいね。パタパタと開いていく感じのデジパックなのもプチ豪華。どっちかというと、『Clocks』の方が本編で、『Pretender』はいろんな人とデュエットした曲が収められたボーナスディスクという趣。

さっきタイトルを書いた「1969」といい、「Set Sail Tomorrow」といい、これにもいい曲が沢山入ってるよ。新作には負けるけどね。新作はまさに才能開花という感じ。あと、この頃は今よりもっとファルセットを多用してて、聴く人によってはちょっと拒絶感あるかもね。

とにかく、まず聴いてみようと思うなら、新作からがおすすめ。こんな優れたアルバムがアマゾンとか街のCD屋で簡単に手に入らないのは残念だけど、そういうときは某アップル・クランブル・レコードを頼りにすればいい。さっき見てみたら今のところ在庫はあるようなので、欲しい人はどうぞ。

別に僕はアップルさんに借りがあるわけでもお金をもらっているわけでもないけど、こういうアーティストをどこからともなく見つけてきてちゃんと日本で流通させてくれているというのは、日本の音楽界にとって凄い貢献だと思うよ。なのでそういう店には音楽ファンとしてちゃんと貢献しようと。
posted by yas at 00:27| Comment(2) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月01日

Vol.2.5 - Matthew Sweet & Susanna Hoffs

Under The Covers Vol. 2.5.jpg
『Under The Covers Vol.2.5』 Matthew Sweet And Susanna Hoffs

「こういう誠意のある日本のインディーズは是非応援してあげたい」

8月16日の記事のコメント欄に書いたのは、誓って嘘じゃない。だけど、そのコメントを書いてまもなく、こんなものの存在を知ってしまったのが運の尽き。せめて、日本盤が発売されて初動が収まるぐらいの期間はそっとしておくのがこちらから示せる精一杯の誠意かと、しばらくの間この記事を脳内で寝かせておいた。

マシュー・スウィート&スザンナ・ホフスの70年代カバー集『Under The Covers Vol.2』の日本盤には、僕がレビューした輸入盤には入っていないボーナストラックが5曲も含まれているのは、8月のその記事のコメント欄にあるとおり。

ところが、あれこれ調べているうちに、どうやらその5曲のボートラ以外にもまだボツになったテイクがあるらしいことを知った。そして、とあるサイトで、10曲入りのボーナスディスクが付属した『Vol.2』を発見。誠意のある日本のインディーズには大変申し訳ないが、そっちをオーダーしてしまった。

届いてみたら、それは別に2枚組というわけではなく、通常のデジパックの『Vol.2』に、カラーコピーのジャケ(上の写真)がついたプラケース入りの、何の記載もないCD-Rがおまけとしてついているという形態だった。ハサミで切ったような歪んだ正方形のジャケは、こんなの一枚一枚手で切ってたら余計に手間がかかるだろうと思わせるような手作り感満載の出来。権利関係はどうなってるんだろうか。

日本盤ボートラの5曲は全て含まれているが、順番は日本盤とは全然違う。本編の「Beware Of Darkness」で一旦しんみりと終わった後に威勢よく始まる「(What's So Funny 'bout) Peace, Love And Understanding」を持って来て、最後は再びしんみりと「You Can Close Your Eyes」で締めるという日本盤の曲順は実によく考えられたものだと思うけれど、この『Vol.2.5』と名付けられた10曲入りのCD-Rの曲順もなかなかのものだ(太字は日本盤に収録)。

1. Dreaming
2. Marquee Moon
3. I Wanna Be Sedated
4. Baby Blue
5. You Say You Don't Love Me
6. (What's So Funny 'bout) Peace, Love And Understanding
7. You Can Close Your Eyes
8. Melissa
9. Killer Queen
10. A Song For You

ブロンディの「Dreaming」はきっと泣く泣く本編から落としたんだろうね。それぐらい上出来。スザンナの声って、こういう曲にほんとによく合うね。

僕にとって、このCD-Rで一二を争うハイライトが早速2曲目に。オリジナルよりもわずかにスピードを上げて、より芯の太いギターの音で幕を開ける“あの”イントロ。マシュー・スウィートが演奏する「Marquee Moon」なんて、これこそ想像するだけで鳥肌ものだろう。贅沢を言うなら、隣でギターを弾いているのがリチャード・ロイドだったら最高なんだけど、あいにく今回のレコーディングには彼は不参加。

スザンナも当然参加しているけど、もうほとんどマシューのソロ作品と言ってもいいようなアレンジ。それでも、オリジナルのヘロヘロ感と比べると、バックにしっかりと入っているスザンナのコーラスの分、音に厚みと甘味がある。マシューのギターソロが散々堪能できる、オリジナルに匹敵する11分弱の大作。

続いては、日本盤にも収録のラモーンズ。いいね、これ。この二人で一緒に歌ってる意味が一番感じられる、気持ちのいいデュエット曲(もちろん、本編の「Go All The Way」とかは除いての話)。

バッドフィンガーの「Baby Blue」は、本当は好きな曲なんだけど、ここでの出来はあと一歩というところかな。本編での「Maggie May」にも感じたんだけど、どうもスザンナちょっと気張りすぎというか。

バズコックスって、パンクという枠で括られて入るけど、ほんとにポップでいい曲書くよね、というのがよくわかる「You Say You Don't Love Me」。それは2曲前のラモーンズにも言えることだけどね。こういう曲を書けるから、単なるブームに乗って出てきては消えた有象無象とは一線を画してるんだよね。

僕にとっては今回の最大のお目当て。ニック・ロウの「(What's So Funny 'bout) Peace, Love And Understanding」。誠意のある日本のインディーズがこの曲をボートラの1曲目に持ってきたことは評価に値するけれど、これがあたかもエルヴィス・コステロの曲だと誤解されるような表記の仕方はやめてほしい。元はと言えばニック・ロウが在籍したブリンズリー・シュウォーツ最後のアルバムに収録されていた曲で、今でもニックの代表曲。

とは言え、やはり一般的には『Armed Forces』の米盤に収録されていたコステロのヴァージョンが有名なのかも。ここでの演奏は、派手なドラムで始まるイントロがアトラクションズ版、そしてこの曲を印象付ける綺麗なハーモニーがブリンズリー版、といった合わせ技。いや、これは満足。再来週のニックとライ・クーダーのライヴ、多分この曲演るだろうけど、このアレンジで演ってくれないかなあ。それでライのスライドギターのソロなんてやられたら、もう失神ものだよ。

気を落ち着けて、次はジェームス・テイラーの「You Can Close Your Eyes」。僕はこの曲が最初に収録された『Mud Slide Slim And The Blue Horizon』をはじめ、何枚かのライヴ盤でこの曲を持っているんだけど、タイトルを聞いただけでは即座に曲が思い浮かばなかった。でも、たとえこれがジェームスの曲だと知らなかったとしても、スザンナが歌うこのメロディーを聴けば、一発で彼の曲だとわかるはず。名曲。

オールマン・ブラザース・バンドは初期のライヴ盤を何種類か持っているだけなので、この「Melissa」という曲は知らなかった。悪くはないけど、特筆すべきこともないかな。

多分一般的にはこの中で一番有名なクイーンの「Killer Queen」。僕は8月の記事のコメント欄で「これもまたヴァースの部分をマシューが歌い始め、コーラスでスザンナに交代(マシューはそのままバックコーラスに移動)という感じでしょうか」などと妄想を炸裂させているが、実際はその逆だった。

うーん、どうだろう。僕はやっぱり自分が想像したように、マシューが最初でサビの部分でスザンナという役割の方がよかったかもしれない。さっき「Baby Blue」のところで書いたように、スザンナの声ってあまり低音に向いてないと思うんだけどな。マシューの裏声もいまいちだし。

まあ、それでも、ブライアン・メイ風のマシューのギター(もしかするとグレッグ・リーズ?)はよくできているし、それなりに聴き応えのある出来だろう。

最後は、70年代でこのタイトルならてっきりカーペンターズだろうと思っていたら、グラム・パーソンズの方だった。マシューの別プロジェクト、ソーンズ(The Thorns)のアルバムに入っててもおかしくない、全編に響き渡るグレッグ・リーズのペダル・スティールが泣かせる佳曲。


という全10曲。必ずしも僕のコメントの長さがそれぞれの曲の出来を示しているというわけではないが、この10曲中、日本盤のボートラに選ばれた5曲は、やはりそれなりの出来だったからというのがわかる。テレヴィジョンの「Marquee Moon」にそれほど思い入れのない人であれば、日本盤の5曲で充分満足なんじゃないかな。

というわけで、罪滅ぼしにもう一回日本盤のリンク貼っておくよ。みんなで日本盤買って日本のレコード会社を応援して、次に『Vol.3』が出るときには、日本盤だけ2枚組になっていることを期待しよう。


posted by yas at 01:53| Comment(12) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月24日

羊水の中 - The Steadfast Shepherd

The Steadfast Shepherd LP.jpg 『The Steadfast Shepherd』

羊水の中の記憶なんてものが残っているわけはないけど、きっとこんな感触だったんじゃないかと思う。地に足が着いてないどころか、体のどの部分もどこにも接していなくて、やわらかく浮かんでいるような。自分の周囲が暖かいのか冷たいのかよくわからない、その境界にいる感じ。聴いていて、意味もなく楽しくもなれるし、悲しい気持ちもなれる音。

一年前に出たデビューEPは、6曲入りにしてはちょっと複雑な構成でありながらも、音それ自体はとてもシンプルなものだった。基本的にはアコースティック・ギターと声だけ。それにほんのりと色を添えるように重ねられた、ハーモニカやタンバリンの音。

あれからちょうど丸一年後となる今年7月にひっそりとリリースされた、ステッドファスト・シェパードのこのファースト・アルバムは、音的にはほんの少し華やかになった。

ネイサンとフェアリーのコリンズ夫妻が基本となる楽器(ギター、ピアノ、オルガン、フルート、パーカッション)を演奏しているのに加え、ブロークン・フライト(Broken Flight)のピーター・ボイドとランス・ヴァン・マーネンがそれぞれギターとチェロで参加(クリスはどうしたのかな)。

数曲に入っているドラムスのジェイコブ・ピアーズとベースのドメニク・スタントンは、去年のタマス・ウェルズのライヴの後に紹介してもらったビコーズ・オヴ・ゴースツ(Because Of Ghosts)のメンバーだ。ヴァイオリンのマーク・ダヴだけが、僕にとっては初めて名前を聞くメンバーだけど、ここに名前を列挙した人たち同様、メルボルン・コネクションの一員なんだろうね。

昨年のEPのジャケットも綺麗だったけど、今回のはそれに更に磨きがかかったもの。前作のようにメンバーが自分達で張り合わせたかのような厚紙のゲイトフォールド風でなく、手触りのよい紙質のゲイトフォールドジャケットに、上に写真を載せた細かなエッチングが両面に印刷され、更にその表面には透明な素材でグループ名が印刷されている(これは手にとって光に当ててみないとわからない)。

タマス・ウェルズの前座で観た去年のライヴでもそうだったように、そっと目の前に現れては、ぶっきらぼうにギターを弾き始めるところが目に見えるような1曲目「The Other Side Of The River」。2分にも満たない簡素な曲だけど、ゆっくりと奏でられるピアノの音がポロンポロンと重ねられるのを聴くと、まるで道端に隠れるようにして咲いている名もない白い小さな花にふと気づいたときのような気持ちになる。

その去年のライヴで、東京公演でも鎌倉公演でも必ずラストに演奏されていた「Golden Point」が2曲目。その他にも去年のライヴで演奏されていた曲がいくつか収録されているが、どれもあの時よりも格段に練られ、洗練された感がある。

なかでも、さっきリンクした去年の記事に「確か両日ともに三曲目で演奏された、ハーモニカを吹き、タンバリンを足で踏みながら歌った曲を僕は結構気に入った」と書いた5曲目「The Eyes Don't Lie」がやはりとてもいい。ハーモニカの代わりに使われて曲を象徴することになった楽器はスライドギター。タンバリンの音はあのときよりもずっと控えめになり、そこにかぶさってくるチェロとヴァイオリン、そして1曲目同様に、眼前に白い花が一つずつポツポツと咲いていくのが見えるようなピアノの音。

前作もこのアルバムも、ほとんどの曲でリード・ヴォーカルをとっているのはネイサン。フェアリーはほんの数曲でしかメインでは歌っていないが、全曲でネイサンの声に寄り添うようにハーモニーを聞かせている。その二人の声の交わり具合が、今回更に絶妙なように思える。次にまたステッドファスト・シェパードのライヴを観る機会があれば、そのときはネイサンのソロでなく、この二人のユニットとして観てみたいな。

前作同様、ランド&シー(Land&Sea)というインディペンデントからのリリース。前作は上のジャケ写の横にリンクを貼った彼らのサイトから直接買うしか方法はなかったが、今回は結構あちこちにディストリビューションされているようだ。iTunesにもあるし、僕がNZで行きつけにしていたJBハイファイにも置いてあるようだし、きっとこのブログに来られる何人かの方にはお馴染みのはずのCDBabyでも買えるようになったみたい(ちなみに、関係ない話だけど、僕がNZにいた頃に偶然旅行で一緒になって仲良くなったアメリカ人が、後でCDBabyの社長だったと知ったときはびっくりした)。

僕は発売日に彼らのサイトに直接オーダーしたから(その当時はまだCDBabyにはなかったはず)、CDと一緒に綺麗なデザインのバッヂが送られてきた。今はもうそのことは書いてないから、もしかしたらもうそのキャンペーンは終了したのかもしれないけど、勇気のある欲張りな人は「バッヂもらえるってyasに聞いたんだけど」って書いてみると何かもらえるかもしれない(僕は保証しませんけどね)。

それにしても、最初にざっと流して聴いたときには「なんだか地味なアルバム」と思ってしまったこれが、3ヶ月も経ってここまで自分の中で伸びてくるとは思わなかった。タマス・ウェルズを筆頭に、ブロークン・フライトといい、このステッドファスト・シェパードといい、この独特の雰囲気を携えたアーティストたちを何人も生み出しているメルボルンって、どんなところなんだろう。一度行ってみたいな。タマスもネイサンももうそこにはいないけど。
posted by yas at 16:32| Comment(4) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月10日

yascd013 レゲエとスカと

このブログでレゲエのアーティストを取り上げたのって、今からちょうど一年前になるUB40のときぐらいか。でも、実は僕は結構昔からレゲエを聴いていて、調べてみたら一番最初にレゲエのレコードを買ったのは1981年の6月だったから、過去30年近くの間少しずつ集めてきたそれなりの数のLPやCDが、まあうちにあることはある。

そんな中から、いくつかレゲエやスカやダブのお気に入り曲を集めてみた、半年振りのyascd。普通にレゲエをメインに聴いている人からみたら、えらく片寄った選曲に思えるだろうというのはわかるけど、例によって僕仕様のミックスということで。


1.イナー・サークル(Inner Circle)
Book Of Rules
『Da Bomb』

Da Bomb.jpg

のっけから、さっきのUB40の記事で半ば否定的な書き方をした“お洒落でリゾートな”レゲエチューンを。名前は知ってたけど実はあまりよく知らないグループ。ベストアルバムが沢山出てるね。どういう経緯で僕がこのCDを買ったのかはあまりよく憶えていないけど、きっとこういう気持ちいい南国の音が聴きたかったんだろう。


2.ジョン・ホルト(John Holt)
For The Love Of You
『Darker Than Blue: Soul From Jamdown 1973-1980』

Darker Than Blue.jpg

この秀逸なジャケに惹かれて手にしたこのコンピレーションCD、ソウルやR&Bの曲をジャマイカのアーティストがカバーしたというものだ。凄い有名アーティストや超名曲というのが入っているわけではないけれど、コンセプトのしっかりしたいいアルバム。このジョン・ホルトという人は僕は元々名前しか知らなかったけど、アイズリー・ブラザーズがオリジナルとなるこの曲を名演。


3.マイクル・ローズ(Michael Rose)
The Lonesome Death Of Hattie Carroll
『Is It Rolling Bob? A Reggae Tribute To Bob Dylan』

Is It Rolling Bob.jpg

一方こちらは、ボブ・ディランの曲ばかりをレゲエのアーティストがカバーしたというコンピレーション。一番最後にはボブ自身の演奏も入っている。彼の曲って、本人がメロディ無視で変な声で歌うもんだからよくわからないことが多いけど、こうして上手な人にカバーされると(例えそれがレゲエのアレンジであれ)本当にいい曲だというのがよくわかる。後で出てくるボーカル・グループ、ブラック・ウフルの元リード・ボーカリストのソロ録音。


4.ボリス・ガーディナー(Boris Gardiner)
I Want To Wake Up With You
『Love's Lane』

Lover's Lane.jpg

確か高校のときだったか、それまで弟と共有していた二段ベッドでなく、自分の部屋にタオルケットをひいて寝ていた夏に、ラジオでエアチェックしたこの曲で毎朝起きていたのを思い出す。生まれて初めてのイギリス旅行で、探していたその曲のシングル盤を見つけたのも、その後シンガポールで今はもう廃盤になっているこのジャケ写のアルバム(カセット)を買ったことも全部懐かしい、僕にとって思い出の曲。


5.ガーランド・ジェフリーズ(Garland Jeffreys)
Loneliness
『Guts For Love』

Guts For Love.jpg

このブログには何度か登場している、僕の大好きなアーティストの一人。これは一般的には評価が低いかもしれないけど(「ガーランド・ジェフリーズの一般的な評価」なんてものが存在するとして)、僕にとってはとても思い出深いアルバム。もっとゴツゴツしたビターなレゲエ曲も演る人だけど、ここにはこのとびっきりスイートなやつを入れよう。ほれぼれする歌声。


6.マトゥンビ(Matumbi)
Bluebeat & Ska
『Empire Road』

Empire Road.jpg

さっき81年頃にレゲエを聴き始めたと書いたけど、当時の僕が好んで聴いていたパンク/ニューウェーヴとレゲエとの間には、今では想像もできないほどの親密性があった。そして、その二種類の音楽の挟間を行き来しているうちに何度も名前を見かける人物の一人が、このバンドの中心人物である、デニス・ボーヴェルだった。マトゥンビ〜ソロを通じて、本当はもっとダブ寄りの音を作る人だけど、ここにはこのタイトルどおりのブルービート&スカを。


7.グレゴリー・アイザックス(Gregory Isaacs)
Puff The Magic Dragon
『Reggae For Kids』

Reggae For Kids.jpg

グレゴリーのアルバムは何枚か持っていて、オリジナル曲を入れたい誘惑もあったんだけど、ここにはこの子供向けレゲエコンピから。このCDを買ったのは、ニック・ホーンビィの優れた音楽評論短編集「31 Songs(邦題:ソングブック)」の中でも殊更心を動かされる、彼の息子ダニーについての章を読んだからだ。買ってよかったと思ったCDだったけれど、この本ほどではなかった。「About A Boy」以上「High Fidelity」未満という、僕の中では最上級に属する褒め言葉を贈りたい(なんでいつの間にか本の話になってるんだか)。


8.ブラック・ウフル(Black Uhuru)
Plastic Smile
『Black Uhuru』

Black Uhuru.jpg

3のマイクル・ローズが在籍したグループの79年盤から。彼らの82年のライヴ盤『Tear It Up』はあの当時聴いたレゲエアルバムの中でも最も強烈な印象を残すものの一つだった。曲後半のダブ展開は、当時のレゲエ界最強のリズム・コンビ:スライ・ダンバーとロビー・シェークスピアによるもの。ぶっきらぼうなエンディングもクール。


9.ランキン・タクシー(Rankin' Taxi)
放射能エライ[危ういでVersion]
『Watating』

Watating.jpg

ここでちょっと異色なのを。僕の96年のアルバムベスト5に入るこのランキン・タクシーの名盤から。さすがに13年前の時事ネタは今聞くとちょっと辛いところもあるけど、この言葉の魔術は絶品。この曲自体は彼の過去の作品の焼き直しだから、きっと今でも同じ曲に新しいネタを乗せて歌い続けていることだろう。アフィリエイトしようと思ったら、これ廃盤なんだね。代わりにオリジナル「誰にも見えない、臭いもない」収録のベスト盤を貼っておこう。


10.UB40
I Think It's Going To Rain Today
『Signing Off』

Signing Off.jpg

さっき書いた一年前の記事でこのブログに初登場したバンド。僕がこのグループについてどう思ってるかはその記事を参照してもらえばいい。このファーストをリアルタイムで聴いたときには僕はそうとは知らなかったけど、これはランディ・ニューマンの曲。そういえば、003に本人が登場して以来、008のサニー・ランドレスによるカバー、009のアーロン・ネヴィルによるカバーと、yascdにはこの人の曲がやたらと出てくるね。


11.スクリッティ・ポリッティ・フィーチャリング・シャバ・ランクス(Scritti Politti featuring Shabba Ranks)
She's A Woman

She's A Woman.jpg

こちらも僕のブログにはもう何度も登場している、スクリッティ・ポリッティ。これは91年(アルバムでいうと『Provision』後)にレゲエ歌手のシャバ・ランクスと共演したシングル。アフィリエイトしようとしたけど、このシングルが廃盤なのはもちろん、どのアルバムにも入ってないね。相変わらずのグリーン声とシャバのギトギトな声のコンビネーションが、アイスクリームのテンプラみたいに妙に合う。おまけになんといっても素材がビートルズだからね。


12.ボブ・マーリー(Bob Marley)
One Cup Of Coffee
『Songs Of Freedom』

Songs Of Freedom.jpg

ボブ・マーリーを入れないわけにはいかないだろう。でもどれを?ということで、この1962年のボブ17歳のときの録音を。これは、92年に出た4枚組限定ボックスから。だったのに、リンク先にあるように最近は普通のCDケースサイズになって限定解除で再発。ビートルズの音源はあんなに厳重に管理されて、リマスター再発が一大事件になるほどなのに、音楽界にとって同じぐらい大切なボブ・マーリーの音源がデタラメに扱われていることにいつも憤りを感じる。劣悪な音のライヴ音源なんて出さないでほしい。でもこういうきちんとした編集盤は大歓迎。同ボックス収録の、死の間際の「Redemption Song」の弾き語りライヴは必聴。


13.ニック・ロウ(Nick Lowe)
Cool Reaction
『The Abominable Showman』

The Abominable Showman.jpg

さてここからしばらくは、イギリスの所謂レゲエアーティストじゃないのが続くよ。まずは、来日を間近に控えた彼から。83年のこれは彼の数多いアルバムの中でも必ずしも一般的評価が高いものではないが(「ニック・ロウの一般的な評価」なんてものが存在するとして)、僕はとても好きな一枚。この端正なレゲエ・マナーのベースを弾いているのがニック自身なのかジェームズ・エラーなのかはわからないけど、コンパクトながら一度は生で聴いてみたい逸品(絶対に無理だろうけど)。


14.マッドネス(Madness)
Grey Day
『The Heavy Heavy Hits』

The Heavy Heavy Hits.jpg

80年代初期のスカ・リバイバル/2トーンブームに乗って出てきた彼らだけど、その後スカとかに関係なく、本当にいいバンドになったと思う。なんて偉そうなこと言っておきながら、僕もずっと追っかけてきたわけではないんだけどね。最近でも地道に活動している彼らの、これは81年作。今月ファースト『One Step Beyond』の30周年記念2枚組が出るみたいだね。ちゃんと買いなおそうかな。


15.プラネッツ(The Planets)
Let Me Fall
『Spot』

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ちゃんと説明するとこの記事一話分ぐらいになるから省略するけど、デフ・スクールが解散して、中心人物の一人は80年代中期に売れっ子プロデューサーとして活躍、もう一人が結成したのがこのプラネッツ。2枚のいいアルバムを作ったものの、レゲエを取り入れたニュー・ウェーヴ・サウンドのせいで小型ポリースみたいな不当な扱いを受け、あえなく消滅。スティーヴ・リンゼイって今どうしてるんだろう。このジャケはその2枚を2in1化したCD。もう廃盤みたいだけどね。残念。


16.ビート(The Beat)
Twist & Crawl
『B.P.M.』

B.P.M..jpg

こちらは2トーン組。実力はありながら、なんかいつも脇役扱いされてたような気がするけど(僕の中だけだろうか)、この人たちも今聴いてもいいバンドだったなと思う。僕はオリジナル・アルバムは一枚も持ってないけど、ベスト盤を二種類も持っている(うち一種は二枚組)。これは、後半にダブ・パートが付いたロング・ヴァージョン。


17.スペシャルズ(The Specials)
Little Bitch
『Specials』

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2トーンを代表する彼らの曲で、このスカ・リバイバルコーナーを締めよう(いつの間にかコーナーになった)。エルヴィス・コステロがプロデュースした、ジャケも最高に格好いいこの名作デビュー・アルバムから。さっきパンク/ニューウェーヴとレゲエがどうのこうのと書いたけど、その融合が一番わかりやすく、最適な形で完成したのがこのアルバム。


18.リントン・クゥエシ・ジョンソン(Linton Kwesi Johnson)
Want Fi Go Rave
『Forces Of Victory』

Forces Of Victory.jpg

冒頭に書いた、81年の6月に買ったレゲエのレコードとは、リントン・クゥエシ・ジョンソンの曲をデニス・ボーヴェルが処理した『LKJ In Dub』というアルバムだった。我ながら、どこからレゲエに入ってるんだかという感じだが。今でも、うちのCDラックのレゲエ関連コーナーに、ボブ・マーリーに次いで沢山あるのがこの人のアルバム。ロンドン在住のダブ・ポエット。何言ってるのかほとんどわからないのが難点だけど(恥)、デニス・ボーヴェル作の音も含めてすごくかっこいいよ。


19.リトル・テンポ(Little Tempo)
Ron Riddim
『Ron Riddim』

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一方こちらは、日本を代表するダブ・バンドのファースト・アルバムから。こんな歌も入っていない長尺の曲なのに、最初の一音から最後まで緊張感が全く途切れない、この上なくクールな音。かなり頻繁なCDのリリース・ペースについていけなくなって、僕は最初の数枚しか持っていないけど、どれを聴いても気持ちいい。


20.マイティ・ダイアモンズ(Mighty Diamonds)
Be Aware
『Deeper Roots』

Deepr Roots.jpg

最後にジャマイカに戻ろう。さっきまでの冷ややかなトーンから一転、まるで冬のトンネルを抜けたかのようなこの暖かい音とボーカルが心地良い。3分にも満たない小品だけど、こういう秀逸なボーカル・グループの曲はいつ聴いても心が和むね。


いつも書いてる種類の音楽に比べて僕の中での情報量が圧倒的に少ないジャンルなので、もっと短く簡単に書けるかと思ってたんだけど、やっぱり20曲それぞれについて何か書こうとすると、それなりの分量になってしまうね。これから徐々に寒くなっていく季節に、これ聴いてちょっとでも暖かい気持ちになれればいいな。
posted by yas at 22:26| Comment(18) | TrackBack(1) | yascd | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月04日

また出た - Mark Kozelek

Lost Verses Live.jpg Mark Kozelek 『Lost Verses Live』

去年の4月に『April』、年末に『Finally LP』と、かなりのハイペースでアルバムをリリースしているマーク・コズレック。彼は実はその上にさらに何枚ものライヴアルバムも出している。

『April』とほぼ同時期に出た彼の詩集に付属していた『Nights LP』(*1)。『April』のすぐ後に出た1500枚限定の『7 Songs Belfast』(*2)。今年の4月に出たサイト限定のフリーCD『Find Me, Ruben Olivares - Live In Spain』。そして、5月には今日取り上げる最新ライヴ盤『Lost Verses Live』。

 *1:これは純粋なライヴ盤でなく、ライヴ録音やデモバージョンを集めたもの。
 *2:もたもたしていて買う機会を逸してしまった僕に、親切な上に同じCDを何枚も買うことで有名なマサさんが譲ってくださった。マサさん、ありがとうございました。

それら以前にも、06年の暮れに出た『White Christmas Live』と『Little Drummer Boy Live』という、クリスマスというテーマで対になった2種類のライヴアルバム(実際その二つは限定盤LPでは4枚組の一つのアルバムとして出た)があったから、今現在彼のサイトに載っているだけで6種類のライヴ盤が出ていることになる。

いくらレッド・ハウス・ペインターズ時代から20年近くに亘るキャリアを誇る彼とはいえ、これだけの短い期間にそれだけの数のライヴ盤を出せば、当然内容は似通ってくる。そんなに演奏スタイルに幅のある人でもないしね。

今回のアルバムも、数曲を除いてほぼ全部、以前のどれかのライヴ盤に収録されていた曲ばかり。だから、3月に彼のサイトを観ていて、フリーCDの『Find Me〜』に続いてこのアルバムが出ることを知ったときの僕の正直な感想は、この記事のタイトルと同じようなものだった。

そのうち、6月にはカラービニールの限定LPが出ることも同じサイトで案内されたが、そのニュース自体は6月を過ぎても更新されることはなかった(ちなみに、今でも同じ文句が書いてある)。

9月になり、サイトのトップページを見て「まだ出ないな」と思いながら何の気なしにショップのページに移ってみたら、そこには既に売り出し中のアイコンが。黒ビニールと白ビニールの2種。限定100枚ずつ。おまけに、LPにはCD未収録の「I Am A Rock」と「Last Tide / Floating」を収録とのこと。

White Vinyl.JPG

というわけで、今僕の目の前には、この白盤があるというわけ。「また出るのか」とか思ってた気持ちも、限定の二文字には簡単に折れる。ちなみに、僕が買った数日後に同じサイトを見てみたら、白盤は売り切れていたけど、今日見たらまた再入荷したようだ。いずれにせよ、過去の例からみても、今回のがなくなったらもう入手困難になるのは明らか。

2枚組アナログ盤の各面に4曲ずつ、全16曲のうち8曲が『April』から。そのアルバムは11曲入りだったから、ほとんど全部を演奏していることになるね。逆に言うと、今回のライヴ盤は“April + Best Selection Live”という趣。さっきも書いたとおり、収録曲のほとんどが過去のライヴ盤でも取り上げられているような代表曲ばかりだし。

07年の10月から08年の暮れにかけて主にアメリカとヨーロッパで録音されたようで、どの曲がどことは書いていないものの、日付と会場が内ジャケに明記してある。その最後に載っているのが、Kings Arms Tavern - Auckland, New Zealand, August 1, 2008。懐かしいな、僕がスリッツを観た場所だ。

内容は、これまたいつものマーク・コズレックとしか言いようがない。マークとフィル・カーニーのアコースティックギター2本に、マークの声、それだけ。今みたいな晴れた日曜の昼下がりにあまり似合うタイプの音楽ではないけれど、夜一人で聴いていると確実にどこかに連れて行ってくれる音。ボートラ収録のサイモン&ガーファンクルの曲ですら、しっかりとこのジャケットのように鈍い光を放つ黒色に染められているようだ。

残念ながら最近よくあるアナログ盤を買えばMP3音源が付いてくるといったものではないから、これを聴くときは必ずレコードプレーヤーを使わないといけないんだけど、オフィシャルサイトから買った僕にはさっき書いたフリーCDが付いてきたから、ウォークマンに入れて聴くのはもっぱらこちら。

Find Me, Ruben Olivares.jpg
Mark Kozelek 『Find Me, Ruben Olivares - Live In Spain』

フリーCDだからといって、内容が悪いというわけじゃない。13曲入り64分のフルアルバム。『April』以降のライヴ盤が必ずそうであるように、ラスト前のクライマックスに「Tonight In Bilbao」が来るのも定番。この曲を聴くと今でもあの素晴らしかったインストア・ライヴを思い出すよ。


同じようなライヴ盤ばかり買ってもしょうがないと思う気持ちを限定商法で押し切られ、でもオマケとしてもう一枚立派なライヴ盤をつけてくれるという、憤っていいんだか喜んでいいんだかわからない状態だけど、あのインストアのときの眉間にシワを寄せたぶっきらぼうな喋り方や、サイトのトップページの4月のニュースが未だに更新されていないいい加減さに付き合っていくのが、この人のファンでいるということなのかと、妙に自分を納得させていたら、

同じサイトに、去年の12月に出た『Finally LP』が“09年6月に”2曲の未発表曲を追加してアナログで再発されることが書いてあるのを見つけた。

・・・やっぱり憤ることの方がちょっとだけ多いかな。
posted by yas at 16:10| Comment(5) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月27日

親指ピアノ工作記

なんだか昨日から風邪っぽくて、今日はどこにも出かけずに家でゆっくりすることにした。あちこちのCD屋から期末バーゲンセールの携帯メールがバンバン入ってくるけど、最近ちょっと買い込みすぎなので自粛。そうだ、この機会に、夏休みに買ってきてまだ手をつけていなかった親指ピアノを組み立ててみよう。


こういうの。
DSC00443.JPG


袋を開けると、これだけのパーツが入ってる。
これを接着剤とネジでくっつけていくだけ。簡単。
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まずは枠組みとネジ受けを接着剤でくっつけて、
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天板と底板も貼り付けて箱にする。
しっかりくっつくまでは輪ゴムで固定して、
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せっかくなので色を塗ろう。
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ムラにならないようにスプレーで何度も重ね塗り。
乾燥させながら、合間に本を一冊読めるぐらいの時間をかけて。
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下にひいていた段ボールになんだか奥行きのある模様ができて綺麗。
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鍵盤をネジで取り付けて、
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音階を揃えるために鍵盤の長さを調節。
DSC00455.JPG


できた。
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中学生の頃に欲しかったブルーメタリックのギターのことを思い出して、この色にした。我ながら、なかなかかっこよくできたよ。

音を出しながら鍵盤の長さをちょっとずつ調整。おもしろいね、これ。


親指ピアノといえば、これ。
Congotronics.jpg Konono No.1 『Congotronics』

さっきの袋にも書いてあったけど、親指ピアノってカリンバっていうんだとずっと思ってた。アース・ウィンド&ファイアの「Kalimba Story」って曲もあったし。

でも、コンゴではリクンベっていうんだね。カリンバはタンザニアでの呼び名で、この親指ピアノの取説によると、他にもムビラ、サンザ、イケンベとか50以上の呼び名があるんだって。

CDに合わせて演奏しようと思ったけど、こんな速弾き到底できるわけもなく。しょうがないんで、他のもっとスローな(アフリカとは何の関係もない)CDに合わせてポコポコ弾いて遊んでいるところ。

これちょっといいな。簡単に作れるし、遊べるし。実は、これを買うときにどっちにしようかと迷ったトーキングドラムのキットもあったんで、今度はそれも買ってみようかな。

と思って、取説に載ってたサイトを見てみたら、いろんな楽器があるぞ。ちょっとこれは、こつこつ集めてしまいそう。
posted by yas at 00:14| Comment(14) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月20日

魔法を信じ続けていくための音楽 − 100s

世界のフラワーロード.jpg 100s 『世界のフラワーロード』

中村一義のアルバムはいつも

  たくさんの「いい曲」と

  いくつかの名曲と

  夢で見た景色をハサミで切り抜いてきたような断片と

が集まってできている。


97年のソロ名義でのデビューアルバムから、100s(ひゃくしき)というバンドの一員になってからもそれはずっと変わらない。毎回、それら成分の含有量が少しずつ違ってるだけ。

98年の『太陽』や02年の『100s』みたいに、それこそ名曲と夢の断片だけを固めて作ったようなアルバムもあれば、大方「いい曲」と断片ばかりだけど、その中にそっと、聴いているだけで胸が詰まってしまうような名曲がぶどうパンみたく埋め込まれていることもある。

そしてそれは、この『All!!!!!!』以来2年ぶりのアルバムでも変わっていない。07年のそのアルバムには「ももとせ」っていうとびっきりのぶどうが埋められていたね。この新作の裏ジャケを見ると16個も曲名が書いてあるけど、それもいつものこと。そのうちいくつかは、夢の断片の名前のはずだ。

あれだけ心待ちにしていたアルバムだったのに、リリースが運悪く(?)本年度第二次グレン症候群にぶち当たってしまったために、入手が遅れてしまった。つい先日届いてまだ何度も聴いていないんだけど、たとえば「セブンス・ワンダー」なんて名曲がちょうどアルバムの真ん中あたりにころんと入っているのに気づく。そう、いつもこの人はこんな素敵な曲をこんなわかりにくいところに埋めるんだよね。

名曲「セブンスター」を髣髴とさせるイントロを伴って始まる「モノアイ」もいいし、いつも入ってるシークレット・トラック扱いに近い16曲目の「空い赤」も今回屈指の名曲だ。彼のパワーポッパー的側面がたっぷり表れた「いぬのきもち」も大好き。

11曲目「ある日、」から次のアルバムタイトルトラック「フラワーロード」につながる部分なんて、最近聴き直している『Abbey Road』のB面に近いものを感じてしまう。無理矢理こじつけるなら、さらに続く13曲目「まごころに」が「Carry That Weight」で、14曲目「最後の信号」が「The End」か。後のはタイトルぐらいしか似てないけど。

いみじくもビートルズのそのアルバムのタイトルにこじつけたように、中村の故郷である小岩のフラワーロードという商店街をテーマにしたこのアルバム、偶然か否か“ロード”つながりで、ビートルズの『Abbey Road』やポール・ウェラーの『Stanley Road』みたいな意気込みで作られたアルバムのようにも思える。



僕の買ったのは、DVD付きのバージョン。このアルバムに収められた「そりゃそうだ」がテーマ曲として採用された『ウルトラミラクルラブストーリー』という映画の監督である横浜聡子が制作したアルバム全曲分のPVが収録されている。

これが、すごくいい。単に16曲分のPVが収められているんじゃなくて、このちょっと組曲風というかトータルアルバム風の曲たちを、不思議なストーリーに乗せて順番に綴っていく、まるでそれ自体が1時間の映画みたいな作りになっている。

まだ一回通して観ただけなんだけど、フラワーロード商店街を舞台にしたシュールなストーリーが、何気ない街の風景とそこで生活する人たちを映した映像と妙にマッチしていて、なぜだか最後まで目が離せない。「ミス・ピーチ!」を歌う町内会のおばさん(や、お婆さんやお姉さん)たちが微笑ましくて、つい画面の中の彼女らにつられて笑ってしまう。

これはDVD付きにして正解だったね。と思ってたら、昨日立ち寄った某町のブックオフでは、初回限定ブックレット付き・スリップケース入りなんてのが売られていた。しまったー。ちゃんとチェックしとけばよかったよ。買いなおそうかな。。

それにしても、中村君、なんか大きくなったね。『太陽』引っ張り出してきて見比べてみたけど、太ったというよりは、なんだか体積が大きくなったっていう感じ。同じ系統の音楽を演っている者として、マシュー・スウィート路線でも狙ってるんだろうか。



話は飛ぶけど、僕は自分の人生これまでのところ、やり直したいと思うほど悪かったわけではないと思ってるし、音楽関係について言えば、(激動の60年代とかは経験していないものの)それなりにいい時代に生まれたと思ってる。でも、中村一義の音楽を聴くといつも、彼と同じ時期に生まれて、彼の曲を自分と同世代のものとして経験したかったという気持ちになってしまう。

僕は自分の歳にしては、自分よりずっと年下の新しいアーティストの音楽を聴いてきているつもりだけど、日本人であれなに人であれ、僕をそんな気持ちにさせるのはこの人だけだ。なんでかはよくわからないけど。こんな、じっくり聴いても何のこと歌ってるのかさっぱりわからないような歌なのに。

3曲目のタイトル「魔法を信じ続けているかい?」を見て思わずにやっとする。これはもちろん、97年のデビューアルバム『金字塔』に収められた「魔法を信じ続けるかい?」を受けたものだ(そのタイトル自体がラヴィン・スプーンフルの「魔法を信じるかい?」をもじっているのに)。

うん、そうだね。君がいつになってもこんな素敵なアルバムを届け続けてくれている限りは、魔法だって何だって信じ続けていられるよ。次はまた2年後かな。
posted by yas at 22:08| Comment(5) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月12日

09.09.09のタワーとグレンの新録(とその他諸々)

出張続きの合間を縫って、会社帰りに新宿のタワーレコードに立ち寄った。JR東南口を出たところでビートルズのチラシを受け取り(ティッシュは受け取らないけどこういうのはもらう)、その日が9月9日だったことに気づいた。

あの建物は待っても待ってもエレベーターが来ないので、そのままエスカレーターの右側を歩いて上がる。左側の人たちには「ビートルズのCDを急いで買いに行く人」だと思われているんだろうか。JR改札がある2階から、タワーの一番下の階(7階)まで上るだけでも結構な運動。この日はそのまま最上階の10階まで。

さすがに凄いね。全階のBGMがビートルズ。それも館内放送とかじゃないから、それぞれの階で違う曲がかかってる。7階のイベントスペースではコピーバンドが演奏してるし。

今回のリマスターCDは、いつも回遊しているいくつかのブログなどでも沢山取り上げられているし、あちこちで随分前から相当な話題になっていたのはもちろん知っていたけど、どうも個人的にはそれほど盛り上がらず。

87年版のCDは(何故かファースト以外は)出てすぐに全部揃えたし、その後あれこれ出たCDも、確か赤盤青盤以外は全部家にあるけど、家でビートルズを聴くことってもうほとんどないからね。とりあえず今はいいかって感じ。

初日のタワーにそんなに人が群がっていた理由の一つであったであろう話題のモノボックスにしても、なんだか初回限定生産というその発売方法が嫌で。こんな確実に需要の方が大きい商品、予約販売や初日に買った人のうち何割かはきっとオークションとかで一儲けしてやろうという考えに決まってる。こんな売り方して、アーティスト、レコード会社、ファンの誰がハッピーなんだろう。試しにヤフオクでちょっと見てみたら、もう数十件出てるし、アマゾンの中古マーケットでも最安値で5万円強だ(定価は39,800円)。

もちろん各階でかかっているBGM自体には罪はないので、それはそれで心地良く耳にしながら、目的の10階書籍コーナーへ。


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この日のお目当ては、界隈のグレン・ティルブルックのファンの間でしばらく前から話題になっていた、MOJO10月号。付録CDが『Abbey Road Now!』という、いろんなアーティストが『Abbey Road』全曲をカバーしたというCD。

MOJOなんて、まだNZにいた頃に07年の2月号を買って以来、2年半振り。あのときは『Love Will Tear You Apart』っていうジョイ・ディヴィジョン絡みのコンピCDに釣られたんだった。

さて、その『Abbey Road Now!』、グレン以外の有名どころではロビン・ヒッチコックやゴメス、コーナーショップといった人たちが参加しているが、こういうコンピCDの例に倣って、ほとんどは知らないアーティストばかり。掘り出し物はあるかな。というわけで、数回聴いてみた上での一言コメント。

1.Come Together インヴィジブル (The Invisible)
頭からいきなり意表突かれる。アンビエントというかトリップ・ホップというか、とにかく原曲のゴリゴリ感を完全に取っ払ったアレンジ。スペイシーな電子音とベースの絡みが秀逸。

2.Something レジャー・ソサエティ (Leisure Society)
キンコンと可愛い音の鳴る打楽器と、ストリングスとウクレレで奏でられるイントロを聴いただけで、これが掘り出し物だというのはすぐにわかる。ギターソロのラインをなぞるウクレレのソロもよし。

3.Maxwell's Silver Hammer レッツ・レッスル (Let's Wrestle)
んー、これはダメ。「ちょっとローファイ風に演ってみました」ってつもりだろうけど、世の中には星の数ほど存在するビートルズのカバー、そんなにハードル低くないよ。

4.Oh! Darling ブロークン・レコーズ (Broken Records)
こいつはどうしたものか。演奏も声もわりと僕好みだけど、“陰鬱な「Oh! Darling」”というものの捉え方が難しい。オリジナル曲を聴いてみたくなったので、xiaoさんのブログに載ってたアルバムを買ってみようかな。

5.Octopus's Garden ジェフリー・ルイス (Jeffrey Lewis)
前曲の陰鬱な雰囲気を払拭するためだけに配置されたようなこれが間髪入れずに入ってくる。ちょっと冗談ぽい曲を早口で歌うときのジョン・ウェズリー・ハーディング、てな感じで、嫌いではない。

6.I Want You (She's So Heavy) ロビン・ヒッチコック (Robyn Hitchcock)
グレンと並んで界隈では話題になってるこの人の参加だけど、僕はそれほど思い入れがないので淡々と。それにしてもジョンそっくりの声だね。原曲まんまのストレートなカバーにテルミンのソロ。オバケの音。

7.Here Comes The Sun チャーリー・ドア (Charlie Dore)
ちょっとハワイアンというか、レゲエ調というか、ジャック・ジョンソン一味というか。スラックキー・ギターとウクレレの音がとても心地良いけど、2と違ってこれは今の僕にはちょっと緩すぎかな。

8.Because マーティン・ジョン・ヘンリー (Martin John Henry)
原曲の綺麗なハーモニーを再現、プラスアルファという演奏。悪くはないけどすごくいいわけでもない。申し訳ないけどここまで来ると次の曲のこと考えてしまってるからね。順番負け。

9.You Never Give Me Your Money グレン・ティルブルック・ウィズ・ナイン・ビロウ・ゼロ (Glenn Tilbrook with Nine Below Zero)
何故かフラッファーズとではなく、80年代のパブロック仲間(なのかな?他に接点が思いつかない)との共演。間奏のハーモニカが格好いいね。(おそらく)グレン自身によるギターソロも当然格好いいけど。

アビーロードB面組曲の頭を飾るこの曲はそれ自体でミニ組曲っぽい作りだけど(「Band On The Run」の祖先?)、その最初の部分はグレンも結構抑えた歌い方で、なんかあっさりしすぎかなと思った。

けど、“Out of college〜”の辺りから次第に盛り上がり、ソロ後の“One sweet dream〜”からはもういつものノリノリのグレン。これ生で聴いてみたいな。

実は僕はいつも頭の中でこの曲を歌ってるとき、最初のヴァースからすぐ「Carry That Weight」につなげてしまって、てっきりこのB面メドレーの中ではこの曲は1分ぐらいだと思い込んでしまっていた。

だから、グレンがこれを選んだと知ったときには「なんだそんな短い曲なのか」と思ったけど、もちろんこれはオリジナルに近い4分の演奏で、大満足。

曲後半もたっぷりグレンのソロを満喫。オリジナルはここからサウンド・エフェクトも含めてメドレーになるんだけど、いろんなアーティストの寄せ集めのこのCDは当然それぞれが独立。

10.Sun King ゴメス (Gomez)
でも律儀にSEから始まるこの曲。確か僕は2枚組のベスト盤だけ持ってるこのバンド。原曲の不思議な雰囲気を壊さず、素直にボワーッと仕上げてて、しかもちゃんと聴かせるのはさすがベテランの味。

11.Mean Mr Mustard / Polythene Pam コーナーショップ (Cornershop)
僕は結構好きなバンドで、02年の『Handcream For A Generation』なんてよく聴いたな。もっとバンドの持ち味である南アジア風味に仕上げてくれてもよかったのにと、インド帰りの身としては素朴な感想。

12.She Came In Through The Bathroom Window カリーマ・フランシス (Karima Francis)
惜しいなあ。アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズにも通じる荘厳な歌と演奏はかなりの風格だとは認めるけど、B面メドレーで一番カタルシスを感じるはずのこの曲でこれはちょっと肩すかし。

13.Golden Slumbers ブルー・ローゼス (Blue Roses)
さらに荘厳なのが続く。歌い出しのキー間違えたんじゃないの?と思うほどのソプラノ・ボイスが、サビの部分で朗々と歌い上げるという感じ。悪くはないけど、好みじゃない。ごめん。

14.Carry That Weight ノア・アンド・ザ・ホェール (Noah And The Whale)
ポツポツとした歌いかたと、どこかの廃屋で録ったんじゃないかと思うようなアレンジは結構好きだな。要チェック。それにしても、12〜14と続いて、このB面メドレーちっとも盛り上がらないね。

15.The End ルース・サルート (Loose Salute)
そこをなんとか一所懸命盛り上げようとしてくれてるのはわかるんだけど、この曲もこう見えて結構ハードル高いんだよ。敢闘賞。きっといいバンドなんだろうけど、出会いが悪かった。

16.Her Majesty ロウ・アンセム (The Low Anthem)
オリジナルとは違って15からすぐに続くこれ。これ以外にどう演奏しようもないというカバー。このバンドも別に悪くないとは思うんだけど、30秒では判断不可。またどこかで会おうね。

ちょっとグレンのとこだけ六言になってしまったけど、まあ文句言う人はいないよね。いろいろネガティブに書いたところもあるけど、全体的にはそこそこ気に入ってるよ。価格も良心的だったしね。


日本のものも含めて音楽雑誌って久し振りに買ったけど、なんか、いいね。大特集のビートルズやプリファブ・スプラウトなどの長編記事はまだ全然読んでないけど、こまごました囲み記事とか広告に惹かれる。

へえ、ポール・ウェラーの次のアルバムでブルース・フォクストンがベース弾いてるんだ。一体どんな屈辱的な扱いを受けてるんだろう(笑)とか。

ちょうど今イギリスでレイ・ラモンターニュのツアーをやってて、サポートしてるのがジョシュ・リターか。いいなあ、そんな組み合わせで観られたら最高なのにな、とか。


7 Worlds Collideという聞き覚えのある名前の広告が。ニール・フィンのライヴ盤のタイトルだよな、と思っていたら、なんとあの時みたいにまたニールがお友達集めてアルバムを作ったのか。

以前記事にしたOxfamへのカンパを目的にまた友達を集めてライヴをし、アルバムも作ったという話。ライヴは今年の1月にオークランドだったのか。僕がいた時期とはかすりもしてないけど、なんか悔しい。

お馴染みのメンバーは、ジョニー・マー、ウィルコ御一行、レディオヘッド御一行、NZ友達のビック・ルンガ、ドン・マグラシャン、などなど。エディ・ベダーは今回はパスか。新譜のレコーディングで忙しかったのかな。

お兄ちゃんのティムと息子のリアムはもちろん、Finn姓の人間が他にも沢山。リアムの兄弟姉妹なのかな。あと、ナイル・マーとスペンサー・トゥイーディーってのはそれぞれジョニーとジェフの息子か。

これは早速買おう。前のライヴ盤も結構よかったし(ニール・フィンが歌い、ジョニー・マーがギターを弾く「There Is A Light That Never Goes Out」なんて鳥肌ものも入ってるよ)。

あ、限定2枚組も出てるって書いてあるぞ。2枚目はオークランドでのライヴか。もちろんこっちにしよう。アマゾンでは売切れてるけど、まだそんなに入手困難ってほどでもなさそうだし。


なんだかとりとめもなくダラダラと、Twitter換算で40つぶやき分ぐらい?書いてみた。明日からまたしばらく出張なので、そろそろパッキングでもしようかな。
posted by yas at 14:04| Comment(9) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月27日

季節はずれの白と黄のボーダー - 新垣結衣

Hug.jpg 新垣結衣 『hug』

yas:やだよ、だってうちのブログのカラーじゃないもの。

やす:まあそう言わんと。ええやん、たまにはこういうのも。

yas:そんなに気に入ってるなら、君が書けばいいじゃないか。

やす:なんでやねんな。俺は年に一回の記念対談以外は、翻訳のときにしか現れへんて相場が決まってるんや。

yas:いいじゃない、別に。君もたまに出たいって言ってたことだし。それに翻訳の機会なんて当分ないよ、きっと。じゃあそういうことで決まりね。今日はまかせたよ。じゃあね!

やす:あ、おい!ちょっと待たんか!

…あ〜あ、行ってしまいよった。どないすんねんな… ほんまにあいつはイキリでしゃーないな。なにを照れとんねんな、まったく。

えーと、そういうわけで、今日は俺が書くことになってしもたんで、よろしゅう。いつものあいつみたいに訳わからんことだらだら書いたりせんとすぐ終わるから、安心してや。大阪弁で読みにくいのは許したって。

今日のCDは、上に写真載ってるからわかると思うけど、新垣結衣ちゃん。ガッキーや。かわいいよな、このジャケ。いや、そんなに引くなって。

実はな、俺普段テレビドラマとかあんまり観ることないんやけど、たまたま観てたやつにこの子が出てて、ちょっと興味もってYouTubeとかで検索して聴いてみたんよ。そしたらえらいはまってしもてな。

最初はアイドルもんや思て適当に聞き流しとったんやけどな、まず思ったより曲がええねん。俺、日本の職業作曲家とかプロデューサーってあんまり知らんねんけど、流行りモンや思てええ加減に作らんと、しっかりした曲書いて真っ当なアレンジして、ええアルバムにしようっちゅうスタッフの気概が見えるんよ。

まあ、なんやかんや言うても、こんだけ気に入ってる一番の理由は、やっぱりこの声に尽きるね。どっからこんなかわいい声出すねんっちゅーぐらいで。いや、そら口からに決まってるんやけどな。そういう話やのうて。

これ、一つのアルバムでいろんなバージョン出ててな、最近のJポップとかみんなそうなんやろけど。DVD付きの限定盤やらジャケット違いやら。どれ買うか結構迷うんよ。結局、俺の買うた上のジャケのやつは、「初回限定盤(2CD+ブックレットB)」とかいう名前で、Naked Voice VersionちゅうボーナスCDが付いてんねん。

表に貼ってあるステッカーには「全13曲のアカペラver.」って書いてあるんやけど、普通これはアカペラとは言わんやろ。合唱ちゃうし。演奏なしの、ピンのボーカルトラックだけや。

ただ可愛いだけのアイドルやったら、ちょっとここまでできへんやろ。勇気いるよな。俺もこれはさすがにないやろとか思いながら聴いてみたんやけど、これが結構いけるんよ。まあ、さすがにそんなめちゃくちゃ歌唱力あるっちゅうわけやないから、高音不安定やなとか思う箇所もあるけど、そこがまた味があるっちゅうかね。これもまたこの声のお陰やね。

最初にちょっとこの子に一目置きたいなと思ったのは、この声を持ってながら、さっき書いたテレビドラマでは、口きかれへん人の役やってたんよね。自分の持ってる武器をあえて使わんと、それ以外で勝負するみたいなね。将棋で言うたら飛車落ちやね。別に将棋で言わんでもええんやけど。

あ、そうそう。それで思い出したんやけどな。いや将棋の話やのうて。さっきも書いたけど、このアルバムいろんなバージョンが出てて、ジャケットも何種類かあるんやけど、そのうちの一つは本人が書いた熊のぬいぐるみのイラストやねん。


2年前に出たデビューアルバムも同じような感じで、本人のポートレイトのジャケと、自筆のイラストのジャケがあったんやけどな、イラストの方がこれや。


そら.jpg 新垣結衣 『そら』

CD出す前にもう女優として売れてたからできたんやろけど、デビュー作のジャケがこれ!トカゲ!表ジャケに自分の名前すら書いてへんで。見た目かてこんだけ可愛いんやから、本人のお洒落なポートレイトのバリエーションだけで数種類出すこともできたやろうに。いや、ほんま勇気あるよ、この子。そういうとこも気に入ったで。

そやから、これも買うてきた。中古やけどな。さすがにこのジャケは人気ないんか、結構安値で買えたよ。内容もよかったけど、どっちかいうと新しい方がええな。ちゅうことは、ちゃんと成長してるんやね。いや、これは今から次のアルバムが楽しみや。

ほなそういうわけで、今日はこのへんで。だらだら書けへん言うたわりにはえらい引っ張ってしもて、悪かったな。次は年明けのベストアルバム記事に登場して、このアルバムがちゃんとベスト10に入ってるかどうか確認しに来るわ。ほな、また。

posted by yas at 12:15| Comment(9) | TrackBack(0) | アルバム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする